○作物名:ブドウ
○病害名:さび病
○概要
本病は昭和40年代までは県下各地,とくにデラウェアで多発生し,ブドウの主要病害に一つであった。近年の発生は比較的少ないが,露地栽培のデラウェア,巨峰などで多発生することがある。本病が多発生すると早期落葉を起こして結果母枝の充実が妨げられ,翌年の発芽期が遅れ,花ぶるいをして着粒数が減少する。
○病徴と診断
本病は主として葉に発生するが,穂軸,果梗,新梢にも発生することがある。葉では裏側に夏胞子堆がまばらにまたは密生して,そこに橙黄色粉状の夏胞子が形成される。10月頃になると夏胞子堆に隣接するかまたは単独でやや膨らみ,角ばった褐色〜黒褐色のカサブタ状の冬胞子堆が葉の裏側にできる。発病の激しい場合に葉全体が夏胞子堆、または冬胞子堆に覆われ葉は巻き上がるようになって枯死し,落葉する。
○発生生態
病原菌はブドウ葉上に形成された冬胞子が落葉上でそのまま越冬する。翌春これが発芽して小生子をつくり,中間寄生のアワブキに寄生してそこにできたさび胞子がブドウへの第一次伝染源となる。ブドウ園における初発生は6月下旬頃からみられ,これ以降は葉上にできた夏胞子が風などによって飛散して葉裏に付着し,気孔から侵入して伝染を繰り返す。夏胞子がブドウ葉に侵入するためには温度は20〜25℃,湿度は100%程度の高湿度,とくに水滴のあるような場合が適しており,このような条件下でほぼ1週間の潜伏期間を経て発病する。
防除の不良園や年によっては7月中旬〜8月上旬に増加することもあるが,一般には8月下旬〜9月中旬に発病盛期になることが多い。その後もまん延を続けるが10月中下旬には終息する。デラウェアや巨峰などで発生が多く,ネオ・マスカット,マスカット・ベリーAでは比較的発生が少ない。本病菌にはブドウ系,ノブドウ系,ツタ系,の三つの系統があり,ブドウ系はブドウのほかヤマブドウ,エビズル,ギョウジャノミズに寄生する。
○外部リンク日本植物病名データベース
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