○作物名:ブドウ,ナシ,カキ,バラ
○病害名:根頭がんしゅ病病
○概要
根頭がんしゅ病は細菌によって起こり,被害部に特徴のある大きなこぶをつくる病気で果樹,花木に古くから発生している。その菌には三つのタイプがあることが知られている。そのうち,ブドウ根頭がんしゅ病菌は主として生理型3に属し,バラ,ナシなどのそれとは異なるといわれている。島根県では昭和61年横田町で多発生して問題となっている。
○病徴と診断
ブドウでは普通あわつぶ状のこぶ(がんしゅ)が接ぎ木部分につらなって形成され異常に肥大する。ときには,幹や枝などのかなり高いところにも発生する。がんしゅははじめは白色で柔らかく,後には健全部と同色となり,やがて表面が枯死して黒ずんでくる。幼木などでは発生がひどいと枯死するこもがある。台まけなどによっても接ぎ木部が肥大することがあるが,あわつぶ状のがんしゅを形成していないことで区別できる。
ナシ,バラなど多くの根頭がんしゅ病はブドウとはがんしゅをつくる場所が異なり,多くは根の先端や地際部につくる。苗の時に感染し,発病したものは葉色が悪く,その後の生育も悪い。
○発生生態
ブドウの根頭がんしゅ病についての研究は比較的新しいので,菌の生態については不明な点が多い。そのため,土壌伝染についてはまだはっきりしていないが発病樹周辺の土壌に菌が存在しているので,その菌が発病に関係していると思れれる。また,本病菌は苗木によって伝染することが多い。つまり,発病樹では樹液中に菌が存在しており,導管をとおってあちこちの部位に行ききしている。そのような樹から苗木を生産すると当然汚染された苗木となる。また,外観上発病していない樹からもまれに菌が存在するので苗木生産する上で注意が必要である。
凍寒害を受けると樹体が傷つき発病しやすくなる。
甲斐路,巨峰群品種は弱く,デラウェアは強い。
なお,バラ,ナシなどの根頭がんしゅ病菌は土壌中で越冬し,根の傷口,接ぎ口などから侵入する。傷口から侵入した菌はがんしゅを形成し,がんしゅ表面から雨などによって土中に入り再び伝染を繰り返し土壌伝染するとされている。
○外部リンク日本植物病名データベース
ブドウ根頭がんしゅ病(左、中:主幹部に形成、右:樹液のでたあとに形成(枝)
ブドウ根頭がんしゅ病(左:新梢に形成、中:コウモリガ侵入した所に形成、右:剪定した所に形成)
ブドウ根頭がんしゅ病(上左:本病原菌が分離された環状はく皮のカルス、中、右:接種して再現した病徴(トマト、ブドウ)
下:ブドウ根頭がんしゅ病菌の培養コロニー(Roy-Sasser培地)
ナシ根頭がんしゅ病
カキ根頭がんしゅ病
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