○作物名:バラ
○病害名:バラハオレタマバエ
○概要
平成20年4月県西部のバラ施設土耕栽培圃場において、葉が中肋部で折りたたまれて奇形化し、その内部に害虫が発生しているとの報告を受けた。後日、現地を確認したところ報告と同様の被害葉とその内部にハエ目と思われる幼虫の寄生を確認した。標本を理化学研究所植物科学研究センター生長制御研究グループの徳田誠博士に同定依頼したところ、ハエ目タマバエ科のバラハオレタマバエContariniasp.と同定された。
本種は、平成10年に山口県で初めて発生が確認され、その後、青森県、岩手県、宮城県、静岡県、広島県、香川県、福岡県、佐賀県、奈良県、三重県で確認され、近年では平成18年に熊本県、愛媛県、愛知県で確認された(平成24年6月現在)。
○形態及び生態
成虫は、新葉表面の中肋に沿って産卵し、孵化した幼虫が中肋部を中心に加害するため、葉折れ症状を示す。幼虫は3齢を経過すると葉から離脱し、土中のごく浅い部分で蛹になる。1世代の所要日数は20℃で29.0日(成虫から蛹化までが16日蛹期間が13.0日)、25℃では17.5日、15℃では47.5日である。
5〜8月上旬にかけて4〜7回、9月中旬〜10月にかけて2〜3回の発生がある。盛夏期には高温、乾燥により発生が認められなくなりますが、夏が冷涼多雨な年には発生がとぎれない場合もある。
○被害の特徴
本幼虫の加害により、バラ中肋部に沿って葉表が内側に2つに折りたたまれ、奇形となる(図1)。被害出始めの葉では折りたたまれた部分を開くと体長1〜2mmの白〜黄色の幼虫が数頭〜十数頭みられる(図2)。蕾が加害された場合は奇形花となり、商品価値が低下することもある。
○寄主植物
施設土耕栽培のバラに多く、養液栽培では一時的な小規模の発生がみられる程度である。
○防除対策
被害葉・蕾は発見後すみやかに除去し、適切に処理する。
図1バラハオレタマバエの被害図2バラハオレタマバエ幼虫
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