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試験研究の基本的推進方向

 本県の畜産は、農業産出額の36.2%を占める基幹作目であるが、とりわけ大家畜を取り巻く環境は、飼養農家の高齢化や飼料価格高騰による生産コストの上昇、消費の冷え込みによる枝肉価格の低迷等の課題に直面している。

 このような情勢の中、県は「新たな農林水産業・農山漁村活性化計画」第2戦略プランを策定(平成20年4月)し、試験研究機関においても、普及組織との連携のもと、消費者等の需要に即した産品づくりや社会情勢の変化に対応するため、高度技術の開発と農林水産業者への迅速かつ的確な技術支援を展開することが求められている。

 また、畜産の重点施策の展開の方向として、島根の畜産が競争力ある生産体制を構築し、地域農業の主要産業として成長していくため、大規模経営体による生産拡大、安全で高品質な畜産物の生産、環境と調和した生産の展開、流通・加工の合理化、畜産物価格の安定等を推進することとしている。特に肉用牛については、しまね和牛の更なる能力の向上と子牛育成技術・肥育技術の高位平準化を進め市場評価の高い子牛生産や高品質で特色ある「しまね和牛肉」の安定的な供給を目指している。

 畜産技術センターは、これらの方針に沿い、次に掲げる6項目を基本に行政部門との連携を図りながら、畜産農家のニーズをより的確に把握し、生産現場に反映できる研究に取り組む。

1.産官学連携による飼料用イネを活用した乳肉生産技術の開発

 世界的な穀物価格の高騰により、輸入穀物に代わる飼料の確保が喫緊の課題となっている。

 そのような状況の中、飼料用イネ(飼料米、イネWCS)は飼料自給率の向上を図り、耕作放棄地問題も解消できることから注目が集まっており、産官学が連携しイネ栽培から乳肉生産までの飼料用イネ活用技術の確立を目指す。

2.畜産環境保全対策のための新たな糞尿処理技術の構築

 畜産農家の環境保全のため、当センターが開発した技術をはじめとする、経営体に即した糞尿処理技術等を紹介してきたが、より効率的な処理システムの調査研究に取り組み、新たな島根県のオリジナルな技術開発を行い、更に健全な地域内循環処理体系の構築を図る。

3.育種価システム及びDNA解析等を活用した「しまね和牛」の育種改良

 種畜生産県として一層の肉用牛改良を推進するため、育種価分析システム、受精卵移植技術及びDNA解析を活用し種雄牛造成を行う。

4.バイオテクノロジー等の先端技術を活用した優良子牛生産の拡大

 優良遺伝資源を有効活用するため、生体内受精卵及び体外受精卵の大量生産技術や、受精卵移植における受胎率の高位安定化のための技術等の開発を行い、優秀な子牛を生産する雌牛群の造成のための受精卵移植活用システムの構築を図る。

5.「しまね和牛肉」のブランド化の推進

 雌肥育における高品質でおいしい牛肉生産に向け、エゴマ等の地域資源を活用した牛肉生産や、食味向上に関する検討を行い雌牛肥育技術の確立を目指す。

6.試験研究機関と一体的な普及活動の推進

 畜産技術普及課は、試験研究機関と一体となって畜産の担い手育成・確保や生産性の向上に係る技術・経営支援等の普及活動を展開する。

 


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畜産技術センター