掲載企業インタビュー VOL.7
堆肥化装置「イージージェット」 株式会社ミライエ
下水汚泥や産業廃棄物などの脱臭、堆肥化装置を開発
環境ビジネスのミライエ
ミライエ(松江市矢田町、島田義久社長)は大量の下水汚泥や食品廃棄物、家畜の糞などを効率的に堆肥に変える装置を開発しています。同社は今後、環境分野の市場拡大が期待される中国や東南アジア諸国での需要を見込み、悪臭の発生を軽減し、コストの削減面でも優れた自社製品の海外展開を強化する方針です。
ミライエが環境事業に参入し初めて開発した「 C モード」。
従来の処理方法に比べて短期間での堆肥化が可能(ミライエ提供)
▼堆肥化の期間を半分に短縮
2000年、当事社長だった父の隆久氏が、下水道の設計業務を手がける傍ら下水の汚泥や家畜の糞尿などを堆肥化する装置開発に着手しました。2007年に息子の義久氏が社長に就任すると、事業を環境分野に特化することに決め、翌年に「未来へつながる」をコンセプトに「ミライエ」と社名変更しました。
最初に開発した混合装置「Cモード」は、家畜の糞や下水汚泥に木くずやおがくずを混ぜ込み攪拌します。汚泥を短時間で粒状にすることで空気に触れやすくなり、有機物の発酵時間が短縮され、従来の半分の期間での堆肥化を実現しました。現在は全国の家畜糞や汚泥の処理施設など20カ所で導入されています。
「イージージェット」施工イメージ。
目詰まりを起こさない特殊ノズルで高圧空気を堆肥に送るため、メンテナンス不要で効率的な堆肥化を実現(ミライエ提供)
▼コスト削減と耐久性を実現
2005年からは、装置のコストダウンと耐久性を最大の課題として研究を重ね、「Cモード」の次に完成したのが、堆肥化装置「イージージェット」です。島根県との共同開発により2007年に商品化しました。この装置は、堆肥施設の床部に設けた溝に特殊なノズルが付いたステンレス・樹脂製のパイプを敷き詰め、処理物の下部からコンプレッサーで継続的に高圧空気を送り込むことで、堆肥化を促進する仕組みです。
既存施設の面積や形状を問わず自由に施工できる上、堆肥化を行う上で必要であった処理物をかき混ぜる作業が不要となり、撹拌作業時に発生する臭気を大幅に抑えることができました。加えて目詰まりを防いだ特殊設計でメンテナンスが必要なく、処理物の切り替えしの手間もないため、一般的な処理方法に比べて、人件費や燃料費などが年間約69%削減可能となりました。島田社長は「処理物をいかに空気と触れさせるかを考え、吹き出しノズルの目詰まりをどう防ぐか工夫を重ねました」と話します。
「イージージェット」の特殊なパイプについて説明する島田社長
▼悪臭対策効果で導入相次ぐ
「イージージェット」は、悪臭対策などに悩む全国の廃棄物処理業者や畜産農家、食品ゴミ処理や下水汚泥処理関係者の関心を集め、今では北海道から沖縄まで全国の数百カ所で導入されています。取引先は畜産関係が8割を占め、下水廃棄物処理施設などでも利用され、高い評価を受けています。
また2019年には中国・湖北省の大手有機肥料生産会社に「Cモード」と「イージージェット」を輸出。処理工程で悪臭が出ないことが好評となり、導入した会社には視察が相次いでいます。
悪臭という深刻な環境問題を抱える中国での高評価を武器に、「将来的に家畜の廃棄物処理や下水の汚泥処理対策などが浮上してくる中国や東南アジア諸国での導入が進むと期待しています」と島田社長は話します。
■会社概要
株式会社ミライエ
代表取締役 島田 義久
所在地:島根県松江市矢田町250-167
https://miraie-corp.com/(外部サイト)
TEL:0852-28-0001
FAX:0852-31-3981
お問い合わせ先
しまねブランド推進課
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 TEL:0852-22-5128 FAX:0852-22-6859 brand@pref.shimane.lg.jp