島根県立三刀屋高等学校掛合分校
三刀屋高等学校掛合分校の生徒さんが、しまね環境アドバイザーの授業、松江バイオマス発電株式会社の見学を行いました。
11月1日(金)しまね環境アドバイザー授業
しまね環境アドバイザーの豊田知世先生を招き、『地域資源を活用した低炭素型まちづくり』と題した授業を受けました。
■環境問題について
近年、海のマイクロプラスチックが問題視されています。魚などがエサと間違えて食べてしまい、マイクロプラスチックを食べた魚を人間が食べてしまう・・・
長期的にみると、マイクロプラスチックは、人にも影響を及ぼす可能性が考えられます。
皆さんは、大気汚染が原因で、年間、世界では400万人から600万人の方が亡くなられていることを知っていますか?
日本も偏西風の影響で汚染物質が大陸から流れてくることがあります。
地球温暖化を防ぐためには、どのような取り組みが必要でしょうか。
・CO2などの温室効果ガスを吸収して固定させる→木を植える
・地球に溜めている炭素を大気中に放出させないなど
世界全体で地球温暖化を防ぐ取り組みが必要です。
■地域資源について
【電気をつくる地域資源】太陽光発電、風力発電、地熱発電、小水力発電、バイオマス発電など
【熱をつくる地域資源】太陽熱、地熱、バイオマス熱
例えば、木質バイオマスは、安定供給は望めますが問題点もあります。
・地元の木が足りなくなってきている。ガソリンを使って広範囲から集荷を行うと環境負荷が増加する。
・輸入材が増加(半分が、インドネシアやマレーシアから輸入)
・熱利用のインセンティブがないなど
■環境先進国の取組
まとめ
地域資源エネルギーの今後
- 電気よりも熱利用が優先
(エネルギー効率、資源の有効活用、気候変動対策、エネルギーコスト)
- 輸送距離が小さい、小規模分散型
糞尿の利活用
- 糞尿を利用するバイオガスの経済性が着目されている。
- さまざまなバイオマス資源の組み合わせで考える。
担当者のつ・ぶ・や・きPart1
地球温暖化等の問題は、”勉強”となると難しく感じるかもしれませんが、他人事ではなく、自分事として捉えてほしいと思います。
次は、松江バイオマス発電所等の見学です。実際に見学することで、再生可能エネルギーを身近に感じてほしいと思うと同時に、今後の学習や職業選択の参考になればいいなと思いました。
11月14日(木)松江バイオマス発電株式会社の見学
松江バイオマス発電株式会社は、平成25年5月17日に建設されました。
年間発電量は、4,950万キロワット。一般家庭約14,000世帯分の発電を行っています。
使用燃料は、県産材を主とする国産未利用材、製材残材系木質チップなど、年間、約8万8,000トン。そのうち、約9割(8万トン)は、県内の未利用材を使用しています。
最初に、松江バイオマス発電株式会社がどのような会社なのかお話を伺いました。
木質バイオマスの利点
1CO2の排出削減(カーボンニュートラル)
2高い稼働率・・・太陽光発電や風力発電と比較して、天候や時間帯の影響を受けない安定した電力
3雇用や地域経済への波及効果
次は、施設の見学です。
〇トラックダンパースケール(燃料の受入)
運ばれてきた木質チップを燃料ヤードに投入します。
傾斜角度は、最大50度、積載量は、12トンから15トン。大型トラックが傾いていく様子は、大迫力でした!
〇燃料チップヤード
燃料となるチップを一時的に貯蔵する設備です。
〇木質チップとパームヤシ
木のチップ(写真左)は水分量が多いため、パームヤシ殻(写真右)を加えることで燃えやすくなります。
〇木材・・・水分量は約50%。水をたくさん吸う。
〇パームヤシ殻・・・水分量は約25%。水はほとんど吸わない。パームヤシ殻の約9割は、インドネシアとマレーシア産。
〇燃料供給装置
木質バイオマス燃料をコンベアでボイラーに運びます。必要な量は、コンピューターで管理しています。
〇流動層ボイラー
水分の多い木を完全燃焼させるために、ボイラーの底に、空気で流動する砂があり、チップ表面が炭化と削りを繰り返し燃えています。
〇タービン・発電機
木質バイオマスを燃やし発生した蒸気でタービンを回します。タービンの回転する力で電気をつくります(写真左)。電気は、地下ケーブルで受電設備に送られ中国電力鉄塔に送電します(写真右)
まとめ
☆生徒の質問☆
Q1他県のバイオマス発電施設と比べて、松江バイオマス発電株式会社はどのくらいの規模ですか。
A1バイオマス発電施設は、全国で約100カ所ほどあります。真ん中くらいの規模だと思います。
Q2木質シップの中に、建築廃材が含まれていないのはなぜですか。
A2建築廃材の中には、ペンキ等、有害物質が含まれていることもあります。有害物質が付着している廃材を燃やした際、大気中に有害物質を排出させないようにするためには、それなりの設備が必要となり費用もかかります。また、建築廃材を燃料として使用するためには、許可が必要になります。
県土面積の80%が森林の島根県は、木質チップ等が豊富にあるため、建築廃材を燃料とする必要がありません。
Q3課題や問題点はありますか。
A3再生可能エネルギー特別措置法で、買取価格を20年補償されています。20年続けて終わりではないため、20年後以降も、何らかの対応策を講じていかなければならないと思います。
山林県の島根県ですが、長期的に木質チップの量を維持できるのか、ボイラー等、設備の耐久年数はどのくらいなのかということも気にかけています。
担当者のつ・ぶ・や・きPart2
燃料の約9割は県内の間伐材等を使用していることに驚きました。また、生徒の皆さんが質問を多くしていたのが印象的で、松江バイオマス発電株式会社の担当の方も「とても熱心に見学してくれて嬉しかったです」と仰っていました。
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