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2017(H29)年 <  2018(H30)年 年報  > 2019(R1)年
目次 I.概要 II-1.発生状況の解析と評価 II-2.定点把握疾患発生状況 III.検査情報
全数把握 週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点) 月報(STD・基幹定点) 精度評価
印刷用ページ 1.発生状況の解析と評価 発生状況 表5.指数(県) 表6.指数(地区) 表7.地区 表8.月(県) 表9-1.月(東) 表9-2.月(中) 表9-3.月(西) 表9-4.月(隠) 表10.年齢
3)インフルエンザ定点感染症の流行状況
インフルエンザ報告者の年齢区分割合
流行指数(2018年患者数/2008年〜2017年の年間平均患者数)
流行指数(2018年患者数/2008年〜2017年の年間平均患者数)
 2018(H30)年のインルルエンザ報告数は10,391件(定点あたり273.4、流行指数1.23)と、過去10年間では2009(H21)年の19,040件以来の10,000件を突破する大流行であった。
 2017/18シーズンの特徴は、例年と同じくA型の流行が先行したが、すぐに後を追ってB型の流行が始まり、1月後半にはB型がA型を凌駕し、B型は例年にない大流行となり、 AB合わせての大流行が3月中後半まで集中的に見られた。 流行の時期に圏域差がほとんど見られず各圏域とも大流行であったが、その中でも西部での流行が大きかったこと、次の2018/19シーズンの流行の始まりが早く、12月からA型の流行が始まったことなどが特徴的であった。
 A型は香港型と2009pdmの2種が検出されており、1シーズンにA型2度罹患例の報告も寄せられている。
 2013(H25)年以降の傾向として、罹患年齢の年齢間の差が少なくなり、60歳以上でもかなりの患者数であるが、2018(H30)年も同様であった。
4)小児科定点感染症の発生状況
(1) RSウイルス感染症
 2015(H27)?17(H29)年の過去3年間県全体では1,000件を超える件数であったが、2018(H30)年は、900件程度の比較的落ち着いた年であった(流行指数1.08)。
 2017(H29)年は短期間に爆発的に流行したが、2018(H30)年の特徴は、流行の始まりが7月と早かったこと、だらだらと長く続き2019(R1)年3月現在もまだ収束していないことで、 流行の立ち上がりが早かったことを除くと流行パターンは一昨年までの数年間に戻った感がある。報告が多かったのは東部と中部からであった。
 例年春休みからGW頃に収束するので、今シーズンも収束の時期は同じであろうと予想される。日本全域から沖縄・台湾まで含めると、 南に行くほど季節的流行が薄くなり通年性に患者が発生する傾向があると言われている。島根県においても今後の動向を注意して見まもる必要があると考えている。
 RSウイルス感染症と臨床像や好発年齢がよく似た疾患にヒトメタニューモウイルス感染症がある。 数年前から鼻水や痰での簡易迅速検査ができるが、2018(H30)年4月からは外来での簡易迅速検査要件が緩和され、 5歳以下で臨床的に気管支肺炎と診断されれば胸部レントゲン検査をしなくても認められるようになった。 このため迅速検査を多用している診療機関から、RSウイルス感染症と臨床像が似ている場合には本症であることが多々あると連絡を受けている。 ヒトメタニューモウイルス感染の登録も検討すべきであろう。
(2) 咽頭結膜熱
 2017(H29)年を下回り、多かった2014(H26)年や2016(H28)年の3分の1 といった、流行指数0.58の落ち着いた年であった。
(3) A群溶連菌咽頭炎
 2014(H26)年に2,900件以上の報告があってから、以後毎年2,500件以上の報告が続いていたが、2018(H30)年は2,483件とわずかながら減少に転じた(流行指数1.28)。
 2013(H25)年までと2014(H26)年以降では簡易迅速検査の普及度が異なると考えられるので、2014(H26)年以降で見ると、2018(H30)年の患者報告数が最も少なかった理由は2つの要素が考えられる。
 1つは、実際に患者発生そのものが少なかった可能性、もう1つは、A群溶連菌感染症は腎炎などの合併症が問題なためにきちっとした診断と治療が要求される疾患であるが、 「合併症は3歳よりも年長児でのリスクが高いので、2歳未満は正確に診断する意義がさほど高くはない」ということが小児を診療する医師たちにある程度行き渡ったため、の可能性である。
(4) 感染性胃腸炎
 過去に最も少なかった2017(H29)年よりもわずかに増加したが、それでも流行指数0.71の落ち着いた年であった。
 ロタウイルスによるものはワクチンの普及でかなり減少したが、原因ウイルスはロタウイルス以外にもたくさんあること、ロタウイルスも遺伝子型が変化している可能性があることなど、 今後も注意深く推移を見守る必要があると考えられる。
(5) 水痘
 2014(H26)年に激減、以後は漸減傾向で、2018(H30)年は流行指数0,22と2017(H29)年よりもさらにわずかながら減少した。
 罹患例も軽症が多いようで、水痘ワクチン定期化の効果と考えられる。 水痘の軽症化は将来の帯状疱疹の予防や軽症化につながると言われているので、漸減傾向・軽症化に安心することなくワクチン接種の継続的な啓発活動が必要と思われる。
月別の報告患者数
月別の報告患者数
月別の報告患者数
(6) 手足口病
 例年よりも早い春先からエコー18による流行が始まり、8月にやや減少したが、その後10月に大きな流行となり、年を越してやっと収束しかかっている状況である。患者発生が多かった地域は中部であった。
 原因ウイルスが、春から夏はエコー18、秋はCA16が主役でその他のCAも検出、といったように複数のウイルスが原因であったことが、流行のヤマが二つで長引いた原因と考えられる。
 総件数そのものは2017(H29)年の6〜7割、流行指数0.87と多くはなかった。ただ注意すべきは、エコー18による手足口病は、臨床像が突発性発疹やその他のウイルス疾患と紛らわしかった例があったとの報告が寄せられたし、 実際通年的に患者数が一定しているのが特徴の突発性発疹が、この流行に時期を同じくして登録数が増えていたことから、突発性発疹に誤って登録された手足口病がかなり存在すると考えられることである。
(7) 伝染性紅斑
流行指数0.08のまったくの収束状態を保った年であった。
(8) 突発性発疹
 過去最低を記録した2017(H29)年よりもさらにわずかに減少したが、流行指数は0.81と増減幅が少なく、水痘が激減した現在、季節や年による変動が少くサーベーランスの適性をモニターできる唯一の疾患である位置づけは変わらない。
 今年はエコー18による手足口病のいくらかが突発性発疹に紛れ込んで登録された可能性はあるが、どちらも臨床症状と身体所見から診断する疾患であるので致し方ないこと考えられる。 突発性発疹だけで本サーベーランスの精度をモニターするのは限界があるが、他に適当な疾患がない以上やむを得ないことである。
(9) ヘルパンギーナ
2017(H29)年よりわずかに減少した、流行指数0.71の落ち着いた年であった。
(10) 流行性耳下腺炎
 前年の6分の1以下の報告患者数は211(流行指数0.29)であった。2016(H28)年から2017(H29)年と続いた流行がほぼ収束した年であったと言える。ワクチンの定期化にはまだ数年かかると予想され、流行は4から5年毎と言われている。
 後遺症としての難聴のおおよその頻度は、片側性で300分の1、両側性で1000分の1と無視できない率で存在すると言われているので、早期のワクチン定期化が望まれるところである。
ここ2,3年は非流行期であろうと予想されるので、この時期に、定期化を待たずにでもワクチン接種を勧めるべきであろう。
(11) 百日咳
 2018(H30)年から定点報告疾患から全数把握疾患に変更となった。
 新生児乳児が罹患すると死亡することがあるが、4混ワクチンで予防が可能な疾患である。年長児や成人では予防接種がきちっとなされなかった年齢層が存在し、これらでは長引く咳以外さほどの症状を呈さない。 確定診断には簡易遺伝子診断が必要であるし、診断の困難さから見過ごされている場合があると思われる。全数報告となった2018(H30)年は、散発的に報告があがっている。
眼科定点の報告患者数
流行性角結膜炎の年齢分布
基幹病院定点の報告患者数
5)眼科定点感染症の流行状況:表5、6、7、8、9、10、図7,8
(1) 急性出血性結膜炎
 非常に伝染力の強い結膜炎であるが、2018(H30)年は島根県での発生の報告はなかった。
(2) 流行性角結膜炎
 2018(H30)年は、全県で31件(東部5件、中部16件、西部10件)の報告があった。
 2015(H27)年の大流行(52件)の後、感染に対する注意喚起が功を奏し、2016(H28)年12件、2017(H29)年14件と、大きな流行は見られなかったが、2018(H30)年はやや増加した。 全県での月別報告では、9月から12月の発症が多く、夏季の報告は4件と少なかった。年齢区分では、20歳から59歳までの報告が23件と多かった。19歳以下の報告は4件と少なく、学校などでの流行はなかった。
 流行性角結膜炎は感染力が強く、家庭内発症や職場、学校での集団感染を起こしうるので、早期の発見と診断が重要である。 感冒症状を伴う結膜充血や眼脂が見られる場合、アデノウイルス感染症を念頭に置いて、対象患者の発症状況や周辺環境を含め詳細な問診が重要であり、さらなる流行の予防のための丁寧な生活指導、治療が重要であると思われる。
6)基幹定点把握疾患の発生状況:表5、6、7、8、9、10、図9
(1) 細菌性髄膜炎
 2018(H30)年は14件の報告があり、流行指数2.06と過去10年間で最も多い年と同数であった。
 抗生物質適正使用の観点から、外来では安易な抗生剤投与は避けることはもっともなことであるが、必要な症例に投与されないと重篤な結果をもたらす。 細菌性髄膜炎が増えた原因がなんであるか、慎重に動向を見まもる必要があると考えている。
(2) 無菌性髄膜炎
 2月から10月にみられ、報告数53件、流行指数1.64と、2013(H25)年の63件に次いで多かった。2018(H30)年の夏場に流行したウイルスは、髄膜炎を起こしやすいタイプであったと考えられる。
(3) マイコプラズマ肺炎
 マイコプラスマ肺炎での入院例が9月以降に件数が少ないが報告されている。マイコプラスマ感染症は、肺炎を起こしても外来治療できる疾患であるために、外来ではある程度の患者がいたと思われる。
 本サーベーランスでは入院例を対象としているため、マイコプラスマ感染症の動向をとらえることは困難である。外来患者を把握する方法を検討する時期にきていると考えられる。
(4) クラミジア肺炎
 2006年以降、年間1〜6件の報告があるが、2018年は報告が無かった。
(5) 感染性胃腸炎(ロタ)
 4月をピークに、3月から5月に流行がみられた。
島根県感染症情報センター