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2012(H24)年 <  2013(H25)年 年報    > 2014(H26)年
目次I.概要II-1.発生状況の解析と評価II-2.定点把握疾患発生状況III.検査情報
全数把握週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点)月報(STD・基幹定点)精度評価疑似症
1.発生状況の解析と評価 発生状況 表5.指数(県) 表6.指数(地区) 表7.地区 表8.月(県) 表09-1.月(東) 表09-2.月(中) 表09-3.月(西) 表09-4.月(隠) 表10.年齢
4)インフルエンザ定点感染症の流行状況:表5〜10、図1〜6
インフルエンザ報告者の年齢区分割合  1999年4月から内科定点15施設が加わり計38の定点となり14シーズン目となった。2013年のインフルエンザの報告数は、8,521件(定点当り224.2)と2003年以降で第5位と中位であり、2013年の報告数を2003年〜2012年の10年間の年間平均患者数で除した流行指数は1.08であった。
 県全体では、1月上旬(第1週)に流行期に入り、1月下旬にピーク(第5週[定点当り26.3件])になった。その後、速やかに衰退していったが、定点当り1.0件以下になったのは5月末(第22週)と例年より遅かった。
 東部、中部、西部では1月末(第5週)に、隠岐では1月中旬(第4週)にピークがあり、その週当りの件数はそれぞれ[28.2]、[26.2]、[25.1]、[26.0]と同規模の流行であった。西部では2月末(第9週)にもピーク[19.3]がみられた。
 2013年の各圏域の流行報告指数は東部(隠岐も含む)1.12、中部0.97及び西部1.14と1.00前後で近似した。圏域別定点当り件数も隠岐圏域の145.0の他は、松江圏域の256.6から雲南圏域の171.0の間に分布し、差は小さかった。
 年齢別では、乳児で1.9%、1〜4歳で20.2%、5〜9歳で27.9%、10歳代で19.1%、20〜50歳代で23.5%、60歳以上で7.5%であり、60歳以上がやや増加したが、その他の年齢では概ね例年と同様であった。
5)小児科定点感染症の発生状況
(1)全県的な感染症の流行状況:表5,図2
流行指数(2010年報告数/(2000から2009年の平均報告数))  2013年のインフルエンザも含めた総患者数は28,066件であった。過去11年と比較して第3位と高位であり、流行指数も1.12であった。
ア)患者報告数が特に多かった疾患― ( )内の数値は流行指数
RSウイルス:933件(2.65)*。過去10年と比較して2012年(1,155件)に次ぐ第2位であった。しかし、2011年10月から、入院していない場合の検査も保険適用となっており、2011年10月以前との比較はできない。
手足口病:2,795件(2.54)。過去11年と比較して2011年(3,659件)に次ぐ流行であった。
咽頭結膜熱:686件(1.38)。過去11年と比較して2006年(1,162件)のように突出して多くはなかったが、過去11年で第2位の流行となった。
感染性胃腸炎:11,169件(1.21)。過去11年と比較して2010年(11,753)、2012年(11,233)に次ぐ第3位であり、近年増加傾向である。
*RSウイルスの流行指数については2004年から小児定点に追加されたたため、2013年の報告数を2004年〜2012年の9年間の年間平均患者数で除した値である。
イ)患者報告数が例年並みであった疾患― ( )内の数値は流行指数
A群溶連菌咽頭炎:1,031件(0.90)。過去11年で比較して2007年(1,763件)の流行の6割程度で、過去11年で第7位であった。
突発性発しん:752件(0.88)。「流行」とする疾患ではない。2003年以降、703件から1,093件と変動幅は小さいが、2009年以降は703件〜812件であり、過去11年では第6位〜第11位で低い値であった。
水痘:1,429件(0.80)。過去11年の変動幅は1,429〜2,157件と比較的小さい。2011年以降、9位、7位、11位であり、近年少ない傾向である。

ウ)患者報告数が例年より小さかった疾患― ( )内の数値は流行指数
ヘルパンギーナ:405件(0.52)。過去11年で最も少ない患者報告数であった。
百日咳:5件(0.51)。2006(H18)年以降、2008年(19件)の他は、1桁の患者報告数となっている。
流行性耳下腺炎:86件(0.10)。2010年(1,758件)、2011年(1,262件)は流行し、患者報告数が多かったが、2012年(483件)から患者報告数が少なくなっている。
伝染性紅斑:26件(0.08)。2012年と比較して患者報告数が減少し、流行が小さくなった。

(2)地区・圏域別にみた流行指数:表6、7、9、図3
流行指数(2011年報告数/(2001から2010年の平均報告数)) ア)各地区での流行指数の上位疾患(突発性発しんを除く)― ( )内は流行指数
東部(隠岐を含む):手足口病(2.73)、RSウイルス(2.08)*、感染性胃腸炎(1.20)。
中部:RSウイルス(3.35)*、手足口病(2.62)、咽頭結膜熱(2.37)。
西部:RSウイルス(2.61)*、手足口病(2.17)、感染性胃腸炎(1.40)、A群溶連菌咽頭炎(1.37)。
*RSウイルスの流行指数については2004年から小児科定点に追加されたたため、2013年の報告数を2004年〜2012年の9年間の年間平均患者数で除した値である。
イ)2013年の定点当りの報告数の地区別、圏域別比較―( )内は定点当りの報告患者数
RSウイルス:出雲圏域(73.4)、松江圏域(45.3)、雲南圏域(39.5)、益田圏域(36.0)。
咽頭結膜熱:出雲圏域(81.4)、雲南圏域(20.5)、松江圏域(20.1)。
A群溶連菌咽頭炎:出雲圏域(78.2)、雲南圏域(45.5)、松江圏域(44.1)。
感染性胃腸炎:松江圏域(738.1)、大田圏域(665.0)、出雲圏域(450.4)。
水痘:松江圏域(99.9)、雲南圏域(60.0)。
手足口病:松江圏域(172.6)、出雲圏域(134.6)、雲南圏域(106.0)。
ヘルパンギーナ:松江圏域(34.7)、隠岐圏域(28.0)、雲南圏域(18.0)。

(3)感染症患者月別発生状況:表8、9、図4〜6
月別の報告患者数
月別の報告患者数
月別の報告患者数
 月別(5週ある月は4週に換算)にみた県全体の全疾患の患者報告数(インフルエンザを含む)は、1月(3,390件)、2月(4,340件)、3月(3,330件)で特に多く、この3ヶ月で年間の42.4%を占めた。少なかったのは6月(1,340件)、9月(1,363件)、10月(1,084件)で、この3ヶ月で年間の14.5%を占めた。
ア)流行の季節変動 (月別報告数は1か月4週に換算)―


 咽頭結膜熱:夏期にピークは無く、9月(77件)から漸増し、12月(183件)で最多となった。
 A群溶連菌咽頭炎:8月から11月の間は月に38件から56件と少なく、他の月は87件から115件の件数であった。
 感染性胃腸炎:12月(1,383件)がピークであったが、3月(1,242件)、4月(1,312件)にも流行があった。
 水痘:4月(161件)、5月(158件)、12月(188件)にピークがあったが、ピーク時の患者報告数は例年に比べ小さかった。8月から10月は患者報告数が減少した。
 手足口病:3月から10月にかけて100件以上となり、ピークは8月(538件)であった。
 RSウイルス感染症:県全体では、2012/2013年シーズンは2012年第36週(9月初め)から10件を超え、第49週(12月初め)にピーク(86件)となり、第13週(3月末)以降、連続して10未満となった。2013/2014年シーズンは第33週(8月中旬)から10件を超え、第35週(8月下旬、70件)がピークとなった。全国のピークは例年通り12月であり、島根県は全国と流行時期が異なっていた。

(4)定点別把握疾患の年齢別患者数の分布:表10
RSウイルス:0ヶ月から6ヶ月までの乳児は21.8%となり2012年(16.6%)と比較して報告数が増加した。、7ヶ月から12ヶ月までの乳児23.0%、1歳代34.0%であり、これらが78.8%を占めた。
突発性発しん:0ヶ月から6ヶ月までの乳児2.0%、7ヶ月から12ヶ月の乳児49.3%、1歳代44.9%であり、これらが96.3%を占めた。

1歳代が最多であった疾患:
咽頭結膜熱(1歳代の占める割合;28.9%)、感染性胃腸炎(1歳代の占める割合;21.1%)、水痘(1歳代の占める割合;29.4%)、手足口病(1歳代の占める割合;44.0%)、ヘルパンギーナ(1歳代の占める割合;32.3%)であった。 いずれの疾患も7歳未満の小児に広く分布していた。2013年最も多かった手足口病の1歳代の割合は過去11年で27.9%〜44.0%で推移しており、2013年は過去11年で1歳代の割合が最も多かった。
その他の年齢が最多であった疾患:
A群溶連菌咽頭炎(5歳;15.7%)、伝染性紅斑(6歳;15.4%)、流行性耳下腺炎(4歳;16.3%)。
成人の水痘:2005年の21件、2006年の24件と増加が危惧されたが、2007年以降では、7件(2007年)、9件(2008年)、11件(2009年)、7件(2010年)、11件(2011年)、6件(2012年)と10件前後で推移し、2013年も7件に止まった。2014年秋から予定されている乳幼児の定期予防接種による予防効果が期待される。
成人の流行性耳下腺炎:患者報告数の多かった2010年と2011年は14件と27件であったが、2012年は8件、2013年は1件であった。
成人の百日咳:近年、成人例の増加が指摘されている。島根県では、2011年に2件の報告があった。2012年及び2013年は、成人の患者発生報告はなかった。

本年の特徴
RSウイルス:2013/2014年シーズンは第33週(8月中旬)頃から流行し、第35週(8月下旬)がピークとなった。全国的には例年通り12月がピークであり、島根県とは異なっていた。
手足口病:東部(隠岐を含む)及び中部で、2011年(東部;1,485件、中部;1,194件)に次ぐ流行になった。

6)眼科定点感染症の流行状況:表5、6、7、8、9、10、図7、8
眼科定点の報告患者数
流行性角結膜炎の年齢分布
基幹病院定点の報告患者数
急性出血性結膜炎:非常に伝染力の強い結膜炎であるが、1992年、全県で113件の報告があった後は、急速に減少傾向を示し、近年は全県で0から2件の報告に止まっている。2013年は東部から2件の報告があった。
流行性角結膜炎:2013年は、全県で29件の報告があった。東部11件、中部14件、西部4件の報告であった。中部は最近の5年間は毎年数件の報告に止まっていたが、2013年は14件と増加していた。中部での報告は10月から12月にかけて多くみられた。全県での月別報告も、9月から12月にかけて21件となり、秋から冬にかけて多くみられた。本感染症は感染力が強く、家庭内発症や職場、学校での集団感染を起こしうるので、早期の発見、診断が重要である。近年、典型的な病像を呈さない比較的マイルドな病像を呈する症例もみられることから、対象患者の発症状況や周辺環境を含め詳細な問診が重要であり、更なる流行予防のための丁寧な生活指導が重要であると思われる。

7)基幹定点把握疾患の発生状況:表5、6、7、8、9、10、図9
(1)細菌性髄膜炎
中部から35歳以上の5件の報告があった。2013年4月1日から、インフルエンザ菌及び肺炎球菌による侵襲性感染症は全数把握疾患となった。侵襲性肺炎球菌患者発生報告が10件あった。

(2)無菌性髄膜炎
(63件、流行指数1.97)。東部(隠岐を含む)から1件、中部から55件、西部から7件の報告があった。2007年の108件の流行以降では最も多い報告であった。7月(10件)、8月(14件)、9月(17件)にピークがあり、この3ヶ月が65.1%を占めたが、ほぼ通年報告があった。10歳未満児が36件(57.1%)、成人が22件(34.9%)であった。
(3)マイコプラズマ肺炎
(124件、流行指数1.60)。全国的に2011年6月頃から2013(H25)年1月にかけて患者発生報告数が多く、島根県でも同様に患者報告数が増加し、2012年は279件となった。島根県では2013年になっても2012年の半数程度の流行が持続した。浜田圏域(46件)、雲南圏域(35件)、大田圏域(26件)、隠岐圏域(15件)で患者発生報告数が多かったが、相当数の報告漏れが懸念される。1歳〜4歳(53件)、5歳〜9歳(16件)、10歳代(19件)で71.0%を占めたが、60歳以上(15件)で12.1%であった。

(4)クラミジア肺炎
出雲圏域では6月から10月にかけて月1件づつの計5件の報告があった。過去3年の年代別分布は10歳未満が4件、10歳代が1件、20〜30歳代が6件、40〜50歳代が2件、60歳以上が4件であった。

本年の特徴
無菌性髄膜炎:2013年(63件)は、過去11年で2007年(108件)の流行に次いで、多かった。
マイコプラズマ肺炎:2013年は浜田圏域(46件)・雲南圏域(35件)・大田圏域(26件)を中心に2012年の半分程度の規模の流行が続いた。

島根県感染症情報センター