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2002(H14)年 <  2003(H15)年 年報  > 2004(H16)年
目次I.概要II-1.発生状況の解析と評価II-2.定点把握疾患発生状況III.検査情報
全数把握週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点)月報(STD・基幹定点)精度評価
1.発生状況の解析と評価 |発生状況表13表14表15
6)性感染症(STD)定点把握疾患の発生状況(月報):表13,14、図8,9
 本県の性感染症(STD)の1999年以降5年間の年次別患者数の推移を見ると、1999年に204件であったものが2000年以降増加傾向 を続け、2000年は251件となり、2001年は244件、2002年は229件、2003年は284件となった。
 本年のSTDの内訳は、性器クラミジア感染症143件(50.3%)、性器ヘルペスウイルス感染症21件(7.3%)、尖圭コンジローム 12件(4.2%)、淋菌感染症108件(38%)であった。
(1)性器クラミジア感染症
 性器クラミジア感染症は年々増加傾向にある。本年は143件となり、性感染症の半数を超え、その内男性が86件、女性が57件であった。年齢は20歳代が75件、30歳代が35件、10歳代が14件となっている。性別には男性が30歳代を中心に20歳から40歳までに分布しているが、女性は20歳代が中心となっている。
(2)性器ヘルペスウイルス感染症
 性器ヘルペスウイルス感染症は21件で、内女性が13件で、男性は8件であった。年齢は20歳代が12件、次いで30歳代が5件であった。
(3)尖圭コンジローム
 本年は12件で男性8件、女性4件であった。年齢は20歳代に9件分布していた。
(4)淋菌感染症
 淋菌感染症は1999年以降、年間70〜80件であったが、本年は108件となり、内男性が103件、女性が5件であった。年齢別には、20歳代44件、30歳代33件、40歳代17件であった。
7)基幹定点把握疾患の発生状況(月報):表15-1、15-2、図10
(1)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
 年間で627件報告された。2000年が586件、2001年が504件、2002年が397件と 着実に減少してきていたのが、一転して昨年の1.58倍もに増加した。圏域別の2000年、2001年、2002年、2003年の報告件数 はそれぞれ松江(96、160、86、91件)、出雲(104、105、105、207件)、大田(240、175、65、82件)、益田(103、85、 121、235件)、隠岐(34、33、19、12件)と各圏域で増加している中で、特に出雲圏域と益田圏域で大きく増加している。 男女比をみると、女性1に対して男性が上記の各年度で、それぞれ1.52、1.64、1.92、1.97であり、男性に多かった。
 年齢別では70歳以上の報告件数は上記の各年で211、315、233、417件であり、また、60歳以上70歳未満の件数は各年で 58、86、51、94件であった。また全年齢の報告件数に対して70歳以上の報告の占める割合は各年でそれぞれ36.0%、62.5%、 58.7%、66.5%であり、中でも本年の増加は特に70歳以上の高齢者での増加によるものと考えられる。いずれの年も10歳未満 にも比較的多く、上記の各年で50、53、63、49件であった。昨年の分析で季節的な特徴は明らかでなかった。本年も最多が7月 の66件、最少が1月の41件とその差は比較的小さかったが、1月から5月まで比較的少なく6月より多くなった印象であった。
 結論として、本年は急増がみられたが、出雲圏域と益田圏域での、主に70歳以上の高齢者における増加によるものと考えらた。
(2)ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
 年間で244件報告された。2000年、2001年、2002年、2003年の報告件数は146、126、223、 244件であり、昨年急増したまま横這いであった。圏域別の上記の各年度の報告件数は松江(73、52、86、80件)、雲南(26、 39、39、21件)、出雲(2、1、0、0件)、大田(9、6、0、0件)、浜田(0、0、0、0件)、益田(36、28、98、 143件)、隠岐(0、0、0、0件)であった。圏域による差が大きいこと、松江と雲南圏域では2000年よりほぼ横這いである のに対して益田圏域では昨年より急増が続いていることが指摘できる。男女比をみると、女性1に対する男性の件数は上記の 各年で1.56、1.68、1.40、1.07であった。
 年齢別の報告数は上記の各年でそれぞれ10歳未満(50、63、140、155件)、10歳以上60歳未満(12、23、23、27件)60歳以上 70歳未満(16、20、19、14件)、70歳以上(24、20、41、48件)であった。この疾患の特徴として10歳未満に集中していること、 また70歳以上での緩やかな増加がみられる。 季節的な発生をみると2002年には7月に32件、11月に40件、12月に28件と、多い月があったが、本年も6月に33件、12月に36件と 特に多かった。
 本感染症は益田圏域と松江圏域で10歳未満の小児に多く、特に前者では増加が続いていると推察される。小児の難治性の中耳炎 などの原因菌となっていると思われる。
(3)薬剤耐性緑膿菌感染症
 2003年には隠岐圏域で70歳以上の1件があった。2000年からの4年間で合計6件となったがそのうち 4件は隠岐圏域である。年代別では2000年が10歳代、30歳代、50歳代でそれぞれ1件、2002年の2件は60歳代、本年の1件は 70歳以上であった。
島根県感染症情報センター