●発生状況
秋から冬にかけて患者数の増加傾向が見られるマイコプラズマ肺炎は、幼児期から青年期の若年層が好発年齢で、周期的に流行する疾患として知られています。
【2024年の流行状況】
全国的に患者報告数が増加しており、注意が必要です。
島根県では、西部からの報告が増加しており、大きな流行があった2016年に匹敵する患者発生となっています。
●病原体
肺炎マイコプラズマ(
Mycoplasma pneumoniae)の感染によって発症する肺炎です。
●感染経路
飛沫感染により感染しますが、感染には濃厚は接触が必要なため、
職場内や家族内感染による場合が多くみられます。
●潜伏期
潜伏期は2〜3週間です。
●臨床症状
初発症状は、発熱、全身倦怠、頭痛などです。咳は、発症後3〜5日くらいから始まることが多く、当初は乾性の咳ですが経過に伴い徐々に強くなり、
解熱後も長く(3〜4週間)続きます。喘息様気管支炎や、胸痛がみられることも多いです。
中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発する症例も報告されています。
●検査室診断
患者検体からのマイコプラズマの検出、または血清によりマイコプラズマに対する抗体価の上昇を確認することで診断します。
●治療と予防
細胞壁を持たないため、細胞壁合成阻害の抗生物質(ペニシリン系、セフェム系などのβ‐ラクタム剤)には感受性がありません。
マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系薬剤が用いられます。一般的には、マクロライド系のエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどが第一選択となりますが、学童期以降ではテトラサイクリン系のミノサイクリンも使用されます。
近年、マクロライド耐性菌の増加が懸念されています
(国立感染症研究所:IASR)。
予防方法は、手洗いやうがいなどの一般的な予防と、患者との濃厚な接触を避けること、です。
●感染症法による取扱い
5類感染症のうち基幹定点による定点把握疾患になっていて、毎週発生数が報告されています。