出身自治体への大学、企業からの補償制度について
【提案No.A2025-00040】5月27日受付
現在、地方が人材を育て、都市がその果実を享受するという構造が定着しつつあると思います。
中でも島根県は、進学・就職による若年層の首都圏流出が続き、人口減少率や高齢化率が非常に高いため、強い危機感を抱いています。この状況は、地方が人材を無償で都市に提供している状態であり、地域の未来を支える担い手が奪われる深刻な危機と考えています。
地方自治体が育てた若者が、東京都などの都市部に進学・就職する際に、受け入れ側の大学や企業などから出身自治体へ一定の補償を行う仕組みをつくってはいかがでしょうか。
サッカーでは、選手が他クラブへ移籍する際に、育成元クラブに補償金が支払われ、次世代育成に再投資される仕組みがあります。これを地方の人材育成に応用することで、都市への一方的な人材流出を抑え、地方再生の一助とすることが可能ではないかと考えています。
若者の自由な移動を妨げるものではなく、育てた地域の努力が評価される仕組みができればと思います。
【回答】6月27日回答
島根県では、「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根」の実現に向け、県の最上位計画であります第2期島根創生計画(令和7年度~11年度)において、「合計特殊出生率2.07」と、「人口の社会移動の均衡」を2つの長期目標に掲げています。産業振興、結婚・出産・子育て支援、中山間地域・離島の暮らしの確保などの取組を進めるほか、若い方々に進学や就職、転職といった人生の転機において島根を選んでもらえるよう、ふるさと教育や、地域・県内大学・地元企業などと連携した探究的な学びといった地域資源を活用した特色ある教育などを通じた島根を愛する人づくりに取り組んでいます。
しかしながら、働いている方々全体の7割を占める中小企業においては、大企業と比べ物価に負けない賃上げを行うことが難しく、大企業の多い大都市と中小企業の多い地方とでは実質賃金について格差が拡大しています。このような状況の中、県外に進学した大学生の約3割しか県内就職を選択しておらず、このことは、社会減、人口減少の大きな要因となっています。
ご提案のありました就職先企業などから出身自治体への直接的な金銭補償については、メリットの一方、都市部への就職などを希望される方にとって希望がかないにくくなる可能性もあり、慎重な検討が必要と考えます。
島根に住みたいと考える若い方を増やし、その希望をかなえるためには、魅力的な雇用を増やすことが必要です。このためには、地方で行う産業振興施策に加え、大都市と地方の法人税に差を設けるなどの思い切った税制措置による企業の地方分散が必要と考えます。また、大都市と地方の実質賃金の格差を是正するためには、取引先に対して立場が弱い中小企業においても十分な賃上げができるよう、労務費や原材料費などのコスト上昇分を適切に取引価格に転嫁できる環境を早急に整えることが必要であります。
県としましては、県における人口減少対策に力を尽くすとともに、東京一極集中を是正し、企業の地方分散を進めることや、大都市と地方の実質賃金の格差を是正することなど、一地方では解決できない課題に対して、重点要望や、全国知事会の場など通じて、国に対策を強く求めています。
(政策企画局政策企画監室TEL:0852-22-6063)
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