平成19年7月18日(水)一日対話の日(雲南圏域)
「一日対話の日」は、知事が終日県民の方々のご意見をお聴きする日です。
この日、雲南地域で、県民の方々とお会いし意見交換しました。
雲南市掛合町松笠地区(松笠生活改善センター)
最初に伺ったのは、雲南市掛合町の松笠地区です。
この地区では、平成18年4月から松笠振興協議会を組織化し、地域防災部、文化振興部、保健福祉部などの「部」を設置しています。公民館やPTAなど各種団体と連携を図り、地域の課題に対応しています。
会長の長崎氏から、地域の現状などについて説明された後、地域の方々と懇談しました。
地域の方々からは、「先祖代々の農地を守るため皆なんとか頑張っていますが、高齢化が進み厳しい状況です。」、「退職後、都会から帰っても、農薬や機械の知識や技術がなければ、すぐに農業をすることは難しいです。」など、農業の担い手不足、後継者不足が深刻であるとの現状が話されました。また、「若い人がこの地域で生活するには、働き場がありません。」、「将来を担う子供たちのために、教育費の充実をぜひお願いします。」など、様々な視点から地区の課題を伺いました。
雲南市掛合町穴見地区(穴見集会所)
次に、同町の穴見地区に伺いました。
当地区の別木氏に、実際に地区を案内していただき、急激に進行する高齢化の状況や、廃屋や住居跡地の状況などについて説明を受けました。
その後の懇談では、「半分以上が70歳以上の高齢者で、集落の維持が難しくなっています。」「育成には時間を要しますが、集落をまとめ、引っ張っていく地域のリーダーが必要です。」などの意見を伺いました。
二つの地区で意見交換を終えた知事は、「中山間地域の厳しい状況が理解できました。今後、地元の市町村と協力して定住対策などに取り組むとともに、国に対しても必要な要望をしていきたい。」と話しました。
産直市ぶなの里(飯南町)
次に訪れたのは、飯南町にある産直市ぶなの里です。
農家の女性グループが始めた週末市をベースに、平成7年からテント市「ぶなの里」を開設。平成14年に現店舗がリニューアルオープンし、県内屈指の売り上げがあります。
野菜、農産加工物、花木、工芸品などを出荷者が各自で搬入し、価格設定をして陳列しています。
売場を案内され、広島からのお客さんが多いとの説明を受けた知事は、「手作りの物に対する志向が高いのでしょうね。また生産者がしっかりしているから、安心して買うことができるのでしょうね。」と話しました。
知事は、椎茸やすいか、木酢液、おはぎなどを購入しました。
加田の湯(飯南町)
次に、飯南町にある加田の湯を訪問し、「来島郷の会」の方々と懇談しました。
当会では、温泉の施設管理を行うとともに、地元の食材(イノシシ、米、野菜など)を加工調理し、食堂を運営しています。
管理を始めて4年目になる会の皆さんは、「加田の湯ができてから、町の人々の繋がりができました。」と、やりがいを持って活動している様子を話されました。県外からのお客さんが多く、休日にはここで一日ゆっくり過ごして帰られる方もいるそうでう。
知事は、「近年は健康志向で、また、手作りのものを好む傾向にあるので、このような施設は人気があるのですね。」と話しました。また、地元の食材を使い、細やかな工夫がされている定食を美味しくいただき、「各地に行って感じるのですが、他と違う工夫をしているところは成功していますね。」と話しました。
圏域別テーマ懇談会
圏域別テーマ懇談会では、テーマに沿って県民の皆様と知事が話し合います。今回は「中山間地域の活性化」というテーマで、さまざまな立場の方々から課題や対策についてご意見を伺いました。
宮脇良晴氏(飯南町)は道の駅「赤来高原」チーフ。「この地域には、全国に誇れる歴史と文化、豊かな自然、四季折々の旬の農産物があります。そして心豊かにする時間と空間があります。この豊かな地域資源、地域情報をいかに魅力的に町の人に伝え、訪れてもらい、感動して定住してもらうかが大切です。旨いものを食べるなら島根、という地域をここで創っていきたい。」と熱く語られました。
門眞一郎氏(飯南町)は上赤名自治振興協議会会長。地区では、健康福祉部、産業振興部などを組織し、地域の課題などに取り組んでいます。「町はCATVもあって、情報ネットワークの構築に積極的ですが、小さな集落レベルでの情報共有は難しい。」と活動する上での課題を述べられました。また、「人口が少なく規模が小さいから成し得ることがあると思います。地域で行う健康づくりや病気予防の取り組みは、小さいからこそできるものです。」と地域の魅力についても話されました
古居正道氏(雲南市)は、農事組合法人奥出雲マザーズ代表。5年前に広島からUターンし、家族で農産加工をしています。「厳しい現状の中で、愚痴やマイナス的なことばかり聞くので、Uターンして最初の頃は嫌でしたが、今は帰ってきて良かったと思いつつあります。高齢者と若い人との交流がない状況の中で、世代間の交流をすすめるなど、同じ考えを持っている数人の仲間とコミュニケーションをとりながら、できることから活動しています。」と、地域の活性化に向けた取り組みについて話されました。
井上静子氏(雲南市)は奥出雲産直振興推進協議会会長。雲南管内の産直生産者組織の活性化と農業所得の向上を目指し活動しています。「豊かな地域資源や独自の食文化を誇りに思い、前向きに努力しています。農村部だけでなく、漁村などを含め県全体が一体となってネットワークを作り、県全体で活動を活発化していくことが必要です。そして、地域を愛することで、地域を理解して地域の良さを発見し、活動していくことが大切だと思います。」と話されました。
石田葉子氏(奥出雲町)は奥出雲町商工会勤務。大学時代から8年間を広島で過ごした後、同町で豆腐屋を営むご主人と結婚しました。以前はサラリーマンと結婚しマンション暮らしをするのが夢だったそうですが、地域に対する今の思いは違うようです。「例えば笹巻きにしても、以前は、なぜわざわざ笹に巻くのか、と思っていました。でもその香りを知り、些細なことだけど大切なことを、子供たちに伝えていきたいと今は思っています。もっと勉強して自分の町を知り、その良さを子供たちや多くの人に伝えていきたいです。」と、前向きな思いを話してくださいました。
安達朋秀氏(松江市)は、今年1月にUターン。学生時代に長野県で田舎ツーリズムに参加した経験から、「田舎の地域に都市の住民が入ってくることにより、地域の人々が活性化します。都市の人々との交流による刺激が、地域にいい風をもたらすと考えます。」と話されました。また、「中山間地域では医師の不足も問題になっていますが、道路を広げることだけでなく、カーブミラーや待避所の設置など、地域住民や訪れる人にとって安心できる道路整備が求められます。」と道路整備の必要性についても述べられました。
鎌原茂幸氏(浜田市)はNPO法人らんぐ・ざーむで、晩婚未婚の問題に取り組んでいます。「少子高齢化の狭間にある晩婚化の問題を打開するため、独身男女の出会いの場を提供しています。四季折々に出会いの場を提供し、これまでに12回開催しました。
仲人の制度や、独身者が集えるカフェも有効だと考えています。」と、中山間地域の活性化を考えるうえで大切な事柄である晩婚未婚についてご意見をいただきました。
三浦兼浩氏(浜田市)は石央森林組合代表理事組合長。現在進めている風力発電事業について、「地域の活性化のためには、地域資源を見直し、何らかの形でビジネスにつなげることが必要です。地域資源を活用した新エネルギー事業の推進は、林業振興や観光資源のビジネスチャンスをもたらすものであり、ぜひ風力発電事業の積極的な推進をお願いします。」と話されました。
知事は、「各地の魅力や資源を活用するためには、新しいアイデアが必要ですし、新しい方法を掘り起こしていく人が必要です。また、以前は大量生産・消費が世の中の主流でしたが、自然のものや手作りのもの、また多品種少量が好まれることも多くなり、そういった方法をとっていく必要もあります。何らかの工夫がされているものは、都市などに受け入れられ成功していますね。」と話し、皆さんの引き続きの活動に期待を寄せました。また、「県でも、新しいビジネスの創出や、ブランド品の販路拡大などに取り組んでいます。」と、農林水産業以外の産業の振興についても懸命にすすめていく考えを述べました。
(写真)後列左から、古居さん、鎌原さん、溝口知事、石田さんと娘さん、三浦さん、宮脇さん前列左から、安達さん、井上さん、門さん
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