平成19年6月7日(木)どこでもふれあい懇談会(海士町編)
知事は、海士町で開催された全国離島振興協議会通常総会に出席した後、同町で先進的な取り組みを行っている3企業を訪問しました。
株式会社ふるさと海士CAS凍結センター
知事は、まず施設内を見学し、奥田ゼネラルマネージャーから説明を受けました。
CAS(キャス/CellsAliveSystem)は、冷凍しても細胞が破壊されず、解凍後に鮮度がいきいきよみがえることから名付けられました。食材の細胞、組織を壊さず、旨み、食感、風味がそのままで、解凍後も旬のおいしさがそのまま味わえる高度な冷凍技術です。
視察後、奥田氏のほか4名の従業員の方々と懇談を行いました。
センターでは、施設前にある港から入荷した白イカ、真鯛などの水産物を、到着後30分以内に凍結すること、また、水産物以外に、鯛やイワガキなど高質な素材を使ったごはん類も製造し好評を得ていることなどが話されました。また、漁業者にとって燃料価格の問題が大きいことなどの課題も話されました。
懇談会に参加した従業員の方々は経歴も様々です。
村上宏部長は、東京の会社で営業の仕事をしていましたが、インターネットの転職サイトを見て応募しIターンしました。「当初は、隠岐に住みたいと思ったのではなく、会社がとても魅力的だったので応募しました。」と、Iターンした動機を話されました。
藤井徹部長は、2年前、関西から家族と一緒にIターン。「この地の良さは、周囲の人たちからいつも気軽に声をかけてもらえること。だからここにずっと住めそうです。」と、家族もすっかり海士町になじんでいる様子を話されました。
写真:CAS凍結センターの皆さんと
海士いわがき生産株式会社イワガキ共同作業施設
この施設では、種苗生産、養殖、出荷の共同作業化を図り、高品質なイワガキの安定生産、安定供給システムを構築しブランド化を図っています。
「隠岐のいわがき」は、県が集中的に支援を行っているブランド化重点5産品のひとつです。
知事は、まず施設内を見学し、水揚げ、ばらし、洗浄、検品などイワガキの製造工程について説明を受けました。安全性を確保するため、衛生管理が徹底されています。
懇談したのは、大脇安則代表取締役社長と鈴木和弘取締役。
鈴木氏は、15年前にIターンし、当時同町でスキューバーダイビングの店を開きました。シーズンオフを利用できないかと、商工会の仲間であり、ひらめの養殖など生産のノウハウを持っていた大脇氏と一緒にイワガキ生産を始めました。当初は売れなくて苦労したそうですが、営業努力により販売個数は年々増えています。
出荷先は東京や名古屋などで、今や売り上げは5000万円。大脇氏と鈴木氏は、今後1億円にはしたいと意欲を語られました。
ただ、1億円産業となると、現在の倍。現出荷数の倍の数のケースをフェリーに積むためには、朝5時頃から積み出し作業をする必要があるなど、離島ならではのハンディがある、と課題も話されました。
写真:海士いわがき生産株式会社の皆さんと
有限会社隠岐潮風ファーム
潮風ファームは、3年前、建設業から農業参入し設立。隠岐牛のブランド化を目指して繁殖から肥育までの一貫経営を行っています。
知事は、田仲代表取締役の案内で牛舎を視察した後、Iターンして農業研修を受けている方や、地元出身の若手社員の皆さんと懇談しました。
潮風ファームでは、昨年3月、"島生まれ・島育ち"の隠岐牛を東京の市場に初出荷しました。非常に高い評価を受け、その後出荷頭数を増やすなど規模を拡大しています。現在350頭を飼育、出荷頭数は120頭にのぼります。
「ビジネスモデルとして確立してきたという自信がありますか?」との知事の質問に、田仲氏は、「確かな光ではないですが、小さな光は見えた感じです。明日の人たちにつなげるチャンネルを作っていかないといけない。また、大都市のマーケットに売り出していくには、ある程度規模の拡がりが必要です。」と話されました。
知事は、「隠岐は自然豊か。自然のきれいなところで育った牛、また農産物などは、プラスのイメージをもたらし、特に近年は人々が好みます。潮風ファームがモデルとなり、畜産業に参入する人が増えるといいですね。」と、隠岐島の畜産振興に期待を込めて話しました。
写真:潮風ファームの皆さんと
海士町の3企業での懇談を終えた知事は、「新しい分野に飛び込み、地域の特性を生かしたユニークな取り組みを行っている企業を訪問し、海士町の活気を見ました。各地でこういったチャレンジ精神が出るといいですね。それに、社長など上に立つ人がリードして目標を定め、皆で頑張っていますね。都市での価値観は多様化しており、自然の中で生活したいという人々に、インターネットなど、発信の方法を工夫し、UIターンなど島根に来る人が増えるよう努力していきます。」と話しました。
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