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平成19年9月13日(木)一日対話の日(大田圏域)

 「一日対話の日」は、知事が県民の方々のご意見をお聴きする日です。

 この日は、大田市と川本町を訪問し、県民の方々と懇談しました。

 

「鞆の銀蔵(とものかなぐら)」(大田市仁摩町馬路)

 

 大田市仁摩町馬路地区にある「鞆が浦」は、かつて石見銀山の銀の積出港として栄えた港で、世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一地域に登録されています。

 「鞆の銀蔵」は、この鞆が浦の近くにあり、食事と民泊のできる拠点施設として今年6月にオープンしました。

 知事は、町内の古民家を移築して建てられたこの民泊施設を訪問し、「鞆の銀蔵」を運営するメンバーの方々と懇談しました。

 

 

懇談の様子

 

 

 メンバーの皆さんから、地域の「鏝絵(こてえ)※注1」「本因坊道策(ほんいんぼうどうさく)※注2」「琴ヶ浜」「鞆が浦」という素晴らしい観光資源を掘り起こしパンフレットでPRに努めている様子や、食事と民泊の施設を運営するなど地域おこしに取り組んでおられる様子をお伺いしました。

 皆さんからは、「鞆が浦は洞窟や入り江が多く、積出港として最適な港でした。」「石見銀山があったために、港が栄え、財力を持つようになり、立派な人材もでました。」など、石見銀山に恩恵を受けた歴史と文化についての説明がありました。知事は「歴史、文化、自然、海の幸がそろった豊かなところですね。」と感想を述べました。

 

※注1鏝絵(こてえ)

 左官職人が漆喰(〈しっくい〉土で作られた壁の上塗り材を材料として、鏝で仕上げた浮き彫り細工。詳しくは→しまね観光ナビ「鏝なみはいけん(外部サイト)

※注2本因坊道策(ほんいんぼうどうさく)囲碁史上に残る大名人。1645年(正保2年)に石見国馬路(現大田市仁摩町馬路)の生まれ。

 

鞆の銀蔵の皆さんと

 

 

 また、観光資源の活用については「石見銀山に関連した地域おこしにつなげたい。」との意見がだされ、そのアピール方法についての問いかけに、知事からは「石見銀山からのアクセス情報を発信するなど、銀山と組み合わせた観光ルートを組んでみるのもいいのではないのでしょうか。」とアドバイスがありました。

 このほかにも、囲碁の名人本因坊道策の生誕地、囲碁をキーワードにしたPRなど様々な意見が交わされました。

 

 

 

 

 

 

(写真:前列左から山根俊隆さん、知事、松井東司彦さん、松浦隆之さん後列左から石橋哲一郎さん、松浦裕さん)

 

インフォメーションセンターかわもと(邑智郡川本町)

 

 続いて、川本町にあるインフォメーションセンターかわもとを訪問しました。

 同施設は、今年8月から新たに道の駅としての認定を受け、九州や山陽方面から石見銀山への観光の玄関口として新たな取り組みが期待されています。

 

 はじめに、施設の設置者である川本町長に施設内をご案内いただき、町内の農産物や特産品、手紡ぎ工房などを見学しました。

 その後、施設内のレストランで、川本町内で地域の活性化に取り組んでおられる方々と懇談しました。

 

 参加者されたのは、同センター指定管理会社ドリームかもん取締役三宅幸恵さん、園芸組合会長竹下誠さん、手紡ぎ工房代表百田百合子さん、歴史研究会事務局長左田野裕さん、町観光協会職員多々良慎吾さん、町産業振興課主任伊藤和哉さん、県の川本町駐在員福代美保さんの7名です。

 

 

店内の説明を受ける

 

 

 三宅さんからは、石見銀山を訪れる観光客向けに地元の食材を使った「銀の道弁当」のお話を伺いました。

 竹下さんは花の生産に取り組み、都市部への出荷をしておられます。百田さんは、高齢者の健康と生きがいづくりをきっかけとした編み物工房を主宰されています。お二人からは「団塊の世代で農業を希望する人が増えました。」「高齢者の方も、自分のアイディアを活かして何か収入を得たいと頑張っています。」と、高齢者が地域活動などにはつらつと取り組んでおられる様子を伺いました。

 また、佐田野さんは石見銀山との関わりを含む川本町の歴史を観光マニュアルにまとめる事業について、多々良さんは銀山を訪れる観光客の宿泊紹介など近隣市町での広域連携の必要性について話されました。

懇談に参加された皆さんと

 

 

 この他にも、参加者から「道の駅として認定していただいたので、改めて施設のPRに努めたい。」「近隣市町で連携しあって、観光客のルートを作っていきたい。」「町内には県外ファンが見学に訪れる希少植物などがあり、地域で保全活動を続けていく。」などの意見が出されました。

 知事は「地域の方々が、九州・山陽方面からの窓口として、一生懸命取り組んでおられる様子が良く分かりました。これからも、ビジネスライクな都会にはない、親切なおもてなしの心を持って頑張ってください。」と参加者の活動を称えました。

 

 

 

 

 

(写真:左から福代美保さん、竹下誠さん、佐田野裕さん、多々良慎吾さん、知事、百田百合子さん、三宅幸恵さん、伊藤和哉さん)

 

 

 

圏域別テーマ懇談会(大田圏域)

 

 圏域別テーマ懇談会では、石見銀山に関り様々な活動をしておられる方々にお集まりいただき、「世界遺産『石見銀山遺跡』を活用した取組」をテーマに意見交換を行いました。

 

テーマ別懇談会の様子

 

 

 出席者の方からは、「銀山のガイドが少なく、観光客のニーズに応えきれていない。」「石見銀山の周辺にも広範囲で歴史的な遺跡が残っている。学術的な検証や保存に対し行政の支援がいただきたい。」など、急激に増加する観光客への対応や遺跡の保存に対する課題が出されました。

 また、世界遺産を契機にとした産業振興や大学との交流による地域活性化、ボランティアによる山の保全への取組みなどの活動紹介もありました。

 知事は、「石見銀山は、自然と共生した遺跡であることが高く評価され世界遺産となりました。私たちもこの事実をしっかりと受け止め、遺跡と自然環境の保全に取り組んでいかなければなりません。また、同時に、石見銀山の素晴らしさを県内外の多くの人、特に若い人たちに伝えるため、様々な媒体を使い情報発信に努める必要があります。石見銀山と周辺市町村、さらには広島県などとの県境を越えた広域連携が、石見銀山の魅力の向上や観光客の増につながると思います。」と感想を述べるとともに、「いただいた意見を参考にし、今後できることから早急に取り組みたい」との考えを述べました。

 

 

 

 

 

 

□■□■懇談会出席者の主な発言□■□■

 

○和上豊子さん(石見銀山ガイドの会副会長)

 

 ガイド歴5年。石見銀山の価値を知ってもらい、500年のロマンに浸っていただくように努めている。

 現在、ガイドが少なくニーズに応え切れていない。

 案内する観光客の方は、遺跡の詳しい説明よりも、歴史と夢を語り、自然に触れることを楽しんでおられるように感じている。

 行政には、ガイド養成のための財政的支援や、県境を越えた連携、小中学校でのふるさと教育を求めたい。

 

○森山仁さん(島根大田青年会議所理事長)

 

 産業振興なくしては地域の活性化はないと考え、世界遺産登録をきっかけに産業振興に力を入れている。

 地元で祭りを開催し、大田の魅力PRや青少年育成や人づくりに取り組んでいる。

 石見銀山にストーリー性を持たせ、地域の文化・芸術・産業を伝えていける観光にするとよいのでは。

 これから先の企画などを情報発信し、リピーターを増やすことが必要。

 

○林栄毅さん(美郷町銀山街道を護る会会長)

 

 美郷町には、尾道まで銀が運ばれた“やなしお道”がある。行政の管理の及ばない部分については自分たちで草刈りをしている。

 “やなしお道”に関する古文書が少ないので、専門的な資料で歴史的な意味付けをしていただきたい。

 "やなしお道"は世界遺産の範囲からはずれているが、点線でも良いから地図に載せて欲しい。

 

○三上憲昭さん(邑南町文化財保護審議委員)

 

 邑南町には、石見銀山の一角を占めていた久喜銀山がある。石見銀山の一角に入れて欲しい。

 歴史を利用した町おこしについて、行政の方はあまり積極的ではなくギャップを感じている。

 石見銀山やその他の鉱山を広域的に結ぶ観光ルートを考えては。

 

○小川知興さん(温泉津ものづくりネットワーク会長)

 

 お客様の足下をやさしく照らす福光石、石州瓦を使用した低街灯の導入や、神楽の公演など地域の人にも魅力を知ってもらう取り組みを

 している。

 大学と地域住民による地域活性化プロジェクトにも取り組んでいる。

 まちづくりとビジネスは相反すると考えられているが、上手くマッチングさせ地域を活性化したい。

 にぎやかな観光地より、何もないことを感じて楽しんでいただける観光地にしたい。

 

○和田譲二さん(NPO法人緑と水のネットワーク事務局長)

 

 NPOで山の環境保全に取り組む。石見銀山については、間歩の集中する山の中をどう管理するのかという問題意識を持っている。

 環境と共生する世界遺産という点が評価されたので、今後の活動が大事だと感じている。

 ボランティアを受入れ、常に情報を発信できる体制の整備のために、課題の洗い出しや事前の調査、情報を整理できる体制が必要。

 

参加者の方々と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(写真:左から和田譲二さん、小川知興さん、和上豊子さん、知事、三上憲昭さん、森山仁さん、林栄毅さん)

 

 

 

 

 

 


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