7月4日(水)島根県東部の企業を視察し、意見交換を実施しました。
島根県東部には、本県製造業の中核となる、大規模な産業クラスター(産業の集積)が形成されています。今回は、このクラスターを牽引する三菱農機(株)、日立金属(株)安来工場、そして日立金属で精製される高級特殊鋼を素材とし、自動車部品等を生産する(株)守谷刃物研究所の各社を訪問し、工場内を視察させていただきました。
また、視察後は、安来市恵乃島町の鉄工団地内において、安来市内の金属製品製造業等の方々と意見交換を実施し、貴重なご意見をいただきました。
三菱農機(株)を訪問
企業概要を清水社長よりご説明いただいた後、工場内を視察し、組み立てが完成し、出荷直前のコンバインに試乗させていただき、視察終了後は、清水社長と意見交換をさせていただきました。
清水社長から、「日本の農業は、企業経営的な大規模な農業と家庭菜園的な小規模な農業とに2極分化する傾向にある。それぞれのニーズに適応した製品を市場に出していく必要がある。」「特に海外では、環境ISO等の取得が、企業評価の基準となる。」「人口増に伴う食糧需要により、農機市場の開拓が見込まれる海外(東南アジア)での事業展開を視野に入れている。海外市場が拡大すると、結果として、地元関連企業の景気浮揚にもつながる。」など日本農業の現況、企業戦略等について幅広くご意見をいただきました。
これに対して、知事は「県の産業技術センターでも企業と協力して、新機能材料素材、新技術の開発を行っている。これらの成果を県内企業等に提供することにより、製造業等の産業クラスターが形成されることを期待している。ものづくりは裾野が広い。関連する企業間で相互に連携して、戦略を練ることも重要。」と話しました。
【三菱農機(株)】
会社設立:昭和20年(創業大正3年6月)
本社:八束郡東出雲町揖屋667−1
従業員数:740名(H19.3.31)
主な事業内容:トラクタ、田植機、コンバイン等の農業機械の製造・販売及び各種ハウス等建築土木工事他
写真:コンバインに試乗する知事
写真:会社の方々と(前列左から3番目が清水社長)
日立金属(株)安来工場を訪問
企業概要につきDVDなどを織り交ぜにより村山工場長からご説明をいただいた後、工場内を視察させていただきました。
工場内では、多様な金属原料を溶解し精錬した高温の鋼塊(インゴット)から、特殊鋼製品が精製されるまでの工程の一部を見学させて
いただきました。
日立金属(株)安来工場には、1,800名の従業員の方がおられ、さらに関連企業では2,700名の方々が働いておられます。これらの関
連企業では、日立金属(株)安来工場で生産された特殊鋼を材料として、自動車部品、エレクトロニクス部品及びエネルギー・航空機・宇
宙部品等を製品化し、国内外に広く出荷されており、日立金属を中心に製造業の巨大なクラスターが形成されています。
視察を終えた知事は、「高級特殊鋼という素材が、複雑な工程を経て精製され、様々な高度技術が集約されていることに驚きました」と
感想を述べました。
※特殊鋼
クロム、ニッケル、モリブデン等を特殊配合して材料に様々な特性を持たせた鋼
【日立金属(株)安来工場】
会社設立:昭和31年(創業明治32年)
本社:東京都港区
従業員数:1800名(H19.3.31)
主な事業内容:高級特殊鋼素材の製造・販売
ホームページアドレス:http://www.hitachi-metals.co.jp/(外部サイト)
写真:村山工場長(写真左)から企業概要の説明を受ける知事
写真:会社の方々と
(株)守谷刃物研究所を訪問
守谷社長より企業概要等のご説明をいただきました。
守谷社長は、「県内の高校生と企業とをマッチングする制度を充実し、県内企業への定着率をあげる必要がある。また、生徒さんに限らず、保護者の方々にも現場を見てもらいたい。それが即、就職につながらなくても、都会に出た後、帰ってくるきっかけになる。一度は都会に出たい、という気持ちは、自分もUターン組なのでよく分かる。」と話されました。これに対して知事は、「県も高校生が企業現場を知る取り組みを実施しているが、今後は、インターンシップ制度なども視野に入れる必要がある。」と述べました。
その後、工場で生産される自動車部品等の説明を受けた後、工場内を視察させていただきました。
【(株)守谷刃物研究所】
会社設立:昭和31年(創業昭和20年)
本社:島根県安来市恵乃島町113-1
従業員数:212名(H19年3月)
主な事業内容:自動車部品等の一般機械部品の精密加工仕上げ、自動機械の設計・製作等
ホームページアドレス:http://www.moriyacl.co.jp/(外部サイト)
写真:守谷社長(写真右)から工場内の説明を受ける知事
(協)安来鉄工センターでの懇談会
安来鉄工団地内で日立金属のグループ企業の方と産業振興について意見交換を行いました。
出席者の方からは、「中山間地の休耕田を活用して雑草等からバイオエタノールを作るテストプラントをつくってはどうか。」「高校生(特に、工業、情報校の高校生)が、企業を視察、企業研修を受けたことで単位取得できる制度を創設してはどうか。」などというアイデア、「国外から低廉な製品が入っておりコスト競争が厳しい」「"ものづくり"には人材育成が重要。各社とも力を入れている」「産業廃棄物の処理費用が高額になっており企業の負担となっている」など企業の実情をお伺いしました。
また、「島根県をレベルアップするために、観光、産業振興等どの分野を重点的に取り組む考えか」との質問に、知事は「地域ごとに力点を置く分野が異なり、一律には論じられない。例えば、中山間地域では、農林業に積極的な取り組みがされており、また、一方で、大田市のように、石見銀山遺跡の世界遺産登録を契機に観光で発展していくことが期待できる地域もある。ここ安来地域は、製造業が発展している。このように各地域には様々な特性があり、これらを活かした地域の振興を支援したい。
また、都会の人から見ると、島根は"清らかなイメージ"がある。いわばヨーロッパのスイスのようなところ。これを開発に乗り遅れた田舎と考えるのか、清らかなイメージを肯定的に捉え、プラス思考でイメージ戦略を全国に向け展開するかによって、島根の未来は、かなり異なったものとなる。」と答えました。
意見交換会へ出席いただいた方々(7社)
(株)キグチテクニクスhttp://www.kiguchitech.co.jp/(外部サイト)
出雲造機(株)http://www.zoki.co.jp/(外部サイト)
(株)守谷刃物研修所http://www.moriyacl.co.jp/(外部サイト)
(株)日立メタルプレシジョンhttp://www.hmp-ltd.co.jp/(外部サイト)
写真:懇談会に出席された方々と
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