令和7年9月定例県議会知事提案理由説明要旨
定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。
(1.最近の政治情勢)
はじめに、今月7日、石破内閣総理大臣が、内閣総理大臣を辞任する旨を表明されました。
昨年10月に内閣総理大臣に就任されて以来、地方創生の推進、アメリカとの関税交渉、物価高対策など、国政のかじ取りの重責を担ってこられましたことに、心から敬意を表します。
国政におきましては、7月の参議院議員通常選挙の結果、衆議院、参議院ともに少数与党となりました。人口減少、物価上昇、社会保障制度の見直しなど、重要な課題が山積しているなかで、今後の政権運営がどのようになるのか不透明でありますが、これまで以上に野党各党が政策決定や国民生活に影響を及ぼすことになります。
与野党の政策協議にあたっては、各野党も、実施を求める政策については、必要となる財源や、既存の政策との整合性等に関し、有権者、国民に対する説明責任等を果たしていただきたいと考えております。
(2.エネルギー価格・物価高騰対策)
次に、エネルギー価格・物価高騰対策についてであります。
(1)エネルギー価格や物価の高騰、行き過ぎた円安は依然として続いており、県民生活、農林水産業、商工業等に多大な影響を及ぼしております。
今年の春闘では、昨年を上回る高水準の賃上げが実施されましたが、県内の経済と雇用を支えている中小企業の賃上げ率は大企業と比べて低い状況にあります。
また、依然として物価上昇が賃上げを上回っており、今年7月における全国ベースの実質賃金の速報値は、前年同月比で7か月ぶりにプラスに転じましたが、ボーナスを除く給与は、マイナスが続いております。
こうした中で、最低賃金の引上げ額が5年連続で過去最高を記録しており、事業者が賃上げの原資を確保するためには、更なる生産性の向上など収益力の強化が必要となっております。
これらの取組への本格的な支援は、本来、国が行うべきものでありますが、7月20日の参議院議員選挙の結果、衆議院、参議院ともに少数与党となり、9月に入っても連立の追加などの動きも見られず、国による本格的な対策が早期に実施されることは期待し難いことから、県の省力化投資等への支援事業を拡充する補正予算案を今議会に提出しております。
引き続き、県民生活を守り、経済活動の回復に向けて全力で取り組んでまいります。
(2)米国の関税措置につきましては、状況が刻々と変化しており、県内の経済、事業者等への影響が懸念されております。
先月、県内企業50社に対して、聞き取りにより実施した影響調査におきましても、「既に影響が出ている」と回答した企業の割合が、少しずつではあるものの、増加傾向にあります。
県としましては、政府の対策や、政府に求めるべき対策を見極め、県内事業者の状況や影響を具体的に把握しながら、特別相談窓口の設置や、資金繰り支援、伴走支援等を行うアドバイザーの派遣等により、影響を受ける県内事業者を支援してまいります。
(3.「第2期島根創生計画」の取組)
次に、「第2期島根創生計画」の取組についてであります。
島根県の最大の課題である人口減少に歯止めをかけるため、総力をあげて「第2期島根創生計画」の各分野の取組を進め、成果を着実に積み重ねてまいります。
(4.魅力ある農林水産業づくり)
まず、魅力ある農林水産業づくりについてであります。
(1)先月26日に、「たたら製鉄を再適用した奥出雲地域の持続可能な水管理及び農林畜産システム」が、国連食糧農業機関(FAO)により、中国地方で初の世界農業遺産に認定されました。
奥出雲町をはじめとする関係者の皆様のご尽力に改めて敬意と感謝を申し上げるとともに、世界農業遺産の認定を契機とした農林業の発展や農村地域の振興に向け、県としても奥出雲町と連携して取り組んでまいります。
(2)農業につきましては、生産性、収益性の高い水田園芸や有機農業等の産地を形成するために、貸出用のタマネギ収穫機の整備など、拠点産地での農業機械の共同利用等の体制づくりを進めております。
また、島根県オリジナルぶどうの「神紅」や美味しまね認証産品、有機農産物等の販売促進に向けたトップセールスを、先月末に東京で行ってまいりました。
引き続き、収益性の高い農業への転換、県産農産物の生産拡大やPRに取り組んでまいります。
安定した供給が求められる主食用米につきましては、高齢化による後継者不足等の課題への対策として、集落営農法人や地域の農業を支える生産者への農地の集積、集約や、集出荷作業の省力化、収量や品質の向上への支援に引き続き取り組んでまいります。
(3)林業につきましては、森林整備等の新たな財源として期待される「Jークレジット制度」の活用が注目を集める中、先月、本県と県林業公社、県森林組合連合会、県森林協会及びENEOS株式会社の5者による「森林を活用した脱炭素社会の実現に向けた包括連携協定」を締結したところです。
この協定締結を契機として、県内の豊富な森林を活用した循環型林業の更なる拡大を進めてまいります。
(4)水産業につきましては、国の漁船リース事業を活用し、県と浜田市が支援して新造された沖合底びき網漁船が、先月、操業開始後に事故に遭いましたが、関係者のご努力により、操業再開の目処が立ったところです。
今後とも、沖合底びき網漁業等の企業的漁業について、収益性の向上に向け、関係機関と連携して取り組んでまいります。
また、資源回復の取組を続けておりますアユにつきましては、今年、高津川に遡上してきた数が、速報値で140万尾と、比較的良好であった昨年の1.2倍となり、資源回復の傾向が続いております。
今後も、アユ資源の回復と安定化を図るため、県内産アユ種苗の安定生産と放流拡大の取組を支援してまいります。
(5.力強い地域産業づくり)
次に、力強い地域産業づくりについてであります。
(1)観光の振興につきましては、先月末、大阪・関西万博で県内の自然や文化、歴史等を紹介する展示等を行い、多くの方々にご来場いただきました。
引き続き、関西地区で実施している観光案内所での情報発信等により、国内外からの誘客につなげてまいります。
また、NHKの連続テレビ小説「ばけばけ」の放送が、いよいよ今月29日から始まります。
さらに、奥出雲町や松江市等も舞台となったテレビドラマの続編の放送決定があり、県内での撮影の誘致や支援に必要な補正予算案を今議会に提出しております。
こうした島根を舞台としたテレビ番組を活かした情報発信等を行い、観光誘客に結び付けてまいります。
(2)外国人観光客につきましては、7月に中国地方の広域観光を官民連携により推進するため、私も訪問団の団長として台湾を訪れ、観光客誘致に向けた働きかけを行ってまいりました。
また、来月には、出雲縁結び空港とベトナムを結ぶ国際チャーター便の第3便が運航されることとなりました。今後も、ターゲットとする国や地域に対するプロモーションや受入環境の整備を進めてまいります。
(3)酒米の大幅な価格高騰に対して、県産酒米の安定的な生産と県内酒造メーカーの事業継続を支援するため、県内酒造メーカーによる県産酒米の購入費の一部を支援する補正予算案を今議会に提出しております。
(4)IT産業につきましては、IT人材の育成、確保や、しまねソフト研究開発センターによる技術支援等に取り組み、今年4月における県内のIT企業の従業者数は、前年に比べて84人増の1,985人、年間売上高も43億円増の約409億円と、堅調に伸びております。
引き続き、若者の就職先として魅力的な受け皿となるよう支援してまいります。
また、5月に益田圏域の3市町と、その商工団体から、高度IT・デジタル人材の育成による地元企業の人手不足対策と産業の集積を求める要望がありました。
県としましては、県内全域で不足しているデジタル人材や技術力のあるIT人材を育成するため、今後、高度なIT分野を学べる教育環境の整備を支援してまいります。
県西部では、高校生のIT分野の進学先として県外の教育機関が選ばれる傾向が強いため、益田市の県立西部高等技術校の機能を活かし、情報技術科を有する2年制の職業能力開発短期大学校の新設を検討してまいります。
(5)企業立地の推進につきましては、引き続き、首都圏等の企業経営者を対象に、県西部の工業団地等の視察ツアーを実施し、より多くの方に本県の立地環境をPRしてまいります。
来月、大阪で開催する企業立地セミナーには私も出席し、関西圏からの企業立地が進むよう、積極的に働きかけてまいります。
また、安来市切川地区の工業用地造成につきましては、6月に全ての地権者との用地買収契約が完了し、本格的な工事に向けて、地元との調整を進めているところであります。
引き続き、安来市と連携し、着実に事業を推進してまいります。
(6.結婚・出産・子育てへの支援)
次に、結婚・出産・子育てへの支援についてであります。
(1)出産・子育てにつきましては、外出時におむつ替えや授乳等に利用できる県内の施設を「赤ちゃんほっとルーム」として登録しており、この度、一人で搾乳する場合も対象に加え、先月末時点で33施設において利用できるようになりました。
これらの施設につきましては、搾乳マークを掲示するほか、ホームページや、こっころアプリによって周知を行ってまいります。
今後も、外出時における搾乳への理解促進や、利用できる施設の増加に取り組んでまいります。
(2)放課後児童クラブにつきましては、5月1日時点での県内の待機児童数が速報値で75人となり、8年ぶりに100人を下回りました。
しかしながら、市部を中心に依然として待機児童が生じており、また小学校高学年の利用ニーズもあることから、引き続き利用定員の拡大に取り組んでまいります。
また、放課後児童支援員の認定資格研修について、実施場所と回数を拡充しており、これまで2,122名の方を認定し、児童の育成支援に取り組んでいただいております。
今後とも、放課後児童クラブの安定的な運営と質の確保のため、放課後児童支援員の養成に取り組んでまいります。
(7.中山間地域・離島の暮らしの確保)
次に、中山間地域・離島の暮らしの確保についてであります。
離島振興につきましては、有人国境離島法に基づく国の交付金を活用し、航路・航空路の運賃低廉化や、農水産品の輸送コスト軽減等の支援に取り組んでおります。
こうした中、7月には、更なる支援の拡充に向けて、8つの関係都道県による協議会として要望活動を行いました。
来年度末には法の期限を迎えることから、法の延長や制度の拡充等に向けて、引き続き関係都道県と連携して国等に働きかけてまいります。
(8.地域の強みを活かした圏域の発展)
次に、地域の強みを活かした圏域の発展についてであります。
(1)隠岐ユネスコ世界ジオパークにつきましては、7月に再認定に向けた現地審査が行われ、今月5日から開催されたユネスコ世界ジオパーク・カウンシル会議におきまして、世界ジオパークの再認定が決定されました。
これまでの地元の方々の熱心な取組が、改めて世界に評価されたものと考えております。
引き続き、隠岐4町村や隠岐ジオパーク推進機構等と連携し、ジオパークを活用した誘客促進や、受入環境の整備に取り組んでまいります。
(2)宍道湖・中海につきましては、「ラムサール条約湿地」に登録されてから20年を迎えることを記念し、子どもや若い世代の方をターゲットとしたイベントを11月に開催いたします。
また、これに先立ち、国連により「世界湖沼の日」が昨年12月に制定されたことを記念するイベントを、先月、鳥取県とともに開催したところであります。
これらを契機に、宍道湖・中海の豊かな自然、恵みを将来に引き継いでいけるよう、魅力発信や賢明な利用に取り組んでまいります。
(9.地域振興を支えるインフラの整備)
次に、地域振興を支えるインフラの整備についてであります。
(1)中海・宍道湖圏域を結ぶ「8の字ルート」を構成する「境港出雲道路」につきましては、松江北道路の整備を進めており、残る未着手区間におきましては、現在、住民や関係団体に対し、道路交通課題に関する意識調査を行っているところであります。
また、中海・宍道湖8の字ルートの整備を国に強く訴えるため、来月22日に東京において、鳥取県と共同で総決起大会を開催いたします。
県としましては、国直轄での事業化に向けて、引き続き、国、関係市とともに、整備方針の具体化に向けた検討を進めてまいります。
(2)萩・石見空港の東京線につきましては、平日の利用も見込める高齢者の方々を主要な会員とする大手旅行会社と連携し、個々の会員にツアー情報を直接郵送するなど、積極的な誘客対策に取り組んでまいりました。
この取組によって、昨年度に比べ、8月を中心に利用者が増えるなど、一定の効果があったことから、利用が落ち込む冬季においても、同様の旅行商品の造成に取り組むこととして、必要な補正予算案を今議会に提出しております。
引き続き、政策コンテストに掲げる利用者数の目標達成に向けて、島根、山口両県の関係自治体や経済団体、航空事業者と連携し、首都圏等からの観光誘客など利用促進に取り組んでまいります。
(3)隠岐世界ジオパーク空港は、開港してから今年で60周年を迎え、先月、記念式典を開催いたしました。
隠岐の歴史や伝統文化を継承しながら、島外から多くの方々を受け入れてこられた隠岐地域にとって、様々な地域との間を短時間で結ぶ航空路線は、観光や産業の振興、定住促進等に極めて重要な役割を担っております。
今後とも、隠岐世界ジオパーク空港が、より多くの皆様に愛され、利用されるよう、安全・安心な空港運営に努めてまいります。
(10.地域の生活基盤を支える人材の確保)
次に、地域の生活基盤を支える人材の確保についてであります。
(1)医療従事者の確保につきましては、島根の地域医療への貢献を目指す学生のために、島根大学と鳥取大学の医学部定員に設けた地域枠や、奨学金等の貸与により養成した医師はこれまでに400名を超え、県内で勤務される医師は現在320名となり、毎年着実に増えております。
先月、地域枠の一年生17名から表敬訪問を受け、地域医療への熱い思いをお聞きし、私としても、大変嬉しく、また、とても心強く思ったところであります。
今後とも、地域の様々な医療現場で活躍される医師が増えるよう、関係機関と連携して、養成・確保に取り組んでまいります。
(2)介護人材の確保につきましては、介護現場の生産性向上や人材確保に関するワンストップ窓口として「介護現場革新サポートセンターしまね」を6月に開設し、事業所への啓発活動や相談対応を進めており、介護テクノロジー機器の試用貸出も行われております。この秋には、生産性向上の取組についての研修会を開催し、介護従事者の方々に最新のICT機器等にも触れていただく予定です。
また、介護人材の確保が難しくなる中、外国人による介護サービスの提供を目指す事業者もあることから、外国人の介護人材の受入にかかる経費等を支援する制度を新たに設けることとし、必要な補正予算案を今議会に提出しております。
(11.新しい人の流れづくり)
次に、新しい人の流れづくりについてであります。
(1)若者の県内就職の促進につきましては、島根で働く魅力に触れていただくため、大学等の低学年次の学生と県内企業の若手社員が交流するイベントを、先月、くにびきメッセにおいて開催し、学生34名と県内企業19社の参加がありました。
11月には、県立大学浜田キャンパスにおいても、同様のイベントを開催することとしております。
また、先月、松江市において、県内企業138社の採用担当者と県内外の高等教育機関35校の教職員が一堂に会する学生の就職等についての情報交換会を開催したほか、企業の採用力向上を目的としたセミナーを開催し、県内企業等から37名の参加がありました。
今後も引き続き、魅力ある職場づくりや、若者とのつながりづくりを進め、若者の県内就職を促進してまいります。
(2)Uターン、Iターンにつきましては、今月末、大阪において島根暮らしの魅力を発信する交流イベント「しまね暮らしマルシェ」と、総合相談会「しまね移住フェア」を同日同会場で開催することとしております。
また、来月には同じく大阪において、主に県出身の学生及び社会人を対象とした合同企業説明会「しまね企業EXPO」の開催を予定しております。
今後、東京においても同様のイベントの開催を予定しており、こうした機会を通じて、より多くの方に島根への関心を寄せていただき、移住、定住を促進してまいります。
(12.女性活躍の推進)
次に、女性活躍の推進についてであります。
島根県は、働く女性の割合が全国で最も高い一方で、「働き続けやすい」と感じる女性は約4割にとどまり、また、企業の役員や管理職に占める女性の割合は全国と比較して低い状況にあります。
このため、県内企業の女性リーダーの方に、これまでの経験や企業の取組への期待等を発信していただく座談会を開催するために必要な補正予算案を今議会に提出しております。
女性リーダーの方の声を広く県民の皆様や企業に周知することにより、職業生活において、女性がいきいきと活躍することへの気運の醸成を図ってまいります。
(13.保健・医療・福祉の充実)
次に、保健・医療・福祉の充実についてであります。
(1)「しまね健康寿命延伸プロジェクト」につきましては、これまで5年間、モデル地区において、実態調査のデータをもとに住民との話し合いを重ねたことが、健康意識の向上や健康づくりの実践につながってきました。
こうした成果を生かしながら、県内各地で、地域住民の皆様が市町村や住民組織等と連携して、主体的に健康づくり活動に取り組まれるよう支援してまいります。
また、飲食店等で提供される減塩や野菜摂取に配慮した商品を新たに「カラダにまめなメニュー」として認定し、県民の皆様の健康づくりを食生活の面から推進してまいります。
(2)ギャンブル等依存症対策につきましては、啓発や相談支援に取り組んでおり、この度、新たな課題に対応するため、第2期「ギャンブル等依存症対策推進計画」を策定いたしました。
この計画におきましては、新たに若者世代に向けた予防対策や、オンラインで行われるギャンブルへの対策等を盛り込んでおります。支援を必要とする方に情報が行き渡るよう、ギャンブル等依存症に関する正しい知識や相談拠点等について広報啓発に努め、関係機関とも連携しながら、依存症対策に取り組んでまいります。
(14.スポーツ・文化芸術の振興)
次に、スポーツ・文化芸術の振興についてであります。
(1)令和12年に開催予定の第84回国民スポーツ大会につきましては、7月16日に開催された日本スポーツ協会理事会において、開催地として本県が内定されました。
また、このことにより同年の第29回全国障害者スポーツ大会の開催地としても内定されました。
これを機に、開催日程の検討や県民への機運醸成など、開催準備がより具体化、本格化していくため、来年度から新たに「(仮称)島根かみあり国スポ・全スポ局」を設置し、体制を強化したいと考えております。
引き続き、市町村や競技団体等と連携を図りながら、大会に向けた準備を着実に進めてまいります。
(2)愛知県一宮市を拠点に活動する成年女子ソフトボールチーム「シトリン一宮」が、来年から雲南市を中心に活動されることになり、また一つ、成年選手が島根で競技を継続する環境が整うこととなります。
そのために、島根かみあり国スポのソフトボール競技の会場となる雲南市、出雲市、県ソフトボール協会、県内企業等、官民で連携し、このチームの活動を支援することとし、県としては屋外練習環境の整備を支援するための補正予算案を今議会に提出しております。
(15.教育の充実)
次に、教育の充実についてであります。
(1)第29回全国障害者スポーツ大会の開催内定を契機として、障がいの有無にかかわらず、子どもたちがスポーツに触れる機会を増やすため、特別支援学校と教育事務所に障がい者スポーツ用品等を整備することとし、必要な補正予算案を今議会に提出しております。
また、用品の貸出により、県民の皆様が障がい者スポーツに触れる機会を増やすことで、障がいへの理解を深めていただき、障がい者スポーツ大会の開催や参加者の支援をしていただける方々の裾野が拡大することも期待しております。
(2)特別支援学校の通学支援につきましては、障がいにより公共交通機関やスクールバスを利用して通学することが難しい子どもたちが、福祉タクシー等の利用により通学できるよう、事業継続が特に困難な福祉有償運送事業者に対して緊急的な支援を行うこととし、必要な補正予算案を今議会に提出しております。
(16.自然、歴史・文化の保全と活用)
次に、自然、歴史・文化の保全と活用についてであります。
日本遺産につきましては、「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」と、「神々や鬼たちが躍動する神話の世界~石見地域で伝承される神楽~」が、いずれも国の審査を受け、認定継続となりました。
これら2つを含む県内7つの日本遺産を活用した観光振興や地域の活性化が進むよう、引き続き支援してまいります。
(17.生活基盤の確保)
次に、生活基盤の確保についてであります。
(1)JRの地方路線につきましては、昨年6月にJR西日本から、木次線の出雲横田駅から備後落合駅間に関して、地域の移動実態に応じた持続可能な交通体系について地元と相談したい旨の説明を受け、また、先月には、直近の利用実態について説明を受け、意見交換を行いました。それを踏まえ、沿線自治体や広島県の意見を確認しながら対応を検討しているところであります。
地方路線の維持を図るためには、利用客の増加が重要であり、引き続き県内市町村と連携し、JRの利用促進に積極的に取り組んでまいります。
(2)隠岐航路につきましては、船員の離職に伴う人員不足により、6月から大幅な減便を伴う運航ダイヤに変更されております。
この減便に対応するため、隠岐4町村と隠岐汽船との間で、人材確保に向けた当面の対応方針をとりまとめられ、先月、私も立ち会い、その実施に向けた確認書が取り交わされたところです。
現在、確認書に基づく人材確保計画の作成に向けた地元での協議の場に、県も参画して議論が進められております。
隠岐航路は、隠岐地域の住民生活や産業振興に必要不可欠であることから、県としましても、航路の維持に向け、引き続き地元と連携し、必要な協力を行ってまいります。
(18.防災対策の推進)
次に、防災対策の推進についてであります。
(1)能登半島地震の被害状況を踏まえた島根半島の震災対策につきましては、これまでも半島部における必要な環境整備や備蓄物資の充実等を進めてまいりました。
それらに加え、6月議会でお示しした島根半島震災対策事業につきましては、今月8日に中国電力と協定を締結したところであり、道路の改良や法面・落石対策、漁港の修繕、ヘリコプターの場外離着陸場の整備等を行うための補正予算案を今議会に提出しております。
(2)島根原発につきましては、運転が安全に行われるよう、状況を厳正に監視していくとともに、原子力規制委員会において新規制基準適合性審査が継続されている3号機について、審査状況を引き続き注視してまいります。
(3)原子力防災対策につきましては、来月以降、国や関係自治体等と連携して原子力防災訓練を行い、避難対策を検証するなど、避難計画の実効性の向上に努めてまいります。
(19.安全な日常生活の確保)
次に、安全な日常生活の確保についてであります。
(1)特殊詐欺につきましては、被害件数、被害金額ともに、昨年の同時期と比較して大幅に増加しており、今年度に入ってからも、警察官を名乗る詐欺の手口による被害が多い傾向にあります。
また、固定電話に掛かってきた場合では高齢者の方が、携帯電話に掛かってきた場合では様々な年齢層の方が被害に遭われています。
このような特徴を踏まえつつ、依然として多くの被害が発生しているSNS型投資・ロマンス詐欺の対策も含め、効果的な広報啓発等の各種対策に取り組んでまいります。
(2)県内における交通事故につきましては、死者数が昨年の同時期と比較して大幅に増加していることから、関係機関等と連携しつつ、交通事故防止対策に精力的に取り組んでいるところであります。
今月から始まる「秋の全国交通安全運動」等を通じて、高齢者やこどもを中心とした交通事故防止対策を一層推進してまいります。
(20.若者の活躍)
次に、若者の活躍についてであります。
(1)今月行われる東京2025世界陸上競技選手権大会に浜田市出身の三浦龍司選手が、また11月に行われる第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025には、島根県から陸上の足立祥史選手、須山勇希選手、卓球女子の山田萌心選手、リザーブに佐々岡希花選手が選出されました。
皆様方の大会でのご活躍を期待しております。
(2)6月に開催されたフェンシングのアジア選手権において、松江市出身の津森志道選手が、男子サーブル団体で優勝されました。
(3)7月23日から約1か月にわたり、中国5県を主会場として全国高等学校総合体育大会が開催され、本県においても、体操競技、男子バレーボール、レスリング、フェンシング、なぎなた、カヌーの6競技が実施されました。
美郷町で開催されたカヌーでは、カヌースプリント・男子カナディアンフォア200mで出雲農林高校が、カヌースプリント・女子カナディアンシングル500mで島根中央高校の植出乙倭選手が優勝されました。
また、鳥取県で開催されたホッケーでは、横田高校男子が2年連続9度目の優勝を果たされました。
(4)8月に開催された日本カヌースプリントジュニア選手権大会において、島根中央高校の植出乙倭選手が、女子カナディアンシングル200m及び500mで優勝されました。
また、日本選手権水泳競技大会において、松江市出身の須山晴貴選手が、男子3m飛板飛込で4大会ぶり2度目の優勝を果たされました。
さらに、全日本学生テニス選手権大会において、吉賀町出身の岩本晋之介選手が、男子シングルスで初優勝されました。
(5)文化分野では、NHK杯全国高校放送コンテストの創作テレビドラマ部門で、浜田高校が準優勝されました。
(6)こうした若者の活躍は、私ども県民に大きな感動と喜びを与えてくれるものであり、今後も大いに活躍されることを期待しております。
(7)また、高校総体では、全国から多くの方々を本県にお迎えし、盛会のうちに全日程を終えられましたことを、大変うれしく、そして誇らしく思っております。
競技に出場する選手だけでなく、大会運営補助や広報・PR、おもてなし活動などを通じて大会を支えてくれた高校生の皆さんの頑張りも、高校総体成功の大きな原動力となりました。皆さんの誠実で温かいおもてなしにより、大会がより意義深いものとなりました。
大会の成功にご尽力いただいた、競技開催地の市町の皆様、競技関係者の皆様、県内高校の教職員の皆様をはじめ、長きにわたり準備に携わってこられた多くの皆様に、厚くお礼を申し上げます。
(21.補正予算案等)
それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案等の概要について、申し上げます。
一般会計の補正予算案につきましては、国の補助金の内示や早急に対応すべきものなどについて措置し、総額152億円を増額しております。
この結果、補正後の一般会計予算の規模は、4,883億円となります。
この補正予算案のほか、予算案16件、条例案3件、一般事件案11件の計31件を提出しております。
これらの議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることといたします。
何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
お問い合わせ先
政策企画監室
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
島根県 政策企画監室
電話:0852-22-6063
FAX:0852-22-6034
Eメール:seisaku-kikaku@pref.shimane.lg.jp