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令和7年2月定例県議会知事施政方針並びに提案理由説明要旨

 

 定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、当面の県政運営に臨む私の基本的な考え方を申し上げ、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 

(1.「第2期島根創生計画」の策定)

 はじめに、「第2期島根創生計画」の策定についてであります。

 

(1)「第2期島根創生計画」につきましては、11月県議会において県議会、市町村長、地域広聴会、総合開発審議会等からのご意見を踏まえた最終案をお示ししました。

 

(2)今議会では、現状を踏まえた修正等を行いました最終案に加え、各施策の具体的な取組の考え方をまとめた「総合戦略アクションプラン」の案と、施策ごとの進捗状況を検証し、次年度以降の改善につなげるために設定する「施策の主なKPI」の案をお示ししております。

 

(3)創生計画における2つの長期目標であります合計特殊出生率及び人口の社会移動の直近の実績値は、計画値を大きく下回り、計画策定時に比べても厳しい数値となっております。

 

(4)現行計画では、産業振興、結婚・子育て支援、中山間地域・離島振興、島根を愛する人づくりなどに注力いたしましたが、それでも県の数値が好転しないのは、実質賃金の減少や、コロナ禍を経て再加速する東京一極集中といった一地方では解決できない日本社会、日本経済全体の問題が影響していると考え、第2期計画では、県議会のご理解もいただき、国に求める対策を盛り込むことといたしました。

 

(5)人口減少は待ったなしの問題であり、合計特殊出生率2.07と、人口の社会移動の均衡という高い数値目標を引き続き掲げ、県は全力で県の施策に取り組み、国に求めるべきことは求めるという考えのもと、今年度内に第2期計画を決定し、切れ目ない取組を進めてまいりたいと考えております。

 

(2.当初予算の概要)

 それでは、提出いたしました来年度当初予算と今年度補正予算について、概要をご説明申し上げます。

 

(1)来年度当初予算は、エネルギー価格・物価高騰対策と島根創生の推進の両立を進めるとともに、健全な財政運営を図る予算として編成しており、総額は4,720億円で、政策的経費の増等により、今年度に対し、2.2%、103億円の増となっております。

 11月、2月補正予算においても、国土強靱化対策等を進め、切れ目ない予算としており、全体としては5,093億円で、前年度比で3.3%、161億円の増となっております。

 

(2)エネルギー価格・物価高騰対策につきましては、県民の皆様にとっては厳しい家計の状況が、県内事業所の皆様にとっては厳しい経営環境が続いております。経済の回復に向け、国の補正予算で措置された財源等を活用し、引き続き全力で取り組んでまいります。

 

(3)島根創生を推進する施策につきましては、第2期島根創生計画に基づき、島根創生を着実に進めるため、産業や、結婚・出産・子育て、暮らしの支援、新しい人の流れづくりに関連する事業等を強化してまいります。

 

(4)なお、昨年10月の財政見通しでお示しした、来年度当初予算における財源不足につきましては、事業のスクラップ・アンド・ビルドに加え、国の交付金や特別会計の余剰金の活用等その効果が一時的な手法も用いて対応したところです。

 こうしたことから、将来にわたって財源不足が解消した状況ではなく、県財政は依然として厳しい状況にあると考えております。

 

 それでは、来年度の主な施策等について、順次、ご説明申し上げます。

 

(3.エネルギー価格・物価高騰対策)

 まず、エネルギー価格・物価高騰対策についてであります。

 

(1)LPガス消費者や特別高圧電力を利用する中小企業の負担軽減につきましては、支援額や対象期間を見直して支援を行っているところであります。

 中小企業、小規模企業に対しましては、国の経済対策を受け、エネルギーコスト削減や生産性向上のための設備投資への支援、商工団体の相談対応の強化を行ってまいります。

 また、制度融資による資金繰りなどにより、企業の事業継続を引き続き支援してまいります。

 

(2)農林漁業者に対しましては、省エネ、省コストの機械等の導入を支援してまいります。

 畜産飼料につきましては、引き続き配合飼料への県独自補填のほか、県産粗飼料の利用が拡大、定着するよう、耕畜連携による良質な粗飼料生産の取組を支援してまいります。

 また、引き続き農業者、漁業者の資金繰り支援を行うことにより、安定して経営が継続できるよう対応してまいります。

 

(3)医療、介護、障がい福祉、保育施設や公衆浴場等に対しましては、エネルギー価格・物価高騰による影響が長期化していることから、応援金により支援してまいります。

 高齢者福祉施設や障がい福祉施設等につきましては、エネルギーコスト削減のための設備導入の支援を引き続き行ってまいります。

 

(4)令和6年産米の価格高騰を踏まえ小中学校の給食における米の価格上昇分への支援を新たに実施するとともに、引き続き特別支援学校等の給食費やこども食堂の運営経費等への支援を行ってまいります。

 

(5)貨物自動車運送事業者に対しましては、国の燃料油支援の縮小による影響を踏まえ、応援金により支援してまいります。

 

(6)また、発注者として、県が、労務単価の上昇や物価高騰の影響を踏まえたより適切な価格で契約を行うため、施設維持管理費等の経常的な委託料等や指定管理料を令和6年度に引き続き増額し、県内事業者の賃金引上げを側面支援してまいります。

 

(4.魅力ある農林水産業づくり)

 次に、魅力ある農林水産業づくりについてであります。

 

(1)慢性的に人手不足である農林水産業につきましては、新たにドローンや草刈ロボットなど作業の省力化を図る機械等の導入を支援し、持続可能な農林水産業の実現を目指してまいります。

 

(2)農業につきましては、水田園芸の更なる規模拡大と省力化、コスト削減を実現するため、拠点産地の形成や機械の共同利用等を推進していくとともに、地域が主体的に取り組む独自の産地づくりや有機農業に新たに取り組む農業者に対しても支援を行ってまいります。

 また、農家の減少や高齢化が進む中、担い手が不在の集落を含む広域での営農体制づくり、集落営農の後継者や多様な担い手の確保など、地域の農業を維持するための取組を推進してまいります。

 

(3)畜産につきましては、昨年10月末に鳥インフルエンザが発生した養鶏場において、3月からの生産再開に向け、現地で再発防止対策やウイルスの除去等を確認する検査を進めているところです。

 また、各養鶏場が発生防止対策として行う施設の改修等を支援してまいります。

 肉用牛につきましては、輸出や関西方面への販路拡大に取り組んでおり、1月にはイタリアやギリシャのバイヤーによる県内肥育農家の視察、2月には大阪でのトップセールスを行いました。

 子牛価格につきましては、スーパー種雄牛「暁之藤」号による品質の向上や、市場評価の向上に向けた牛リンパ腫に関する検査証明への県独自支援により、上昇基調に転じております。

 引き続き、畜産物の生産と販売の拡大に向け、戦略的に取組を進めてまいります。

 

(4)林業につきましては、原木生産と再造林の低コスト化や、高値で取引される原木の需要を増やす取組等により、植林から伐採までの経営収支モデルは令和3年度から黒字に転じました。

 引き続き、林業専用道や高性能林業機械等の整備、ICT等の新技術導入による原木の増産に向けた生産性向上や森林整備の省力化に向けた取組を支援してまいります。

 また、中核的な製材工場の整備等を支援し、循環型林業を一層推進してまいります。

 

(5)水産業につきましては、就業希望者へのワンストップ窓口や、新規就業者を対象とした県独自の給付金等により、沿岸自営漁業の新規就業者は令和3年度以降、毎年10人を超えております。

 今後は、研修期間中における生活の安定に向けた支援金制度を創設し、持続可能な漁業の確立につなげてまいります。

 

(5.力強い地域産業づくり)

 次に、力強い地域産業づくりについてであります。

 

(1)ものづくり産業につきましては、成長が期待されるグリーン、ヘルスケアなどの次世代産業分野への参入を促進するため、産学官に金融機関も加え、地域経済を牽引する収益力の高い高付加価値企業の創出を進めてまいります。

 また、石州瓦産業につきましては、関連産業を含めた維持、発展のため、販路の確保や新商品の開発の取組等を支援してまいります。

 

(2)特殊鋼・鋳物産業につきましては、過酷な労働環境にある溶解炉等を有する企業に対し、新たに暑熱対策の取組を支援してまいります。

 

(3)次世代たたらプロジェクトにつきましては、国の交付金を活用して、航空産業やモーター産業分野等での事業化を引き続き進めてまいります。

 

(4)産業のデジタル化につきましては、支援機関と連携し、専門アドバイザーによる相談対応やシステムの導入経費の支援等を実施しており、引き続き企業のデジタル導入に向けた取組を支援してまいります。

 

(5)観光の振興につきましては、「ご縁も、美肌も、しまねから。」をキャッチフレーズに、積極的なプロモーションを展開し島根の魅力発信と誘客に取り組んでまいります。

 あわせて、温泉や食材等を観光素材とした商品化や旅行会社等と連携した旅行商品づくりなど、観光消費額の増加に向けた魅力ある観光地づくりを進めてまいります。

 

(6)また、秋からは、小泉八雲の妻セツをモデルとした連続テレビ小説「ばけばけ」がNHKで放送されます。

 島根の風情や人情・歴史等を全国の方々に知っていただく絶好の機会と捉え、関係市町村等と連携し、ゆかりの地をはじめとした県内各地への周遊の促進につなげてまいります。

 

(7)外国人観光客の誘致につきましては、8月末に大阪・関西万博のギャラリーにおいて、県内の自然や文化、歴史等を紹介してまいります。

 あわせて、関西を訪れる外国人観光客に向け、現地の観光案内所や宿泊施設等と連携した情報発信や、バス料金の割引等により、県内への誘客に取り組んでまいります。

 加えて、ベトナムや台湾などターゲットとする国や地域へのプロモーションや受入環境の整備を進めてまいります。

 

(8)中小企業、小規模企業につきましては、深刻な人手不足による売上の減少を回避するため、人手不足対策となる省力化に資する設備投資等の支援に取り組んでまいります。

 また、価格転嫁が進むよう、国に対し、取引環境の整備を要望するとともに、価格交渉に取り組む企業へのアドバイザーの派遣を強化し、交渉資料の作成等を支援してまいります。

 

(9)企業立地の推進につきましては、市の中山間地域と町村におけるソフト産業の立地認定の要件をそれぞれ緩和するなど、支援制度の充実を図り、県内企業の再投資や県外企業の新規立地を促進してまいります。

 また、安来市切川地区の工業用地造成につきましては、昨年12月に出雲村田製作所から県及び安来市に対し、用地造成の実施に向けた協議の申込がありました。

 県では、同社と契約条件等の協議を進めており、引き続き、地元安来市とも連携し、新工場設置の実現に向けて取り組んでまいります。

 

(10)江津地域拠点工業団地につきましては、未造成地の整備を着実に進めてまいります。また、地元江津市とも連携して企業誘致を進め、県西部地域の産業振興を図ってまいります。

 

(6.人材の確保・育成)

 次に、人材の確保・育成についてであります。

 

(1)島根大学材料エネルギー学部では、今年春に学部棟が竣工し、工学系分野の高度な専門人材の育成に向けた環境がより一層整う中、研究機器の整備や県内企業との共同研究等への支援を行ってまいります。

 また、大学や県内産業界等と議論を重ね、産学官連携による産業の振興や若者の県内定着を図ってまいります。

 

(2)全国的に人手不足の状況が続く中、人材確保のためには、魅力ある職場を増やし、それを知っていただく必要があります。

 引き続き、いきいきと働きやすい職場づくりやインターンシップの改善など採用力の強化に取り組む企業への支援等により、人材の確保、育成、定着を図ってまいります。

 

 

(7.結婚・出産・子育てへの支援)

 次に、結婚・出産・子育てへの支援についてであります。

 

(1)結婚支援につきましては、これまで出会いの場の創出や「はぴこ」、「しまコ」によるお相手探しにより、結婚を望む方の希望をかなえる環境づくりに取り組んでまいりました。

 これらの取組に加え、従業員の出会いや結婚を応援する企業等の取組への支援を強化してまいります。

 

(2)子育て世代への支援につきましては、今年4月から全ての小中学生の医療費に対する県の補助を実施することといたしました。

 これにより押し出される市町村の財源を活用し、全ての市町村が高校生相当年齢までを対象とする医療費助成に取り組まれることとなります。

 また、既に高校生相当年齢までの助成を実施中の市町村におかれましては、それぞれの実情に応じた子育て施策に取り組まれることとなります。

 県としましては、引き続き市町村と連携して、子育て世代の支援に取り組んでまいります。

 

(3)放課後児童クラブにつきましては、これまで利用定員の拡大を中心として、受入環境の充実に取り組んでまいりました。

 その結果、令和元年と昨年の5月を比較すると、利用定員は1,592人増えて11,393人に、また19時まで開所するクラブは40クラブ増えて99クラブとなりました。

 一方、依然として待機児童が発生していることから、定員増に引き続き取り組むとともに、学習習慣の定着に加え、体験活動等に資する環境の整備にも取り組んでまいります。

 

(8.中山間地域・離島の暮らしの確保)

 次に、中山間地域・離島の暮らしの確保についてであります。

 

(1)第6期中山間地域活性化計画につきましては、昨年12月に素案をお示しし、県議会や市町村、パブリックコメントにおきまして様々なご意見をいただきました。

 今議会では、こうしたご意見を踏まえた最終案をお示しすることとしております。

 中山間地域において、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、市町村と連携して、小さな拠点づくりのモデル地区での取組をはじめとする先進事例の横展開を図るとともに、買い物、燃油、生活交通等の生活機能を維持、確保するための施策に取り組んでまいります。

 

(2)離島振興につきましては、関係都道県とともに、有人国境離島法に基づく航路・航空路運賃の低廉化の拡充等を要望してまいりました。この度、国の新年度予算において、二地域居住やワーケーションなどのために来訪する方が支援の対象に追加されるなど、制度が拡充されることとなりました。

 引き続き、必要な支援の充実と十分な予算の確保について国に働きかけてまいります。

 

(9.地域の経済的自立の促進)

 次に、地域の経済的自立の促進についてであります。

 

(1)豊かな自然環境や特徴ある資源を活用し、商品化につなげるスモール・ビジネスにつきましては、引き続き専門家派遣や研修機会の提供、経費助成等を行い、中山間地域・離島の雇用創出や所得向上に向けた取組を進めてまいります。

 

(2)地域内経済の好循環の創出につきましては、地産地消の取組の促進や地域での消費拡大に向けて、市町村や関係団体等と連携して取り組んでまいります。

 

(10.地域振興を支えるインフラの整備)

 次に、地域振興を支えるインフラの整備についてであります。

 

(1)山陰道につきましては、来月2日に出雲ICから出雲多伎IC間の8.9kmが、来年度には三隅益田道路の約15kmが開通し、開通率は85%となる見込みです。

 これにより、県東部と県西部との一体性が高まり、企業誘致や広域的な観光振興が進み、地域経済の発展につながるものと期待しております。

 引き続き、事業中区間の整備の推進と、一日も早い全線開通を国に働きかけてまいります。

 

(2)中海・宍道湖圏域を結ぶ「8の字ルート」につきましては、昨年12月に中国地方整備局の審議会において8の字ルートは必要なネットワークであるとの見解が示されました。

 引き続き、関係機関と連携し、整備の推進、実現に向け、取り組んでまいります。

 

(3)昨年7月の大雨による日御碕地区の道路崩落につきましては、昨年12月24日から大型車を含めた全ての車両が仮設道路により通行可能となりました。

 本復旧につきましては、先般、国の事業採択を受け、今後、令和8年度中の完成を目指して工事を進めてまいります。

 また、別途県道斐川一畑大社線から日御碕地区へアクセスできる林道を出雲市と連携し整備してまいります。

 

(4)出雲縁結び空港につきましては、運用時間の延長と発着便数の拡大について、令和10年度の運用開始を目途に、引き続き、空港周辺の住民の皆様に誠意を持って対応してまいります。

 また、昨年度就航した中部国際空港線等の利用促進に地元協議会と連携して取り組むとともに、ベトナムとの間のチャーター便を活用したビジネス、観光両面での交流の促進を図ってまいります。

 さらに、国内線の利用客数の増加に対応しつつ、国際線の誘致につなげるため、搭乗待合室の拡張を行ってまいります。

 

(5)萩・石見空港につきましては、令和11年3月までの東京線の2便運航継続が決定いたしました。

 政策コンテストで掲げた利用者数の目標達成に向けて、引き続き島根、山口両県の関係自治体や経済団体、航空事業者と連携して利用促進に取り組んでまいります。

 また、大阪線は、今年夏の運航期間が5日間から7日間に拡大することとなりました。多くの方にご利用いただけるようPR等を進めてまいります。

 

(6)隠岐世界ジオパーク空港につきましては、生活路線として必要不可欠な出雲線の更なる利用率向上に向け、地元協議会と連携し、利用促進に取り組んでまいります。

 また、引き続き、全国各地からのチャーター便の誘致に取り組んでまいります。

 

(7)ICT・デジタル化の推進につきましては、各分野のデジタル化施策を積極的に進めるとともに、産官学民が連携して取り組むプラットフォームを整備し、地域の課題解決に向けたICTの利活用を進めてまいります。

 

(11.地域の生活基盤を支える人材の確保)

 次に、地域の生活基盤を支える人材の確保についてであります。

 

 地域生活交通につきましては、近年、県内のバス事業者において、利用者の減少に加え、運転手不足を理由としたバス路線の廃止や減便が相次ぐ厳しい状況となっております。

 このため、新たに、事業者の採用力強化につながる実践的なセミナーの開催や採用後の人材育成の取組を支援するほか、運転手の労働環境や福利厚生の改善等を支援してまいります。

 また、医療、介護、福祉サービスや建設産業を担う人材の確保を引き続き支援してまいります。

 

(12.島根を愛する人づくり)

 次に、島根を愛する人づくりについてであります。

 

(1)島根に住み続ける方、戻ってくる方、そして移ってくる方を増やすため、「人のつながり」や「人の温もり」、「一生懸命生きる人を応援する」という島根の良さや、その目指す姿を表現したキーフレーズ「誰もが、誰かの、たからもの。」を活用し、島根の魅力を県内外に向けて発信してまいります。

 

(2)しまね産学官人材育成コンソーシアムでは、高校生や大学生、県内企業等が参加する交流会の開催やインターンシップの推進等に取り組んでおり、今後は、産学官の連携を一層強化のうえ、新たに人材確保に関する経営層向けのフォーラムを行うなど、地域で活躍する若者の育成と県内定着を促進してまいります。

 

(13.新しい人の流れづくり)
次に、新しい人の流れづくりについてであります。

 

(1)若者の県内就職につきましては、県内企業の情報や交流機会を提供するため、県出身の学生が多い近畿・山陽地方に配置している学生就職アドバイザーの活動範囲に、愛媛県を加え、学生の支援を強化してまいります。

 また、大学生等が県内で就職活動を行う際の交通費、宿泊費助成の拡充や県内就職の魅力を保護者から学生に伝えていただくための情報発信の強化など、学生の県内就職を促進する取組を強化してまいります。

 

(2)Uターン、Iターンにつきましては、首都圏に移住イベントなどを企画、実施するプランナーを新たに配置し、移住関心層の掘り起こしを進めてまいります。

 また、無料職業紹介事業の求人サイトに自動マッチング機能を追加し、就職支援の強化に取り組んでまいります。

 

(3)関係人口の拡大、創出につきましては、都市部にお住まいの方々向けのセミナーの実施による関係人口の掘り起こしに加え、県内での受け皿となる団体等の育成に向けた講座を新たに開設し、地域活動への参画や将来の移住につなげてまいります。

 

(14.女性活躍の推進)

 次に、女性活躍の推進についてであります。

 

(1)家庭と仕事の両立支援につきましては、家庭の状況に応じた柔軟な働き方が選択でき、安心して働き続けることのできる職場環境づくりを進めてまいります。

 また、子育て中の従業員に加え、新たに、介護を行う従業員が利用できる時間単位の年次有給休暇や短時間勤務制度を導入する企業の取組を支援してまいります。

 併せて、介護休業や介護休暇といった介護と仕事の両立支援への理解が深まるよう周知を図ってまいります。

 

(2)家庭内における夫婦の役割分担につきましては、このたび、「パパの育児手帳」や新婚夫婦向けの「家事手帳」の内容を充実させ改訂を行ったところです。

 これらの手帳も活用し、男性や企業に向けたセミナーなどを通じて、男性が家事、育児、介護をすることを当たり前と捉える気運の醸成に引き続き取り組んでまいります。

 

(3)「女性活躍100人会議」につきましては、12月は奥出雲町で、今月は出雲市で開催し、子育て中の方や地域で活動しておられる方々と意見交換を行いました。

 引き続き、県内の様々な地域や企業を訪問し、家庭と仕事の両立や、職場や地域での女性活躍への課題についてのご意見を伺い、県の施策に活かしてまいります。

 

(15.保健・医療・福祉の充実)

 次に、保健・医療・福祉の充実についてであります。

 

(1)「しまね健康寿命延伸プロジェクト」につきましては、昨年9月の「健康づくりフェスティバル」において、モデル地区の住民代表の方が健康づくりに加え住民の交流につながる活動の成果を発表されました。

 今後も、健康づくりに取り組む地域の人材の育成を後押しし、取組の裾野を広げ、健康寿命の更なる延伸に取り組んでまいります。

 

(2)地域医療の確保につきましては、医療人材の確保が大きな課題であり、新たに、看護学生等を対象とした医療施設の見学ツアーの実施や、病院が行う看護職員等確保の取組を支援し、県内就業の促進を図ってまいります。

 また、特に中山間地域・離島の病院においては薬剤師の確保が難しいため、新たに島根大学医学部附属病院及び県立中央病院の協力を得て薬剤師を派遣する制度を設け、支援してまいります。

 

(3)介護の充実につきましては、中山間地域や離島において、高齢者人口が減少していく中でも必要な介護サービスが維持されるよう、サービスの再編につながる特別養護老人ホームの施設整備に対する支援を強化してまいります。

 

(4)障がい者の自立支援につきましては、障がい特性に応じたICT機器の紹介や利用など、様々な相談に対応する総合的なサービス拠点を今年4月に開設し、支援体制を強化してまいります。

 また、視覚障がい者が、必要な時に日常生活や歩行の訓練を受けることができるよう、訓練士を増員いたします。

 

(5)社会的養育の推進につきましては、今年4月から里親支援センターを開設し、里親への研修や相談対応など、里親家庭への支援体制を強化してまいります。

 

(16.教育の充実)

 次に、教育の充実についてであります。

 

(1)教育委員会におきましては、江津地域における新設校の開校に向け、準備を進めております。

 今後は、校舎整備のための測量や、女子生徒の受入れ等のための寄宿舎の改修に向けた設計、江津高校、江津工業高校の両校が合同で実施する部活動等に必要なバスの整備等を行い、円滑な開校につなげてまいります。

 

(2)宍道高校におきましては、日本語指導が必要な生徒や集団になじめないなど配慮が必要な生徒が増加していることから、リース校舎等の整備による教室不足の解消や、日本語能力に応じたきめ細かな対応をするための教員の加配を行ってまいります。

 また、中山間地域・離島の高校において開設できない科目等に対応するための遠隔授業や、多様な学習ニーズに対応するための通信教育を実施する配信拠点センターを、同校に設置する準備を進めてまいります。

 

(3)基礎学力の育成につきましては、小学校低学年段階からの学習のつまずきを把握し、学習支援につなげるための学びの基盤に関する調査を希望するすべての小中学校で実施するとともに、全国学力・学習状況調査の課題を踏まえた評価問題や授業プラン等の作成により、市町村の学力育成の取組を支援してまいります。

 

(4)幼小連携・接続につきましては、5歳児から小学校1年生までの「架け橋期」のカリキュラム作成や実践をモデル的に実施し、幼児教育施設と小学校とが教育内容や指導方法等の相互理解を深め、小学校低学年段階の教育が円滑に進むよう、市町村を支援してまいります。

 

(5)教育上の配慮が必要な子どもたちへの学びの支援につきましては、小中学校の不登校の子どもたちが増えていることから、町村部での学校以外の居場所となる教育支援センターの設置等の取組や、空き教室を活用した校内教育支援センターへの支援員の配置など、市町村の不登校対策の支援を拡充してまいります。

 学習障がいのある子どもたちに対しましては、適切な指導や支援を行うことができるよう、市町村教育委員会や各学校を対象とした研修等を実施してまいります。

 また、経済的困窮など困難な状況にある子どもたちの早期把握や課題解決のため、スクールソーシャルワーカーの配置時間の拡充や島根県社会福祉士会と連携した教職員研修の充実を図ってまいります。

 

(6)教職員の働き方改革につきましては、スクール・サポート・スタッフの小中学校への全校配置や、部活動指導員等の外部サポート人材の配置拡充等により、教職員の負担軽減を図ってまいります。

 

(17.スポーツの振興)

 次に、スポーツの振興についてであります。

 

 令和12年に開催予定の「島根かみあり国スポ・全スポ」につきましては、先般、イメージソングを募集したところ、280件の応募をいただきました。

 今後、有識者を交えた選定作業を経て、次の準備委員会総会で発表することとしており、更なる機運の醸成に取り組んでまいります。

 国民スポーツ大会に関しましては、競技力向上に向け、少年では、ジュニアアスリートの発掘・育成、強化指定高校における重点的な選手強化、成年では、ふるさと選手登録の働きかけや県内就職支援の強化等の取組を進めてまいります。

 全国障害者スポーツ大会に関しましては、競技体験会等を拡充し、大会に参加する選手の掘り起こしやチームの育成を図るとともに、大会運営に必要となる手話等の情報支援ボランティアの養成を進めてまいります。

 

(18.人権の尊重と相互理解の促進)

 次に、人権の尊重と相互理解の促進についてであります。

 

 外国人住民への支援につきましては、言葉や習慣の違いがある中、安心して暮らせる環境を整えていくことが重要であり、しまね国際センターが入居するしまね国際研修館の移転・整備を進め、外国人住民の利便性向上と、相談体制や日本語学習環境の充実を図ってまいります。

 

(19.自然、歴史・文化の保全と活用)

 次に、自然、歴史・文化の保全と活用についてであります。

 

(1)隠岐ユネスコ世界ジオパークにつきましては、引き続き、隠岐4町村等と連携し、豊かな自然環境を活用した誘客促進や、受入体制の整備等に取り組んでまいります。

 

(2)令和9年に発見500年、世界遺産登録20周年を迎える石見銀山につきましては、地元大田市と連携し、遺跡の整備や世界遺産センターの機能強化、誘客に向けた情報発信等に取り組んでまいります。

 

(3)平成27年度に日本遺産に認定された「津和野今昔~百景図を歩く~」は、今月、認定継続となった上で、他の地域のモデルとなる「重点支援地域」に選定されました。

 今後も、津和野今昔を含む県内7つの日本遺産を活用した地域活性化の支援や観光誘客に取り組んでまいります。

 

(20.生活基盤の確保)

 次に、生活基盤の確保についてであります。

 

(1)道路整備につきましては、骨格幹線道路の改良を優先的に進めるとともに、落石対策や橋梁の耐震化、老朽化対策、通学路の交通安全対策等を進め、県民の安全・安心と、快適な日常生活及び産業活動の基盤を整えてまいります。

 

(2)JRの地方路線につきましては、JR西日本から、木次線の出雲横田駅から備後落合駅間における地域の移動実態に応じた持続可能な交通体系に関して地元と相談したい旨、説明を受けており、現在、沿線自治体や広島県の意見を伺いながら対応を検討しております。

 地方路線の維持を図るためには、利用客の増加が重要であり、引き続き県内市町村と連携し、JRの利用促進に積極的に取り組んでまいります。

 

(21.環境の保全と活用)

 次に、環境の保全と活用についてであります。

 

 脱炭素社会の実現につきましては、「島根県環境総合計画」において、「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」の長期的な目標を設定し、取組を進めております。

 引き続き、産業振興や県民生活の向上に加え、地域の活性化にもつながるよう、国の施策も活用しながら再生可能エネルギーの導入や省エネ対策に取り組んでまいります。

 

(22.防災対策の推進)

 次に、防災対策の推進についてであります。

 

(1)江の川下流域の治水対策につきましては、美郷町港地区で実施されている防災集団移転は、本年3月に完了する見込みとなっております。

 また、県が実施する川本町谷地区の宅地嵩上げ工事におきましても、昨年11月から本格的に工事着手するなど、江の川全川で事業の進捗が図られています。

 引き続き、国に対して、「江の川中下流域マスタープラン」に基づく事業が早期に完成するよう働きかけ、県事業につきましても国や市町と連携を図りながら進めてまいります。

 また、昨年7月に家屋浸水被害が発生した県東部地域における浸水対策等につきまして、引き続き関係市と連携して進めてまいります。

 

(2)防災対策につきましては、ドローンによる発災初期の情報収集能力の向上のほか、簡易式トイレやマットレス等の備蓄物資の拡充など、市町村とともに避難所の生活環境の改善に取り組んでまいります。

 また、能登半島地震を踏まえた島根半島の震災対策につきましては、引き続き自衛隊等のヘリコプターによる支援を受けるための環境整備等を検討してまいります。

 

(23.原発の安全・防災対策)

 次に、原発の安全・防災対策についてであります。

 

(1)島根原発2号機につきましては、中国電力が昨年12月に原子炉を起動し、今年1月10日から営業運転を再開しております。

 県としましては、島根原発の運転が安全に行われるよう、その状況を監視してまいります。

 また、昨年10月に中国電力から安全協定に基づく事前了解のお願いがありました2号機の特定重大事故等対処施設等の設置につきましては、これまでに、安全対策協議会、原子力安全顧問、関係自治体からのご意見をお聴きしたところであり、今後、県議会のご意見をお聴きした上で、事前了解の判断を行う考えであります。

 

(2)原子力防災対策につきましては、地震災害との複合災害時における対応能力の向上を重点項目とし、昨年11月に住民避難訓練等を行い、今月、自治体等の初動対応訓練を行いました。

 これらの訓練を踏まえ、計画で定めた対策や手順の確認等を行っており、引き続き避難計画の実効性の向上に努めてまいります。

 

(24.安全な日常生活の確保)

 次に、安全な日常生活の確保についてであります。

 

(1)昨年の県内の治安情勢は、刑法犯認知件数が全国最少となりましたが、特殊詐欺等が依然として多く発生していることから、関係機関、団体との連携を強化し、犯罪被害の未然防止対策の効果的な推進に努めてまいります。

 

(2)また、交通事故死者数は9人となり、前年の22人から大きく減少し、全国最少となりましたが、死亡事故につながりかねない重傷事故は前年と同水準で推移しております。

 引き続き、関係機関、団体と連携し、高齢者や子どもを中心とした事故防止にかかる諸対策を推進してまいります。

 

(25.若者の活躍)

 次に、若者の活躍についてであります。

 

 第30回日本管楽合奏コンテスト全国大会において、浜田市立金城中学校の吹奏楽部が中学生S部門で最優秀賞と審査員特別賞を受賞されました。

 こうした若者の活躍は、私ども県民に大きな感動と喜びを与えてくれるものであり、今後も大いに活躍されることを期待しております。

 

(26.竹島問題)

 次に、竹島の問題についてであります。

 

 今月22日は、「竹島の日を定める条例」に基づく「竹島の日」であり、多くの関係の皆様にご出席いただき、記念式典を開催いたします。

 県としましては、今後も、竹島問題についての国民の理解と関心が高まるよう、式典の開催とともに、様々な啓発活動、調査研究等を更に進め、国と連携しながら、竹島問題の広報啓発に取り組んでまいります。

 

(27.「島根創生」の実現を目指して)

 おわりに、「島根創生」の実現を目指して、一言申し上げます。

 人口減少対策には、この政策に取り組めば出生数が増える、若者の流出が止まるといった特効薬は存在しないため、様々な政策を総動員し、島根で暮らしたい、働きたい、結婚したい、子育てしたいと希望する方が、安心して希望を実現できる環境
づくりを、着実に進めていくことが必要であります。

 人口減少に歯止めをかけ、愛着と誇りを持って、笑顔で暮らせる島根を次の世代へ引き継ぎたいという県民の皆様の願いを実現するため、「島根創生」に誠心誠意取り組んでまいります。

 

 引き続き、「島根創生」の取組へのご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。

 

 この後、提出いたしました予算案を含め諸議案の詳細につきましては、総務部長から説明させることといたします。

 

 何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。


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島根県 政策企画監室
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