令和6年6月定例県議会提案理由説明要旨
定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。
(1.エネルギー価格・物価高騰対策及び価格転嫁対策)
はじめに、エネルギー価格・物価高騰対策及び価格転嫁対策についてであります。
(1)社会経済活動の基盤となるガソリンなどのエネルギー価格や物価の高騰、行き過ぎた円安は、県民生活や、農林水産業、商工業、地域経済を支える地域公共交通、貨物運送事業者など、幅広い業種の事業活動に多大な影響を及ぼしています。
県としましては、引き続き県民の生活、経済活動の回復に向けて全力で取り組んでまいります。
(2)中小企業、小規模企業につきましては、国の経済対策を受け、エネルギーコスト削減や生産性向上のための設備投資を支援するとともに、商工団体の相談対応の強化や制度融資により、企業の事業継続を支援してまいります。
(3)また、物価高騰に対して賃金の伸びが追い付かず、家計は厳しさを増していますが、賃上げにあたっては、経費増加分の価格転嫁が極めて重要であり、サプライチェーンの上位に位置する大手企業に対し、地方の中小企業、小規模企業が適切に価格転嫁できる環境を整える必要があります。
このため、下請法違反に対し、国として厳正な対処を講じられるよう、3月の緊急要請に加え、先月も再度の要請や重点要望を行ったところです。
今後も、県内企業の状況を注視し、国へ必要な取組を求めてまいります。
(4)宿泊事業者等につきましては、国の助成事業を受け、事業者が地域一体となって観光拠点等を整備する場合に市町村と協調して支援を行うなど、引き続き受入環境の整備を促進してまいります。
(5)農林漁業者につきましては、省エネ・省コストの施設及び設備の導入への支援を行っております。
また、価格が高止まりしている畜産飼料については、配合飼料への県独自補填の拡充に加えて、良質な県産粗飼料の生産と利用を拡大し、飼料費を低減する取組を支援しております。
引き続き農業者、漁業者の資金繰り支援を行い、安定した経営が継続できるよう対応してまいります。
(6)高齢者福祉施設や障がい福祉施設につきましては、エネルギーコスト削減のための設備更新への支援を行っております。
また、食材価格の高騰等を踏まえ、こども食堂の運営経費等への支援を引き続き行ってまいります。
(2.「島根創生計画」の取組)
次に、「島根創生計画」についてであります。
(1)今年度は第2期計画の策定に向け検討を行う年度であります。これまで進めてきた島根創生の取組の効果検証や評価を行い、県議会のご意見を伺って、来年度から令和11年度までの新たな計画の策定に取り組むこととしているところであります。
(2)現計画の根底にある、県民一人ひとりが愛着と誇りを持って笑顔で暮らせる「島根の暮らし」を守っていく、その暮らしを次の世代に引き継いでいくことが必要であります。このため、第2期計画におきましても、「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根」を目指す将来像として描き、次期計画の策定を進めてまいります。
(3)現計画では、合計特殊出生率を2035年までに2.07とすること、人口の社会移動を2030年までに均衡を図ることを、長期の数値目標としています。次の世代にも「笑顔で暮らせる島根」を引き継いでいくためには、人口減少に歯止めをかけ、将来にわたって人口を安定させることを目指していく必要があり、引き続きこの2つを長期の目標の項目として掲げて取り組んでいく必要があると考えております。
(4)一方で、現状、合計特殊出生率については、所得の低迷、雇用の不安定化、エネルギー価格・物価の高騰等の経済的な要因等により、日本全体で、子どもを持つことをためらわざるを得ない状況が強まり、低下傾向にあります。
また、人口の社会移動については、コロナ禍を経て東京一極集中が再び加速していることなどから、全国的に社会減の傾向にあります。
このため、現計画で掲げた時期に目標を達成することは難しくなっており、現状での実績値を踏まえた上で、目標の達成時期をいずれも10年延ばし、合計特殊出生率は2045年までに2.07とすること、人口の社会移動については2040年までに均衡することに見直したいと考えております。
達成時期は遅れることとなりますが、目指す将来像を見据え、島根創生に着実に取り組んでまいります。
(3.魅力ある農林水産業づくり)
まず、魅力ある農林水産業づくりについてであります。
(1)農業につきましては、水田園芸や有機農業など、収益性の高い農業生産による産地づくりに取り組んできた結果、この4年間で水田園芸、有機農業の作付面積が、それぞれ100ha以上増加するなど、取組が着実に広がっております。
また、農林大学校を卒業した就農者数が年々増加したほか、認定新規就農者は累計で161人となりました。
引き続き、収益性が高く、安定的に担い手を確保できる農業への転換を図ってまいります。
(2)畜産につきましては、「しまね和牛」の認知度を高めるため、県内外の飲食店や観光事業者、市町村と連携してPRを行っております。
その結果、市町村のふるさと納税の返礼品として人気が高まるなど、消費者の注目度は確実に高まっていると感じております。
引き続き、しまね和牛の消費拡大に向けてPRしていくとともに、取引価格の向上など、生産現場へも効果が波及するよう取組を進めてまいります。
(3)林業につきましては、昨年の県内における原木市場の取扱量が、10年前の約1.5倍の15万5千立方メートルとなるなど、国産木材にシフトする動きが強まっております。
今後も、国内の木材需要に応えるため、高性能林業機械や林内路網の整備に加え、原木市場の機能強化や中核的な製材工場の施設整備等への支援を進めてまいります。
(4)水産業につきましては、沿岸自営漁業の就業希望者に対する研修など、自立までの一貫した支援により、昨年度は取組を開始した令和2年度以降最多となる17人が就業されました。
引き続き、漁業を目指す若者が安心して就業できるよう、研修生の受入態勢の充実や複数の漁業を組み合わせた収益性の高い操業計画の導入支援等に取り組んでまいります。
また、沿岸漁業や沖合漁業における高性能漁船の導入についても、引き続き市町村と連携し、漁業経営の安定化に向けて支援してまいります。
(4.力強い地域産業づくり)
次に、力強い地域産業づくりについてであります。
(1)観光の振興につきましては、3月に観光地域づくり法人に登録された県観光連盟と連携し、自然、文化・歴史、食といった魅力ある観光素材を組み合わせ、「ご縁も、美肌も、しまねから。」のキャッチフレーズのもと、認知度の向上を図り、誘客を進めてまいります。
(2)外国人観光客の誘致につきましては、来年に大阪・関西万博が開かれる関西圏からの誘客促進のため、観光案内所や宿泊施設等と連携した受入環境の整備やバス料金の割引等の取組を進めてまいります。
加えて、先月にチャーター便が運行されたベトナムを含め、台湾など、ターゲットとする国や地域へのプロモーションや受入環境の整備を進めてまいります。
(3)中小企業、小規模企業への支援につきましては、地域を支える事業の維持、発展を図るため、関係団体や市町村と連携し、経営力の強化や円滑な事業承継、県外での事業展開、起業、創業等を引き続き支援してまいります。
(4)海外との取引拡大につきましては、浜田港と釜山港を結ぶ国際定期コンテナ便の貨物量増加の取組を地元自治体と連携して支援することにより、寄港回数の増加につなげ、船便を利用する事業者等の利便性向上と海上輸送の切替に取り組んでまいります。
(5)一畑百貨店の閉店に伴う県内事業者への支援につきましては、今月1日から8月15日までの間、お中元商戦における県産品を取り扱うギフトセンターをくにびきメッセに設置し、県内事業者の販売機会と売上の確保を図ってまいります。
(6)物流2024年問題への対応につきましては、県内の持続可能な物流の実現を図るため、荷主や運送の事業者による物流の効率化等を支援してまいります。加えて、鳥取県と共同で境港を活用した海上輸送への切替を促進してまいります。
(7)企業立地の推進につきましては、昨年度、県外のIT企業7件を含む16件の立地認定を行い、447人の新規雇用が見込まれています。
引き続き、県内企業の再投資や県外企業の新規立地を促進し、若者にとって魅力的な雇用の場を創出してまいります。
(8)出雲村田製作所における安来市内の新工場設置につきましては、その実現に向けて、県の体制を強化し、現在地権者の意向確認や必要な調査等を進めております。
あわせて、地域での人材確保等の課題に対し、安来市とともに周辺の商工団体と意見交換するなど、丁寧に対応してまいります。
(5.結婚・出産・子育てへの支援)
次に、結婚・出産・子育てへの支援についてであります。
(1)結婚・妊娠・出産・子育てにつきましては、これまでも、「はぴこ」による結婚支援や、産前・産後の支援、放課後児童クラブの充実等に取り組んでまいりました。
今年度は、国の「こども大綱」を踏まえ、「しまねっ子すくすくプラン」、「しまね青少年プラン」及び「島根県子どものセーフティネット推進計画」を一元化して「島根県こども計画」として策定し、こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じた各種支援を一体的に進めてまいります。
(2)子育て世代への支援につきましては、来年度から、支援の拡充に県と市町村と一体となって取り組みたいという考えを2月定例県議会においてお示しし、ご了承をいただいたところです。
これを受け、今月3日に、県市長会と県町村会の代表と私の三者で行った意見交換の場において、県として来年度から医療費助成を拡充すること、また、全ての市町村で来年度から18歳に達する日以後最初の3月末までの医療費助成に取り組まれる制度となること、既に高校生の医療費助成に取り組まれている市町村ではそれぞれの団体の実情に応じた新たな子育て施策に取り組まれること、そして、今後、準備等を進めていくことを確認し、県と市町村が一体となって施策を拡充していく方針を決定しました。
来年度からの実施に向け、小学生は現在の「しまね結婚・子育て市町村交付金制度」から補助率2分の1の補助制度に引き上げ、中学生は新たに2分の1の補助制度を設けて支援するという県の医療費助成拡充の制度創設を今議会に提案しております。
引き続き子育て世代を取り巻く環境は厳しい状況にあることから、市町村と連携して、島根の子育て世代を支援してまいります。
(6.中山間地域・離島の暮らしの確保)
次に、中山間地域・離島の暮らしの確保についてであります。
(1)「小さな拠点づくり」につきましては、中山間地域・離島における251の公民館エリアのうち、154のエリアで、買い物支援や生活交通など生活機能を確保するための住民主体の実践的な活動が進められております。
また、今年度は、第5期中山間地域活性化計画の最終年度となります。昨年度実施した地域実態調査の結果や市町村の意見も踏まえ、第6期計画の策定に向けて取り組んでまいります。
(2)地域の担い手を確保する「特定地域づくり事業」につきましては、全国42道府県が共同で協議会を立ち上げ、先月、会長である鹿児島県知事と共に、財政措置の拡充等を国に要望してまいりました。
今後も、関係道府県が抱える課題の解決や支援制度の拡充に向け、一体となって国に働きかけてまいります。
(3)半島振興につきましては、昭和60年に半島振興法が制定されて以来、社会基盤の整備や産業の振興策等が講じられてきましたが、今年度末に法の期限を迎えます。
引き続き半島地域の自立的発展、地域住民の生活向上に資するよう、法の延長や制度の拡充を国に働きかけてまいります。
(7.地域振興を支えるインフラの整備)
次に、地域振興を支えるインフラの整備についてであります。
(1)山陰道につきましては、今年度、「出雲IC~出雲多伎IC間」8.9kmが、また、来年度には三隅益田道路の全区間約15kmが開通予定であり、企業活動や観光振興による地域経済の発展が期待されます。
引き続き、事業中区間の整備の推進と、一日も早い全線開通を、国に働きかけてまいります。
(2)高速道路の4車線化につきましては、山陰道「松江玉造IC~宍道JCT間」のうち、3kmが新規事業化されました。これにより、県内の優先整備区間約69kmのうち、約17kmが事業化となりました。
引き続き、残る優先整備区間の早期事業化を国に求めてまいります。
(3)国際線の誘致につきましては、ベトナム・ハノイ市のノイバイ国際空港と、出雲縁結び空港を結ぶ国際チャーター便が、先月、運航されました。
今回のチャーター便を利用して、私も経済団体の方々とともに、ベトナムの地方政府やベトナム駐在の日本の関係機関に、今後の相互の経済交流に向けた働きかけを行ったところであります。
引き続き、航空会社や旅行会社と連携し、ベトナムからのチャーター便の運航に向けた取組を進めてまいります。
(4)萩・石見空港につきましては、昨年度の東京線の利用者数が13万447人と、コロナ前の水準に戻っていない状況にあります。
東京線の2便運航を継続するため、引き続き、関係者間で密接に連携して、国の政策コンテストで掲げた利用者数の目標達成に取り組んでまいります。
また、現在、季節運航にある大阪線では、路線の維持に向けて、より安定した利用の確保に取り組んでまいります。
(8.新しい人の流れづくり)
次に、新しい人の流れづくりについてであります。
(1)高校生の県内就職につきましては、企業ガイダンスや保護者向けセミナーなどを実施した結果、今春の就職率が81.2%と前年に比べ2.3ポイント増加しました。
また、先月、島根労働局と連携して、県内企業に対し、高校生や大学生の採用枠の確保や労働条件の改善、働き方改革など魅力ある職場づくりへの取組を要請したところです。
今後も、県内企業との交流会等による学生とのつながりづくりや、企業の採用力の強化など、魅力ある企業づくりへの支援を進め、若者の県内就職を促進してまいります。
(2)Uターン、Iターンにつきましては、昨年度は3,462人と概ね前年度並みとなりました。
引き続き、仕事や生活に関する情報提供や相談対応、市町村等と連携した定着支援に取り組むほか、移住者の意識に関する調査結果も踏まえ、移住、定住を促進してまいります。
(3)関係人口の拡大につきましては、関係人口マッチング・交流サイト「しまっち!」の登録者が、この4月に1,000人を超えるなど、着実に成果が現れております。
今後も、島根での暮らしや地域づくりに関心を持つ方々への働きかけを強化し、地域の活性化や将来への移住につなげてまいります。
(9.女性活躍の推進)
次に、女性活躍の推進についてであります。
(1)昨年度、県内の事業所における育児休業取得率は、女性の92.4%に対し、男性は27.2%でありました。
3月には、育児休業について職場での理解を深めるための経営者、管理職や従業員向けの研修用動画を作成しており、企業での活用を促してまいります。
男性が主体的に家事、育児に参加して、家庭の中での役割を果たすことを当然と捉える社会の実現に向け、男性の育児休業取得への理解や、誰もが仕事と家庭を両立できる職場環境づくりを促進してまいります。
(2)「女性活躍100人会議」につきましては、今月、川本町で開催する予定としております。幅広くご意見を伺い、女性が地域や職場において自分らしくいきいきと活躍できる島根を実現してまいります。
(10.保健・医療・介護の充実)
次に、保健・医療・介護の充実についてであります。
(1)地域医療、介護の確保につきましては、住み慣れた地域で安心して暮らせる社会の実現に向け、新たな「保健医療計画」と「介護保険事業支援計画」を3月に策定いたしました。
地域の拠点病院を核とした医療の提供、地域包括ケアシステムをさらに深めるための医療、介護連携等の体制の構築に向け、関係機関や市町村と連携して取り組んでまいります。
また、今後の新興感染症に備えて、地域での感染拡大のフェーズに応じた医療を確保できるよう、医療機関と協定を締結するほか、引き続き、関係団体等と連携し、新興感染症の発生、まん延時に必要な医療提供体制の構築を進めてまいります。
(2)中山間地域・離島の医療提供体制の確保につきましては、自治医科大学出身の医師が大きな役割を担っていますが、近年志願者が減少していることから、自治医科大学が実施している入学金、授業料等の奨学金制度に加え、県において、生活費相当の修学費を貸与する奨学金制度の創設を今議会に提案しており、地域医療への志を抱く医学生への支援を強化してまいります。
(3)児童、女性の相談体制の充実、強化につきましては、この4月までに15市町で「こども家庭センター」が開設され、母子保健と児童福祉の相談支援を一体的に行う体制が整備されました。
引き続き市町村の円滑な運営を支援し、子育て世帯や子育てに困難を抱える世帯等が、安心して出産、子育てをしていただける環境づくりを進めてまいります。
(4)困難な問題を抱える女性への支援につきましては、新たに県の基本計画を3月に策定いたしました。
この計画に基づき、全ての女性が安心して、かつ、自立して暮らせるよう、県及び市町村、民間団体等の連携による包括的な相談支援体制の充実、強化に取り組んでまいります。
(5)障がい者の支援につきましては、障がいのある方が住みたい地域で充実した生活が送れるよう、「障がい者基本計画」を3月に策定いたしました。
この計画に基づき、障がいに対する県民の理解を深めるとともに、農福連携の取組など就労支援の推進、ICTの活用による情報の取得支援等により、障がいのある方の社会参加を促進してまいります。
(11.スポーツ・文化芸術の振興)
次に、スポーツ・文化芸術の振興についてであります。
(1)令和12年に開催予定の「島根かみあり国スポ・全スポ」につきましては、全スポの正式競技14のうち10競技の会場地を選定したほか、競技役員やボランティアの養成基本方針等を決定いたしました。
引き続き、競技会場地の選定や選手の育成、競技役員の養成のほか、新たに宿泊や輸送、交通計画の検討を行うなど、開催に向けた準備を着実に進めてまいります。
(2)来年度に中国地方を主会場として開催される全国高等学校総合体育大会につきましては、本県では、カヌー、フェンシング、なぎなたなどの6競技を6市町で開催いたします。
教育委員会では、大会開催に向け、県高等学校体育連盟や会場地となる市町、競技団体等で構成する実行委員会を設立し、運営計画等の策定や競技役員等の養成等の準備を進めております。
競技に参加する高校生はもとより、準備、運営に携わる全ての生徒が、大会を成功に導いた達成感を味わい、豊かな人間性や社会性を身に付けられるよう、取り組んでまいります。
(12.生活基盤の確保)
次に、生活基盤の確保についてであります。
(1)JRの地方路線につきましては、木次線の出雲横田駅から備後落合駅間に関して、JR西日本から、地域の移動実態に応じた持続可能な交通体系について、地元と相談したい旨の発言があり、先般、JR西日本山陰支社より、木次線の現状、出雲横田駅から備後落合駅間の利用状況等の説明を受けたところです。
木次線は、県民生活を支える大切な路線であると同時に、鉄道ネットワークを形成する路線であることから、今後、沿線自治体や広島県の意見を確認した上で対応を検討していく考えであります。
JRの地方路線維持のためには、利用客の増加に向けた取組を進めていくことが重要であり、引き続き、沿線自治体や関係団体と連携して、利用促進に積極的に取り組んでまいります。
(2)デジタル化の推進につきましては、県及び県内11の市町が国の交付金を活用し、防災、医療、介護、子育て支援等における課題解決や、行政手続のオンライン化に取り組むこととなりました。
県としましては、「ICT総合戦略」に基づき、市町村の取組を支援するとともに、各分野のデジタル化施策の恩恵が県民の皆様に広く行き渡るよう取り組んでまいります。
(13.防災対策の推進)
次に、防災対策の推進についてであります。
(1)江の川支川の都治川では、波積ダムの本体工事が完成し、今月から運用を開始したところです。
これにより、流域住民の皆様の安全安心な生活に寄与するものと考えております。
(2)江の川本川の治水対策につきましては、「江の川中下流域マスタープラン」に基づく事業が早期に完成するよう、引き続き、国に強く働きかけていくとともに、県が実施する江の川支川の取組につきましても、国や沿川市町と連携を図りながら進めてまいります。
また、斐伊川水系における浸水対策等につきましても、引き続き推進してまいります。
(3)住宅の耐震対策につきましては、能登半島地震において多くの住宅が倒壊し犠牲者が出たことから、居間や寝室など、滞在時間の多い部屋を耐震補強するリフォームを推進し、大規模地震時の人的被害を少しでも減らせるよう取り組んでまいります。
(4)島根原発2号機につきましては、先般、中国電力が今年8月としていた再稼働時期を12月へと延長する旨を公表したところです。
県としましては、中国電力による安全対策工事や、原子力規制委員会による使用前確認が継続中であることから、これらの状況を注視していくとともに、引き続き、避難計画の実効性の向上に取り組んでまいります。
(14.安全な日常生活の確保)
次に、安全な日常生活の確保についてであります。
(1)昨年増加に転じた刑法犯の認知件数につきましては、4月末現在、若干減少しておりますが、特殊詐欺被害は、依然として発生しており、最近ではSNSを悪用し、投資話を持ちかけ金銭をだまし取るといった手口の詐欺で高額被害が発生するなど、憂慮すべき状況にあります。
県民の皆様が各種犯罪の被害に遭わないよう、関係機関、団体と連携し、引き続き、幅広く被害防止のための啓発活動を実施してまいります。
(2)県内における交通事故の発生件数及び死傷者数につきましては、昨年の同時期に比べて減少傾向にあります。しかしながら、死者数に占める高齢者の割合は高い状況が続いているほか、前方不注意や安全不確認等を原因とした歩行者被害の事故が依然として発生しております。
来月から始まる「夏の交通事故防止運動」等を通じて、高齢者の交通事故防止等の交通安全対策を、関係機関、団体等と連携して、一層推進してまいります。
(15.若者の活躍)
次に、若者の活躍についてであります。
(1)スポーツでは、3月に開催された全国高等学校選抜卓球大会において、出雲北陵高校が男子団体で初優勝されました。
また、全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会において、石見智翠館高校が12年ぶりに準優勝されました。
さらに、4月に松江市出身でプロボクシングの三代大訓選手が、日本ライト級タイトルマッチで王座を獲得されました。
そして、先月開催された陸上のダイヤモンドリーグ第3戦において、浜田市出身の三浦龍司選手が、男子3000m障害でパリオリンピックの参加標準記録を突破し、2大会連続のオリンピック代表に内定されました。
(2)文化活動では、第69回青少年読書感想文全国コンクール小学校中学年の部において、出雲市立大津小学校の渉千尋さんが最優秀作品にあたる内閣総理大臣賞を受賞されました。
(3)こうした若者の活躍は、私ども県民に大きな感動と喜びを与えてくれるものであり、今後も大いに活躍されることを期待しております。
(16.補正予算案等)
それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案等の概要について、申し上げます。
一般会計の補正予算案については、国の補助金の内示等に伴い早急に対応すべきものについて措置し、総額4億円を増額しております。
この結果、補正後の一般会計予算の規模は、4,621億円となります。
この補正予算案のほか、予算案1件、条例案9件、一般事件案6件の計17件を提出しております。
これらの議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることといたします。
何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
お問い合わせ先
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