令和4年9月定例県議会知事提案理由説明
提案理由の説明に先立ちまして、申し上げます。
去る8月26日に、石橋大吉元衆議院議員が逝去されました。石橋先生におかれましては、昭和61年の初当選以来、衆議院農林水産委員長等の要職を歴任されるなど、4期にわたり、衆議院議員として島根県と日本の発展にご尽力いただきました。
石橋先生のご尽力、ご功績に対し、敬意と感謝の意を表しますとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
定例議会開会にあたり、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。
(1.新型コロナウイルス感染症対策の状況)
はじめに、新型コロナウイルス感染症対策の状況について申し上げます。
(1)県民の皆様には、感染症対策の徹底にご理解とご協力をいただいていることに、心から感謝を申し上げます。
また、治療に当たっておられる医療従事者の皆様にも、重ねて敬意と感謝を表する次第であります。
(2)オミクロン株のBA.5系統の流行により、全国では、7月以降、これまでを大きく超える感染拡大となりました。県でも、他の都道府県に先行して、6月下旬以降感染が急拡大しましたが、現在はピークを越え、新規感染者数は減少傾向にあります。
県では、今回の感染急拡大により、保健所や診療・検査医療機関において、これまでのような対応を行うことが困難となったため、臨時的な措置を講じることといたしました。
(3)保健所の対応につきましては、6月下旬から、保健所が行う調査の一部を本庁で応援職員が代行して実施しております。
これにより、感染者に速やかに連絡して自宅待機を要請し、感染の拡がりを抑制するとともに、健康状態の確認を行い、重症化リスクのある方を早期に医療につなげる対応に努めております。
また、施設に対する幅広のPCR検査の範囲を限定し、重症化リスクの高い方が多く利用される医療機関や社会福祉施設等に重点化して実施しております。
(4)診療・検査医療機関につきましては、同居家族等の濃厚接触者が有症状となった場合に、医師の判断により検査を行わなくとも、臨床症状で「みなし陽性」と診断することを可能とし、医療機関の負担軽減を図っております。
(5)また、学校の夏休みが終わり、2学期の開始に際し、学校での子どもたちの感染を抑えて、学習活動を守るとともに、子どもたちからの家庭内感染を防ぐことで、ご家族や事業所での感染を抑えて、社会経済活動を維持するため、県立学校の部活動の一時停止を行い、市町村等にも同様の協力要請をいたしました。
この要請にご協力いただいております児童・生徒、保護者、教職員、指導者、市町村、市町村教育委員会をはじめとする関係の皆様に、この場をお借りして、衷心により御礼を申し上げる次第であります。
(6)ワクチン接種につきましては、市町村において、希望する全ての方が接種を受けられる体制が確保されております。
また、60歳以上の方、基礎疾患を有する方や重症化リスクの高い方、医療従事者や高齢者施設等の従事者を対象に、4回目の接種が実施されております。
今後とも、市町村と連携し、接種率が低い若年層に対して働きかけるなど、4回目の接種を含めて、県民のワクチン接種を促進してまいります。
(7)県内経済の回復に向けた施策につきましては、感染急拡大により、飲食事業者や関連事業者、食材を提供する農林漁業者は一段と厳しい状況が続いていることから、「しまねプレミアム飲食券」の利用期間を1月末まで延長したところですが、今月からは、接待を伴う飲食店を対象に追加して、引き続き、落ち込んだ消費を喚起してまいります。
(8)宿泊事業者への支援につきましては、広島県と愛媛県を除く中国・四国の各県民を対象とした「再発見!あなたのしまねキャンペーン」を今月末まで延長するほか、このキャンペーンの利用者に対し、「しまねプレミアム飲食券」を上乗せして配付し、飲食消費とともに需要喚起を図ってまいります。
今後、全国を対象とした「全国旅行支援」が開始された場合には、観光施設や土産物店等で活用できるクーポン券を、県単独で特典を上乗せして発行し、地域経済の回復につなげてまいります。
(9)人の流れを呼び戻すための貸切バス等の運賃助成につきましては、依然として厳しい状況にあることから、補助率を引き下げたうえで、来月末を期限としている期間を来年3月末まで延長して、需要喚起に取り組んでまいります。
(10)このほか、感染症の状況に応じて、今後必要となる新型コロナ対策に柔軟かつ機動的に対応するため、当初予算で設定した枠予算を復元するとともに、今後に備えて、医療提供体制の確保に対応する枠予算の増額のための経費を、予算案に盛り込んでおります。
(11)県としましては、県民の皆様の命と生活を守り、県内事業者を支えるため、引き続き、全国の感染状況等を注視し、国や他の都道府県、市町村、医療機関等と緊密に連携をとりながら、感染拡大防止や医療提供体制の確保を図るとともに、飲食に関する県民の皆様への要請や感染者の急増による自粛の影響が大きく生じております飲食業、その取引先をはじめとする事業者の皆様の売上の回復や資金繰りの改善のための対策など、地域経済の回復に全力で取り組んでまいります。
(2.原油価格・物価高騰対策)
次に、原油価格・物価高騰対策について申し上げます。
(1)最近の経済情勢を見ますと、全体としては緩やかに持ち直しているものの、ウクライナ情勢の長期化等に伴う原油・原材料や物価の高騰が続いているため、国民生活や国内経済への影響が生じております。
こうした状況を踏まえ、政府の「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に基づき、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」に「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」が創設されました。
県としましては、これらの財源を活用し、農業者や県内事業者、県民生活の支援のため、追加の対策に取り組むこととしており、必要となる歳出を補正予算案に取りまとめ、今議会に提出しております。
(2)農業者への支援につきましては、5月補正予算で措置した配合飼料価格高騰対策に加え、議会からご指摘をいただいた酪農・肉牛等で使用される輸入粗飼料の高騰対策として、調整費を活用して、追加で支援することといたしました。
また、肥料価格の高騰により、秋作以降の園芸品目や令和5年産の稲作への影響が懸念されるため、国の新たな肥料価格高騰対策にあわせた負担軽減策や、飼料と堆肥の県内生産及び流通を促進する取組を実施してまいります。加えて、先般、全国で初めて国際水準GAPガイドラインに準拠していると認められた「美味しまねゴールド」を核として、販売・生産体制を強化し、県内農業者を支えてまいります。
(3)中小企業への支援につきましては、原油価格・物価高騰の影響を受けた企業で構成する団体が取り組む、経営基盤強化に資する設備投資等の取組を支援してまいります。
(4)県民生活に必要不可欠な地域公共交通につきましては、コロナ禍での利用者の減少に加え、燃料価格高騰の影響を受けているため、5月補正予算で措置した、関係市町村との協調による県内事業者への支援の対象に、タクシー事業者を追加し、事業の継続を支えてまいります。
(5)県民生活の支援につきましては、生活に困難や不安を抱える方に対して、寄り添いながら、きめ細かな支援が行われるよう、市町村等と連携し、相談支援機関の体制強化を図るほか、子ども食堂への支援等の取組を進めてまいります。
(6)さらに、先ほど述べた新型コロナ対策と同様に、状況の変化に柔軟かつ機動的に対応するため、5月補正予算で調整費として設定した枠予算を復元するための予算を提案しております。
(3.「島根創生計画」の取組)
次に、「島根創生計画」の取組について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期間に及び、一部の事業では、これまでの県外との往来自粛要請や、感染急拡大に伴う保健所業務代行等の影響を受けているものもありますが、感染状況や社会情勢を見極めつつ、人口減少など県の直面する課題解決に向けて、事業の実施時期や手法を工夫しながら、推進してまいります。
(4.魅力ある農林水産業づくり)
まず、魅力ある農林水産業づくりについて申し上げます。
(1)畜産につきましては、来月6日から、第12回全国和牛能力共進会が鹿児島県で開催されます。
県では、5年前の前回大会の結果を踏まえ、好成績が期待される出品部門に対策を重点化するなど、戦略的に候補牛を育成してきており、その成果が現れることを期待しております。
大会初日には、私も現地を訪問し、関係の皆様を激励してまいります。
(2)林業につきましては、世界的な木材需要の増大とロシア材の輸入禁止により、木材の調達が困難な中、国内の木材需要に応えるため、林業公社を中心とした県産材の増産体制を構築するなど、関連業界と連携して林業・木材産業の生産基盤の整備を進めてまいります。
(3)水産業につきましては、中山間地域の貴重な収入源になっているアユについて、関係の市町とともに新たな種苗生産施設の整備等の支援をしてきており、今年、高津川で昨年の2倍を超える天然遡上が確認されるなど、アユ資源の回復が見られます。
引き続き、県内の河川環境に適した優良種苗の生産、放流を後押しし、アユ資源の安定化を図ってまいります。
また、マダイ・イワガキ等の種苗を生産する栽培漁業センターを改修し、栽培漁業の推進による漁業者の所得向上を支援してまいります。
(5.力強い地域産業づくり)
次に、力強い地域産業づくりについて申し上げます。
(1)美肌観光の推進につきましては、先般、大手化粧品会社と連携し、県内14の温泉施設において、温泉の肌への効用分析を行い、美肌効果を6つに分類しました。
今後、分析結果を首都圏を中心としたプロモーションにも活用し、引き続き「美肌県しまね」の認知度向上と誘客促進に取り組んでまいります。
(2)隠岐ユネスコ世界ジオパークにつきましては、今月4日から、再認定に向けた現地審査が行われております。
再認定の可否については、今後、ユネスコで決定されることとなりますが、引き続き、隠岐4町村等と連携し、ジオパークを活用した誘客促進や、受入体制の整備を進めてまいります。
(3)県産品の販路拡大につきましては、日比谷しまね館における移動販売車の導入、SNS広告や、テレビ・雑誌などのメディアを活用した情報発信の強化により、認知度向上と販売促進に取り組んでまいります。
また、海外に向けては、現地企業とのビジネスマッチングを強化するため、県内の企業や製品を紹介するホームページを作成し、魅力を発信してまいります。
(4)IT産業につきましては、IT人材の育成・確保や、しまねソフト開発研究センターによる技術支援等を行っており、業界の集計によれば、県内のIT企業の従業者数は、昨年4月時点の1,636人から今年4月には1,717人に増加し、売上高も、令和2年度の約318億円から昨年度の約322億円へと、堅調に伸びております。
若者の就職の有力な受け皿として、より付加価値の高い魅力的な産業となるよう、引き続き支援してまいります。
また、デジタル技術を活用した業務改善や生産性向上に向け、県内企業が行う人材育成への支援のほか、商工団体の相談機能の充実を図ってまいります。
(5)企業立地の推進につきましては、今年度は現時点までで、5件の立地認定により、107人の新規雇用が見込まれております。
サプライチェーンの再構築や、地方への拠点分散等の動きを捉え、立地環境や優遇制度を積極的にPRし、県内企業の増設や県外企業の新規立地を促進してまいります。
(6.人材の確保・育成)
次に、人材の確保・育成について申し上げます。
島根大学の「材料エネルギー学部」につきましては、6月に40名の定員増が認められ、先月12日には、文部科学省から設置が認可されました。これにより、来年4月に、県内に初めて、学内から捻出された40名とあわせて、定員80名の工学系の学部が誕生することとなりました。
この新学部に対する県内産業界の期待は非常に大きく、また、島根創生計画の実現にも大きく寄与するものと考えております。
県としましても、高等学校の教育の充実等により、新学部を志望する子どもたちが増えるよう取り組むとともに、新学部で学んだ高度専門人材が県内に定着し、県内産業の発展に貢献いただけるよう、大学の研究開発力の強化等に向け、必要な支援を検討してまいります。
(7.結婚・出産・子育てへの支援)
次に、結婚・出産・子育てへの支援について申し上げます。
感染症の影響等により、県全体の婚姻数が減少する中、縁結びボランティア「はぴこ」や、コンピューターマッチングシステム「しまコ」を活用した昨年度の婚姻数は、過去最高の82組となりました。
また、昨年4月から「しまコ」の会員登録料を引き下げた結果、昨年度の新規登録者数は、前年度と比べ200名増加し、341名となりました。引下げの継続により、今年度の新規登録者数は、7月末時点で126名、うち女性の割合が約4割となるなど、着実に増えてきております。
今年4月からは、利便性向上や新型コロナに配慮した婚活支援として、新たに、自宅等からの閲覧やリモートでのご紹介ができるよう機能を追加し、登録者の約7割の方に利用いただいております。
引き続き、積極的なPR等により「しまコ」会員数の増加に努めるとともに、しまね縁結びサポートセンターの取組を推進するなど、結婚を望む男女の希望がかなうよう、ニーズに応じたきめ細かな支援に取り組んでまいります。
(8.中山間地域・離島の暮らしの確保)
次に、中山間地域・離島の暮らしの確保について申し上げます。
離島振興法につきましては、今年度末に期限を迎えるため、これまで国に対し、法の延長や拡充を要望してまいりました。
改正法案は、次回の臨時国会に提出される見込みと伺っており、法成立後に必要となる離島振興計画の策定に向け、現在、準備を進めているところです。
県としましては、国の動向を注視しつつ、離島の実情に沿った総合的な支援ができるよう、引き続き隠岐4町村と連携して取り組んでまいります。
(9.圏域の発展に向けた空港の利活用)
次に、圏域の発展に向けた空港の利活用について申し上げます。
出雲縁結び空港につきましては、7月に、開港以来初めて、国内LCCによる成田国際空港からのチャーター便が運航されました。これを契機として、出雲~成田線の新規路線開設に向けた誘致を、一層進めてまいります。
(10.地域振興を支えるインフラの整備)
次に、地域振興を支えるインフラの整備について申し上げます。
先月7日に、雲南市とNEXCO西日本により整備が進められていた中国横断自動車道尾道・松江線の雲南加茂スマートインターチェンジが開通しました。
高速道路の利便性の向上は、物流の効率化や企業誘致のさらなる促進など地域経済の活性化に加え、定住対策にもつながると期待されるため、山陰道の事業中区間の一日も早い開通と、未着手区間も含めた早期の全線開通に向け、引き続き国に働きかけてまいります。
(11.新しい人の流れづくり)
次に、新しい人の流れづくりについて申し上げます。
(1)Uターン・Iターンにつきましては、先月、潜在的なUターンへの意識を引き出す新たな取組として、県外在住の20代・30代の出身者に向けて、ふるさとでの暮らしについて考えるきっかけとなるよう、友人や家族がメッセージ等を送るプロジェクトを実施しました。
また、3年ぶりの対面イベントとなる「しまねとの出会いカフェ」を来週17日に大阪で、来月29日に東京で開催することとしております。
加えて、年明けには、Uターンを考えている社会人に特化した就職マッチングイベントを新たに開催し、仕事に対する希望を踏まえた県内企業との面談を行うなど、一人でも多くの若者がふるさと島根に帰り、活躍できるよう取り組んでまいります。
(2)関係人口の創出・拡大につきましては、しまね関係人口マッチング・交流サイト「しまっち!」によるマッチングを進めており、開設から約1年となる今月1日時点で、
35件、91人の方に参加登録をしていただいております。
引き続き、多くの都市部の方々に島根への関心を持っていただけるよう、関係人口セミナー等を開催するとともに、県内では、研修会等を通じて受入に向けた気運醸成を図り、交流の拡大につなげてまいります。
(3)若者の県内就職の促進につきましては、しまね産学官人材育成コンソーシアム等と連携したインターンシップ等の拡充のほか、島根県立大学において、新たに4年制となった学科を初めて卒業する学生に向けて、就職先を開拓するなどした結果、今春の県内大学生等の県内就職率は37.9%と、前年に比べ5.2ポイント増加しました。
今後も、県内企業との交流会等による学生とのつながりづくりや、企業の採用力の強化等を進め、若者の県内就職を促進してまいります。
(12.女性活躍の推進)
次に、女性活躍の推進について申し上げます。
女性の就労支援につきましては、感染症の影響を受けやすい女性の雇用が維持・確保されるよう、アドバイザーの派遣等により、女性の採用や働きやすい職場づくりに取り組む企業を支援してまいります。
(13.保健・医療・福祉の充実)
次に、保健・医療・福祉の充実について申し上げます。
(1)地域医療の確保につきましては、患者を幅広く診察する「総合診療医」を目指し、県内で研修する医師が、この研修制度が始まった平成30年度以降、今年度の5名を含めて、合計20名となりました。
県としましては、島根大学の総合診療医センターや関係医療機関と連携し、研修終了後も、県内にとどまり活躍していただけるよう取り組んでまいります。
また、在宅医療を推進するため、今年度から新たに、各医師会等に対して助言等を行う「島根県医療連携推進アドバイザー」を配置したところであり、こうした取組を通じて、各圏域の実情に応じた体制整備を促進してまいります。
(2)高齢者の活躍推進につきましては、令和2年9月から新しいカリキュラムでスタートした、新くにびき学園の第一期修了生45名に対し、7月に「わが島根づくりマイスター」の称号を授与いたしました。
地域の支え手として活躍していただけるよう、今後も、学びの場の充実や、高齢者と地域をつなぐ仕組みづくりを進めてまいります。
(3)障がい者の自立支援につきましては、障害者就労継続支援事業所において、エネルギー価格が高騰する状況にあっても工賃向上が図られるよう、省エネ設備の導入や更新を支援してまいります。
(14.自然、文化・歴史の保全と活用)
次に、自然、文化・歴史の保全と活用について申し上げます。
(1)令和9年に発見500年を迎える石見銀山につきましては、今年、世界遺産登録15周年を記念し、大田市や関係団体と連携して、様々な情報発信に取り組んでおります。
また、今月29日から11月28日まで、世界遺産センターのほか2施設で、15周年記念企画展「銀の島とゆのつ」を開催いたします。
島根県が誇る貴重な財産として、未来の世代へと継承してまいります。
(2)平成28年に日本遺産に認定された「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」は、7月に、日本遺産審査・評価委員会において、認定継続とされた上で、他の地域のモデルとなる「重点支援地域」に選定されました。
今後も、出雲國たたら風土記を含む、県内7つの日本遺産を活用した観光振興や地域の活性化が進むよう、支援してまいります。
(15.生活基盤の確保)
次に、生活基盤の確保について申し上げます。
今年4月、JR西日本は、1日1kmあたりの利用者数を表す輸送密度が2,000人を下回る区間の収支率等を公表しました。この動きに対し、私は、JR路線の維持・存続に関して、多額の国民負担を伴う国鉄改革によって発足したJR各社の地方路線については、一般の民間鉄道会社のように単純な経営判断により決める事柄ではないことや、国が主体的に関与すべき事柄であることを、様々な機会を通じて訴えてまいりました。
7月25日に取りまとめられた国の検討会の提言には、国の主体的な関与により、沿線自治体や鉄道事業者で構成される協議会を設置する枠組みを新たに創設することが盛り込まれました。
さらに、この協議会制度の対象は、輸送密度が1,000人を下回っている区間を目安とし、特急列車が設定されている区間は当面含めないことなどが示されました。
県内の路線では、木次線と益田以西の山陰本線が対象になり得ると考えられますが、現時点では、制度の詳細や具体的な運用方針は明らかにされておりません。
引き続き、国やJR西日本の動向を注視するとともに、路線維持に向けた利用客増加を目指し、沿線自治体や関係団体と連携して、利用促進に積極的に取り組んでまいります。
(16.原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。
(1)6月14日に中国電力に対し、安全協定に基づく事前了解を行った島根原発2号機につきましては、原子力規制委員会において、設計及び工事計画認可の審査、保安規定変更認可の審査が継続中であり、県としても、引き続き審査状況を注視してまいります。
(2)原子力防災対策につきましては、7月6日に、島根県、鳥取県及び中国電力の三者で、相互に連携協力を図ることを目的とした「島根原子力発電所に係る原子力防災対策に関する協力協定」を締結いたしました。
さらに、11月には、国や関係自治体等と連携した原子力防災訓練を行い、防災対策を検証するなど、引き続き、避難計画の実効性の向上に取り組んでまいります。
(17.交通安全対策)
次に、交通安全対策について申し上げます。
県内における交通事故の発生件数は、昨年と同じ水準で推移しておりますが、死者数は大幅に増加し、死者に占める高齢者の割合は、依然として高い状況が続いております。
これから日没が早まる時期を迎え、夕暮れや夜間における交通事故の増加が懸念されますので、今月21日から始まる「秋の全国交通安全運動」等を通じて、関係機関、団体と連携し、交通安全対策を一層推進してまいります。
(18.若者の活躍)
今年の夏も、スポーツや文化活動で、島根の若者の活躍が見られました。
(1)四国地区で開催された全国高等学校総合体育大会において、ホッケー男子では横田高校、カヌースプリント・女子カヤックペア500mでは出雲農林高校の三島まりあ選手、橋本寧々選手が優勝され、共に大会2連覇となる素晴らしい成績を収められました。
(2)さらに、宮城県栗原市で開催された全日本中学生ホッケー選手権大会において、奥出雲町立横田中学校男子が3大会ぶりに優勝されました。
(3)また、全国高等学校野球選手権大会に出場した浜田高校は、感染症の影響により十分な練習が行えない状況の中、佐賀県代表の有田工業高校との初戦にみごと勝利し、憧れの甲子園で、はつらつとしたプレーを見せてくれました。
(4)文化活動では、全国高等学校総合文化祭の囲碁部門の団体戦において、島根県チームが4位に入賞し、NHK杯全国高校放送コンテストのラジオドキュメント部門では、浜田高校が優秀賞を受賞するなど、優秀な成績を収められました。
(5)こうした島根の若者の活躍は、新型コロナの影響で様々な活動が制限される中でも、積み重ねてこられた努力が実を結んだものであり、県民に感動と勇気を与えてくれました。今後も、大いに活躍されることを期待しています。
(19.島根県芸術文化センター長の交代)
最後に、澄川喜一先生の島根県芸術文化センター長退任について申し上げます。
本県吉賀町出身で、島根県芸術文化センター長であった澄川喜一先生が、6月30日で、その職を退任されました。
先生には、立ち上げ準備の時からご指導いただき、平成17年4月にセンター長にご就任いただいて以来、複合施設を活用した芸術文化の発信はもとより、地域に根ざしたセンターづくりにご尽力いただきました。
先生の長年にわたるご貢献、ご功績に対しまして、県民を代表して、心より敬意と感謝を申し上げます。
先生には、名誉センター長にご就任いただいたところであり、今後も長く、センターの顔としてご功績を顕彰してまいります。
(20.補正予算案等)
それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について、申し上げます。
一般会計の補正予算案につきましては、新型コロナウイルス感染症対策及びコロナ禍における原油価格・物価高騰対策のほか、早急に対応すべきものなどについて措置し、総額372億円を増額しております。
この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,281億円となります。
この補正予算案のほか、予算案16件、条例案7件、一般事件案9件の計33件を提出しております。
これらの議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることといたします。
何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。
お問い合わせ先
政策企画監室
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 島根県 政策企画監室 電話:0852-22-6063 FAX:0852-22-6034 Eメール:seisaku-kikaku@pref.shimane.lg.jp