• 背景色 
  • 文字サイズ 

令和3年9月定例県議会知事提案理由説明

 定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.大雨及び台風による災害)

 はじめに、大雨及び台風による災害について申し上げます。

 

(1)7月からの度重なる大雨や台風により、全国各地で土砂災害等の発生が相次ぎ、死者及び行方不明者があわせて40名以上となるなど、甚大な被害が発生しました。

 県内でも、先月の台風第9号で、2名の方がお亡くなりになったほか、大雨により、各地で河川が氾濫し、住宅の浸水や、道路や農地の冠水、土砂災害の発生など、生活基盤、農林水産業、商工業等への大きな被害が発生しました。

 お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。

 

(2)県では、被災した13市町村に職員を派遣して、連絡調整のほか、公共土木施設や、農地、林地、農業用施設の被害状況に係る調査などの支援を行いました。

 

(3)また、早期の復旧・復興を図るため、被災住宅等の補修への支援や、農業者や中小企業の施設・機械・設備等の復旧や資金繰りへの支援等について、7月27日と先月30日に知事専決処分により補正予算を編成し対応しております。

 

(4)特に、先月12日からの大雨災害では、江の川下流域において、平成30年7月豪雨や令和2年7月豪雨で被災した世帯が、再び被災する事例が生じており、こうした世帯に対しては、生活再建に必要な経費の上乗せ支援を行うこととしました。

 

(5)さらに必要な対策として、大雨により被災した河川、道路、農地、林地などの復旧工事につきましては、当初予算で計上している予算を活用した上で、追加分の補正予算案を今議会に提出しております。

 

(6)国に対しては、秋の重点要望で関連予算の充実・確保と、本県への十分な配分を強く求めるとともに、全国知事会等を通じて、被災者への支援制度や防災対策の充実等を求めてまいります。

 

(2.新型コロナウイルス感染症対策)

 次に、新型コロナウイルス感染症対策の状況について申し上げます。

 

(1)県民の皆様には、感染症対策の徹底にご理解とご協力をいただいていることに、心から感謝を申し上げます。

 特に、夏休み期間中は、都道府県をまたぐ帰省や旅行を控えていただくなど、ご家族、ご親戚との触れ合いや団らんの機会を制限する、大変心苦しいお願いをすることとなりましたが、多くの皆様にご協力をいただき、重ねて感謝申し上げます。

 また、治療に当たっておられる医療従事者の皆様にも、重ねて敬意と感謝を表する次第であります。

 

(2)国内では、新たな変異ウイルスであるデルタ株の流行により、第4波を大きく超える感染拡大となり、33都道府県で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されているなど、医療のひっ迫が継続している深刻な状況であります。

 県内においても、連日新規感染者が確認され、厳しい状況が続いております。

 

(3)県では、更なる感染拡大を抑えるため、保健所に応援の職員を派遣するなど体制を強化し、これまでと同様に、積極的疫学調査を迅速かつ確実に実施し、感染拡大防止に全力で取り組んでまいります。

 

(4)PCR検査体制につきましては、保健環境科学研究所において、デルタ株等の変異ウイルスに対応した検査を実施しているほか、浜田保健所においても、新たに機器を導入し、今月から、より精度の高いPCR検査が実施できるよう、検査体制の強化を図っております。

 民間の検査機関も活用しながら、幅広く検査を実施し、感染拡大防止に努めてまいります。

 

(5)感染者の受入体制につきましては、5月に新たな病床確保計画を策定し、入院ベッドを県内の医療機関に324床確保しております。

 加えて、軽症や無症状者向けの宿泊療養施設を、7月に完成したプレハブの専用施設と、県の社会教育施設をあわせ、県全体で133室を確保しております。

 

(6)県では、感染拡大の状況を踏まえ、入院が必要な感染者が確実に入院できるよう、無症状者を含め感染者全員を入院させるという、これまでの方針を変更し、入院は、中等症以上の方や重症化リスクのある軽症者等を優先する体制に移行いたしました。

 感染者が発生した場合には、まず、医療機関において、医師の診察により入院の必要性を判断した上で、患者の症状や家庭の環境等に応じて、入院、宿泊、自宅のいずれかにより、安心して療養していただけるよう、適切に対応してまいります。

 

(7)このうち、自宅療養につきましては、医師会、医療機関、看護協会、訪問看護ステーション協会等の協力により、感染者の健康観察や相談対応を確実に行うとともに、消防本部等の協力により、救急搬送体制を確保するなど、病状の変化にも対応できるよう体制を整えてまいります。

 また、買い物など生活面で不安のある方には、食料や生活物資などの手配等の生活支援を行ってまいります。

 

(8)加えて、宿泊療養施設での療養や、社会福祉施設でクラスターが発生した場合等の施設内での療養への備えとして、患者の症状の急変時に、療養場所において胸部X線やCT撮影を行い、迅速かつ的確な診断等ができるよう、2つの検診実施機関と、必要な機器を搭載した検診車の派遣に関する協定を締結しました。

 

(9)さらに、自傷他害等の恐れがある感染症患者の入院治療に備えて、こころの医療センターの病床を改修するとともに、障がいの特性から、入院や他の施設での療養が困難な障がい者の施設内での療養に備えて、入所施設の改修に対する助成を行うこととしております。

 

(10)こうした取組により、必要な医療提供体制を維持し、状況に応じて、適切に対応できるよう備えてまいります。

 

(11)このほか、介護入所施設においては、現在、接触機会を低減するため、外部との面会が制限されておりますが、入所者が安心して家族等と面会できるよう、施設がオンラインでの面会を導入する場合の経費を支援し、生活環境の改善を図ることとしております。

(12)ワクチン接種につきましては、医療従事者や希望する65歳以上の高齢者の接種が、全市町村において、概ね完了いたしました。

 それ以外の接種については、実施主体となる市町村において、ワクチンの供給量や地域の実情等を踏まえて、順次進められているところです。

 また、ワクチン接種を効率的に進めるため、企業等における職域接種の取組も、7月から始まっております。

 引き続き、こうした取組をサポートすることにより、希望する県民全てが早期に接種できるよう努めてまいります。

 

(13)県内経済の回復に向けた施策につきましては、第3波において、飲食の場が感染の主な要因とされたことにより、売上げに深刻な影響を受けた飲食事業者に対する「飲食店等事業継続特別給付金」について、7月30日から受付を開始しております。コールセンターの設置等により申請を支援するとともに、迅速な支給に努め、事業の継続を支えてまいります。

 

(14)また、飲食店における感染症対策を一層強化するため、第三者認証制度である「島根県新型コロナ対策認証店」の申請受付を今月1日から開始したところです。

 今後は、個別訪問で対策の徹底を確認しながら、感染対策に必要な機器整備への支援とともに、認証取得を推進し、利用者に安心して飲食をしていただけるよう取り組んでまいります。

 

(15)国の「GoToEat」につきましては、4月1日から県独自で特典を上乗せし、今月末まで使える額面約42億円分の食事券を販売しておりましたが、先月1日に完売いたしました。

 来月からは、特典内容を見直した上で、額面19億5,000万円分の食事券を追加発行してまいります。

 

(16)県としましては、こうした取組により、県内消費を喚起し、飲食事業者の事業継続を支援してまいります。

 

(17)県内の地域公共交通につきましては、大都市部とは異なり、ひとたび減便や路線廃止となった場合、回復することが困難であります。

 そこで、新型コロナの影響で利用者が減少し、経営が厳しい状況にある事業者に対して、昨年度と同様に、市町村とともに運行経費を助成するなど、事業の維持、継続を支えてまいります。

 

(18)中小企業・小規模企業の支援につきましては、感染症の影響により売上げが落ち込んだ事業者等が、新分野への進出や新商品開発など、収益力を高めるための前向きな投資を行う場合に、経費の助成を行うこととし、収益力向上の取組を支援してまいります。

 

(19)県民生活への支援につきましては、感染症の長期化により、休業や失業等で収入が減少した生活困窮世帯等に対し、生活保護を含めた必要な支援が行き届くよう、市町村や社会福祉協議会等と連携し、きめ細かな対応に努めてまいります。

 加えて、非正規雇用など不安定な雇用環境にある女性をはじめ、困難や不安を抱える女性に寄り添った支援を行うため、民間団体と連携し、県内8地域で相談会や交流会を実施するほか、生理用品の配布を通して、支援が必要な方が相談しやすい環境づくりを進めてまいります。

 

(20)このほか、感染症の状況に応じて、今後必要となる新型コロナ対策に柔軟かつ機動的に対応するため、当初予算で設定した枠予算を復元するとともに、今後に備えて増額するための経費を、予算案に盛り込んでおります。

 

(21)県としましては、引き続き、県民の皆様の命と生活や、県内事業者を守るため、国や他の都道府県、市町村、医療機関などと緊密に連携を取りながら、感染拡大防止、医療提供体制の強化、地域経済の回復、県民生活の支援など、事態の収束に向けて全力で取り組んでまいります。

 

(3.「島根創生計画」の取組)

 次に、「島根創生計画」の取組について申し上げます。

 

 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない現状においては、感染症対策に全力で取り組むと同時に、県が直面する人口減少対策等の課題解決に向けて、手法を工夫しながら「島根創生計画」の取組を着実に進めてまいります。

 

(4.魅力ある農林水産業づくり)

 まず、魅力ある農林水産業づくりについて申し上げます。

 

(1)農業につきましては、県の基幹作物である米について、近年の消費の減少に加え、新型コロナの影響により業務用需要等が落ち込み、全国的に在庫量が増加したことから、令和3年産米の価格が下落しております。

 県としましては、農業経営を継続、安定させるために、JAや生産者組織等が行う販売強化対策等を支援するとともに、国に対し、米の需給改善と価格の安定に向けた対策を講じるよう働きかけてまいります。

 また、昨年度創設した「産地創生事業」について、新たに、放牧を活用した子牛生産の拡大、県オリジナルのアジサイを核にした鉢花生産の拡大、首都圏展開に向けたワサビ生産体制の確立、高級料理店など多様な販路確保による山菜産地の拡大という4つの計画を採択しました。

 地域の資源や強みを活かし、生産拡大や新たな担い手の確保に向けた取組を支援してまいります。

 

(2)林業につきましては、感染症の影響で、全国的に輸入木材が不足し、代替としての国産材製品の引合いが強まり、県内の市場においても、4月以降、原木価格が上昇しております。

 県産木材の需要の高まりは、森林所有者の伐採意欲の増進や、新たな販路獲得等が期待できる好機であります。

 この機を捉え、関係業界と緊密に連携を図り、原木生産のコスト低減や、担い手確保、原木市場の機能強化の取組を一層推進し、生産から消費に至るまで木材が円滑に流通する体制を構築することで、県が推進する循環型林業がさらに拡大していくよう取り組んでまいります。

 

(3)水産業につきましては、意欲のある沿岸自営漁業者が漁獲量を増やすため、新漁法の導入などに取り組めるよう、操業モデルの作成を支援しております。

 この取組を全県に展開し、沿岸自営漁業者の所得向上を進めてまいります。

 

(4)感染症の影響により、主に県外向けに出荷される農林水産物については、需要や価格の落ち込みが続いているため、生産者と小売店等の流通事業者が連携して実施する販売促進等の取組を支援し、県産の農林水産物の県内での消費拡大を図ってまいります。

 

(5.力強い地域産業づくり)

 次に、力強い地域産業づくりについて申し上げます。

 

(1)ものづくり産業においては、自動車の電動化や工場の省エネ投資等を通じてCO2を削減する「カーボンニュートラル」を進める動きが世界的に加速しております。

 県内企業がこの流れに遅れないよう、市場や技術動向の変化、県内産業への影響等を調査し、結果を情報提供するなど、企業の取組を促すこととしております。


(2)企業のデジタル化につきましては、新型コロナを契機として、デジタル技術の大きな進展が予想される中で、中小企業においても、新しい技術の導入が求められています。

 そのため、デジタル化の効果を体験・実証できる場や、サポートするIT企業とのマッチングの場を設けるとともに、デジタル人材の育成に取り組み、県内産業の生産性向上や新サービス創出を促進してまいります。

 

(3)浜田港の国際定期コンテナ航路につきましては、運賃の高騰が続いているため、引き続き、地元自治体とともに船便利用の負担軽減を図ってまいります。

 そのほか、石見地域において、畜産業、鋳物産業等の新たな貨物を掘り起こすなど、寄港回数の増加につながる取組を進め、船便を利用する事業者の利便性向上に取り組んでまいります。

 

(4)観光の振興につきましては、県民を対象とした「再発見!あなたのしまねキャンペーン」について、実施期間を12月末まで延長することとしておりますが、現在、感染の拡大に伴い、一時休止しております。

 今後、感染状況を見極めながら、事業の再開を検討してまいります。

 加えて、落ち込んだ観光需要を下支えするため、旅行会社及び県内交通事業者と連携し、新型コロナの感染状況を見ながら、山陽方面や、仙台、名古屋等のFDA就航地をターゲットに、冬季の誘客対策に取り組むこととしております。

 

(5)JR木次線につきましては、トロッコ列車「奥出雲おろち号」の運行継続と木次線沿線における観光振興のあり方等について意見交換を行うため、先月、JR西日本米子支社、関係自治体による「木次線観光列車運行検討会」を設置しました。

 今後は、検討会での議論を重ね、地元の皆様の理解が得られるよう、一つ一つ課題の整理を進めてまいります。

 

(6)企業立地の推進につきましては、今年度は現時点で6件の立地認定により、87人の新規雇用が見込まれております。

 新型コロナを契機として、サプライチェーンの再構築やBCP(業務継続計画)の観点から、企業の拠点整備の動きが見られるため、県内外の企業に対して、立地環境や優遇制度を積極的にPRし、県内企業の増設や県外企業の新規立地を促進してまいります。

 

(6.結婚・出産・子育てへの支援)

 次に、結婚・出産・子育てへの支援について申し上げます。

 

(1)結婚支援につきましては、感染症の影響により、対面での相談やお見合い等が難しくなっているため、コンピューターマッチングシステム「しまコ」の機能を拡充し、オンラインにより自宅等から利用できるよう、利便性を高めることとしております。

 今後も、結婚を望む男女の希望がかなうよう、縁結びボランティア「はぴこ」の活動への支援とともに、ニーズに応じたきめ細かな支援に取り組んでまいります。

(2)妊娠・出産支援につきましては、これまで実施してきた不妊治療の費用助成に加え、国の制度を活用し、先月から、流産等を繰り返す不育症検査に対する助成と、がん治療等により生殖機能に影響を受ける方が、卵子、精子などを保存し、将来子どもを授かる可能性を残す「妊孕性温存療法」への助成を新たに開始いたしました。

 今後も、子どもを産み育てたいと希望する方々が安心して治療に臨めるよう、一層の支援を行ってまいります。

 

(3)放課後児童クラブにつきましては、利用時間の延長や、待機児童の解消、放課後児童支援員の確保のための取組等を進めております。

 7月からは、浜田市の20クラブ全てで、夏休みなど長期休業中の開所時間が7時30分に前倒しされるなど、着実に成果が現れております。

 今後も、市町村と連携・協力しながら、放課後児童クラブの更なる充実に向けて取り組んでまいります。

 

(7.中山間地域・離島の暮らしの確保)

 次に、中山間地域・離島の暮らしの確保について申し上げます。

 

 離島振興につきましては、有人国境離島法に基づく国の交付金を活用し、航路・航空路の運賃低廉化や、農水産品の輸送コストの軽減等の支援に取り組んでおります。

 こうした中、7月には、更なる支援制度の拡充に向けて、8つの関係都道県による協議会として、初めての要望活動を行いました。

 また、今年度末に予定している新たな県計画の策定にあたりましては、県議会をはじめとする県民の皆様、隠岐4町村、関係団体等のご意見を十分にお聞きしながら進めてまいります。

 

(8.新しい人の流れづくり)

 次に、新しい人の流れづくりについて申し上げます。

 

(1)Uターン・Iターンにつきましては、コロナ禍においても必要な情報が提供できるよう、ふるさと島根定住財団の移住支援情報ポータルサイト「くらしまねっと」にオンライン相談の機能を追加するほか、昨年度に続いて、オンラインによるイベント「しまね移住ワンダーランド」を、来月開催する予定であります。

 また、将来、島根での暮らしを考えていただけるよう、今月から、三大都市圏の若者をターゲットに「いいけん、島根県」の広告プロモーションを開始し、県内に向けては、中高生とその親世代に向けて、島根の暮らしを描いたドラマを制作し、来月からテレビ放送やインターネットで動画配信を行うなど、県内外への情報発信を強化してまいります。

 

(2)関係人口の創出・拡大につきましては、今年度から新たに専修大学と協定を締結し、今月30日から、島根の現状や地域課題を学ぶ連続講座を、大学内に開講することとしております。

 また、来月には、「しまね関係人口マッチング・交流サイト」を開設し、島根と関わりたいと希望する人に交流機会を提供することにより、関係人口の拡大を図ってまいります。

 

(3)県内就職の促進につきましては、本県からの進学者が多い広島県等の中国地方や、進学・就職による社会減が大きい傾向にある女性に対して、重点的に対策を行う必要があります。

 このため、広島事務所に配置している学生就職アドバイザーを2名増員し、個別相談を充実させるとともに、女子学生を対象に、中国地方等の大学を巡回して企業情報を提供するなど、県内就職の促進に向けた取組を強化してまいります。

 

(9.女性活躍の推進)

 次に、女性活躍の推進について申し上げます。

 

 女性の就労支援につきましては、長引く感染症の影響により、全国的に女性の就業者が多いサービス業等が影響を受ける中、県内では、松江市と浜田市に設置している女性のためのワンストップの就職相談窓口において、就職相談が増加しております。このため、相談員を1名ずつ増員するなどして、相談体制を強化することとしております。

 相談者のニーズに沿った就労につながるよう、きめ細かな支援を行ってまいります。

 

(10.保健・医療・福祉の充実)

 次に、保健・医療・福祉の充実について申し上げます。


(1)地域医療の確保につきましては、特に診療科が限られる中山間地域・離島において、患者を幅広く診察する「総合診療医」の必要性が高まっております。

 こうした中、島根大学医学部附属病院に昨年度設置された「総合診療医センター」においては、隠岐島前病院で「総合診療医」として離島診療に携わってきた白石吉彦医師が、今年度からセンター長に就任し、地域の医療機関で総合診療を実践している医師のネットワークが形成されるなど、体制が整ったところです。

 センターでは、このネットワークを通じて、学生や若手医師に直接指導を行うなど、「総合診療医」を養成する取組が進んでおります。

 県としましても、大学や、医療機関、市町村等の関係機関と連携して、地域で必要な医師が確実に増えるよう取り組んでまいります。

 

(2)「しまね健康寿命延伸プロジェクト」につきましては、各圏域のモデル地区における健康調査等を終え、今後は、判明した健康課題の解決に向け、市町村や住民とともに、減塩や野菜摂取量の増加、運動の促進等の具体的な取組を、地域の実情に応じて進めてまいります。

 また、昨年度から毎年9月を「しまね☆健康づくりチャレンジ月間」と定めており、働き盛り世代が、自ら健康づくりに取り組めるよう、労働関係機関や保険者等と連携して取組を支援しております。

 こうした働き盛り世代の健康づくりなどの取組を一層進め、健康寿命の延伸を図ってまいります。

 

(3)障がい者の自立支援につきましては、障害者就労継続支援事業所において、コロナ禍で生産活動が停滞する中にあっても工賃向上が図られるよう、作業室等の環境整備を支援することとしております。

 

(11.教育の充実)

 次に、教育の充実について申し上げます。

(1)県立高校におきましては、しまね教育魅力化ビジョンに基づき、魅力と特色ある学校づくりを目指して、「目指す学校像」、「育てたい生徒像」、「求める生徒像」を明確にした「グランドデザイン」を先月末に公表いたしました。

 今後は、各校がそれぞれの「グランドデザイン」に基づき、生徒・保護者・地域が一体となって教育活動を推進し、生徒が自らの将来を主体的に描くことができる学校となるよう取り組んでまいります。

 

(2)また、県内の学校において、ICTを活用した教育を推進するため、必要な環境整備を進めております。

 民間のアドバイザーによる実践的な研修等により、教員の指導力向上に引き続き取り組むほか、県立学校におけるWiーFi環境の整備について、既に整備した普通教室に加え、理科室等の特別教室や寄宿舎へ行ってまいります。

 

(12.多文化共生)

 次に、多文化共生について申し上げます。

 

 出雲市などにおいて、県内での就業を希望される県内在住の外国人が増加しているため、今月下旬から、就業に必要な日本語やビジネスマナー・ビジネススキルを学ぶ職業訓練コースを東部高等技術校に開講し、定住外国人の県内就業を支援してまいります。

 

(13.生活基盤の確保)

 次に、生活基盤の確保について申し上げます。

 

 県内の鉄道につきましては、JR西日本が、感染症の影響に伴う鉄道利用者の減少等を踏まえて、来月2日から、山陰線等を対象とした運行本数の大幅な削減を発表しました。来春にも更なる見直しを予定していることから、県民生活や地域経済への影響が懸念されております。

 そこで、先月5日に、県と沿線市町等で構成する協議会として、JR西日本米子支社に対し、感染症収束後の復便などダイヤ改正に係る要望を行いました。

 また、先月2日には、中国5県の知事が発起人となり、同様の状況にある18道県の知事とともに、国土交通大臣に対して、地方の鉄道ネットワークを守るための緊急提言を行っております。

 引き続き、地方における鉄道ネットワークが維持されるよう、他の都道府県や沿線の自治体と連携し、JRや国に対して、強く働きかけてまいります。

 

(14.交通安全対策)

 次に、交通安全対策について申し上げます。

 

 県内における交通事故の発生件数や負傷者数は、11年連続で減少していますが、交通事故死者数に占める高齢者の割合は高い状況が続いております。

 7月に策定した「第11次島根県交通安全計画」に基づき、今月21日から始まる「秋の全国交通安全運動」などを通じて、関係機関や団体等と連携し、高齢者や子どもの事故防止を重点とした各種対策を一層推進してまいります。

 

(15.若者の活躍)

 今年の夏も、スポーツや文化活動で島根の若者の活躍が見られました。

 

(1)東京オリンピックには、島根県ゆかりのテニスの錦織圭選手、ホッケーの錦織えみ選手、膳棚大剛選手、田中世蓮選手、落合大将選手、山崎晃嗣選手、福田健太郎選手、ラグビーの大谷芽生選手、原わか花選手、黒木理帆選手、陸上競技男子3000メートル障害の三浦龍司選手、バスケットボールの金丸晃輔選手が、また、東京パラリンピックには、車いすテニスの三木拓也選手が出場し、活躍されました。

 中でも、三浦龍司選手は、同種目で日本人として初めて7位入賞の快挙を成し遂げられました。


(2)さらに、全国高等学校総合体育大会において、ホッケー男子では横田高校、カヌースプリント・女子カヤックペア500mでは出雲農林高校の三島まりあ選手、橋本寧々選手、カヌースプリント・男子カヤックフォア200mでは島根中央高校の小鑓亮太選手、斎藤哲一選手、大見省吾選手、行田朋晃選手が優勝、全国中学校体育大会において、軟式野球の大田市立第二中学校が優勝するなど、多くの中学生や高校生が全国の舞台で活躍されました。

 文化分野では、全国高等学校総合文化祭において、浜田商業高校が、郷土芸能の伝承芸能部門で、2位に当たる優秀賞・文化庁長官賞を受賞するなど、優秀な成績を収められました。

(3)こうした島根の若者の活躍は、感染症の影響で様々な活動が制限される中でも、積み重ねてこられた努力が実を結んだものであり、県民に感動と勇気を与えてくれました。今後も、大いに活躍されることを期待しています。

 

(16.原発の安全・防災対策)

 最後に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)島根原発2号機につきましては、原子力規制委員会において新規制基準に適合するかどうかの最終的な決定をするために必要な手続きが行われており、県としては、引き続き状況を注視してまいります。

 

(2)原子力防災対策につきましては、島根地域全体の避難計画である「緊急時対応」が、7月30日、島根・鳥取両県や、国の関係府省庁等で構成する「島根地域原子力防災協議会」において、具体的かつ合理的であると確認されました。

 その後、内閣総理大臣を議長とする「原子力防災会議」が一昨日に開催され、その確認結果が了承されたところです。

 
(3)島根原発2号機の再稼動につきましては、原子力規制委員会の設置変更許可の後、国から安全性や再稼動の必要性、住民の避難対策等について十分な説明を受けた上で、県議会をはじめ、住民の方々も参加する安全対策協議会や原子力の専門家である原子力安全顧問、関係自治体等の意見をよく伺った上で、総合的に判断していく考えであります。

 

(17.補正予算案等)

 それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について、申し上げます。

 

 一般会計の補正予算案は2件あります。

 1件は、補正予算案第5号であり、新型コロナウイルス感染症対策として緊急に対応すべきものについて措置し、総額51億円を増額しております。

 

 この補正予算案第5号につきましては、緊急に対応できるよう、速やかなご審議を賜りますようお願いいたします。

 

 もう1件は、補正予算案第6号であり、新型コロナウイルス感染症対策及び7月、8月の大雨・台風による被害対策のほか、早急に対応すべきものなどについて措置し、総額457億円を増額しております。

 

 これらの結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,274億円となります。

 

 これら2件の補正予算案のほか、予算案16件、条例案5件、一般事件案19件の計42件を提出しております。

 

 これらの議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることといたします。

 

 何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

 


お問い合わせ先

政策企画監室

〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
島根県 政策企画監室
電話:0852-22-6063
FAX:0852-22-6034
Eメール:seisaku-kikaku@pref.shimane.lg.jp