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平成30年11月定例県議会知事提案理由説明要旨

定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.最近の経済情勢)
まず、経済動向について申し上げさせていただきます。

 

日本経済の動向を見ますと、景気は緩やかに回復しておりますが、海外経済の不確実性や金融市場の変動の影響によく注意する必要があります。

 

県内経済につきましては、企業の生産活動など総じて持ち直しの動きが続いておりますが、人手不足による影響などが懸念されますので、県としましては、引き続き内外の情勢をよく注視し、適宜、必要な対応を行ってまいります。

 

(2.豪雨災害への対応状況)
次に、7月に発生した豪雨災害への対応状況について申し上げます。

 

(1)特に被害が大きかった江の川下流の治水対策につきましては、江津市松川町八神地区において、国の緊急的な堤防整備が実施されることとなりました。
江の川のそのほかの地区の治水対策につきましては、今月7日に、早期の実施を国に要望してまいりました。

今後も、様々な機会を通じまして、強く働きかけてまいります。

 

(2)また、県の事業では、八戸川の堤防嵩上げなどの改修工事を、江津市桜江町の川戸地区から小田地区の約1キロメートルの区間で実施することとしております。

 

(3)このほか、被災した道路、河川などの公共土木施設、農地、農業用施設、林道などの災害復旧につきましては、年内に国の災害査定を終了し、順次、工事に着手してまいります。

 

(3.産業振興)
次に、産業振興について申し上げます。

 

(1)観光につきましては、JR西日本や中国各県と連携して8月から実施しております「がんばろう!西日本」キャンペーンを来春まで延長し、観光PRや旅行商品の造成支援などを行ってまいります。

また、国が復興支援のために創設した補助制度を活用した宿泊費助成の期間を1月まで延長するなど、閑散期となる冬季の観光誘客を強化してまいります。
 
(2)「ご縁の国しまね」プロモーションにつきましては、「ご縁フルエンサー」である俳優の玉木宏さんに、出雲、石見、隠岐それぞれの地域にお越しいただきまして撮影した映像を、インターネットなどで公開をしております。

 

(3)「しまねの自然公園満喫プロジェクト」につきましては、島根半島の東・西部、三瓶山地域の協議会や、隠岐世界ジオパークの活動と連携して、遊歩道等の整備を進めるとともに、国内外の旅行会社に、島根の魅力を活用した体験プログラムの提案などを行っております。

今後も、多くの来訪者の方々に島根の自然や歴史・文化の魅力を体験していただけるよう取り組んでまいります。

 

(4)ものづくり産業につきましては、魅力ある大学づくりと地域の中核的な産業振興を一体的に推進するために、国が新たに設けた交付金事業に申請し、先月、採択されました。

 

この事業計画では、島根大学に研究所を設置し、また、海外からトップレベルの研究者を招いて、県内企業との先端技術の共同研究開発や、地域産業が求める高度専門人材の育成などに取り組むこととしております。

これらを通じて「先端金属素材の聖地『島根』」を創出し、県内全域に広がる関連産業への波及を目指します。

 

県としましては、島根大学、松江高専、県内企業、金融機関との連携を一層深め、若者にとって魅力的な教育環境と雇用機会の創出を図り、地元定着と県外からのひとの流れを促進するよう取り組んでまいります。

 

(5)IT産業の振興につきましては、Rubyによる優れたビジネス事例を表彰する「Rubybizグランプリ」に、全国から過去最多の40事業の応募があり、来月、東京で表彰式を行います。

IT業界の調査によりますと、昨年度、県内事業者のRubyを使った売上は、過去最高となったとのことであり、この表彰を通じて、県内のITビジネスがさらに拡大するよう、IT企業のサービス開発や人材確保を支援してまいります。

 

(6)企業誘致につきましては、先月末には東京で企業立地セミナーを開催し、約110社、150人の方々にご参加いただきました。

 

このセミナーでは、島根県に立地した企業から、地方に拠点を置く優位性や、自治体の支援が手厚い島根ならではの立地環境を紹介いただき、首都圏の企業にアピールを行いました。

今後も引き続き、県内の視察など、誘致の働きかけを行ってまいります。

 

(7)県内企業における人材確保につきましては、学生と県内企業との情報交換を今月から来月にかけて行い、県外では就職支援協定を締結している大学3か所を会場にし、また、県内ではくにびきメッセを会場に開催し、若年者の県内就職を促進してまいります。

 

(4.農林水産業の振興)
次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 

(1)農業につきましては、国において、宍道湖西岸地区に、新たに県内最大級のほ場を整備する事業が着手されました。
この事業によって、担い手への農地集積やほ場の大区画化、排水改良による乾田化により、優良農地の確保が図られます。

県としましては、国と連携して、ブロッコリーや小豆などの栽培を支援し、このほ場をモデルとして、収益性の高い島根の農業の実現を目指してまいります。

 

(2)林業につきましては、県が今年度創設しました「島根林業魅力向上プログラム」に、これまでに43の事業体が登録しており、その就業者数は県全体の8割を超えております。

県としましては、登録する事業体が取り組む経営体質の強化や、島根県独自の「しまね林業士制度」を活用した処遇や就労環境の改善を支援し、若者や女性就業者等の確保・育成につながるよう取り組んでまいります。

 

(3)水産業につきましては、浜田の沖合底びき網漁業において、漁獲物の鮮度の良さを売りにしたブランド「沖獲れ一番」の浸透に努めており、8月中旬から始まった今期の漁においても、イカやカレイなどが順調に水揚げされております。

また、「漁船リース事業」を活用して、今年度から、定置網漁業を担う5つの事業体が、燃費や作業性能等に優れた高性能漁船を導入しております。

 

引き続き、こうした漁獲物の高付加価値化の取組みや漁業の収益性の向上の取組みを通じて、漁業・漁村の活力再生を図ってまいります。

 

(5.結婚支援)
次に、結婚支援について申し上げます。

 

来月から、新たに、相談者自らコンピューターを利用して相手探しができるシステムを運用することとし、現在、利用を希望する方の登録を行っております。

このシステムは、鳥取県と連携して運用するもので、こうした共同のシステムは全国で初めてであります。

相談者の幅広いニーズに応じて出会いの機会を増やすことにより、結婚したいという希望がかなうよう、取組みを進めてまいります。

 

(6.女性の活躍)
次に、女性の活躍について申し上げます。

 

現在、大学生のグループが、県内の企業でいきいきと働いている女性を取材し、企業の魅力を伝える冊子の作成を行っております。
この作成を通じて、学生にとっては、女性が働きやすい職場環境づくりに取り組む県内企業に関心を持つきっかけとなり、企業にとっては、学生が魅力を感じる働き方を知る機会ともなります。

こうした取組みを通じて、引き続き、女性活躍の推進に向けた県内の機運を高めてまいります。

 

(7.中山間地域・離島対策と移住・定住対策)
次に、中山間地域・離島対策と移住・定住対策について申し上げます。

 

(1)中山間地域対策につきましては、現在、県内全ての中山間地域の集落を対象に、地域ごとの課題や住民活動の実態、商店など生活に必要なサービスの確保状況を調査しております。

今後、この調査結果を分析し、市町村と共有して、全ての地域で「小さな拠点づくり」への住民の理解と協力を得られるよう、粘り強く取り組んでまいります。

 

(2)離島対策につきましては、有人国境離島法に基づく施策の効果や課題を把握するために実態調査を行い、その分析を進めております。

この結果を、隠岐4町村や商工団体等にもお示しし、今後、どのような対策や支援の拡充が必要なのかといったご意見もお聞きしながら、それぞれの施策の効果の検証と、国への要望に活かしてまいります。

 

(3)隠岐航路につきましては、隠岐汽船から、隠岐広域連合に対して、燃料油価格の高騰を理由に、来年1月からの運賃改定の申請があり、隠岐広域連合は、隠岐汽船の経営改善に向けたさらなる取組みが不可欠であるなどの意見を附した上で、この運賃改定を承認しております。

県としましては、引き続き、隠岐4町村や隠岐汽船をはじめ関係者と連携し、隠岐航路の維持のための安定的な運営、隠岐地域の活性化や観光誘客に向け、取り組んでまいります。

 

(4)移住・定住対策につきましては、先月、2日間に拡充して開催いたしました「しまねUターン・Iターンフェア東京会場」に、昨年度より400人多い、1,300人が来場されました。

引き続き、ふるさと島根定住財団や市町村と連携して、UIターン希望者の相談体制を充実するとともに、移住後の定着率の向上につながるよう取り組んでまいります。

 

(8.社会基盤の整備)
次に、社会基盤の整備について申し上げます。

 

(1)浜田港につきましては、コンテナ荷役の時間短縮と船舶の大型化に対応するため、平成28年度から進めてきたコンテナ専用の大型クレーンの福井ふ頭への設置が、9月に完了しました。

今後、電気関係の工事や試験運転等を順次実施し、本年度中に運用を開始する予定であります。

 

(2)萩・石見空港の東京線につきましては、4月から10月までの利用者数は、8万8,000人余と過去最高となりました。

引き続き、企業誘致、定住促進の取組みや、経済・教育分野での都市間交流の活性化などにより、安定した需要の創出を図ってまいります。

また、閑散期の団体向け旅行商品の造成支援や、個人観光客に向けた情報発信を強化してまいります。

 

(9.地域医療の充実)
次に、地域医療の充実について申し上げます。

 

来年度、県内の医療機関で初期臨床研修を行う研修医の内定者数は、64名で過去最高となり、今後の若手医師の増加が期待されます。

これは、しまね地域医療支援センターを中心として、医療機関、大学、医師会、市町村など県内の関係機関が、研修プログラムのPRや、受入体制の充実、地域実習の実施、医学生との継続的な交流など、一体となって取り組んできた結果であり、引き続き、これらの関係機関と連携して、若手医師の県内定着に取り組んでまいります。

 

(10.教育の充実)
次に、教育の充実について申し上げます。

 

現在、今後概ね10年間の高校教育の方向性を示す「県立高校魅力化ビジョン」の策定に向け、素案に対するご意見をお聞きする広聴会を県内5か所で開催し、パブリックコメントも実施しております。

県民の方々の様々なご意見を参考にしながら、島根らしい魅力ある高校づくりの実現に取り組んでまいります。

 

(11.原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)島根原発2号機及び3号機につきましては、原子力規制委員会で審査が継続中であり、県としましても、引き続き、審査状況を注視しております。

(2)次に、原発の防災対策につきましては、先月、国、自治体などの関係者が連携して、複合型災害を想定して、県外への避難などを行う原子力防災訓練を実施しました。

引き続き、国、島根・鳥取両県、原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、万が一に備えた避難計画の実効性向上などに向け、検討を進めてまいります。

 

(12.交通安全対策)
次に、交通安全対策について申し上げます。

 

本年の交通事故死者数は、昨年と比べて増加傾向にあり、また、年末に向けて、飲酒機会の増加などにより交通事故が増えることが懸念されます。

このため、来月11日から始まる「年末の交通事故防止運動」において、関係機関や民間団体等と連携して取組みを強化してまいります。

 

(13.竹島問題)
次に、竹島問題について申し上げます。

 

今週21日に、国会内の超党派による領土議連と島根県民会議の共催により、4回目の「竹島問題の早期解決を求める東京集会」が、多くの関係者の方々の参加のもとに開催されます。

これを契機に、国政の場で、竹島領土権の確立に向けた動きが加速するよう期待しております。

県としましても、議会とともに竹島問題の解決に向けて、今後も粘り強く取り組んでまいります。

 

(14.補正予算など提出議案)
それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

一般会計の補正予算案につきましては、7月豪雨で被災した農業用施設の復旧支援などについて措置し、総額1億9,000万円を増額しております。
この結果、補正後の一般会計予算の規模は、4,628億円となります。

 

この補正予算案のほか、予算案4件、条例案4件、一般事件案2件の計11件を提出しております。

これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。
何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げます。

 

(追加の発言)

次に、最後になりますが、来春の知事選挙について、一言申し述べさせていただきたいと存じます。

 

(1)私は、平成十九年四月に知事に就任して以来、「活力ある島根」を目指し、これまで三期十一年半にわたり島根の発展のために、全力をあげて取り組んでまいりました。

 

(2)この間、議員各位をはじめ多くの県民の方々の力強いご支援、ご協力をいただき、心より感謝を申し上げます。

 

(3)振り返ってみますと、私が知事に就任した当時は、県財政は単年度で二百億円台後半の収支不足が見込まれ、二、三年後には県の基金が枯渇するという大変厳しい状況にありました。

 

(4)そのため、県財政の健全化を進めながら、観光振興、企業誘致、農林水産業の振興などの産業振興等に取り組んでまいりました。

 

(5)こうした取組みにより、県財政は平成二十九年度において収支均衡を達成し、また、観光振興では、「神話博しまね」や「出雲大社の大遷宮」を契機として、島根が有する豊かな自然や古き良き文化、歴史などが県内外の人々によく知られるようになり、多くの方々に島根にお越しいただけるようになっております。

 

(6)そして、立地環境の優れた島根に進出する企業や、自然が豊かで温かな地域社会が残る島根で農林漁業などに従事したいという若者も増えております。

 

(7)また、島根の人口減少対策として、島根で子どもを生み育てられるよう、各種の施策を講じてまいりました。

 

(8)こうした県の取組みは、県内の皆様方のご理解とご協力により、一定の成果を上げてきております。

 

(9)また、私は知事として島根で生活する中で、日本全体を豊かにしていくためには、喧噪の大都市から心豊かな地方への人口などの分散が大事であることを訴えてまいりました。

 

(10)そうした中、政府におかれましては、人口減少問題が日本全体の問題であると捉え、地方創生の取組みを本格的に進めることとされました。

 

(11)こうした国の動きを受け、島根県でも「総合戦略」を策定し、若い人たちが安心して働ける雇用の場を確保するとともに、子育て支援の充実などの取組みを進めてきております。

 

(12)こうした地方を大事にしていこうという、地方創生の取組みは、まだ緒に就いたばかりであり、今後も、継続した取組みが必要でありますが、「活力ある島根」の実現に向けて、その道筋は一定程度つけられていると考えております。

 

(13)こうしたことから、この場をお借りしまして、私としては三期十二年を一つの区切りとし、来春の知事選挙には出馬しないことを、県議会の皆様、そして県民の皆様にお伝えする次第でございます。

 

(14)なお、申し上げるまでもありませんが、残された数か月の任期につきましても、島根の発展のため、全力を尽くす所存でございますので、皆様方には、引き続きご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

以上をもちまして、私の発言を終わりと致します。

 


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