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平成30年9月定例県議会知事提案理由説明要旨

提案理由の説明に先立ちまして、北海道で発生した地震について、一言申し上げさせていただきます。

 

本日、未明、北海道肝振地方を震源とする震度6強を観測する地震が発生しました。

 

まだ、被害の全容は明らかになっておりませんが、広範囲で土砂崩れや家屋倒壊などが発生しているとの情報があります。
まず、被災者の救命・救助が早急に行われますことをお祈り申し上げます。

 

また、去る4日には台風21号により、大阪を中心に強風・高潮などによる被害が発生しております。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災地の方々に、心からお見舞いを申し上げます。

それでは、続きまして、定例議会開会にあたり、諸議案の概要や県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.七月の豪雨災害)
はじめに、7月5日からの豪雨による災害について申し上げます。

 

(1)このたびの豪雨により、広島県では亡くなられた方が100名を超え、岡山県、愛媛県など広い範囲で甚大な被害が発生しております。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。

 

県では、鳥取県とも分担をし、広島県に対して、災害発生直後から、DMAT医療チームや警察、消防、建築の職員、保健師などを派遣して支援を行い、引き続き、土木、農業土木、林業、事務の職員を派遣して、復旧・復興を支援してまいります。
今後も、被災県からの要請に応じ、職員の派遣等、必要な支援を行ってまいります。

 

(2)県内におきましては、この豪雨により、江の川の下流域が浸水し、住宅の全壊・半壊及び床上・床下浸水があったほか、土砂崩れによる道路の寸断や集落の孤立、農林水産業などへの大きな被害が発生しました。
また、鉄道の運休などにより、宿泊のキャンセルが相次ぐなど観光への影響も生じました。

 

(3)このため、県では、浸水被害の発生した江津市、川本町、美郷町に職員を派遣して、住家や農業施設等の被害状況の調査や被災市町との連絡調整などの支援を行ったほか、浸水家屋における泥の搬出作業の支援には、延べ350人を派遣いたしました。

 

(4)また、被害からの復旧・復興を早く行うため、
(ア)半壊及び一部破損までを対象とした被災住宅への支援
(イ)農業者や中小企業の機械・設備等の復旧や資金繰りへの支援
(ウ)観光客誘致に向けた情報発信や旅行商品の造成支援
などについて、専決処分により補正予算を編成して対応してきております。

 

(5)さらに、豪雨により被災した河川、道路、農地、林地などの復旧工事に必要な予算につきましては、今議会に補正予算案を提出いたしております。

 

(6)豪雨により発生した海岸漂着物や漂流物につきましては、速やかに回収・処理にあたってまいりました。
また、浸水した家屋などからの災害廃棄物につきましては、被災市町と協力して、早急に処理が進むよう対応してまいります。

 

(7)今後も、記録的な大雨が各地で頻発する状況を踏まえ、洪水や土砂災害に備えて、河川や砂防、治山等の施設整備を着実に進めてまいります。

 

特に、江の川下流域の治水事業につきましては、今年春の重点要望におきましても国に事業の推進を求めてまいりましたが、今回の被害を踏まえ、さらに国への働きかけを行ってまいります。

 

また、豪雨の際、住民の方々が適切に避難できるよう、河川水位や土砂災害危険度に関する情報提供など、ソフト対策についても、引き続き取り組んでまいります。

 

(2.最近の経済情勢)
次に、経済動向について申し上げます。

日本経済の動向を見ますと、景気は緩やかに回復しておりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響によく注意を要する状況であります。

 

県内経済につきましては、企業の生産活動など総じて持ち直しの動きが続いておりますが、今般の豪雨や労働市場での人手不足による影響などが懸念されますので、県としましては、引き続き内外の情勢をよく注視し、適宜、必要な対応を行ってまいります。

 

(3.産業振興)
次に、産業振興について申し上げます。

 

(1)観光につきましては、豪雨による高速道路の通行止めやJR伯備線の運休などにより、宿泊キャンセルなどの影響がありました。
このため、7月から、テレビやインターネットなどを通じた観光情報の発信や、バス、航空機を利用した旅行商品の造成、また、「山陰デスティネーションキャンペーン」のPRの強化など、観光客数の回復に全力で取り組んでおります。

 

8月からは、中国地方への観光誘客をさらに進めるため、JR西日本や中国各県と連携をして「がんばろう!西日本」キャンペーンを開始するなど、新たな取組みを行っております。
このほか、国においても復興支援のための宿泊費助成制度が創設され、県としましても、これを活用し、他府県と連携して、観光誘客を強化してまいります。

 

(2)「ご縁の国しまね」プロモーションにつきましては、世の中に大きな影響力をもつ人を「インフルエンサー」ということから、島根の魅力を発信していただく方を「ご縁フルエンサー」として、島根と縁のある俳優、玉木宏さんに就任いただき、7月に、東京で発表会を行いました。

 

今後、玉木さんを起用したしまねの魅力の情報発信を行い、多くの方々が島根を訪れ、また「ご縁」を感じていただけるよう、観光プロモーションを展開してまいります。

 

(3)「しまねの自然公園満喫プロジェクト」につきましては、三瓶山地域や島根半島地域において、地域が主体となった協議会と一緒になって、自然を活用した体験プログラムの作成やモニターツアーなどを始めております。

 

また、隠岐地域におきましても、世界ジオパークの活動と一体となった取組みを進めております。
今後も、国内外からの来訪者に、島根の自然や歴史・文化などの魅力を楽しみながら体験してもらえるよう、努めてまいります。

 

(4)ものづくり産業につきましては、魅力ある大学づくりと地域の中核的な産業振興を一体的に推進する取組みを国が交付金により支援する制度が、6月に創設されました。

 

県におきましては、島根大学、松江高専、県内企業と協議を重ね、たたら製鉄の技術を受け継ぐ特殊鋼産業の振興と島根大学の改革を中心とした事業計画を策定し、

来月の採択を目指して国に提出したところであります。
今後とも、産学官が連携して、若者の県内定着を強力に進めてまいります。

 

(5)IT産業につきましては、島根大学において、県内IT企業のエンジニアと学生とが、ITを活用して地域の課題を共同で解決する実践的な講座を、来月から始めることとなりました。

約5か月の講座を通じて、多くの学生がより高度な技術を習得し、県内企業への理解を深めることで、学生の県内就職が増えていくよう、取り組んでまいります。

 

(6)企業誘致につきましては、今年度は8月末時点で12件の認定により、176人の新規雇用が見込まれており、このうち約7割が中山間地域における雇用創出となる模様であります。

 

来月に東京で開催する企業立地セミナーにおいては、県内に進出した企業に島根の立地環境の良さや今後の事業展開などをお話ししていただく予定です。
首都圏からの企業誘致が進むよう、参加される市町村長の方々と一緒に、積極的にPRしてまいります。

 

(7)県内企業における人材確保につきましては、来春卒業予定の大学生等を対象とした就職面接会を県内で来月に開催するほか、県外3か所で今月から開催するUIターンフェアにおいては、県出身の学生などと県内企業との交流会を実施するなど、若年者の県内就職を促進してまいります。

 

(4.農林水産業の振興)
次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 

(1)県がこれまで開発したオリジナル品種のアジサイ「万華鏡」や「銀河」は、年々出荷額が伸びており、今年度は1億3,000万円を超え、全国から高い人気と評価を受けております。

 

また、赤色大粒ブドウの新品種につきましては、その名称がこのたび「神紅」ということに決まりました。
「神紅」は神の紅と書きますが、このブドウは鮮やかな真紅色と高い糖度が特徴で、市場関係者の試食での評価も高く、新たな産地化に向けて期待が高まっております。

 

こうした魅力のある県オリジナル品種の開発と普及により、競争力のある島根の産品づくりをさらに進めてまいります。

 

(2)2020年に開催する第71回全国植樹祭につきましては、昭和46年の前回大会で植栽された黒松を収穫して、その跡地を植樹会場とし、収穫した黒松は式典会場などで使用することとしており、その準備に着手しました。

 

「伐って、使って、植えて、育てる」循環型林業を実践し、全国に発信してまいります。

 

また、植樹祭や関連事業で使用する苗木を県内の小・中・高等学校で育てる「スクール・ステイ」を今年度も実施し、森林や緑の大切さを身近に感じていただき、全国植樹祭の開催の機運を高めてまいります。

(3)水産業につきましては、浜田地区の沖合底びき網漁業は、ノドグロの資源管理の徹底や、漁獲物の鮮度の良さを売りにした「沖獲れ一番」というブランドの浸透などにより、昨シーズンは16億円を超える水揚げとなり、平成27年以降、高い水準を維持しております。

 

引き続き、水産物の付加価値の向上や資源管理、生産や流通拠点の整備などにより、県内水産業の振興を図ってまいります。

 

(5.女性の活躍推進)
次に、女性の活躍推進について申し上げます。
 
まず、企業経営者を対象とした事業として、社員の意欲を高めて業績向上につなげるためのセミナーや、働きやすい職場環境整備に取り組んでいる県内企業の視察などを行っております。

 

このほか、女性活躍に取り組む企業の交流会や女性リーダーを対象とした研修会も実施いたします。

 

引き続き、女性が個性と能力を活かして働き続けられる環境整備を進めてまいります。

 

(6.中山間地域・離島対策と移住・定住対策)
次に、中山間地域・離島対策と移住・定住対策について申し上げます。

 

(1)中山間地域における「小さな拠点づくり」につきましては、県民の方々の理解が深まるよう、新聞、テレビ等各種媒体により集中的に広報を行うとともに、地域を繰り返し訪問し、必要性を丁寧に説明してまいります。

 

さらに、市町村とも相談しながら、既に計画づくりや実践活動に取り組んでいる地域から、他の模範となるような活動や地域を作り出し、これを他の地域に普及させていく取組みを進め、「小さな拠点づくり」が全県に拡大するよう努めてまいります。

 

(2)離島対策につきましては、国の交付金なども活用して、航路と航空路の運賃や物資の輸送コストの低廉化など、隠岐4町村や関係団体等の取組みを支援しております。

 

現在、住民の方々や事業者を対象とした実態調査を行っており、この結果を分析して、関係者のご意見もお聞きしながら、有人国境離島法に基づく施策の充実に向けて取り組んでまいります。

 

(3)移住・定住対策につきましては、今月の大阪会場を皮切りに、来月に東京で、来年1月に広島で「しまねUターン・Iターンフェア」を開催いたします。
東京会場は、今年度から開催日を2日間に拡充し、UIターン希望者それぞれの特性や意向に沿ったきめ細かな相談を行うことにより、移住後の定着率の向上につなげてまいります。

 

 

(7.社会基盤の整備)
次に、社会基盤の整備について申し上げます。

 

(1)山陰道につきましては、今年度は、多伎・朝山道路が開通する予定であり、今後も着実に整備が進められるよう、沿線市とともに事業推進に取り組んでまいります。

 

(2)大橋川改修につきましては、6月に追子地区で上追子川水門が完成し、現在、排水機場の工事が進められているほか、3地区で堤防工事が着実に進められております。
引き続き、国や松江市と連携して事業を進めてまいります。

 

(3)出雲縁結び空港につきましては、3月から静岡線、4月から仙台線が就航し、いずれの路線も利用状況は概ね好調に推移しております。
今後も、この利用状況が維持され、両路線の定着が図られるよう、地元協議会などと連携して、さらなる利用促進に取り組んでまいります。

 

(4)萩・石見空港の東京線につきましては、4月から8月までの利用者数は、悪天候による欠航の多発にもかかわらず、8月までの目標を上回り、昨年同期比で約6%増の6万900人余となりました。

 

引き続き、利用促進対策会議を中心に、山口県や地元協議会、両県の観光団体や航空会社などと連携して、ビジネス利用などの安定した需要の創出を進め、2便運航の定着に向けて取り組んでまいります。

 

(5)三江線廃止に伴い4月から始まったバスによる代替交通につきましては、利用実態を把握するため、6月から7月にかけて、沿線市町が利用者に対して聞き取り調査を行いました。

 

今後、この結果を分析し、沿線市町や広島県と連携して、路線や運行ダイヤの検証などを進め、持続可能で利便性の高い交通網となるよう、努めてまいります。

 

(8.地域医療と福祉の充実)
次に、地域医療と福祉の充実について申し上げます。

 

(1)医師の確保につきましては、医師の偏在の解消を目的とする「医療法及び医師法の一部を改正する法律」が7月に公布され、県が医師確保計画を策定するなど、新たな責務を担うこととなりました。

大学やしまね地域医療支援センター、医療機関、医師会、市町村などと連携して、地域に必要な医師が着実に確保されるよう、取り組んでまいります。

 

(2)受動喫煙防止対策につきましては、「健康増進法の一部を改正する法律」が7月に公布され、その対策が強化されました。
望まない受動喫煙が生じないよう、市町村や関係団体などと連携して、今後一層、普及啓発や環境整備に取り組んでまいります。

 

(3)次に、児童虐待防止対策につきましては、3月に東京都で起きた事件を受け、国において、子どもの安全を確保するための共通ルールの徹底や、児童相談所や市町村の体制と専門性の強化を進める「緊急総合対策」が7月に示されました。

 

県としましては、各市町村に設置されている地域協議会を通して、子育て支援や教育、医療、警察などの関係機関と引き続き連携しながら、虐待予防や要保護児童の支援に取り組んでまいります。
また、児童相談所の体制強化を進めるとともに、研修の充実などにより市町村等の専門性の向上を図ってまいります。

 

(9.原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)島根原発三号機の新規制基準適合性審査につきましては、県は8月9日に中国電力に対し、原子力規制委員会に申請することを了解し、中国電力は8月10日に、同委員会に申請を行いました。

 

また、県は8月22日に、国の関係機関に対して、審査終了後の関係自治体や住民への丁寧な説明など、必要な要請を行いました。
今後、原子力規制委員会において審査が進められていきますので、県としてはその状況を注視してまいります。

 

(2)原発の防災対策につきましては、来月、国、自治体など関係者が連携して「原子力防災訓練」を実施し、防災対策の検証を行うこととしております。

また、引き続き、国、島根・鳥取両県、原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、万が一に備えた避難計画の実効性向上などに向け、検討を進めてまいります。

 

(10.防犯・交通安全対策)
次に、防犯・交通安全対策について申し上げます。

 

特殊詐欺被害につきましては、最近は高齢者だけでなく、若年層でも被害が発生しているということであります。
また、県内の交通事故は減少しておりますが、夕暮れが早まる年末にかけて、高齢者による事故の発生が懸念されます。

こうした犯罪被害や、高齢者や子どもの事故を防止するため、秋の全国交通安全運動などを通じまして、関係機関・団体等と連携して対策を講じてまいります。

 

(11.若者の活躍)
さて、今年の夏も、スポーツや文化活動で島根の若者の活躍が見られました。

 

8月に中国5県で開催された中学生の全国大会では、男子ホッケーで横田中学校が、柔道66キロ級で松江第二中学校の福田大和君がそれぞれ優勝し、新体操で開星中学校が県勢初の3位入賞を飾るなど、4競技7種目で入賞を果たしました。

 

また、定時制通信制高校の全国大会では、陸上競技男子1,500メートルと3,000メートル障害で、宍道高校の高橋椿太郎君が優勝を果たしました。

このほか、全国高校総体や全国高校総合文化祭などにおきましても、多くの島根の高校生が優秀な成績を収めました。

 

こうした島根の若者たちの活躍は、私ども県民に大きな喜びと感動を与えてくれるものであります。
今後も、島根の若者たちが大いに活躍することを期待しております。

 

(12.補正予算など提出議案)
それでは、最後になりますが、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

一般会計の補正予算案につきましては、7月豪雨災害からの復旧・復興を図るための対策のほか、早急に対応すべきものについて措置し、総額92億円を増額しております。

 

この結果、補正後の一般会計予算の規模は、4,626億円となります。

 

この補正予算案のほか予算案16件、条例案5件、一般事件案14件の計36件を提出しております。

 

これらの議案の詳細につきましては、総務部長から説明をさせることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了させていただきます。

 


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