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平成30年2月定例県議会知事施政方針並びに提案理由説明要旨

提出議案等の説明を行います前に、本日は、私の抗がん剤治療の副作用のため、議長の許可をいただきまして、帽子を着用しておりますことを、ご了承いただきたいと存じます。

 

それでは、定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、当面の県政運営に臨む私の基本的な考え方を申し上げ、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げたいと思います。

 

(1.最近の経済情勢)

まず、日本経済の動向を見ますと、緩やかな景気回復の動きが続いておりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響によく注意する必要があります。

県内経済につきましては、企業の生産活動などに持ち直しの動きが見られますが、人手不足の影響などが懸念されることから、県としましては、引き続き、内外の情勢をよく注視しながら、必要な対応を行ってまいります。

 

(2.予算の概要)

それでは、提出いたしました来年度当初予算と今年度補正予算について、その概要をご説明申し上げます。

 

(1)まず、来年度予算の編成にあたりましては、昨年10月に策定しました「財政運営指針」に基づき、県の重要課題に積極的に対応するため、事務事業の見直しの徹底、行政の効率化・合理化の徹底、国の交付金などの財源の確保に努めたところであります。

 

(2)これにより、来年度当初予算におきましては、産業振興、子育て支援、中山間地域・離島対策など、「総合戦略」に基づく地方創生・人口減少対策に一層力を入れて進めることとしております。

そして、防災対策など安全安心な県土づくり、医療、福祉、教育など生活を支える公共サービスの充実にも重点的に配意しております。

 

(3)この結果、来年度当初予算の総額は、4,520億円となっております。

 

(4)また、今年度補正予算では、国の補正予算編成に対応し、防災・減災対策や農林業の競争力強化対策など、総額132億円を追加しております。

 

それでは次に、当初予算の主要な施策について、順次、ご説明申し上げます。

 

(3.産業振興)

まず、産業振興について申し上げます。

 

(1)観光につきましては、来年度は、山陰両県が一体となって展開する「山陰デスティネーションキャンペーン」が行われるなど、「ご縁の国しまね」への誘客を推し進めていく、大変重要な年であります。

これにあわせて「不昧公200年祭」や「大山開山1300年祭」が開催されるほか、4月には、アジアで初めて「世界シニアバスケットボール大会」が松江市で開催されるなど、いろいろなイベントも予定されています。

 

(2)こうした中、石見地域では、神楽などの観光素材を活かした旅行商品の造成のほか、山口県との連携による広域周遊の取組みなども進めてまいります。

また、今年は、浜田港への外国クルーズ客船の寄港が3回予定されており、地元と連携して受入環境の整備を進めるとともに、さらなるクルーズ客船の誘致に取り組んでまいります。

 

(3)隠岐地域は、先月、ユネスコ世界ジオパークに再認定されました。

県としましては、ジオパークを活用した誘客対策に取り組むほか、地元4町村と連携して、島々を周遊するプランなどを組み合わせた乗船券の割引制度を導入し、観光メニューの充実に努めてまいります。

 

(4)「しまねの自然公園満喫プロジェクト」につきましては、国内外から多くの観光客に滞在していただけるよう、三瓶自然館の機能強化や、魅力を活かした自然体験のメニューを充実するなど、環境整備に努めてまいります。

 

(5)外国人観光客につきましては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、今後、一層の増加が見込まれており、シンガポールや香港などとの国際航空路線も充実してきております。

県としましては、この機会をとらえ、山陰インバウンド機構や中国地方各県などと連携を強化して、積極的に外国人の誘客対策を進めてまいります。

 

(6)次に、ものづくり産業につきましては、人材不足や技術革新など、企業の経営環境の変化に対応するため、先端技術や新商品の開発力、経営力、販売力の強化を図ってまいります。

また、地域経済をけん引する企業等が行う、新分野への挑戦や生産性の向上に向けた設備投資などを新たに支援してまいります。

 

(7)IT産業につきましては、県内での企業集積が進む中、さらなるIT人材の育成・確保が求められております。

このため、来年度から新たに、県内IT企業の技術者が島根大学の学生に実践的なシステム開発等の指導を行う講座を始めることとしております。

また、大都市などで、県内IT企業が島根にUIターンを希望するIT技術者に対して採用の相談を行う場を拡充してまいります。

 

(8)企業誘致につきましては、石見地域や中山間地域において、誘致を進める専門員の配置や支援制度の充実により、立地が進むよう取り組んでまいります。

 

(9)中小企業・小規模企業につきましては、きめ細かな経営相談や専門家派遣などによる経営力の強化に加えて、円滑な事業承継や、地域の日常生活を支える商業の機能維持・強化を図る取組みを支援してまいります。

 

(10)また、健康増進を目的とした旅行商品の開発や、高齢者の生活支援サービスなどを行うヘルスケアビジネスの事業化や、地域課題の解決、地域資源の活用などによる起業・創業を支援してまいります。

 

(11)若者の県内就職の促進につきましては、県内外の学生と県内企業の若手社員等との交流会や、企業向けのセミナーなどを充実してまいります。

また、大工、左官などを目指す若者の職場体験を支援し、技能を受け継ぐ職人を育成してまいります。

このほか、女性の就労相談窓口を新たに県内2カ所に設置するなど、多様な人材の就労を支援してまいります。

 

(4.農林水産業の振興)

次に、農林水産業の振興につきましては、高齢化の進行、TPPなどの状況も踏まえ、国の対策を十分に活用しながら、中山間地域が多い島根の特性に応じた体質強化や経営安定、新規就業者の確保などに引き続き強力に取り組んでまいります。

 

(1)農業につきましては、一層の経営の効率化や、集落営農組織の法人化及び広域連携を進めます。

また、今年からの米政策の見直しを受け、業務用の米づくりの推進や新たな品種の導入、より収益が見込める園芸作物への転換などに、さらに取り組んでまいります。

 

(2)生産基盤の強化につきましては、来年度の着手が決定した宍道湖西岸地区の国営土地改良事業をはじめ、地域の実情に応じたほ場整備や排水改良を着実に進めてまいります。

 

(3)林業につきましては、国において、森林環境税を創設し、森林を適切に管理するための新たなシステムを構築する方向が示されました。

県としましては、この動きに対応し、主伐・再造林の低コスト化や製材工場の機能強化など、循環型林業の一層の推進を図ってまいります。

 

(4)2020年に三瓶山で開催される全国植樹祭につきましては、このほど「木でつなごう人と森との縁の輪」という大会テーマが決まりました。

循環型林業に早くから取り組んでいる島根の森づくりを全国にPRするとともに、万全の体制で開催できるよう、準備を進めてまいります。

 

(5)水産業につきましては、引き続き、国の事業を活用した高性能漁船の導入により、収益性の改善を図ってまいります。

また、定置網漁業等に従事して収入を得ながら一本釣りなどの技術を習得できる新たな事業を実施して、担い手の確保に努めてまいります。

県内河川におけるアユ資源の回復に向けましては、アユ種苗を県内全域に供給する拠点施設の整備を支援してまいります。

 

(5.結婚・出産・子育て支援)

次に、結婚・出産・子育て支援につきましては、若い世代が島根で希望どおりに結婚し、子どもを産み育てられる環境を整備するため、切れ目のない支援を強化していく考えであります。

 

(1)結婚支援につきましては、縁結びボランティア「はぴこ」による出会いの場づくりを増やすことに加え、相談者自ら相手探しができる仕組みを導入し、よりきめ細かな支援に努めてまいります。

また、若い人たちの結婚に対する理解や関心を高めるための啓発活動を進めてまいります。

 

(2)出産支援につきましては、男性の不妊検査費の助成を拡充し、産後ケアに新たに取り組む市町村を支援するなど、子どもを産み育てたいご夫婦の希望をかなえる取組みを強化してまいります。

 

(3)子育て支援につきましては、中山間地域・離島での子育て支援の拠点となる小規模保育所への支援を強化するほか、待機児童の解消や保育士の確保を着実に進め、仕事と子育ての両立を支援してまいります。

 

(6.男女共同参画と女性の活躍推進)

 

(1)次に、男女共同参画につきましては、社会における意思決定過程への女性の参画拡大や、誰もが個性と能力を発揮できる環境づくりが重要であり、引き続き、市町村などと連携して意識啓発に努めてまいります。

 

(2)女性の活躍推進につきましては、「全国一働きやすく、女性が活躍できる島根県の実現」を2025年度に達成することを目指した工程表を策定しました。

これに基づき、働きやすい職場環境づくりを進める企業への支援や、経営者の理解促進を進めてまいります。

 

(7.中山間地域・離島対策と移住・定住対策)

次に、中山間地域・離島に安心して住み続けることができるよう、支援を強化するとともに、移住・定住を推進してまいります。

 

(1)中山間地域における「小さな拠点づくり」につきましては、より多くの地域で計画づくりが進み、実践活動に取り組む地域がさらに増えるよう、市町村とともに、しっかりと支援してまいります。

 

(2)また、こうした拠点づくりの取組みには、県民の皆様の主体的な行動が不可欠でありますので、先駆的な事例の紹介も交えながら、理解が深まるよう、広報に努めてまいります。

 

(3)隠岐地域におきましては、交流人口の拡大や新規雇用者の増加などを図るため、国の交付金を十分に活用し、航路・航空路運賃の低廉化、滞在型観光の促進など、有人国境離島法に基づく「県計画」に沿った施策を、地元4町村とともに進めてまいります。

 

(4)移住・定住対策につきましては、移住された方々のご意見なども踏まえ、提供する情報やサービスの内容を充実し、UIターンの促進に努めてまいります。

また、移住後の定着につながるよう、移住された方々と地域との関わりを深める取組みへの支援を強化してまいります。

 

(8.地域医療と介護・福祉の充実)

次に、地域医療と介護・福祉の充実について申し上げます。

 

(1)誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、地域包括ケアシステムの構築が極めて重要であります。

このたび策定する次期「保健医療計画」と「介護保険事業支援計画」に基づき、県民の方々や関係機関のご意見をお聴きしながら、システムの構築を進めるとともに、必要となる支援策を国に求めてまいります。

 

(2)国民健康保険につきましては、今年4月から都道府県が財政運営の責任主体となります。

市町村と十分に連携して、新制度への円滑な移行を進めてまいります。

 

(3)松江市の中核市への移行につきましては、4月からの移行に向けて準備を進めております。

これに伴い、身体障害者手帳の交付など約2,000件の事務が、県から松江市へ移譲され、保健所については、全国で初めて県と市の共同設置により業務を行うことになります。

松江市とともに、円滑な事務の移譲に万全を期してまいります。

 

(9.教育の充実)

次に、教育の充実について申し上げます。

 

(1)中山間地域・離島における教育の魅力化につきましては、引き続き、県立高校と地元市町村等が連携した取組みに対する支援を行ってまいります。

特に、魅力化を推進している高校においては、地元や県外から進学してもらえるよう、来年度から教員の配置を充実してまいります。

 

(2)また、学校教育全体の重要な課題となっております、教員の働き方改革と教育の質の向上の両立を目指し、必要な施策を進めてまいります。

 

(3)特別支援教育につきましては、特別支援学校の施設整備を進めるとともに、小中学校において、障がいのある子どもと障がいのない子どもが共に学ぶ仕組みを一層充実するため、特別支援学級への非常勤講師の配置の拡充や、通級指導に精通した教員の人材養成に取り組んでまいります。

 

(4)このほか、就学前の子どもたちが質の高い幼児教育を受けられるよう、幼稚園教諭や保育士等の資質向上に向けた支援体制の強化を進めてまいります。

 

(10.社会基盤の整備)

次に、産業の振興や、安全安心な県土づくりを進めていく上で重要な、社会基盤の整備について申し上げます。

 

(1)山陰道につきましては、朝山・大田道路が来月18日に、多伎・朝山道路が来年度中に開通する予定であり、今後も着実に整備が進められるよう、沿線市とともに事業推進に取り組んでまいります。

「益田・萩間」の未事業化区間につきましては、優先区間の「須子・田万川間」の事業化に向けた手続きを進め、早期に事業着手されるよう、引き続き、国に強く働きかけてまいります。

 

(2)浜田港につきましては、山陰道に直結する臨港道路福井4号線が、来月31日の開通を予定しているほか、福井地区では、来年度中の供用を目指して、新たな荷役クレーンの整備を進めております。

さらには、福井ふ頭の拡大や新たな岸壁の整備などを、昨年改訂した浜田港港湾計画に基づき、進めてまいります。

 

(3)JR西日本による三江線の廃止に伴う問題につきましては、廃止後に、関係市町が行わなければならない代替交通に対して、JR西日本がどのような支援を行うかについて、広島県と一緒に交渉を進めてきました。

先週14日、この支援の額に関し、JR西日本と島根・広島両県で、初期投資のための費用8億5,000万円、運行に係る費用8億円、運行に必要な鉄道資産の管理費用8,000万円余、運行計画の策定費用2,000万円の合計17億5,000万円余で合意することとし、両県から各市町に伝えました。

この支援を活用し、地域住民などの移動に支障が生じないよう、沿線6市町、JR西日本、島根・広島両県がよく協議して、それぞれの地域に適切な代替交通が確保されるよう努めてまいります。

 

(4)萩・石見空港の東京線につきましては、4月以降の2便運航の継続が決定されております。

今後も安定的に2便運航が継続されるよう、利用促進対策会議を中心に、山口県や地元協議会、両県の観光団体や航空会社などと連携して、さらなる利用促進に努めるとともに、基礎需要を伸ばすため、企業誘致などに一層取り組んでまいります。

出雲縁結び空港につきましては、3月から静岡線、4月から仙台線の運航が決まりました。

これらの路線を加え、県内の3空港が結ぶそれぞれの圏域との交流が広がるよう取り組んでまいります。

 

(5)安全安心な県土づくりにつきましては、治水対策、土砂災害対策、建築物の耐震改修など、災害に強い県土づくりを一層進めてまいります。

また、大橋川の改修につきましても、国や松江市と連携して、事業推進に引き続き取り組んでまいります。

 

(11.原発の安全・防災対策)

次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)島根原発2号機につきましては、原子力規制委員会で審査が継続中であり、県としましても、引き続き審査状況を注視してまいります。

 

(2)一昨年に、2号機で確認された空調換気系ダクトの腐食につきましては、先月31日、原子力規制委員会が、中国電力が報告した原因究明や再発防止対策を妥当と評価し、県は、先週13日に実施した立入調査により、それらの確認を行いました。

今後、原子力規制委員会では、対策が適切に実施されていることを保安検査等において確認していくとしており、県としても、中国電力や原子力規制委員会の対応状況について確認してまいります。

 

(3)島根原発の防災対策につきましては、国、島根・鳥取両県、原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、万が一に備えた避難計画の実効性向上などに向け、引き続き、検討を進めてまいります。

 

(12.防犯・交通安全対策)

次に、防犯・交通安全対策について申し上げます。

 

近年、県内の犯罪件数は減少傾向にあります。

また、昨年の交通事故の死者数は10人台にまで低下しました。

しかし、依然として特殊詐欺被害や交通事故死者数に占める高齢者の割合が高いことから、関係機関や民間団体などと連携して対策を進め、安全で安心な県民生活の確保に努めてまいります。

 

(13.竹島問題)

次に、竹島問題について申し上げます。

 

(1)今週22日は、「竹島の日」であります。

今年も、政府の代表をはじめ、多くの関係の方々にご出席いただき、13回目の記念式典が開催されます。

今後も、竹島問題についての国民の理解と関心が高まるよう、「竹島の日」の式典などの様々な啓発活動や、竹島問題研究会による調査研究、新学習指導要領を踏まえた指導案の検討などをさらに進めてまいります。

 

(2)国においては、先月、東京に竹島の関連資料などを常設展示する「領土・主権展示館」が開設されました。

今後は、この施設を活用した啓発をはじめ、竹島に関する調査研究、国際社会への情報発信などに、さらに積極的に取り組まれることを期待しております。

 

(14.「子育てしやすく活力ある地方の先進県しまね」を目指して)

さて、新年度は、島根の地方創生を目指す「総合戦略」の4年目となります。

島根は、古き良き文化・歴史が豊かな自然の中で受け継がれており、これを活かした様々な施策が、雇用の創出やUIターンの増加などにつながっているものと思います。

こうした動きを踏まえ、引き続き、粘り強く、産業振興やインフラの整備を進めながら、子育て支援や医療、福祉、教育の充実などに努めていくことが、島根の発展にとって大切であります。

県民の方々や県議会の皆様とともに、「子育てしやすく活力ある地方の先進県しまね」をさらに進めるよう、全力で取り組んでまいりますので、宜しくお願い申し上げます。

 

この後、提出しました予算案を含め諸議案の詳細につきましては、総務部長から説明させることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げます。

 

(追加の発言)

おわりに、この場をお借りしまして、議会と県民の皆様方に、私の健康問題について申し述べさせていただきたいと存じます。

只今、大屋議長から私の入院治療につきまして、温かいお言葉をいただきまして、心より感謝申し上げます。

 

私の状況を申し上げますと、

(1)私は、今月8日に、虎の門病院で手術前の検査等を受けた際に、手術の日程などについて説明を受けました。

 

(2)それによりますと、今後は、明日、20日に上京して入院し、23日に食道に出来たがんの摘出と食道と胃の接合等の手術を行うこととされております。

病院からは、入院期間は3月中頃までになろうと聞いておりますが、手術後の回復の状況等により、早かったり、遅かったりすることもあろうかと思っております。

 

(3)こうした状況でありますので、明日以降、県議会を欠席させていただくこととなり、誠に申し訳なく思っております。

 

(4)今後の職務上の対応につきましては、当座、手術を受けます2月23日から、本会議における一問一答質問が終了する3月6日までの間は、県政に支障が生じないよう、藤原副知事を職務代理者とすることと致します。

 

(5)その後の対応につきましては、私の回復状況と議会審議の状況等を勘案しまして、判断する考えであります。

 

(6)県議会をはじめ、県民の皆様方には、引き続き、ご迷惑とご心配をおかけしますが、何とぞ、宜しくお願い申し上げまして、私からの発言を終了いたします。


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