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平成28年11月定例県議知事提案理由説明要旨

定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.最近の経済情勢)

まず、日本経済の動向を見ますと、緩やかな景気回復が続いておりますが、新興国の景気減速や英国のEU離脱問題、金融資本市場の変動、さらには米国の次期大統領の下での経済政策等の動向などに留意する必要があります。

県内経済におきましても、有効求人倍率の上昇など緩やかな回復が見られるものの、内外の情勢に注意が必要であります。

 

こうした中、国においては、8月に決定された経済対策を実行に移すための第2次補正予算が先月成立したところであります。

これに対応して、県では、9月補正予算に加え、必要な補正予算案を今議会に提出しております。

 

(2.鳥取県中部の地震)

次に、鳥取県中部で発生した地震について申し上げます。

 

(1)先月21日に発生した鳥取県中部を震源とする地震においては、多くの被害が発生しました。

改めまして、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 

(2)島根県では、これまで警察、建築物などの危険度判定士、保健師、家屋被害認定のための職員の派遣や、破損した屋根を暫定的に覆うブルーシートの提供などを行ってまいりました。

今後とも、中国各県と連携して、観光誘客に取り組むなど、可能な限りの支援を行ってまいります。

 

(3.産業振興)

次に、産業振興について申し上げます。

 

(1)観光につきましては、10月、大阪で旅行会社にお集まりいただき、観光情報説明会を開催し、石見銀山やたたら製鉄など県内各地の観光素材の説明、9月にモントリオール世界映画祭で最優秀芸術賞を受賞した映画「たたら侍」の紹介、商談会の開催などにより、島根観光のPRを行いました。

 

(2)また、先月には、国内外の伝統芸能が共演する「地域伝統芸能全国大会」を、来年11月に20年ぶりに島根県で開催することが決定されました。

今後、地元と連携して準備を進め、石見神楽など県内各地の伝統芸能を広く情報発信し、誘客につなげてまいります。

 

(3)国際観光につきましては、台湾や香港などを中心に観光客が大幅に増加しております。

今年上期の県内の外国人宿泊客数は、約3万1千人で、前年同期比40%増となりました。

9月には、香港から米子空港への定期便が就航し、東アジアなどから山陰への外国人観光客の増加が見込まれることから、鳥取県や山陰インバウンド機構と連携し、誘客の強化や受入環境の充実を図ってまいります。

 

(4)また、環境省の「国立公園満喫プロジェクト」の選定を受けた大山隠岐国立公園につきましては、9月に設立した協議会において、隠岐、島根半島東部・西部及び三瓶山の4つの地域ごとに重点取組地域を設定し、快適な滞在環境の整備、体験プログラムの開発、ガイドの養成など事業計画の策定作業を進めております。

国、市町村や地元住民の方々と一緒になって、効果的なインバウンド対策となるよう取り組んでまいります。

 

(5)次に、IT産業の振興につきましては、昨年度から始めたRubyによる優れたビジネス事例を表彰する「Rubybizグランプリ」に、国内外の29社から応募があり、来月東京で表彰式を行います。

このグランプリを通じ、県内IT企業が、新たなサービス・商品を創出し、さらなるITビジネスの拡大につながるよう支援してまいります。

 

(6)企業誘致につきましては、先週、東京で企業立地セミナーを開催し、95社140名の方々に参加いただきました。

このセミナーでは、島根県に立地された企業による事例紹介を中心に、企業と地元が一体となった人材確保を首都圏の企業にアピールしました。

今後は、県内視察などにより、誘致を働きかけてまいります。

 

(7)県内企業による人材確保につきましては、厳しい状況が続いております。

このため、県では、東京・大阪・広島で開催する就職フェアを昨年度の1回から3回に拡充するほか、大学生を対象とした企業交流セミナーの実施、インターンシップの参加費用の支援など、県外に転出した学生を中心に若年層の確保の取組みを強化しております。

また、企業が行う研修への助成や、出産後の職場復帰を促す奨励金の支給など、企業の人材育成や働きやすい職場環境づくりを支援してまいります。

 

(4.農林水産業の振興)

次に、農林水産業の振興について申し上げます。

 

(1)TPPにつきましては、国会において承認案と関連法案が審議されております。

米国が政権交代期にある中にあっても、政府においては、「TPP関連政策大綱」に基づく施策について、中山間地域などにも配慮しながら必要な予算を安定的に確保するよう、先般、重点要望を行ってまいりました。

 

(2)中山間地域などにおける農業の持続と農地の維持につきましては、集落営農組織の法人化・広域化による農地集積をはじめ、飼料用稲の栽培や水田放牧など、地域の担い手の実態に応じた水田の利用を進める必要があります。

県としましては、農業者や関係機関との話し合いを進め、地域の課題に対応した施策を講じてまいります。

 

(3)次に、先月出雲市で「島根ぶどう共販60周年記念生産者大会」が開催され、私も出席いたしました。

島根ぶどうは、産地を挙げてたゆまぬ品質向上の努力を続けられ、市場など流通関係者の高い評価を受けております。

一方、こうした園芸産地では、近年、高齢化の進展などにより栽培面積が減少しております。

このため、リースハウスの整備を支援して新規就農者を確保し、収益性の高い品種を導入するなど、活性化を進めてまいります。

 

(4)林業につきましては、近年、国の事業により、製材工場に乾燥施設や高度な加工ができる機械が導入され、木材製品の品質向上が進んでおります。

これら木材製品の需要の増加を図るため、島根県産材の特徴を活かした住宅や店舗の内装材などの販路を首都圏など県外にも拡大していくことが重要であります。

このため、県内の製材工場などが連携して大消費地で商談会や展示会へ出展する取組みを支援するなど、林業・木材産業の活性化を図ってまいります。

 

(5)水産業につきましては、浜田市の漁業関係者がブランド化に取り組んでいる「どんちっちアジ」の水揚げが、今季、約1,400トンと、3年ぶりに1,000トンを超えたほか、他の一部の魚種でも資源の回復と価格の上昇が見られます。

引き続き、経営の複合化や漁獲物の高鮮度化など、経営の安定化に向けた漁業者自らによる取組みを支援し、漁業、漁村の活力再生を図ってまいります。

 

(5.結婚・出産・子育て支援と女性の活躍推進)

次に、結婚・出産・子育て支援と女性の活躍推進について申し上げます。

 

(1)結婚支援につきましては、昨年度、松江市と浜田市に「しまね縁結びサポートセンター」を開設してから、約1年が経過し、この間、来所や電話による相談が先月末時点で1,826件ありました。

また、出会いのイベントや独身者向けのセミナーの開催などにより、結婚ボランティア「はぴこ」とセンターによる成婚件数は、1月から9月までで、57件となりました。

 

今月末には、従業員の結婚を積極的に支援する企業を「しまね縁結びサポート企業」として登録し、従業員への婚活情報の提供や、出会いイベントの開催などを進めていただく取組みを開始いたします。

引き続き、企業と連携して県民の結婚に対する機運の醸成を図ってまいります。

 

(2)出産・子育て支援につきましては、出生数を増やすための市町村の独自の取組みを支援するため、今年度創設した「しまね結婚・子育て交付金」を活用し、妊産婦の通院費や不妊治療に対する助成、結婚・子育てに関する相談員の設置など、市町村の様々な取組みが進められております。

 

また、子育て世代の経済負担を軽減するため、一定所得以下の世帯の3歳未満の第1子・第2子の保育料を軽減する取組みは、今年4月から全ての市町村で行われております。

 

これらのほか、待機児童の解消や病児保育、放課後児童クラブの拡充なども進めており、今後とも「結婚・出産・子育ての希望をかなえる社会づくり」に向け、環境整備に努めてまいります。

 

(3)女性の活躍推進につきましては、県内全域で官民一体となった取組みを進めるため、先月、「しまね働く女性きらめき応援会議」を設置いたしました。

この会議では、構成団体の女性や若手職員をメンバーとするワーキングチームを設置し、女性の働き方の特性の分析やセミナーなど各種事業を立案・実施するなど、女性の活躍を推進してまいります。

 

(6.移住・定住対策と地域を担うひとづくり)

次に、移住・定住対策と地域を担うひとづくりについて申し上げます。

 

(1)移住・定住対策につきましては、大阪と広島でUIターンフェアを開催し、前年を上回る約730名の方々に来場いただきました。

今週は、東京でも開催いたします。

こうした都市部での情報発信が島根への移住・定住につながるよう、引き続き、施策の充実に努めてまいります。

 

(2)地域を担うひとづくりにつきましては、今年は、高校生の県内就職内定者の割合が前年同期に比べて増えております。

これは、県内企業から多くの求人が早期にあったことに加え、地元企業と連携した課題研究や、県内企業の見学・インターンシップなどにより、高校生の地域や県内企業への理解や関心が高まったことなどによるものと考えております。

引き続き、県内での就職が進むよう取り組んでまいります。

 

(3)先日、第1回目の「食の縁結び甲子園」全国大会を松江市で開催しました。

これは、高校生の創造力を育み、地域への理解を高め、併せて島根の食をPRする目的で行うものであり、松江農林高校、松江養護学校の県内2校を含め、全国から10校が出場し、それぞれの地元の食材を使ったアイデア料理を披露してくれました。

今後も、こうした若者の活動を推進してまいります。

 

(7.社会基盤の整備)

次に、社会インフラ整備について申し上げます。

 

(1)山陰道につきましては、浜田・三隅道路が3ケ月前倒しされ、来月18日に全線開通することとなりました。

残る事業中の区間につきましては、早期開通に向けて沿線市とともに事業推進に取り組んでまいります。

未事業化区間である「益田・萩間」につきましては、今月10日、島根県と山口県選出の国会議員で構成される「山陰道協議会」の方々とともに安倍総理に面会し、山陰道の早期完成と「小浜・田万川間」の来年度の新規事業化を要望してまいりました。

 

(2)浜田川総合開発事業につきましては、平成20年度に工事着手しました「第二浜田ダム本体工事」が完成し、先月から運用を開始しました。

引き続き、現在実施中の浜田ダム改造工事の進捗を図り、事業全体の早期完成に向けて取り組んでまいります。

 

(3)三江線につきましては、沿線地域の公共交通確保のための計画を策定するため、地域公共交通活性化再生法に基づく第1回の法定協議会が今月10日に開催されました。

加えて、今月14日には、島根・広島両県から中国運輸局長に対し、代替交通の確保のための地元協議会を開催するよう申出を行いました。

 

県としましては、廃止予定日である平成30年4月1日までに持続可能な代替交通が確保され、地域住民の移動に支障が生じないよう、沿線6市町、JR西日本、広島県などとよく協議しながら、全力で取り組んでまいります。

 

また、鉄道事業者の届出により事業廃止できる現行の鉄道事業法制度について、国において検証し、必要な措置を講じていくよう、先週、中国5県の知事会議において、共同アピールが採択されました。

今後、この共同アピールを踏まえ、国に対し、必要な働きかけを行ってまいります。

 

(8.地域医療と福祉の充実)

次に、地域医療と福祉の充実について申し上げます。

 

(1)県の「地域医療構想」につきましては、国から示された2025年の必要病床数の推計をもとに、二次医療圏ごとに医療機関、福祉団体、市町村などと検討を重ねてまいりました。

そして、県議会や県民の皆様のご意見をお聞きし、医療審議会の答申を経て、先月、「構想」を決定いたしました。

この「構想」をもとに、引き続き、圏域ごとに医療機関の役割分担と連携、在宅医療の推進について議論を進め、地域の望ましい医療体制の構築に取り組んでまいります。

 

(2)また、医療体制と併せて、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていくための「地域包括ケアシステム」の構築が重要であります。

現在、中山間地域の市町村では、地域の中核的な医療機関が中心となって、訪問診療や訪問介護サービスなどを一体的に提供するなどの「ケアシステム」構築の取組みが始まっております。

県としましては、こうした「ケアシステム」構築のための取組みに対して、保健所が中心となって関係団体との調整などの支援を行ってまいります。

 

(9.原発の安全・防災対策)

次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)島根原発1号機の廃止措置計画と2号機の新規制基準適合性確認につきましては、原子力規制委員会で引き続き審査中であり、県も引き続き審査状況を注視しております。

 

(2)また、昨年6月に発生しました、低レベル放射性廃棄物に係る流量計の取扱いに関する不適切事案につきましては、原子力規制委員会は、中国電力が行う再発防止対策の実施状況を、今後も引き続き、保安検査等により確認していくとされております。

県としましては、今後も原子力規制委員会と中国電力の適切な対応を求めてまいります。

 

(3)次に、原発の防災対策につきましては、国、島根・鳥取両県、島根原発の立地市及び周辺市による作業チームにおいて、万が一に備えた避難計画の実効性向上などに向け、引き続き検討を進めてまいります。

今月中旬には、国、自治体などの関係者が連携して原子力防災訓練を実施いたしました。

県としましては、防災対策の実効性を高めるため、こうした訓練を今後も繰り返し行ってまいります。

 

(10.防犯・交通安全対策)

次に、防犯・交通安全対策について申し上げます。

 

高齢者を中心とする特殊詐欺被害については、憂慮すべき状況が続いております。

また、年末に向けては、コンビニや金融機関等での強盗事件などの発生、飲酒の機会の増加や路面の凍結などによる交通事故が懸念されます。

こうした犯罪被害や事故を抑制するため、関係機関や民間団体などと連携し、街頭活動や広報啓発活動などの対策を強化してまいります。

 

(11.竹島問題)

次に、竹島問題について申し上げます。

今月9日、国会内の超党派による領土議連と島根県民会議の共催により、3回目の「東京集会」が、政府の代表や多くの国会議員、関係団体の参加のもとに開催されました。

これを契機に、国政の場で、竹島領土権の確立に向けた動きが加速するよう期待いたします。

県としましても、議会とともに竹島問題の解決に向けて、今後も粘り強く取り組んでまいります。

 

(12.国際交流)

次に、国際交流の推進について申し上げます。

 

(1)先月、ブラジル・サンパウロ市を訪問し、ブラジル島根県人会の創立60周年記念式典に中村副議長とともに出席し、県人会の方々から心温まる歓迎をいただきました。

 

ブラジルに移住された方々は、過酷な生活環境、労働環境の中で、大変なご苦労をされながらも幾多の困難を乗り越えてこられ、今日のブラジルにおける日系社会の礎を築いたことをうかがいました。

私からは、改めまして、移住者の方々のこれまでのご労苦に対し、ねぎらいの言葉を申し上げるとともに、県人会の長年の活動に対しまして、深く敬意を表しました。

 

現在の県人会は、2世、3世の方々が中心となって活動されておりますが、今もなおルーツである島根に愛着を感じ、熱い思いを持っておられることに、深い感銘を受けるとともに、交流の大切さを改めて感じたところであります。

 

(2)また先月、ウラジオストク市で行われたロシア連邦沿海地方政府との友好交流25周年の記念式典には、絲原議長とともに副知事が出席し、物産展や牡丹の記念植樹など民間交流も行いました。

 

(13.補正予算など提出議案)

それでは、今回提出いたしました補正予算案などの概要について申し上げます。

 

まず、一般会計の補正予算案につきましては、国の補正予算に呼応した経済対策について措置することとし、総額36億1,200万円余を増額しております。

 

この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,450億8,900万円余となります。

 

この補正予算案のほか、予算案3件、条例案9件、一般事件案4件の計17件を提出しております。

 

これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。

 


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