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平成27年11月定例県議知事提案理由説明要旨

定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(1.最近の経済情勢)

まず、日本経済の動向を見ますと、緩やかな景気回復基調が続いておりますが、中国の景気減速などによる世界の経済動向や金融資本市場の変動など、引き続き、先行きに注意が必要であります。

県内経済につきましても、緩やかな持ち直しの動きが続いておりますが、このような情勢から、要注意の状況にあります。

このため、県としましては、引き続き、内外の情勢をよく注視しながら、必要な対応を行ってまいります。

 

(2.地方創生に向けた「総合戦略」)

次に、島根の地方創生を目指す「総合戦略」につきましては、県議会、市町村、経済界や地域活動をされている方々などのご意見をお聞きしながら作成作業を進め、先月、決定したところであります。

2040年までに合計特殊出生率2.07の実現と社会移動の均衡を目指し、県民の総力を結集して、「子育てしやすく活力ある地方の先進県しまね」の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

 

また、県政運営上の指針となる「島根総合発展計画」につきましては、第2次実施計画が今年度末に終了するため、来年度から4年間の第3次実施計画を今年度内に策定することとしており、「総合戦略」に盛り込んだ新しい取組みなども踏まえて、今後、作成作業を進めてまいります。

来月下旬に総合開発審議会で議論を始めていただくこととしております。

 

(3.産業振興)

次に、産業振興について申し上げます。

 

(1)まず、観光につきましては、今年は、9月下旬のシルバーウィークが6年ぶりに5連休となったこともあり、昨年を大幅に上回る観光客に島根にお出でいただいております。

特に、国宝に指定された松江城では、9月の入場者数は、前年比、6割増となっております。

 

(2)国際観光につきましては、韓国からの団体ツアーの増加などにより、今年上期の外国人宿泊客数は前年に比べ6割以上増加しております。

下期におきましても、香港から米子空港へのチャーター便が運航されるなど、外国人観光客の増加が見込まれますので、引き続き、誘客を強化してまいります。

また、官民が一体となって観光地と地域資源の一体的なブランド開発を推進する「山陰版DMO(観光地づくり組織)」を来年4月に設立するべく、鳥取県と協議を行っております。

 

(3)石見地域では、今年上期の観光入込客数は、前年比、ほぼ横ばいとなっております。

今後、冬の対策として、スキーと温泉、地元の食材を活かしたご当地鍋などをPRし、誘客を進めてまいります。

 

(4)隠岐地域につきましては、隠岐世界ジオパーク活用推進検討会議の提言を踏まえ、観光振興などの隠岐全体の構想を策定する作業を行っております。

このほど、世界ジオパークの活動がユネスコの正式な事業となり、世界的な認知度の向上も期待されるところであり、隠岐の4町村などと一緒になって、効果的な施策の実現に取り組んでまいります。

 

(5)IT産業の振興につきましては、「しまねソフト研究開発センター」が先月、オープンしました。

近年、世界的に様々な産業分野でインターネットなどを介するデータの高度利用が急拡大していることから、このセンターにおいて、Rubyでプログラムの省電力化と高速化を同時に実現する技術の開発や、ビッグデータ解析技術の県内IT企業への普及などを進めることにより、競争力強化や、県外企業の誘致を図ってまいります。

 

また、Rubyを活用して新たな商品・サービスを展開している優れたビジネス事例を表彰する第1回目の「Rubybizグランプリ」につきましては、国内外の30社から応募があり、来月17日に東京で表彰式を開催いたします。

 

県内IT企業が、Rubyの活用によりビジネスを島根から世界に大きく展開して、新たな市場の獲得・拡大を進め、県内のIT産業の集積をさらに進めてまいります。

 

(6)企業誘致につきましては、今年度は現在までで20件の立地が決まりました。この中には県内進出企業の大規模な増設もあり、新規雇用が約720人増加することとなりました。

上半期の実績としては、件数及び新規雇用計画数ともに過去最高となりました。

 

このうち、県外からのIT企業の進出につきましては、今年度、6件の認定を行いました。

昨年頃から、浜田市、益田市、大田市、津和野町など、県西部でもIT企業の立地が進み、県全域での集積に向けて広がりを見せており、この動きをさらに推進してまいります。

 

(4.TPPへの対応)

次に、TPPへの対応について申し上げます。

 

島根の重要な産業である農林水産業では、多くの生産者の方々が、TPPが経営に及ぼす影響について不安を抱いておられます。

 

これに対して、政府は対策本部を設置し、総合的な対策をとるべく、鋭意、検討を行っているところであります。

 

先週は、県議会議長とともに、国への重点要望において、米、牛肉、豚肉など、大きな影響が懸念される農林水産品について、政府において万全の対策を講じるよう要望してまいりました。

 

県としましては、引き続き、政府の対策の検討状況などをよく注視しながら、県議会や関係者の方々と一緒になって、政府に対して必要な働きかけを行っていく考えであります。

 

(5.中山間地域対策と定住対策)

次に、中山間地域対策と定住対策について申し上げます。

 

(1)中山間地域対策につきましては、買い物、金融、医療等の日常生活に必要な機能・サービスの維持・強化を図るため、住民主体の議論を踏まえ、市町村と一緒になって「小さな拠点づくり」を進めます。

 

(2)定住対策につきましては、U・Iターン希望者に対して、ふるさと島根定住財団、市町村、関係機関、県が一丸となり、受け入れ態勢の強化と、求人情報の掘り起しなどを進めてまいります。

 

(6.社会基盤の整備)

次に、社会インフラ整備について申し上げます。

 

(1)山陰道の未事業化区間のうち「福光・浅利間」につきましては、新規事業化に向け9月に都市計画決定を致しました。

この区間の来年度の新規事業化と、残る未事業化区間の早期事業化を、引き続き、国に強く要望してまいります。

 

また、事業中の区間につきましては、先日、三隅益田道路の起工式が行われるなど、着実に事業が進んでおります。

 

加えて、国土交通省は、「朝山・大田間」については、諸手続きをスピードアップさせることにより開通時期を早めることが可能である旨の考えを示されました。

これを受け、この区間を含む全ての事業区間の早期完成を図るべく、先月、国、県、沿線の市などをメンバーとする「島根県山陰道会議」を設置しました。

この会議において、事業進捗を加速するための取組みを進め、引き続き、全線の早期開通を国に働きかけてまいります。

 

(2)萩・石見空港の東京便につきましては、これまでの地元協議会と一体となった利用促進の取組みの成果について、来月、外部有識者による国土交通省の懇談会で評価を受けることとなっております。来年春以降も2便運航の継続が認められるよう取り組んでまいります。

 

(3)三江線につきましては、先月、JR西日本から島根県、広島県及び沿線6市町に対し、「利用者のニーズに合致した持続可能な地域公共交通の構築に向けた検討に入りたい」という趣旨の説明がありました。

 

これを受け、先般、沿線6市町の首長・議長の方々が集まり、6市町が共通認識のもとでこの問題に取り組んでいくことを確認されました。

そして、今週27日に、首長・議長の方々が揃ってJR西日本本社を訪問し、社長の考えを直接聞いたうえで、改めて6市町の今後の対応について協議する、という当面の方針を決定されました。

 

従いまして、県としましては、今後、沿線市町の首長の方々の意向をよくお聞きした上で、適切な対応をしていく考えであります。

先週の重点要望の際に、県選出の国会議員の方々に、こうした状況について説明したところであります。

 

(7.結婚支援の充実)

次に、県内で結婚し、子どもを産み育てる若い人たちが増えるようにするためには、結婚支援が重要であります。

 

結婚相談ボランティア「はっぴぃこーでぃねーたー」と連携し、総合的な結婚支援を行う「しまね縁結びサポートセンター」につきましては、今月27日に松江センターを「タウンプラザしまね」内に、1月に浜田センターを「いわみーる」内にそれぞれ開設することとしております。

 

(8.原発の安全・防災対策)

次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。

 

(1)島根原発1号機につきましては、中国電力は、廃止措置計画の認可申請に向け準備中としておりますが、申請の時期は、まだ明らかではありません。

 

(2)2号機につきましては、先月、原子力規制委員会が宍道断層に関する現地調査を行うなど、適合性確認審査が継続されており、中国電力は、審査で指摘のあった事項について必要な対応を行っている状況にあります。

 

(3)中国電力から調査結果の報告があった、低レベル放射性廃棄物のモルタル充填に用いる流量計問題につきましては、先週、県安全対策協議会及び原子力安全顧問会議を開催しまして、県民の方々や関係自治体、専門家などからご意見をお聴きしたところであります。

 

引き続き、原子力規制委員会の対応や、中国電力の再発防止対策の実施状況などを踏まえ、適切に対応してまいります。

 

(4)次に、原発の防災対策につきましては、先月、島根・鳥取両県及び島根原発の立地市及び周辺市が連携して「原子力防災訓練」を実施しました。

県としましては、こうした訓練を繰り返し行い、防災対策の実効性を高めてまいります。

 

(9.防犯・交通安全対策)

次に、防犯・交通安全対策について申し上げます。

 

県内では、高齢者を中心とする特殊詐欺被害が後を絶たない状況にあるほか、年末に向けて、金融機関を狙った強盗など凶悪事件の発生や、路面の凍結・飲酒機会の増加などによる交通事故が懸念されます。

 

こうした犯罪被害や事故を抑制するため、関係機関、民間団体等と連携して官民一体となった対策を講じてまいります。

 

(10.参議院選挙制度への合区導入)

次に、参議院選挙制度への合区導入について申し上げます。

 

合区が導入されますと、合区された2つの県の間で意見が異なった場合、参議院においてそれぞれの県単位での民意を伝えることが難しくなり、合区された県とされない県との間で新たな不公平が生じることとなります。

 

こうした不公平が生じることのないよう、都道府県単位の各選挙区に必要な定数を配分する仕組みを法律により明確に定めるべきではないか、と考えており、先月、全国知事会の研究会において定数配分の試案をお示し致しました。

 

今後、選挙制度の見直しに向けた働きかけを、国会議員の方々と一緒になって行ってまいります。

 

(11.県庁内における勤務環境の改善)

次に、県庁内における勤務環境の改善について申し上げます。

 

このところ、県職員の時間外勤務が全般的に増加し、健康への配慮が必要な職員も増えております。

 

県政の様々な課題等に対応していくため、私が先頭に立って、職員一人ひとりが健康で、いきいきと働きやすい職場をつくり、職員とともに、課題解決に向けて全力で取り組んでまいります。

先般、こうした趣旨のメッセージを私から職員に対して発出したところであります。

 

(12.その他の動き)

次に、これまで申し述べてまいりました分野以外においても、いろいろな動きがありますので、若干、ご報告申し上げたいと存じます。

 

(1)島根県芸術文化センター「グラントワ」は、先月、開館10周年を迎えました。

石見地域の芸術文化の拠点として、県内外から多くの皆様にご利用いただき、開館以来の入館者は、360万人になっております。

今後も、地域の方々と一体となって、芸術文化の振興に取り組んでまいります。

 

(2)宍道湖と中海がラムサール条約湿地に登録されてから、今月で10周年を迎えました。

この登録を契機として、自然に親しむ学習会や清掃活動、水質の保全と資源の活用などが活発に行われております。

今後も、この2つの汽水湖の豊かな恵みを将来にわたり継承するため、国、鳥取県、関係市とも連携しながら取り組んでまいります。

 

(3)今年は終戦から70年の節目の年であります。

先月は松江市で開催されました、原爆の犠牲となられた方々を慰霊する式典に出席いたしました。

また、今月10日には、沖縄で戦死された島根県出身の方々を追悼する式典に、県議会副議長とともに出席してまいりました。

 

今日の平和で豊かな社会を守るよう不断の努力をし、これからも島根の発展、そして日本の発展のため、県民を挙げて取り組んでいく決意を新たにしたところであります。

 

(4)災害時に高齢者や障がい者の方々を支援する福祉専門職を被災地に派遣するため、島根県社会福祉協議会など県内の福祉関係13団体が参加する「しまね災害福祉広域支援ネットワーク」がこのたび立ち上がりました。

これを受けまして、県及び島根県社会福祉協議会、市町村との間で協定を締結しました。

県では、今後、このネットワークとも協力しながら、災害時の被災者の健康管理などに努めてまいります。

 

(5)高校生を対象にした「食の縁結び甲子園」中国・四国大会を先月、開催いたしました。

松江養護学校、益田翔陽高等学校の県内2チームを含めて10チームが出場し、高校生の創造力があふれる「地域を元気にする」縁結びランチを披露していただきました。

 

来年度は、全国からブロック別の代表に島根に集まってもらい、島根の食を全国にPRする場と致します。

 

(13.若者の活躍)

和歌山で開催された今年の国民体育大会では、カヌーの少年女子カヤックシングルで出雲農林高校の原綾海さんが2種目で優勝し、陸上競技の成年女子400メートルでは青山聖佳さんが優勝し、水泳の少年男子高飛込みでは松徳学院高校の須山晴貴さんが優勝しました。

 

こうした若者の活躍は県民に大きな喜びと感動を与えてくれるものであります。

今後も、島根の若者たちが大いに活躍することを期待しております。

 

(14.提出議案)

さて、今回提出いたしました議案は、一般会計補正予算案のほか、予算案1件、条例案9件、一般事件案7件の計18件であります。

 

これら議案の詳細につきましては、この後、副知事から説明させることと致します。

何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。

 


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