平成26年9月定例県議会知事提案理由説明要旨
提出議案等の説明に先立ちまして、島根にとりまして大変うれしい次の二点につきまして発言をさせていただきたいと存じます。
第一点目は、来月5日に執り行われます高円宮家次女典子さまと出雲大社権宮司千家国麿さんの結婚式についてであります。
「平成の大遷宮」の中での「平成の縁結び」というべき誠におめでたい慶事であります。心からお祝いを申し上げます。
二点目は、テニスの錦織圭選手の活躍についてであります。
錦織選手は、全米オープンテニスで、日本選手として史上初めての準優勝という快挙をなされ、島根県民はもとより日本国中に大きな喜びと感動を与えてくれました。
錦織選手が、今後、世界の頂点を目指して一層の活躍をされますことをお祈り申し上げます。
それでは、続きまして、定例議会開会にあたり、諸議案の概要や県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。
(1.最近の経済情勢)
まず、日本経済の動向を見ますと、緩やかな回復基調が続いておりますが、消費税引上げの影響が見られる個人消
費の動向や、世界経済の先行きなど、引き続き、注視が必要な状況にあります。
県内経済につきましても、個人消費に弱い動きが見られるなど、要注意の状況が続いております。
このため、県としましては、引き続き、内外の情勢をよく注視しながら、必要な対応を行ってまいります。
(2.人口減少問題)
次に、人口減少問題について申し上げます。
(1)政府におかれては、日本の人口減少問題に、初めて国として本格的に取り組まれようとされています。
(イ)6月に決定された政府の「骨太の方針」では、「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持することを
目指す」とされ、
(ロ)先週の内閣改造では、新たに設置された「まち・ひと・しごと創生本部」の担当大臣として、石破大臣が就
任されました。
(ハ)今後、秋の臨時国会での論議や来年度予算編成作業などを通じて、年末に向け、政府の総合的な対策が固ま
っていくものと思われます。
(2)こうした政府の動きの中で、県では、7月に人口対策本部を設置し、8月には、市長会と町村会との意見交換
を行いました。
(3)県としましては、今後も、市町村の意見なども踏まえ、中山間地域や離島など条件不利地域が多い島根の実
情などを国に対しよく伝え、国の政策の中で適切な配慮がなされるよう、県議会とともに、秋の重点要望などを
通じて、強く訴えていく考えであります。
(4)日本の人口減少に歯止めをかけるためには、国全体として子育て支援を強化・充実することが必要であり
ます。
また、そうした中で、女性が働きながら子育てをしうるような社会的な環境づくりを行うことが大事であり
ます。
(5)そして同時に、出生率が低い大都市部から、子育てがしやすく、出生率が高い地方部へ、人、企業、政府機関
などを分散することが重要であります。
(6)そのためには、地方部において産業を振興し、高速道路など地方の遅れたインフラ整備を進めることなどに
より、地方の若者に安定した雇用の場が確保されるよう、国の政策として地方分散を進めていくことが極めて重
要であります。
(7)県としましては、従来から、市町村と連携しながら、産業振興、企業誘致、農林水産業の振興、県産品の販路
拡大などを進め、また、産業体験事業などを通じたUIターンの推進など、若者の定住を進めてきております。
(8)しかし、島根県をはじめとして、子育てがしやすく、出生率も高い地方部は、概して財政力が弱く、産業振興
や定住施策をさらに推進していくためには、そうした地方自治体に対し、国による総合的な財政支援の拡充強化
が不可欠であります。
こうした点も、今後、国に強く働きかけてまいります。
(3.企業誘致と海外拠点の開設)
次に、県自身が取り組んでおります産業振興の最近の動向について申し上げます。
(1)まず、企業誘致につきましては、先月は大阪で、立地セミナーを開催し、また、今年度は、IT企業経営者向
けの県内視察ツアーを2回実施してきております。
(2)IT人材につきましては、県内の専門高校において、地元企業への就職につながる人材の育成を図るため、
現在、出雲商業高校をモデル校として1年生の3学期から、IT企業の専門家による授業を開始できるよう準備
を進めております。
(3)また、今月2日には、岡本県議会議長とともに、タイに出張し、バンコク市内に、海外支援拠点「島根・ビジ
ネスサポート・オフィス」を開設いたしました。
拡大するアジア市場で、進出した県内企業がビジネス・チャンスを活かして事業を拡大し、それにより県内で
の事業基盤が強化されることを期待しております。
(4)今後も、経済界のご意見などを良くお聞きしながら、きめ細かな支援を行ってまいります。
(4.農業振興)
次に、農業振興につきましては、
(1)県内において、担い手の減少と高齢化への対応が課題となっており、実践的研修や就農相談などにより、引き
続き、新規就農者や若手農業者の育成・確保に努めております。
(2)他方、県内農業の中核にある米につきましては、近年の消費の減少や全国的な在庫の増加などにより、米価が
下落しております。
また、今年は、長雨や日照不足の影響による品質の低下が懸念されております。
県では、先般、国に対し、こうした実情を説明し、適切な対応を要請しましたが、引き続き、米の需給と価格
の安定化などに対する支援の強化を働きかけてまいります。
(5.観光振興)
次に、観光振興について申し上げます。
(1)昨年、豪雨災害を受けた石見地域では、7月から三江線、山陰本線、山口線が、順次、全線運転を再開しま
した。
これを機に、山口県や沿線自治体、JRなどとも連携し、各種イベントの開催などPRを行ってまいります。
(2)世界ジオパーク認定から1周年を迎えた隠岐地域につきましては、今月から「隠岐ジオ博」が始まり、シンポ
ジウムやジオ・スポットツアーなどが開催されます。
また、最近、地元では、島外の事業者と連携して観光商品づくりを行おうとする動きなども出てきており、県
もこうした動きを支援してまいります。
(3)県全域の観光対策としましては、昨年に続き、「ご縁の国しまね」観光キャンペーンを開始し、今年は「ご縁
休暇をとりませんか」をキャッチコピーにして、首都圏を中心に映像広告などによりPRをしてきております。
(4)また、県全体として観光を推進するため、7月に立ち上げました「しまね観光推進会議」などにより、官民が
連携して取り組んでまいります。
(6.航空路線の利用促進)
(1)次に、本年3月から2便化された萩・石見空港の東京便につきましては、地元協議会と協調し、
(イ)航空会社の事業と連携した搭乗促進キャンペーンや旅行商品の造成支援
(ロ)地元圏域の利用者に対する助成の拡大など
利用促進対策を強化し、路線の2便化維持に全力を挙げて取り組んでまいります。
(2)出雲縁結び空港の東京便につきましては、昨年に引き続き、10月下旬から来年3月まで、1往復増え、6往復
の運航が決定されております。
(7.社会基盤整備)
次に、社会インフラ整備について申し上げます。
(1)山陰道の未着手区間につきましては、現在、都市計画決定の手続きを進めている「福光・浅利間」は、概ね環
境調査を終え、今後、国による地元説明会が予定されております。
引き続き、山陰道全線の早期完成を国に強く働きかけてまいります。
(2)また、既に供用している有料の高速道路、例えば、広島浜田線につきましては、本年4月の割引率の見直し
以降、利用台数に減少が見られます。
このため、地方部の振興に配意した料金政策を講ずるよう、国に要望してまいります。
(3)大橋川改修につきましては、天神川水門の工事や井手・馬潟地区の堤防整備が進められております。
県では、大橋川改修に併せ、平成30年代前半に「新大橋」を架け替えることとし、今後、都市計画決定など必
要な手続きに着手してまいります。
(8.地域医療と福祉の充実)
次に、地域医療と福祉の充実につきましては、「医療・介護総合確保推進法」が先の国会で成立し、いわゆる団
塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け、国を挙げて医療・介護の提供体制を整えていくこととなりました。
県としましては、国の新たな財政支援制度を活用し、医療・介護従事者の確保や在宅医療の推進を通じて、必要
なときに必要な医療・介護サービスが受けられる社会を目指し、積極的に取り組んでまいります。
(9.子育て支援)
次に、子育て支援につきましては、幼児期における教育・保育や地域の子育て支援を充実する「子ども・子育て
支援新制度」の円滑な実施に向け、認定こども園条例の改正をはじめ、必要となる条例案を今議会に提出しており
ます。
(10.再生可能エネルギーの導入)
次に、再生可能エネルギー及び省エネルギーに関する新たな計画の策定につきましては、これまで検討委員会を
2回開催し、委員の方々から、目標値の設定や産業界への影響など様々なご意見をいただいております。
今後、参考人の意見なども踏まえ、さらに議論を深めてまいります。
(11.自然災害対策)
次に、自然災害対策について申し上げます。
(1)広島県では、先月20日未明の土砂災害により、多くの方々がお亡くなりになるなど、甚大な被害が発生しま
した。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に、心からお見舞いを申し上げ
ます。
(2)島根県内からは、自衛隊出雲駐屯地、県警本部及び県内の各消防本部による援助隊などが、発災直後から救援
活動にあたりました。
また、8月下旬から日本赤十字社島根県支部の義援金受付が始まっております。
被災地の1日も早い復興をお祈りする次第であります。
(3)県では、今般の広島での災害や、この夏、全国各地で発生した台風被害を踏まえ、市町村に対し、
(イ)避難勧告の早めの発出
(ロ)住民の方々への土砂崩れなどの危険箇所の周知徹底
などを要請しております。
(4)また、県としましては、現在、土砂災害危険箇所のうち、約5,900箇所を要対策箇所としておりますが、市町
村とも協議しながら、これらの見直しを進めてまいります。
(12.原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。
(1)島根原発2号機につきましては、原子力規制委員会の適合性確認審査が継続されており、中国電力は、断層の
追加調査など、審査で指摘のあった事項について必要な対応を行っている状況にあります。
(2)国内では、早期に審査が進められた鹿児島県の川内原発1号・2号機につきまして、昨日、原子力規制委員会
により、審査結果である「審査書」が決定され、原子炉の設置変更許可がなされました。
県としましては、川内原発の地元自治体や住民に対する国の説明の手続きなどの動向をよく注視しているとこ
ろであります。
(3)次に、原発関連の防災対策につきましては、国と原発の立地及び周辺自治体とが連携してその充実に取り組ん
でおります。
来月には、関係自治体と合同で「原子力防災訓練」を実施し、防災対策の検証を行うこととしております。
(13.島根県立大学)
次に、島根県立大学について申し上げます。
(1)松江キャンパスのあり方につきましては、7月に、大学当局から、4年制への移行を求める考えが、県民の意
見なども添えて、県に提示されました。
県では、これを受け、有識者による懇談会を設置し、先日、第1回会合を開催しました。
今後も、幅広く意見を聴きながら検討を行い、来年度の早い時期に方針を決めたいと考えております。
(2)次に、浜田キャンパスにつきましては、先月、県立大学支援協議会から、県及び県立大学に対し、高齢化や過
疎問題、中山間地域や離島・沿岸地域の活性化などについて教育や研究をする学部の設置要望がありました。
この要望につきましては、県としましては、大学当局でまず行われる検討をよく見ていきたいと考えており
ます。
(14.防犯対策)
次に、防犯対策につきましては、高齢者に、レターパックや宅配便で現金を送付させたり、還付金を装い現金を
払い込ませるなど、巧妙な手口による詐欺が増えております。
こうした特殊詐欺被害を防止するため、分かりやすい広報・啓発活動の実施、相談・サポート体制の構築や金融
機関と連携した水際対策の強化などに全力を挙げております。
(15.核燃料税等)
次に、今年度末に課税期限を迎える「核燃料税」等の県税の取扱いについて申し上げます。
(1)まず、「核燃料税」につきましては、原発に係る防災対策の強化など、そのために必要となる県などの財政需
要に対処するため、税率の引き上げや、安定的な税収確保のための制度の導入に向け、夏以降、事業者と協議中
でありまして、11月議会に条例案を提出する考えであります。
また、核燃料税収入の一部を、立地及び周辺自治体に交付することにつきましては、こうした自治体の意向も
よく聞きながら、今後、検討していく考えであります。
(2)次に、「産業廃棄物減量税」につきましては、さらに5年間継続する条例案を今議会に提出しております。
(3)また、「水と緑の森づくり税」につきましては、今後、実施するパブリックコメントを通じて、さらに広く県
民の皆さんのご意見をお聞きし、11月議会に条例案を提出する考えであります。
(16.補正予算など提出議案)
それでは、今回提出いたしました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。
今回の補正予算案では、国の補助金の内示等に伴い補正を要するもののほか、早急に対応すべきものについて措
置することとし、総額35億7,600万円余を増額しております。
この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,311億8,000万円余となります。
この補正予算案のほか、予算案14件、条例案8件、一般事件案9件の計32件を提出しております。
これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。
何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。
お問い合わせ先
政策企画監室
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 島根県 政策企画監室 電話:0852-22-6063 FAX:0852-22-6034 Eメール:seisaku-kikaku@pref.shimane.lg.jp