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平成25年6月定例県議会知事提案理由説明要旨

 定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(最近の経済情勢)

 まず、日本経済の動向を見ますと、日銀の大幅な金融緩和や米国景気の回復期待などから、円安・株高が続き、景気持ち直しの動きが見られます。

 他方、円安による輸入物価上昇や金融市場の乱高下にも要注意の状況にあります。

 

 そうした中で県経済にも景気持ち直しの動きが波及してくることが期待されますが、現時点では、総じてなお厳しい状況が続いております。

 

 今後も、内外の経済情勢や国の経済対策の動きなどをよく注視し、適切な経済・財政運営に努めてまいります。

 

(最近の観光の動き)

 こうした中で産業振興は、引き続き県の重要政策課題であります。

 中でも「平成の大遷宮」を迎えた今年は、観光振興にとって大事な年であります。

 

 出雲大社におかれては、5月10日夜の本殿遷座祭をはじめ、諸行事が滞りなく盛大に執り行われてきております。

 また、今月9日まで、神楽や能、狂言といった伝統芸能あるいはコンサートなど、様々な奉祝行事が、出雲大社境内の特設ステージなどで連日行われております。

 

 また、古代出雲歴史博物館で今月16日まで開催される「出雲大社展」にも、多くの方々にお出でいただいております。

 

 出雲大社前の神門通りでは、3月末に石畳舗装と街路灯の整備が完成し、また、このところ、レストラン、カフェや若者に人気の雑貨店など新店舗が増えてきております。

 

 こうした中、出雲大社周辺では、5月の連休頃から、多くの観光客がお出でになり、連休中は、前年の約2倍の人出となりました。

 また、3月末に松江尾道線が三次まで開通し、5月の連休中の県境での1日平均交通量は、国道54号を含め、昨年の約2倍と大幅に増加しております。

 

 こうした観光立県しまねの動きが、高速道と並行する国道沿線地域を含め県内全域に広がっていくよう、引き続き、県内各地の魅力発信と道路等インフラ整備に取り組んでまいります。

 

(ものづくり産業)

 次に、ものづくり産業につきましては、今年度予算で、企業が連携して受注体制を強化するために行う設備投資に対し助成を行うこととしたほか、海外展示会への出展や人材確保などに対する支援を強化しております。

 

 また、この3月に官民合同で立ち上げた調査チームにより、県内企業の海外進出の仕方などを検討してまいります。

 

(情報関連産業)

 情報関連産業につきましては、本年3月に、即戦力となる人材を確保するため、県外IT技術者と県内IT企業との交流会を東京で開催したところ、約50名の参加者のうち7割以上の方が島根での就職を希望しておられました。

 

 今年度もこうした人材の確保・育成に努め、Rubyを活用した新ビジネスの展開などを支援し、県内雇用の拡大を図ってまいります。

 

(企業誘致)

 次に、企業誘致につきましては、昨年度は、16件の立地認定を行い、総投資額は約90億円、新規雇用の創出は約240人となりました。

 

 近年、新規立地につきましては、製造業では、愛知県からの引き合いが、そして情報関連産業では、首都圏からの引き合いが多く、今年度の企業立地セミナーは、名古屋と東京で開催し、積極的に企業誘致を行ってまいります。

 

(中小企業支援)

 次に、中小企業の支援につきましては、今年3月末の中小企業金融円滑化法の期限切れに際し、新たな借換え資金の創設や中小企業への専門家派遣事業の拡充を行っております。

 

 引き続き、商工団体、金融機関との連携の下、中小企業の経営改善や事業再生を支援してまいります。

 

(再生可能エネルギー)

 次に、再生可能エネルギーの利活用につきましては、4月以降、県有地を利用して、民間の事業者及び県企業局が、太陽光発電事業の工事に、それぞれ順次、着手しており、今年度中には、その多くが発電を開始する見込みであります。

 

 また、この4月には、循環型林業推進の一環として、国が昨年度から始めた助成制度の中で、木質バイオマス発電を行う企業2社に助成を行うことと致しました。

 2年後には、発電を開始する予定となっておりますが、県内での木材チップの製造などを通じ、地域の雇用の創出にも貢献するものと考えております。

 

(農業・水産業の振興)

 次に、農業の振興につきましては、昨年から県内で本格栽培を開始した米の新品種「つや姫」は、暑い夏でも1等米の比率が高いなど、品質が良く、美味しいことから消費者に好評を得ており、今年産米の作付面積は倍増しております。

 

 8月には、出雲市において、全国5県の「つや姫」生産者などが参加し、「全国つや姫フォーラム」が開催されます。

 こうした機会を活用し、そのブランド力の一層の向上を図ってまいります。

 

 水産業につきましては、燃油価格の高騰が漁業者にとって大きな負担となっております。

 県としましては、今般の国に対する重点要望におきましても、燃油高騰対策の拡充・強化を国に求めているところであります。

 

(社会基盤の整備)

 次に、社会インフラ整備について申し上げます。

 

 山陰道のうち、未着手区間の「福光・江津間」につきましては、新規事業化への手続きが速やかに進められるよう取り組んでまいります。

 また、「益田・萩間」につきましては、整備着手の優先区間の絞り込み調査が、今年度、行われることとなりました。

 引き続き、早期事業化に向け、国に働きかけてまいります。

 

 斐伊川・神戸川治水事業につきましては、今般、中流部の放水路が完成の運びとなり、今年の出水期から供用できることとなりました。

 大橋川改修は、追子地区、井手・馬潟地区の築堤工事及び天神川の水門の建設が進められております。

 今後も、こうした治水事業が順次進められるよう、取り組んでまいります。

 

 次に、来島ダムの分水問題につきましては、中国電力から国土交通省に水利使用の申請がなされたのを受け、3月末に県及び出雲市など地元市町により調整会議を設置しました。

 

 この調整会議の場において、来島ダム下流の住民の方々をはじめ、地元関係市町などの意見を丁寧によくお聞きして、適切な解決を図っていく考えであります。

 

(航空路線の利用促進)

 次に、航空路線の利用促進について申し上げます。

 

 出雲縁結び空港におきましては、昨年度は、「神話博しまね」や冬場対策の実施などから、利用者数が前年度より6万人近く増加し、約70万人となりました。

 

 萩・石見空港におきましても、昨年度は、首都圏からの観光客が増加したことなどから、利用者数が4千人増加し、約7万人となりました。

 

 隠岐空港につきましては、今年も8月1日からの大阪夏季ジェット便の運航が決定しております。

 

 引き続き、こうした航空路の利便性向上と利用促進に積極的に取り組んでまいります。

 

(離島・中山間地域対策)

 次に、離島・中山間地域対策について申し上げます。

 

 離島振興対策につきましては、この4月に策定した「離島振興計画」に基づき、国の離島活性化交付金を積極的に活用しながら、着実に実行してまいります。

 

 また、昨年、世界認定が見送られた隠岐ジオパークにつきましては、9月に再審査が行われます。

 県としましても、認定に向け、地元隠岐の皆さんと一体となって、来訪者の受け入れ態勢の整備や広報活動などに取り組んでまいります。

 

 中山間地域対策につきましては、引き続き「しまねの郷づくりカルテ」を活用しながら、「重点支援地区」をさらに増やし、地域の農産物を活用した特産品づくりや、廃校を利用した都市と農村との交流など、地域の実情に合った支援を行ってまいります。

 

 このほか、定着率の高い産業体験事業を通じたUIターンの推進など定住対策にも積極的に取り組んでまいります。

 

(防災対策)

 次に、防災・危機管理につきましては、今年度から設置した防災部を中心に、4月以降、部局長レベルの防災対策本部会議などを随時、開催し、北朝鮮問題、鳥インフルエンザ、PM2.5などの問題に対応しております。

 

 原発の安全・防災対策につきましては、国の原子力規制委員会が原発の新たな安全基準を、7月には定めることになっております。

 その後、基準に合致した安全対策を講じた原発から、国に安全審査を求めていくことになるとされており、県としましては、その動向をよく注視し、必要な対応を図ってまいります。

 

 島根原発に万が一の事態が生じた場合の防災対策につきましては、(1)要援護者をはじめとした住民避難計画の実効性の向上、(2)オフサイトセンターや代替オフサイトセンターへの放射線防護対策、(3)避難の際に誘導を行う消防団員等の原子力防災業務従事者に対する研修などを行ってまいります。

 

(地域医療と福祉の充実)

 次に、医療と福祉の充実について申し上げます。

 

 県では、4月に改定した「保健医療計画」に基づき、訪問看護の充実や医療と介護の連携強化を中心とした在宅医療の推進を図るとともに、引き続き医師・看護師の確保に取り組んでまいります。

 

 先般、こうした施策を盛り込んだ「地域医療再生計画」案を国に提出したところであります。

 今後、この計画に基づいた施策が実施できるよう、国の交付金による地域医療再生基金の積み増しを国に働きかけてまいります。

 

 また、ドクターヘリ運航の広域連携につきましては、中国5県で基本協定を締結した後、関係各県との間で調整を進め、5月1日から連携運航が始まりました。

 

 次に、県民の健康づくりにつきましては、昨年度改定した「健康長寿しまね推進計画」に基づき、食育の推進、生活習慣病対策など、「生涯現役、健康長寿のまちづくり」を目指した運動を、県民の方々や関係団体等と一緒になって展開してまいります。

 

 子ども・子育てにつきましては、本年4月に施行された「子ども・子育て支援法」に基づき、今後の支援計画を策定するため、有識者や子育て中の方々などを委員とする「子ども・子育て支援推進会議」を設置することとし、そのための条例案を今議会に提出しております。

 

(教育の充実)

 次に、教育の分野では、4月に、県内の水産高校が使用する練習船「神海丸」が竣工いたしました。

 この練習船で実習をする生徒たちが、島根はもとより日本の水産や海運を担う人材として成長することを期待しております。

 

 次に、全国的に問題となっております体罰につきましては、県立及び市町村立学校での状況について、児童生徒や教員、保護者を対象にアンケート調査を実施し、4月に結果を公表いたしました。

 発生した事案について検証を行い、研修などを通じた学校現場の指導体制の強化や、相談窓口設置・充実に取り組んでまいります。

 

 また、いじめの問題につきましては、4月から県教育委員会の相談体制を強化したところであります。

 引き続き、学校や市町村と連携を図り、早期発見、早期対応に努めてまいります。

 

(防犯・交通安全対策)

 次に、防犯対策につきましては、高齢者に投資の儲け話をもちかけるなどの詐欺による被害が多発しております。

 このため、関係機関や団体と連携し、金融機関での水際対策や広報啓発活動を強化しております。

 

 交通事故につきましては、先月、県内で死亡事故が相次いで発生しました。

 今後とも、関係団体と協働して、交通安全規範意識の向上や高齢者に対する安全対策などを強化し、交通事故の抑止に努めてまいります。

 

(竹島問題)

 次に、竹島の問題について申し上げます。

 

 政府におかれては、4月に、「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」を設置され、竹島や尖閣諸島などについて、日本の主張を内外に発信するための方策を整理・検討しておられます。

 この懇談会には、県の竹島問題研究会の座長下條正男拓殖大学教授及び委員の中野徹也関西大学教授が参加しておられます。

 

 政府におかれては、7月頃にまとめられるこの懇談会の検討結果を踏まえ、国民世論の啓発や国際社会への働きかけなどに積極的に取り組まれることを期待しております。

 

 県としましては、引き続き、県議会や地元町村とともに、国に対し、竹島問題解決に向けた取り組みを求めるとともに、この問題について国民の理解が広がるよう、県の竹島資料室での展示、インターネットによる情報発信などに積極的に取り組んでまいります。

 

(職員の給与について)

 次に、職員給与について申し上げます。

 

 本年1月、国より地方公共団体に対し、国家公務員の給与減額措置に準じて地方公務員給与を減額するよう要請がありました。

 

 これに対して、地方側からは、本県を含め、国の一方的な要請は適切でないとの意見が多く出され、全国知事会などと国との間で種々やり取りがありました。

 その結果、国としても、減額期間の短縮や減額方法の弾力化など一定の調整を行うこととなりました。

 

 県としては、こうした状況を総合的に勘案し、次のように対応することと致しました。

 

 まず、県立病院に勤務する医療職等を除く一般職の職員の給与につきまして、本年7月から来年3月までの9ヶ月間、臨時特例的に給料月額を国家公務員の特例減額後の水準並みに減額することと致します。

 また、常勤の特別職の給与につきましても、同じ期間中、現行の減額幅にさらに追加して減額することと致します。

 

 これらの給与減額を実施するための条例案を今議会に提出致しました。

 

 また、県としては、今回のように国から一方的に給与削減を押し付けるといったことがないよう、全国知事会などを通じ、また、県自身としても国に強く求めていく考えであります。

 

 給与減額により生じる財源につきましては、防災、減災対策など、安全・安心な県民生活の確保を通じ、経済の活性化に活用していく考えであります。

 

 そのための補正予算につきましては、9月定例議会に提案できるよう、具体的に検討してまいります。

 

(補正予算など提出議案)

 それでは、今回提出致しました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。

 

 今回の補正予算案では、海岸漂着ごみ対策の推進など、国の補助金による基金の積み増しや活用を図るほか、早急に対応すべきものについて措置することとし、総額5億5,800万円余を増額しております。

 この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,317億1,400万円余となります。

 

 この補正予算案のほか、条例案12件、一般事件案5件の計18件を提出しております。

 

 これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。

 何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。


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