平成25年11月定例県議会知事提案理由説明要旨
定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、最近の県行政の主な動きについてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。
(最近の経済情勢)
まず、日本経済の動向を見ますと、日銀の金融緩和や円安などにより、大企業や輸出関連企業を中心に収益が改善し、設備投資や消費の増加などから、緩やかな回復基調にあります。
他方、県経済につきましては、県全体として景気回復が実感できる状況にはなく、なお厳しい状況が続いております。
こうした中、政府は、来年4月以降、消費税の3%引上げを決定され、同時に、新たな経済対策の実施を表明されました。
この経済対策につきましては、先般、県議会とともに行いました国への重点要望におきまして、中小企業が多く、景気回復が遅れている地方の実情に十分配慮するよう要請したところであります。
(豪雨被害への対応状況)
次に、今年夏、県西部で発生した豪雨被害への対応状況について申し上げます。
道路や河川など公共土木施設につきましては、被害査定を実施中であり、復旧事業費は、県・市町を合わせて、約200億円となる見込みであります。
これらの復旧工事につきましては、現在、順次実施中であります。
特に被害が甚大であった津和野町の津和野川、名賀川につきましては、今後の災害防止のため、川幅を広げるなどの改良工事により対応することとしております。
農地や林道など農林水産施設の復旧事業費は、国への申請予定額が、県・市町分を合わせ、72億円余となる見込みです。
年内には査定を終え、順次、工事に着手してまいります。
この他、山地崩壊など治山事業につきましては、現在、国と協議中であり、協議が整い次第、工事に着手致します。
(鉄道の復旧)
次に、鉄道の復旧状況は、次のとおりであります。
山陰本線の益田・須佐間が今月9日に復旧しました。
山口線は、益田・津和野間が今月16日に復旧しました。
津和野・地福間は、まだ復旧の時期は確定しておりませんが、早急な復旧について、JR西日本と鋭意調整中であります。
なお、津和野・新山口間におきましては、今月16日からノンストップバスの運行が開始されております。
三江線につきましては、現在、JR西日本との間で、復旧工事の方法について調整中でありますが、引き続き、早期復旧に向け取り組んでまいります。
(観光の振興)
次に、観光の振興について申し上げます。
出雲大社の「平成の大遷宮」は、伊勢神宮の式年遷宮とともに全国的な関心を呼び、全国各地から多くの観光客にお出でいただき、神在月の今月も大いに賑わっております。
また、県内の高速道路や出雲縁結び空港の発着便の利用者数は、昨年を大きく上回っており、県全体の年間観光入込客数も昨年を上回るものと見込まれております。
県としましては、こうした観光客の増勢が今後も続くよう、「ご縁の国しまね」をテーマとした観光キャンペーンによるPRや、地域の魅力づくりを積極的に行ってまいります。
来年2月には、東京で旅行会社やマスコミ関係者を対象にした観光情報説明会において、さらにPRすることとしております。
石見地域におきましては、この夏の豪雨により被害を受けた津和野町、江津市をはじめ、県西部への観光誘客を図るため、引き続き、JR駅へのポスター設置や雑誌への広告掲載を行うなど、積極的なPRに努めてまいります。
さらに、観光客が減少する冬季の対策として、来月から、団体バスへの助成や、スキー、温泉、食を活用したキャンペーン「冬石見」を実施致します。
世界ジオパークに認定された隠岐地域につきましては、現在、テレビ、ラジオなどによるCMのほか、雑誌の取材を積極的に受け入れるなど、PRを強化しております。
来月からは、山陽・四国方面におきまして、地元隠岐の観光関係者を中心とした観光キャラバンを実施するほか、テレビによる情報発信を拡充・強化することとしております。
航空路線の増強につきましては、県では、先月、萩・石見空港の東京便2便化に向け、国の「羽田空港発着枠コンテスト」に、地元協議会及び全日空とともに応募致しました。
高速交通手段の整備が遅れている県西部において、東京便2便化の復活を期待しております。
(商工業の振興)
次に、商工業の振興について申し上げます。
県内の中小企業につきましては、来年4月からの消費税引上げという経営環境の変化に対応し、企業の経営力の強化に向け、専門家派遣事業の拡充や制度融資の活用等による支援を行ってまいります。
また、県では、中小企業を中心に懸念されている消費税の適正な転嫁を確保するため、今月から特別相談窓口を設置しております。
県信用保証協会におきましては、新規創業と雇用機会の拡大のため、今月1日から、全国初となる無担保無保証の創業者支援制度を開始しました。
さらに、新規創業や企業再生を図るため、制度融資の拡充などについて、県として検討してまいります。
(最近の農業関連の動き)
次に、最近の農業関連の動きについて申し上げます。
国におきましては、現在、米の生産調整、担い手への農地の集積、日本型直接支払いなど、農業政策の見直しが検討されております。
このような大きな見直しにあたっては、島根県の大宗を占める中山間地域等の農業に大きな影響が出ないように、地域の実態を踏まえた制度検討が行われるよう、引き続き、国に要請してまいります。
次に、TPPにつきましては、年内の妥結に向け、交渉が続けられておりますが、国の責務として、影響が甚大な農産品などにつきまして、関税撤廃の例外措置の確保に全力を尽くすよう、引き続き、国に働きかけてまいります。
(社会保障制度改革)
次に、社会保障制度改革について申し上げます。
先月、政府は、「少子化対策」、「医療制度」、「医療保険制度」、「介護保険制度」の社会保障4分野における改革の検討項目や実施時期、あるいは改革の推進体制などを示した「改革の推進に関する法律案」、いわゆるプログラム法案を国会に提出されました。
この法案では、医師確保、国民健康保険の保険者のあり方など、地方団体に大きな影響を及ぼす措置につきまして、地方と十分な協議を行うこととされております。
県としましては、今後、県内市町村や県民の方々のご意見をよくお聞きするなど、県内の実態を十分把握した上で、国に必要な対応を求めてまいります。
(原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。
先月29日、島根県が中国電力との間の安全協定に基づき、島根原発に関し重要な判断や回答をする際には、出雲市、安来市及び雲南市の意見をよくお聞きして、誠意をもって対応することなどの手続きを定めた覚書を、これら3市との間で締結しました。
また、今月7日、同様の内容の覚書を、鳥取県、米子市及び境港市との間で締結しました。
次に、原発の防災対策につきましては、先般、国の指示に基づき、地域防災計画を充実させるため、国、島根・鳥取両県及び島根原発周辺6市とが連携した作業チームを設置しました。
この作業チームにおいて、多くの避難住民の移動手段を確保したり、入院患者や福祉施設の入所者が安全に避難できるよう、医師をはじめとした支援要員を確保する仕組みづくりなどの検討を進めてまいります。
また、今月初め、島根・鳥取両県と周辺6市が共同で、「原子力防災訓練」を実施しました。
県としましては、今後も、こうした作業チームによる避難対策の検討や防災訓練を行い、対策の実効性を高めてまいります。
さて、最近に至り、中国電力から、島根原発につきまして、原子力規制委員会による新規制基準の適合性確認審査を受けるための準備がほぼ整ったので、この審査の申請提出について、近々、島根県及び松江市の事前了解を要請したい旨の連絡がありました。
今後、要請があれば、県として必要な手続きに沿って対処していく考えであります。
中国電力は、申請内容や実施している安全対策の状況等につきまして、県及び松江市はもとより、周辺自治体の出雲市、安来市、雲南市、そして鳥取県、米子市、境港市に対して、丁寧に説明する必要があります。
県としましても、中国電力に対し、その旨申し入れる考えであります。
(寧夏との友好交流)
今年は、中国寧夏回族自治区との友好協定締結20周年となります。
先月は、副知事が、県議会や島根大学、民間団体の方々と寧夏を訪問して、記念式典に出席し、先日は、寧夏から姚(ヨウ)副主席を代表とする政府団が島根を来訪され、記念行事を開催致しました。
今後も、こうした地方自治体間の交流を継続してまいります。
(財政の健全化)
次に、財政健全化について申し上げます。
県の財政健全化は、これまでの取組みにより概ね当初の目標に沿って推移してきておりますが、今後も健全化の努力をしなければ多額の収支不足が見込まれるため、引き続き、健全化の取組みを進めていく必要があります。
その際、今後におきましては、消費税引上げの影響、欧米や新興国の経済見通し、そして国の地方財政対策など、不透明な状況にあることも踏まえ、経済動向等をよく注視する必要があります。
このため、平成24年度及び25年度にとってきました経過監視の期間を、次の消費税引き上げが法律上、予定されております27年度まで2カ年延長して、適切な経済財政運営に努めていく考えであります。
具体的な健全化の取組み方針につきましては、今後、国の来年度予算における地方財政対策など諸情勢を踏まえ、県議会や改革推進会議など、県内各界のご意見をよくお聞きして、決定する考えであります。
(補正予算など提出議案)
それでは、今回提出致しました一般会計補正予算案などの概要について申し上げます。
今回の補正予算案では、8月の豪雨災害対策の追加、及び国の交付金の追加内示に伴うもののほか、早急に対応すべきものについて措置することとし、総額11億4,900万円余を増額しております。
この結果、補正後の一般会計予算の規模は、5,663億9,600万円余となります。
また、平成11年から13年に実施された山陰本線の高速化事業に対する募金につきまして、募金委員会の要請に基づき、これまでの経緯や今後の募金の見通しなどを踏まえ、同委員会への貸付金の請求権を放棄する一般事件案を提出しております。
これら2件のほか、予算案1件、条例案7件、一般事件案1件の計11件を提出しております。
これら議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。
何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私からの説明を終了いたします。
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