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平成23年11月定例県議会知事提案理由説明要旨

 定例議会開会にあたり、提出議案の説明に先立ちまして、県行政の最近の動向についてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。

 

(最近の経済情勢)

 まず、日本経済の動向を見ますと、東日本大震災の影響、円高、そして欧州の金融危機などにより厳しい状況が続いております。島根県も同様に厳しい状況にあります。

 

 こうした中で、政府は、12兆円規模の第3次補正予算により震災復興や円高対策などを行うこととしております。

 

 県としましては、こうした国の動きや経済情勢等に対応して必要となる措置を迅速に講じていく方針でありますが、国の第3次補正予算における各事業の詳細は、まだ十分明らかになっておりません。

 今後、その詳細が明らかになり次第、今議会中に、さらに追加の補正予算案を提出することも検討していく考えであります。

 

(原子力安全・防災対策)

 次に、島根原発の安全対策と防災対策について申し上げます。

 

 福島原発事故につきましては、その収束や事故の原因究明には、なお時間を要する状況にあります。

 

 政府におきましては、「エネルギー基本計画」の見直しなど、国全体としての中長期的なエネルギー政策を、来年夏を目途に策定すべく、作業を行っているところであります。

 

 中国電力は、予備電源としてのガスタービン発電機の設置や防波壁整備など安全対策の工事を進めております。

 また、国の指示によりストレス・テストを実施中であります。

 

 県としましては、今般の国に対する重点要望の中において、あるいは、原発立地の14道県の協議会や全国知事会などを通じまして、原発に対し国民が感じている不安や疑問などに対する明快な説明と安全対策の推進を国に対して求めているところであります。

 

 次に、原子力防災対策につきましては、鳥取県を含めた原発周辺市とともに、福島原発事故を踏まえ、万が一の場合に取るべき対応の方向を取りまとめ、これに基づき避難先確保などの作業を行っているところであります。

 

 他方、国の原子力安全委員会は、いわゆるEPZ見直しの中で、当面の目安として概ね30km圏内を「防災対策を重点的に充実すべき地域」とする案を示したところであります。

 

 島根原発から30km圏内の人口は島根県では約40万人であり、万が一、30km圏内すべてが避難区域となった場合、県内だけでは避難先が確保できないことから、10月の中国5県の知事会議では、他県にも協力要請を行い、了承を得たところであります。

 

 そして、これを受け、他県の市町村に対しまして状況を直接説明して、具体的な避難場所の提供を求める作業を行っているところであります。

 

(県産農産物の安全・安心の確保)

 次に、福島原発の事故の影響により、放射性物質が検出された牛ふん等を原料とする堆肥について申し上げます。

 

 放射能検査の結果、不検出または暫定許容値を下回ったものにつきましては、出荷停止または自粛を解除したところであります。今後、地元関係機関とともに堆肥の利用先の確保に努めてまいります。

 なお、暫定許容値を超過したものにつきましては、最終処分の方法が確定するまで適切に保管するよう指導しております。

 

 また、県内産の牛肉や米につきましても、放射能検査等を実施し、安全性を確認しております。

 今後も県産農産物の安全・安心を確保するため、全力で取り組んでまいります。

 

(自然災害対策等)

 さて、昨年末から今年初めにかけて、鳥インフルエンザや大雪といった自然災害がありました。その時の経験を踏まえて、関係部局で対策の強化を進めてきているところであります。

 

 先般、県の防災対策本部会議を開催し、危機発生時に取るべき対応策の実施の手順を、国、県、市町村等で事前に入念に確認するなど、危機管理体制の強化を図ることとしております。

 

 また、中国5県及び中四国9県では、大規模広域災害発生時における相互支援の取り決めについて基本合意しました。これにより被災した県のニーズに応じて迅速な相互支援を行うこととなりました。

 

(観光の振興)

 次に、観光振興について申し上げます。

 

 来年7月に開幕する「神話博しまね」につきましては、神話の魅力をわかりやすく伝えられるよう、様々な催しや会場設営の準備を進めております。

 特に、県内外から多くの来場者を迎えることとなる古代出雲歴史博物館前の特設会場において、大型スクリーンで神話の世界を紹介する映像館や、神楽など県内の伝統芸能などを上演するステージの設置をはじめ、出雲大社周辺を巡るガイドツアーなど、誰もが楽しめる催しを数多く計画しております。

 

 こうした中で、県内各地の皆様にも地元の神楽、民謡、演芸などを会場のステージで実演していただき、県民の皆様が「神話博」に直接参加していただけるようお願いしております。

 また、「神話博」が小・中学生や高校生にとって、日本の文化、とりわけ島根の魅力の奥深さを学ぶ一つの契機となるよう努めてまいります。

 

 さらに、来県された方々が県内各地をゆっくり巡って、楽しんでいただくため、市町村と連携して、周遊バスの運行やボランティアガイドによるまち歩きなどを本年度から始めております。

 県内各地の観光資源に更に磨きをかけて、観光客へのおもてなしが向上するよう努めてまいります。

 

 次に、「神話博しまね」のPRにつきましては、10月には、宮崎県をはじめ県内外の14の神楽社中の参加を得て、「夜神楽フェスティバル」を松江城二の丸広場で開催し、5日間で延べ約5,700名の方々にご来場いただきました。

 

 また、今月、東京と大阪で旅行会社の方々などに対しまして、「神話博」など観光情報の説明会を開催致しました。

 

 さらに、「神話博」が開催される平成24年に向けて、県民の皆様と一緒になって、「島根へお越しください」というメッセージのシールを年賀状に貼り付けるなどの運動も進めております。

 

 12月には、全国から約60のマスコットキャラクターを島根に集めたイベントの開催や、来年1月には、約40万人の集客がある「ふるさと祭り東京」に出展するなど、県内外に向けて積極的にPRを行ってまいります。

 

(TPP(環太平洋パートナーシップ協定)について)

 次に、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)について申し上げます。

 

 政府は、今月11日、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る方針を表明しました。TPP交渉に参加した場合、原則として関税撤廃を目指して交渉が行われるため、自動車産業など輸出企業に一定のメリットが期待される一方で、日本の農業は大きな打撃を受けることが懸念されております。

 

 また、サービス分野などの制度や規制の緩和がTPPの枠内で実施されると見込まれることから、国民生活の様々な分野に大きな影響が出てくることが指摘されております。

 

 県としましては、これまで国に対して、こうした問題にどう対処するのか、各界の意見をよく聞いて慎重な対応を求めるとともに、農林水産業に十分な配慮がなされるよう要望してきております。

 今後も引き続き、国において十分な対策が講じられるよう、国に強く訴えてまいります。

 

(農業の振興)

 次に、農業分野での新しい動きについて申し上げます。

 

 農業の新たな担い手確保の一環として、10月に、安来干拓地への県外企業の参入が決定しました。地元の雇用拡大や干拓地農業全体の活性化にもつながることを期待しております。

 

 また、12月に「しまねオーガニックフェア」を開催致します。有機農産物の展示・即売などにより、県民の方々に有機農業についてよく知っていただくよう、企画しております。

 

(社会基盤の整備)

 次に、社会インフラ整備について申し上げます。

 

 山陰道につきましては、このほど、国土交通省において、都市計画決定済みの湖陵・多伎間、大田・静間間、三隅・益田間の3つの区間について、平成24年度予算要求に係る新規採択のための事業評価が行われました。

 

 これは、これら3区間の新規事業化に向けての大きな前進であり、今後早く事業化が行われ、既に事業中の他の区間とともに、着実な整備が推進されるよう、強く要望してまいります。

 

 また、残る未事業化区間である温泉津・江津間、益田・萩間についても早期に事業着手され、1日も早い山陰道の全線供用を強く働きかけてまいります。

 

 斐伊川・神戸川治水事業のうち、中流部の斐伊川放水路事業につきましては、出雲市から分水について了承を得たところであり、平成20年代前半の完成が期待されております。

 県におきましても、出雲市内の内水対策としての河川改修を着実に進めてまいります。

 

 下流部の大橋川改修は、地区住民の方々や関係者のご理解のもと、追子地区において築堤工事が進められております。

 

 引き続き、こうした治水事業が円滑に進められるよう、取り組んでまいります。

 

 また、尾原ダム建設に併せて、県で整備を進めておりました「さくらおろち湖ボート競技施設」が10月にオープンしました。5月にオープンした自転車競技施設などと併せ、周辺地域の活性化が進むよう、引き続き県も支援を行ってまいります。

 

 浜田港につきましては、今月初め、「日本海側拠点港」として選定されました。浜田港の重要性や将来性が国に評価されたことは、大変意義深いことであります。今後、臨港道路をはじめ、施設の整備促進を国に対して強く要望してまいります。

 

(県立大学看護学部の開設)

 次に、県立大学看護学科の四年制化につきましては、10月に文部科学省から認可されました。来年4月の開設に向けて、施設整備や学生の募集など、引き続き準備を進めてまいります。

 

(財政の健全化)

 次に、財政の健全化について申し上げます。

 

 今後の県財政につきましては、震災復興や円高の影響、社会保障と税の一体改革、国の来年度予算編成など、不透明な要素が多くあります。

 このため、先般公表した県の財政見通しでは、国の地方財政対策などについて2つのケースを想定して推計を行っております。

 

 今後、県議会や改革推進会議など県内各界の皆様の意見をよくお聞きし、また、年末の国の来年度予算編成などを踏まえて、財政見通しを改めてチェックした上で、今後の具体的な健全化の取組み方針を決定してまいります。

 

 また、職員給与の取扱いにつきましては、10月の人事委員会勧告では、職員給与の特例減額の終了を前提に、来年度からいわゆる地域給の導入などが勧告されております。

 

 職員給与の特例減額は、財政健全化のため職員の理解を得ながら、やむを得ざる措置として実施してきており、できるだけ早く終了したいと考えておりますが、この取扱いにつきましては、年末に向け、健全化の取組み方針全体の中でよく検討する考えであります。

 

 また、平成20年度から概ね10年間を見通した県の総合発展計画につきましては、最初の4年間の実施計画が今年度末に終了するため、平成24年度からの4年間の実施計画のあり方について、10月下旬に総合開発審議会で議論を始めていただいたところであります。

 

 今後、県議会をはじめ広く県民の方々の意見をお聞きして、今年度内を目途に新たな実施計画を策定する考えであります。

 

(若者の活躍)

 さて、今年の国民体育大会では、なぎなた競技成年女子で島根選抜チームが優勝したほか、ウエイトリフティング、ホッケーなど11競技で入賞を果たしました。

 

 島根初のプロスポーツチーム、島根スサノオマジックは、2年目の今年もよく健闘をしております。

 

 大相撲では、東前頭筆頭の隠岐の海関のさらなる活躍が期待されております。

 

 テニスの錦織圭選手は、今月には、世界ランキングで日本男子では史上最高の24位にランキングされました。

 

 将棋の里見香奈さんは、10月に女流王将を初防衛され、倉敷藤花、女流名人と合わせ女流三冠を保持し、女流五段に昇段されました。

 

 このような島根の若者の活躍は、県民にとって大きな喜びであります。今後も若者たちの活躍を大いに期待しております。

 

(補正予算案など提出議案)

 それでは次に、今回提案致しました一般会計補正予算案などの概要について、ご説明申し上げます。

 

 今回の補正予算案は、災害対策のための公共事業や国からの交付金による地域医療再生基金の積み増し、隠岐ジオパークの世界認定に向けた支援など、早急に対応すべきものについて措置することとし、総額27億7,400万円余を増額しております。

 

 この結果、補正後の一般会計の予算規模は5,442億1,000万円余となります。

 

 この補正予算案のほか、予算案2件、条例案7件、一般事件案7件の計17件を提案しております。

 

 これらの詳細につきましては、この後、総務部長に説明させることと致します。何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私の説明を終了致します。

 


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