平成21年11月定例県議会知事提案理由説明要旨
定例議会開会にあたり、提出議案の説明に先立ちまして、県行政の最近の動向についてご説明し、併せて、私の所信の一端を申し述べたいと思います。
(新政権への対応)
さて、新政権が成立して2ヶ月が過ぎました。
政府は、政策決定の仕方を大幅に見直し、行政刷新会議など新しい組織の設置や手続きの変更などを進め、マニフェストで示された政策につきましても、年末の予算編成に向けて鋭意、検討を進めてきております。
こうした中で、全国知事会においては、地方の声を政府に的確に伝えるため、主な政策課題について9つのプロジェクトチームを設置し、政府に対する意見や提案を取りまとめる作業を進めてきております。
私は、島根県にとって影響の大きい「地方の社会資本整備」と「直轄事業負担金」に係るプロジェクトチームに加わり、島根県など社会資本整備の遅れている地域の実情に十分な配慮がなされるよう、知事会として政府に働きかけることを求めてきております。
また、道路整備や過疎対策などにつきましては、私自身も総務大臣、行政刷新担当大臣などに個別に要請を行うとともに、同様な立場にある他の県などとも一緒になりまして、政府の関係大臣などに対して意見を申し述べてきております。
今後とも、議会の皆様とよく連携し、また全国知事会や他の県などとも連携しながら、国政の場に的確に意見等を伝えていく考えであります。
それでは次に、県が目下、展開しております各般の施策の主な動きについて申し述べます。
(景気・雇用対策)
まず、景気・雇用対策について申し上げます。
日本経済は、昨年秋からの世界的な景気後退を受け、昨年度の後半には実質GDPが過去最大の減退となるなど、極めて厳しい状況に陥りました。
今年度に入りましてからは、国の累次の景気対策による公共投資と個人消費の増加やアジア向けを中心とした輸出の増加などにより、日本の景気は少し持ち直してきております。
県も国の一連の経済対策に対応して、2月補正予算、今年度当初予算、6月補正予算及び9月補正予算を通じて追加致しました総額約850億円の大規模な経済・雇用対策を鋭意、実行してきております。
こうした効果もあって、県内の生産活動なども若干、持ち直しの動きが見られます。
しかし、雇用情勢には、依然、厳しいものがあります。
特に、来春の高校卒業予定者の内定率が前年度と比べて大幅な減少となっているなど、高校生の就職につきましては、近年にない厳しい状況が続いております。
このため、今議会では、新規卒業者の採用を促進するため、
(1)農林漁業分野に就職する若者に対する研修経費の助成や、
(2)県内の中小企業が事業の拡大などに併せて新たに正規雇用を行う場合にかかる経費を補助する事業などを盛り込んだ追加補正予算案を提出致しました。
現在、政府においては、予算編成作業の中で、雇用対策や補正予算の編成も検討されております。
今後とも、国の対策や経済雇用情勢を注視しつつ、適切かつ迅速な対策をとってまいります。
(新型インフルエンザ)
次に、新型インフルエンザについて申し上げます。
県内では10月以降、学校などで集団感染が多発し、11月初め、「新型インフルエンザ流行注意報」を発出して、感染予防対策を強化してきております。
ワクチン接種につきましては、国の定める基準に従い、10月からは医療従事者の方など治療に当たる方々に対し、また、11月からは基礎疾患のある方や妊婦の方々など、感染すると重症化しやすい方々に対して接種を行っております。
今後、国からのワクチンの供給に合わせて、幼児や小中学生、高齢者の方々など順次、接種対象者を拡大していくこととしております。県としましては、ワクチン接種が円滑に進むよう最大限の努力をしてまいります。
(産業振興)
次に、産業振興について申し上げます。
県内の観光につきましては、近年、石見銀山の世界遺産登録、出雲大社の遷宮、松江開府400年、アクアスのシロイルカ人気、NHKの「だんだん」の放映、さらに高速道路料金の引き下げなどによる好影響が続いております。
他方、最近におきましては、景気後退や新型インフルエンザなどにより、観光面にも悪影響が懸念されております。
このため、現在、首都圏と関西圏でテレビや雑誌、インターネットなどを活用した情報発信を強化してきております。
たとえば、関西圏では、「だんだん」の茉奈さんと佳奈さんが演歌調のイメージソングに合わせて島根の観光名所を紹介するテレビCMを9月から放映しております。
さらに、10月には大阪で、旅行会社の方々などを対象に、出雲路や隠岐、津和野など県内の観光資源を映像などで紹介する観光情報説明会を開催致しました。
今後、東京でも開催し、島根の魅力をさらにPRしていくこととしております。
また、外国人観光客の誘致につきましては、観光庁の支援の下に、11月に中国、韓国、台湾や国内の旅行会社などから200人くらいの人を招いて、ビジネス商談会を松江市のフォーゲルパークで開催致しました。
今後も、アジア地域など外国人観光客の誘致促進のため、関係団体などと連携して取り組んでまいります。
企業誘致につきましては、先般、広島で食品関連企業を対象とした食品産業セミナーを開催致しました。
60社100名を超える方々が参加され、島根県の立地優遇制度や立地環境の良さなどについて、積極的にアピールしてまいりました。
また、県産品の販路拡大の取組みも積極的に進めております。
国外での販路拡大につきましては、現在、中国上海市において、広島県と連携して物産展を開催しております。
これを中国における販路拡大につなげていきたいと考えております。
国内では、近年取扱高が拡大しているインターネットでのWeb物産展の開催や大阪や東京の市場で県産木材や水産物についてPR活動などを進めております。
また、「美味しまね認証」制度による県産の認証産品が鶏卵や米を中心に22件まで拡大しており、これら産品の販売を促進する活動に支援を行っております。
今後とも、様々な機会を通じて、県産品のイメージアップと販路拡大を積極的に行っていきたいと考えております。
(社会資本整備)
次に、社会資本整備について申し上げます。
国の来年度の概算要求において、高速道路などの道路整備予算につきましては、国・地方合わせて17%程度の大幅な削減となっております。また、来年度は原則として新規事業を行わず、事業箇所を2割削減することや、完成が近い事業の実施を優先することなど厳しい方針が示されております。
こうした方針に基づきまして、先週、中国地方整備局長が来県し、完成が近い尾道松江線については、早期の供用に向け整備を進めること、山陰道については、事業予算を大幅に縮減せざるを得ないこと、また、未着手箇所を新たに事業化することは難しい状況であることなどの説明がありました。
私は、中国整備局長を通じて国土交通省に対して、島根県の高速道路は、事業中や未着手の区間が多く残っている状況であり、国全体の公平性の観点からも高速道路ネットワークを早期に完成させる必要がある旨強く申し入れました。
また、11月19日には、島根県と同様な状況にある鳥取県など9県が一緒になって、高速道路ネットワークの早期完成などについて、国土交通大臣などに強く申し入れを行ったところであります。
ダム事業につきましては、政府は国及び県が実施する全ての事業を再検証し、年末までに来年度の進め方を明らかにするとの方針を示しております。
島根県においては、国直轄の志津見ダム、尾原ダムの両事業がともに来年度には完成する見込みであり、また、県が行う3つのダムについても既に事業化され、計画的に工事などを行っている状況であります。
いずれのダムも、住民の生命・財産を守り、流域の安全を確保するために必要な事業であり、計画どおり実施されるよう求めてまいります。
(大橋川改修事業)
次に、大橋川改修事業について申し上げます。
11月12日、「中海護岸等整備促進協議会」におきまして、国が示した中海護岸の整備方針について、鳥取県、米子市及び境港市の了承が得られました。
これにより大橋川改修を進めるための条件がそろうことになりましたので、先週、鳥取県平井知事に対して事業実施に対する同意要請を行いました。
今後、鳥取県との協議を鋭意進め、その同意を得て、国に対して来年度から事業を進めるよう求めていく所存であります。
(過疎・中山間地域対策)
次に、来年3月末に期限を迎える現行過疎法につきましては、11月4日に開催された全国過疎連盟の総決起大会におきまして、全国の関係都道府県、市町村とともに、政府及び各政党に対して、新過疎法の制定やソフト事業への支援などを要望したところです。
政府もこうした場などにおきまして、新たなソフト事業を含めて切れ目ない過疎対策を講じていく旨の考えを表明されているところでありますが、今後とも、関係地方団体と連携して、地域の実情を反映した新法制定に向けて全力をあげて取り組んでまいります。
(県民生活の安全安心の確保)
さて、先般、島根県立大学の学生平岡都さんがお亡くなりになりました。誠にいたましい事件であります。夢と希望をいだいて島根県に来られ、勉学に励まれておられた方がこうした事件に遭われたことに対しては、本当に申し訳なく残念でなりません。
最愛のお嬢様を突如、失われたご家族の皆様のご無念さを思いますと、誠に遺憾であります。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
現在、警察が全力をあげて捜査に取り組んでおりますが、早く事件が解明されることを切望しております。
この事件の発生により、県民の皆様には治安に対する不安が高まっております。県では、危険箇所などの注意喚起や防犯ボランティアの方々などと連携したパトロール活動の強化などを行ってきております。
さらに、県としましては、今後の抜本的な対策として、「治安の良い島根」を目指した行動計画を策定し、これを全力をあげて実行していく考えであります。
そうした中で、市町村や学校、地域の防犯ボランティアの方々などと連携して、県民あげての防犯対策を強力に推進してまいります。
(新たな歴史文化遺産などの活用)
さて、9月に、長い伝統のある「石州半紙」がユネスコ無形文化遺産に登録されることになりました。
また、隠岐諸島が日本ジオパークに登録されたり、出雲市多伎町で約12万年前の地層から旧石器時代に作られた可能性がある石器が発掘されるなど、歴史文化などの面で嬉しいニュースが相次ぎました。
これらの歴史文化遺産や自然遺産は貴重な地域資源として、地域の活性化に役立てていきたいと考えております。
(「水と緑の森づくり税」)
最後に、本年度で期限が到来する「水と緑の森づくり税」について申し上げます。
これまで、県民アンケートや意見交換会、さらにはパブリックコメントを実施し、県民の皆様から幅広くご意見を伺ってまいりました。
いただいた意見の多くは、この税の継続を求めるものであり、森林の保全や緑を守る活動の必要性について、県民の皆様に概ねご理解を頂いているものと考えられます。
これを踏まえ、現行税率を継続して5年間延長する条例案を本議会に提出致しました。
(補正予算案などの提出議案)
それでは、今回提出致しました一般会計補正予算案などの概要について、ご説明申し上げます。
今回の補正予算案では、雇用対策の2億円余のほか、災害関係経費や国の補正予算に関する事業など早急に対応を要するものについて措置することとし、総額で13億9,800万円余の歳出を追加しております。
これらの結果、補正後の一般会計の予算規模は5,895億700万円余となります。
このほか、予算案4件、条例案13件、一般事件案27件を提出しております。
このうち、職員の給与に関する条例等の改正につきましては、人事委員会勧告は、職員の期末・勤勉手当の支給月数を平成21年度から0.35月引き下げるなどの内容でありましたが、諸般の事情を勘案し、非管理職の職員の支給月数につきましては、平成21年度は0.25月引下げ、平成22年度から0.35月引下げとし、段階的に実施したいと考えております。
これらの詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることと致します。何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私の説明を終了致します。
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