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平成19年9月定例県議会知事提案理由説明要旨

 定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、県行政を巡る最近の諸状況についてご報告申し上げます。

 

(財政健全化について)

 まず、当面の重要課題であります財政健全化について申し上げます。

 近年の悪化する県財政に対しましては、これまでも公共投資の削減、総人件費の抑制などの対策がとられてきました。

 しかし、今後なお、多額の収支不足が見込まれ、厳しい対応を継続・強化しなければならない状況にあることは、極めて遺憾なことであります。

 この異例の状況からできるだけ早く脱し、財政の健全性を取り戻すことが、私に課せられた重大な責務であります。

 このため、5月に「改革推進会議」を設置し、その後、この会議において、7回会合を重ね、今後の県財政のあり方について精力的にご議論いただき、8月上旬、財政の健全化方策についてご提言をいただきました。

 そして、議会の財政健全化調査特別委員会でのご議論も踏まえて、中長期的に持続可能な財政運営を確保するための基本方針(案)を作成し、これを先週公表し、同特別委員会でもご議論いただきました。

 この基本方針(案)では、県財政を概ね10年後に収支均衡の状態にすることを目標とし、特に平成20年度からの4年間を集中改革期間と位置づけて、抜本的な改革を集中して実行することとしております。

 財政健全化のためには、事務事業の見直しによる歳出の削減を行わざるを得ませんが、歳出削減は、県民の皆様の暮らしや企業活動などに大きな影響を及ぼすことになりますので、その進め方には十分配慮してまいります。

 行政の効率化・スリム化につきましては、事務事業の見直しを行いながら、定員削減の追加を行うとともに、これまで行ってきた給与の特例減額は、今後も継続する必要があると考えております。そうした中で、県の幹部職員が率先して財政健全化に取り組むため、集中改革期間中、知事など特別職及び管理職の職員は、従来よりさらに厳しい給与の特例減額を行うこととしております。さらに知事以下、三役は退職手当の引下げを行うことと致しました。また、先週、私を本部長とする行政改革推進本部を設置し、県庁の内なる改革を積極的に進める所存であります。

 また、公共事業費や政策経費などについても聖域なき見直しを行うとともに、歳入確保のため県有財産の売却なども進める考えであります。

 島根県は、地方交付税など国からの収入に大きく依存しております。近年の県財政の悪化は、地方交付税の減額という国の政策転換にも大きく影響されております。このため、財政健全化に向け、我々自身の努力を続けながら、国に対して、地方交付税を含めた一般財源全体の確保・充実の必要性を強く働きかけてまいります。

 この基本方針(案)につきましては、今議会での議論を経、さらに県民のご意見などを踏まえて10月末に最終決定したいと考えております。

 他方、財政再建が島根の活力を失わせることになってはなりません。このため、財政健全化の作業と並行して、島根の中長期的な発展の展望と、そのための戦略を示す「島根総合発展計画」の策定作業を鋭意行っているところであります。この「発展計画」は、「財政健全化基本方針」と合わせ、私どもが目指す県政の中長期的な姿と方向を示すものであります。

 総合開発審議会で、さらに審議を重ね、11月には基本構想の中間発表を行い、今年度末には完成・公表する考えであります。

 

(産業振興について)

 こうした中で、「活力ある島根」を築くためには、産業振興が最も重要であります。

 このため、5月に設置致しました産業活性化戦略会議におきましては、これまで2回の会合を開催し、情報産業育成や県外企業誘致などについて、検討をしております。11月に開催する3回目の会議で、今後の具体的な方策を中心にさらに詰めた上で、産業活性化戦略を取りまとめて公表・実施していくこととしております。

 検討中の情報産業の育成につきましては、当面、人材育成のため研修の実施や、情報産業関連企業の島根誘致のための説明会を東京で実施するほか、人材確保のため島根大学や松江高専の卒業生に対しまして県内での就業について意向調査を行っております。

 さらに、産業活性化戦略会議に新たに設置した専門部会などで、民間の方の知恵もお借りしながら、島根発のプログラミング言語「ルビー」の活用などによるソフトウェア産業の集積を図るための施策について検討しております。

 農林水産物や伝統技術などの地域資源を活用し商品開発などに取り組む中小企業については、商工会連合会に造成する「地域資源産業活性化基金」や、新たに施行された「中小企業地域資源活性化促進法」に基づく助成措置などを利用しながら支援してまいります。

 企業立地につきましては、本年6月以降、精密電子部品を製造する出雲村田製作所の斐川町内での工場増設など、3件の立地計画を認定しました。これらの計画の実行により、新たに三百数十名の雇用が創出される見込みです。また、今後、新たに施行された「企業立地促進法」に基づき、誘致企業が法人税減税などの支援措置を受けられるよう対応してまいります。

 雇用対策につきましては、全国的な景気拡大により県内においても雇用状況の改善傾向がみられますが、大都市部での雇用拡大に伴い県外への就職者が増加していることから、一部の県内企業においては必要な人材が県内で確保できない状況が見受けられます。このため、新規学校卒業者に対し早めに求人活動をするよう、県内企業に働きかけてまいりました。また、8月には初めて、高校生向けに県内企業を紹介する合同説明会を実施しました。

 さらに、企業が必要とする産業人材の育成、若年者の県内就職促進、県外就職率の高い県西部の高校生の県内定着、誘致企業等が計画している大量求人などの課題に的確に対応するため、やはり5月に設置した雇用対策推進会議で具体的な検討を進めております。

 また、Uターン対策として、県内出身の方々が帰省するお盆の時期に、私から島根へのUターンを呼びかけるメッセージを地元紙に掲載しました。さらに、県職員の交友関係を活かしたり、市町村の協力も得ながら、県外で活躍している島根出身の方々や学生の皆さんに対し、私から手紙を送り、Uターンの意思の有無などについてアンケート調査を行っております。

 これらの取組みを通じ、ふるさとでの就職を希望する意思があった方々に求人情報などを提供することで、島根へのUターン希望の実現を図ると同時に、県内企業が必要とする人材の確保にも資するよう努めてまいります。

 7月に破綻した石州瓦の製造・販売を行うアメックス協販等に係る対策につきましては、地域経済への影響を最小限にとどめるため、直ちに、取引企業向けの緊急融資の取り扱いを開始するとともに、関係機関と連携して就職相談会や無料職業紹介などを行い、元従業員の再就職に努めております。

 

(中山間地域対策について)

 次に、中山間地域対策の取組みについて申し述べます。

 中山間地域における雇用の場の確保や生活交通等住民の日常生活を支える諸機能の維持、新たな地域社会の仕組みづくりなど、緊急かつ重点的に取り組むべき施策について、今年度中に新たな「中山間地域活性化計画」としてとりまとめ、課題解決に向け具体的に取り組んでまいります。

 また、「過疎地域自立促進特別措置法」は、平成21年度末で失効することになっております。そのため、これまで中国地方知事会や全国知事会などの機会を通じて、新たな法律制定の必要性を訴えてきております。また、島根県過疎地域対策推進議員連盟におかれては、先日、国などに対して要望活動を行われたところです。

 今後も、市町村や議会の皆様とともに島根県が先頭に立って新法制定に向けて積極的に取り組んでいく考えであります。

 

(隠岐地域の大雨災害について)

 次に隠岐地域の大雨災害についてご報告申し上げます。

 8月末の大雨により、隠岐地域においては、土砂災害や河川の氾濫等が発生し、負傷者1名のほか多数の住居が損壊、浸水するなど、大きな被害がもたらされました。

 ここに被災された皆様に対し、心からお見舞い申し上げます。

 県においては、隠岐の島町や西ノ島町などと連携しながら危険箇所の警戒、施設の復旧などの対策を実施し、被災者に対しては各種の相談に応じる体制を整備しました。今後、さらに復旧に向けて全力で取り組んでまいります。

 また、隠岐地域において過去最大規模の降雨量であったにもかかわらず、隠岐の島町の銚子ダムなどで、流入する雨水の相当部分をダムに貯める洪水調整が行われたため、下流における被害が大きくならないで済んだとの報告を聞きました。このことは、安心・安全な生活確保のための治水対策の重要性を、改めて認識させるものでありました。

 

(原子力安全・防災対策について)

 次に、原子力安全・防災対策について申し述べます。

 7月に発生した新潟県中越沖地震を受け、国においては、国及び原子力事業者が取るべき今後の対応について、調査等を行っております。そして、現在、中国電力においては、国の指導の下に、島根原子力発電所の耐震安全性を再評価中でありますが、今回の中越沖地震を踏まえて、活断層など地質調査に関して、陸上についてはトレンチ調査を、海底については海上音波探査を追加実施することとなりました。この耐震安全性評価にあたり、中国電力が国の指導を適切に実行されることを強く要請するものであります。

 県としては、今後の中国電力による調査や国の監督をよく注視し、適切に対応していく考えであります。

 

(石見銀山遺跡について)

 次に、石見銀山遺跡についてであります。

 世界遺産登録された石見銀山遺跡については、観光客が急増しており、来訪者の受入対策の充実強化を地元大田市と協力して進めてまいります。また、世界遺産としての遺跡の保存管理はもとより、外国語によるホームページやパンフレット類の作成、現地の遺跡案内の施設の整備、遺跡の全容解明に向けた調査研究を着実に進めてまいります。

 また、石見銀山と県東部や西部、さらに中国地方各県の観光資源とを一体的に結ぶ観光開発に努め、石見銀山の誘客効果が県全体に波及するように努めていきたいと考えております。

 こうした中で、米子・ソウル間の航空便の運航停止という問題が起こりました。私どもは、鳥取県と協力して、路線の存続をアシアナ航空に要請し、当面の運航停止は取り敢えず避けられました。米子・ソウル便は山陰唯一の国際定期便として、山陰と韓国との国際交流や観光の振興のために必要な路線であります。今後も両県が協調して利用客の拡大に取り組んでいく考えであります。

 

(若者等の活躍について)

 さて、この夏は、島根の子どもたちや若者の、元気で、はつらつとした力を感じさせる活動が幾つかありましたので、この機会に紹介させていただきたいと思います。

 8月には、ミュージカル「あいと地球と競売人」公演が、子どものミュージカルのメッカ、東京・青山劇場で実現し、高円宮妃殿下のご臨席もいただき、2,200人の観客に鑑賞していただきました。

 島根の子どもたちの元気いっぱいの演技を通して「島根の優れた文化活動」や「しまね発オリジナルの地球環境保護のメッセージ」を全国に向けて発信することができました。

 7月29日から5日間、島根県下各地で開催された全国高校総合文化祭におきましては、弁論部門で川本高校の女子生徒が最優秀賞に選ばれるなど、県内の高校生は大いに活躍しました。また、県内各地の地元の方々の心をつくした温かい歓迎のもてなしにより、将来また島根を訪れるであろう多くの全国の高校生たちに島根の魅力をよく知ってもらったものと思っております。

 また、佐賀県で開催された全国高等学校総合体育大会では、ホッケー競技において横田高校男子が見事に2年連続優勝を果たすなど、立派な成績を残しました。

 県庁におきましては、庁内で自由闊達な議論が行われるよう、20代、30代の若手職員による政策提案の仕組みを導入しましたが、これまで財政改革や県ホームページ魅力向上などについて有益な提言が出されております。若手職員の自由で清新な発想や発言が、今後の行政改革の推進などに大きな刺激を与えてくれるものと期待をしております。

 

(県民との対話について)

 最後に、私の「県民との対話」について申し述べます。

 私は、県政を運営していくにあたっては「現場を自分の目で見、現場の声を直接聴くことが重要である」と考え、「どこでもふれあい懇談会」や、「一日対話の日」などにより、これまでほぼ50回各地で意見を聴く会合を行ってまいりました。

 そうした中で感じますことは、県内の各地で、企業経営の拡大、地域の文化活動の強化、地域興しの促進などのために、いろいろな工夫と努力が行われているということであります。こうした県民の方々の創意工夫に満ちた活動を積極的に支援していくことが島根全体の活性化にとって大事だと考えております。

 今後も、現場をよく見、県民の皆様の声をよくお聴きしながら、県政にあたっていきたいと考えております。

 

(補正予算案について)

 それでは次に、今回提案致しました一般会計補正予算案について、説明致します。

 今回の補正予算案は、国の補助金の内示や事業費の確定に伴い補正を要するものなどについて措置することとし、総額6億6,300万円余を増額しております。

 この結果、補正後の一般会計の予算規模は5,173億900万円余となっています。

 この補正予算案のほか予算案13件、条例案13件、一般事件案11件を提案しております。

 諸議案の詳細につきましては、この後、総務部長から説明させることに致しますが、何とぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

 以上を持ちまして、私からの説明を終りと致します。

 


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