竹林の衰退現象とタケ類てんぐ巣病について(速報)
概要
2008年2〜4月,島根県の各地で竹林の衰退現象が観察されました。江の川沿いでは竹林の葉が褐色に変色し,一見枯死したかのようでした。通常,この頃は葉が黄化する時期でもありますが,本年は著しい褐変が本県各地で目立ちました。
そこで,竹林衰退の原因について島根県内10数か所で調査を行なったところ,衰退を認めた竹林ではいずれもてんぐ巣病の発生を認めました。この病気によって枝先がほうき状に多数分岐し,葉は小型化していました。病巣が竹の開花と間違われる場合もあります。本病によって光合成が衰え,症状が進むと竹林全体が荒廃すると言われています。本病はマダケやハチクなどに発生します(モウソウチクにはほとんど発生していません)。かつては竹材生産やタケノコ生産に甚大な被害を与えた病害として報告されています。景観上重要な地域である石見銀山などでは,本病によるマダケ・ハチク林の荒廃が問題視されています。今後,本病がより蔓延するかどうか、定期的なモニタリングが必要と考えられます。
写真1竹林の衰退現象
(島根県川本町川下,2008年4月中旬)竹林全体が褐色を帯びている。
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