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庭園木クロマツの新病害−褐斑葉枯病−

〜梅雨の伝染について〜

 

 

平成19年6月13日

 

 マツ褐斑葉枯病(かっぱんはがれびょう)は1996年、島根県(旧三刀屋町)の庭園木クロマツで、わが国では、はじめて発生が確認されました。

 これまでの調査等から、島根県下の庭園木のクロマツで広くこの病気が発生していることが分かりました。本病は主に梅雨時期に伝染します。葉枯の症状は激しく、また枝枯れも発生します。発病が連年続くと木全体が枯れることがあり注意を要します。

 

病原菌と症状・被害

  • 病原菌は糸状菌(カビの仲間)の1種で、学名はLecanosticaacicola(レカノスティカアキコーラ)です。
  • 山林に自生するクロマツ・アカマツでは、発生は未確認です。芽摘など手入れの行き届いた庭園木のクロマツでのみ発生を確認しています。
  • 8月中旬から針葉上に黄褐色の斑点が生じ、のちに斑点部から葉先にかけ灰褐色の枯れが発生します。
  • 針葉の褐変や病葉の落葉のため、本病の被害は発病翌年の3〜4月頃がもっとも目立ちます。
  • 被害が激しいと木全体が枯れたように見えることがあります。

 

伝染

  • 前年発病した針葉上に形成された胞子によって伝染します。
  • 伝染時期は6〜9月頃で、主には多湿な条件の続く梅雨時期です。

 

防除

  • 伝染源となる発病葉・病落葉を取り除き焼却処分します。
  • 芽摘や枝の剪定は控え、また施肥を行い木の病気に対する抵抗力を高めます。
  • この病害防除の登録の薬剤はありません。なお、本病と併発する"葉ふるい病"があります。この病気には防除薬剤(銅水和剤500または1000倍、商品名ドウグリーン・キノンドー)があります。葉ふるい病の防除目的で、この薬剤を散布すると、本病の発生も抑制されます。

 

写真

葉枯れ写真(写真1)激しい葉枯(雲南市、4月中旬)

葉枯の様子(写真2)葉枯の様子(吉賀町、6月上旬)

激害木の写真(写真3)激害木。枯れたかのように見える(雲南市、4月中旬)

胞子形成器官の写真(写真4)病葉の表皮下に形成された胞子形成器官

病原菌の胞子写真(写真5)病原菌の胞子

発生分布図(図)発生分布図

 

その他

  • 本病と類似した病気にマツ赤斑葉枯病があります。褐斑葉枯病は8月から発病しますが、赤斑葉枯病は11月頃から発病するので区別できます。
  • 本病はアメリカ合衆国ではマツ類の苗木などを枯死させる重要病害として19世紀以来と古くから知られています。わが国では、1996年島根県雲南市三刀屋町のクロマツで初めて本病の発生が確認されました。最近の実態調査やセンターに寄せられる病害相談から、現在本県で広く発生し、地域によっては5割以上のマツで発生していることがわかりました。
  • 関東や九州でも被害が確認されています。とくに九州では近年被害が目立っているようです。

 

 


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島根県中山間地域研究センター
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