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ショウロを安定生産するための取り組み

 ショウロはマツ科の樹木と共生するきのこです。栽培するにはマツの根にショウロを接種して、感染させる必要があります。

 

ショウロが採れる畑を造成する

 ショウロ接種法の一つとして、クロマツ苗を育成している畑へショウロの胞子液散布を試みました。その結果、翌年にショウロの発生を確認し、発生は5年間継続して、1m2当たりの収量は合計70gでした。最も年間収量が多かったのは胞子液散布の2年後で、1m2当たり30gが採れました。

 ショウロが発生している畑のマツ苗を別の畑へ移植することで発生地を拡大することができ、1m2当たりの年間収量が100gを超えた例もありました。

ボウルに収穫したたくさんのショウロ

収穫したショウロ

子実体は球形で、地中に形成し、特有の芳香がある。

「和製トリュフ」とも呼ばれる高級きのこ。

 

参考資料:子実体懸濁液散布によるクロマツ苗畑でのショウロ栽培(PDF形式:419.2KB)

参考資料:クロマツ苗移植によるショウロ発生地の拡大と子実体の遺伝的類縁関係(PDF形式:3.9MB)

 

ショウロの繁殖様式について

 ショウロの畑栽培において収量が安定していた区画では、菌糸生長によって個体が増大する程度は小さく、交配によって新しい個体が頻繁に生じる様子が見られました。また、複数のショウロ系統が集団としてまとまり、集団の遺伝的特徴は次の世代へ受け継がれていました(鳥取大学との共同研究)。

 このため、ショウロ栽培用の畑を造成する場合は、異なる優良系統を複数用意して、これらを同時に接種するのが好条件と考えられました。

 

土の中のショウロ

地中に形成した子実体

子実体の形成位置を記録し、個々の DNA を解析しました。

 

参考資料:日本きのこ学会第20回大会発表要旨(PDF形式:221.5KB)

 

ショウロ感染クロマツ苗の生産

 マルチキャビティコンテナ(苗木生産資材)を使用して、クロマツ苗の育成中にショウロを接種する技術をご紹介します。接種に使用できるのは胞子液と土壌培養菌糸の2種類で、どちらを使用する場合も管理スケジュールと培土の種類を守ることが大切です。

 

コンテナで育成されたクロマツ苗

マルチキャビティコンテナによるクロマツ苗育成

 

(1)胞子液接種

 クロマツ播種は3月下旬、接種は4月下旬、感染確認は6〜7月に行います。培土は鹿沼土:ココピート:木炭=3:1:4に調製します。感染率は100%です。

 

(2)土壌培養菌糸接種

 クロマツ播種は3〜5月、苗移植と接種は11〜12月、感染確認は翌年6〜7月に行います。培土はココピートを使用します。接種は苗の移植に併せて行い、追加する培土には鹿沼土を使用します。感染率は80%です。

 

クロマツコンテナ苗の根鉢の状況

コンテナ苗の根鉢

白く見えている部分がショウロの菌糸。

 

参考資料:日本きのこ学会第21回大会発表要旨(PDF形式:237.5KB)


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島根県中山間地域研究センター
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