春を彩る瑠璃色

令和8年4月9日(木)くもり

 

 厳冬が明けて、飯南町の山々では新緑が芽吹き始めました。

 フキノトウやツクシなど春の風物詩も顔を覗かせています。

 春の訪れを感じるものは色々ありますが、実は瑠璃色に輝く美しい昆虫がひっそり姿を現します。

 

 その代表的な一種がコガタルリハムシ(学名:Gastrophysa atrocyanea)です。

 体長5ミリ前後と小さい昆虫ですが、日光に照らされて瑠璃色に輝く姿はとても美しいです。

 

 写真1:コガタルリハムシ

 写真1.スイバ葉上で交尾するコガタルリハムシ(撮影地:中山間地域研究センター)

 

 春になると成虫が土中から現れてギシギシやスイバなどの植物の葉を食べます。

 メスは体内に成熟した卵を抱えるため、腹部がはち切れそうなほど膨れ上がります。

 生まれた幼虫も葉を食べ続け、一度地面に潜って蛹化し、初夏頃に成虫になります。

 そして再び繁殖する……のかと思いきや、当年に生まれた成虫は約1週間葉を食べた後、そのまま地面に戻って休眠(きゅうみん)という状態に入り、動かなくなってしまいます。

 休眠は翌年の春まで続き、食草の新葉が出る頃になると活動を再開するという面白い生態をもちます。

 進化の過程で、葉の柔らかい時期に絞って集中的に繁殖するスタイルがもっとも合理的だったのかもしれません。

 

 写真2:マルクビツチハンミョウ

 写真2.マルクビツチハンミョウ(撮影地:中山間地域研究センター)

 

 もう一種はマルクビツチハンミョウ(学名:Meloe corvinus)です。

 本種は早春から初夏に出現し、山間部でよく見られます。

 本種の属するツチハンミョウ科は、成虫が瑠璃色で大きく膨らんだ腹部をもつことが特徴です。

 成虫は植物の葉を食べますが、幼虫はハナバチなどに寄生する特殊な生態をもちます。

 また、成虫は刺激するとカンタリジンという皮膚がかぶれる毒を分泌するため、素手で直接触らないことをおすすめします。

 

 このように瑠璃色の体をもつ両種は、草地環境でよく見かけます。

 しかしながら、近年はどちらも減少傾向にあると言われており、今後の動向に注意が必要です。

 

 進学や就職など何かと忙しい季節ですが、一度足元の春にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

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