晩秋にカメムシが多いと大雪になる?
令和7年12月3日(水)くもり
秋を彩った紅葉の美しい山々は色褪せはじめ、冬支度を整えつつあります。
そんな中、当センターに小さな来訪者がやって来ました。ほのかに香るカメムシ臭でその存在に気づきます。
写真は、クサギカメムシ(学名:Halyomorpha halys)です。
本種は全身が暗褐色で、平地から山地まで広く生息しています。
全国的にごく普通にみられるカメムシですが、晩秋~初冬になると建物に多数の成虫が飛来する習性をもつことが知られています。
みなさんの自宅や職場にも集まっている頃ではないでしょうか。
写真.センターに飛来したクサギカメムシ
そんなカメムシですが、「晩秋に集まるカメムシが多いとその年は大雪になる」という俗説を聞かれたことはありますか?
雪がよく降るような気象を感知すると、大雪から逃れるため建物に集まってくる、と先人が推測したものと思われます。
実は、カメムシと大雪の因果関係は科学的に証明されていません。
クサギカメムシを対象に飛来数と気象条件の関係を調査した研究では、降雪量との相関は認められなかったと報告されています。
飛来数が年によって増減する理由も明らかではないですが、例えば、気温上昇で発育に適した期間が長く続いた場合、
多くの幼虫が成虫まで発育することができ、その結果として冬の飛来数を増加させる可能性があります。
今後、気象条件(気温、空気中の水分量、気圧など)や各地域の地理的条件をもとに詳しく分析することで、カメムシの飛来数と
大雪の因果関係が見えてくるかもしれませんが、その関係性を証明するのはとても難しそうです。
***きのこ・特用林産科***
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