「大万木山きのこ観察会」を開催しました
令和7年11月18日(火)
11月1日(土)、第10回目のふれあい講座「大万木山きのこ観察会」を開催し、12名のご参加がありました。
県民の森のブナ林をフィールドにきのこ観察会を行うのは今回が初めてで、スタッフもとても楽しみにしていました。
講師は、当センターできのこに関する試験研究に携わる宮崎惠子さん。各地で開催されるきのこ教室ではきのこアドバイザーとして活躍されています。
雨が降る時間帯もありましたが、きのこ専門の先生について歩くのはとても楽しかったです。
参加者の皆さんも熱心にきのこを探され、きのこが見つかるたびに先生を取り囲む和やかな輪ができていました。それでは当日の様子をご紹介します。
ブナ林のきのこを探しながら
大万木山中腹(標高880mあたり)にある地蔵尊下駐車場までバスで移動し、出発しました。
ここからすぐ滝見コースに合流できます。山頂までは1時間の距離ですが、きのこを探しながらゆっくり歩きました。
食べられるきのこに興味がある人、とにかく色々なきのこを見たい人、ゆっくり歩く観察会だから参加してみたという人、色々な理由で参加されたようでしたが、皆さんとても熱心にきのこを探されていました。
ムササビタケ
ロクショウグサレキン
きのこの部分がまだみられませんでしたが、朽木を分解し緑青色に変えていくのだそうです。土に返っていく過程でこのような色が見られるのは不思議ですね。
フリルのスカートのようなチシオタケ。傷をつけるとうっすらと血のような色がにじみ出てきました。
笹藪の茂みで見つけたきのこは、中毒例の多いクサウラベニタケでした。食べられるきのこと間違われやすく、見分けるポイントを丁寧に説明されていました。
先生がきのこの説明をされるたびに、食べられるか質問が飛び交うのですが、毎回「食べられません」という答えに笑いが起きていました。食べられるきのこに出会えるでしょうか?!
ついに出会えました!ブナシメジ
標高1000m近い地蔵尊展望台を過ぎると、徐々にブナが増えてきます。
ブナ林をつづら折れに上がっていく途中、ついに食べられるきのこに出会うことができました。
先生から「ブナシメジ!」と教えてもらった時には、見つけた参加者のまわりに皆が集まり、「わあ~」と歓声が起きました。
天然のブナシメジ
お店でみるブナシメジとは印象がずいぶん違い、柄も太くて存在感がありました。光り輝いているようにみえます。画像ではみえにくいのですが、傘のところに大理石模様がみられるのが特徴なのだそうです。
緩やかな尾根に出ると、ブナ林の色づきが進んでいて、秋らしい雰囲気になっていました。参加者の見つめるその先には・・・
ブナ林ではお馴染みの(?)ツキヨタケ
ツキヨタケも中毒例が多く、是非特徴を覚えて帰ってほしいきのこということで、昼食後の鑑定会で丁寧に説明されました。
その後、登山道を歩きながら先生に説明していただいたきのこ達です。
ウスキブナノミタケ・・・ブナの実から生えてくるそうです。(食毒不明)
ニガクリタケ・・・笹藪の朽木にたくさん生えていました。(毒)
キララタケ・・・キラキラした鱗粉がみられるそうです。(毒)
ニカワチャワンタケ・・・雨に濡れてよりプルプルした雰囲気になっていました。(食毒不明)
モエギタケ・・・雨に濡れて薄黄色のような色になっていましたが、緑色のきのこです。(食毒不明)
山頂小屋で昼食後、きのこ鑑定
山頂小屋には、12時15分に到着。到着時の室温は6度でした。炭火を起こして、昼食をとりました。
窓の外をみるといつのまにかガスで真っ白に。小屋にいた時間帯は雨が降っていました。小屋があって良かったです。
昼食後、先生を囲んできのこ鑑定会を行いました。
真ん中に、本日いちばんのお宝「ブナシメジ」、そしてそのまわりを、食べられない色々なきのこや名前のわからないきのこが囲みます。
絶対に覚えてほしい食べられないきのこと食べられるきのこの特徴を、説明されました。
きのこの中毒で多い、ツキヨタケのポイント説明(割いたときにシミがある)
個体によってはこのシミが薄かったりみえにくかったりするものもあるようで、注意が必要なのだそうです。
11月1日観察会で見たきのこまとめ
先生にはたくさんのきのこの名前を教えていただきましたが、思い出せる範囲で書き留めてみました。
スッポンタケ/ムササビタケ/ビョウタケ/オシロイタケ/ツヤウチワタケ/ニカワチャワンタケ/ホコリタケ/カノシタ/クサウラベニタケ/
ウスキブナノミタケ/タケリタケ/ヒラタケ/ブナシメジ/ツキヨタケ/ドクベニタケ/ニガクリタケ/ミイノモミウラモドキ/モエギタケ
名前だけでなく、栄養分の取り方の違いや胞子の運ばれ方の違いも交えてお話いただき、自然の中できのこと動植物、雨や風など互いに関わりあっていることが感じられました。
画像は、名前がわからなかったものです。
その1:フリルがついていて、イタチタケの仲間かな?ということでした。大きくなったら、形や雰囲気が変わるのかもしれませんが、小さなひらひらがついていて可愛らしかったです。
その2:ぬめりがあってナメコみたいに見えたのですが、地面から生えていたので、何だろう?!とのことでした。
講座アンケートにお寄せいただいた感想をご紹介します
10月18日から11月13日までのWEB回答が集計にうまく反映できておりませんでした。回答をお送りいただいた方には申し訳ありません。紙回答でお寄せいただいた感想のみになりますが、ご紹介します。
- 久しぶりに山へ行き、心が癒されました。色んなきのこが見つかり、大万木山は豊かな山なんだなと思いました。きのこの先生は、きのこが見つかるその度に、説明されたり調べたり、わからないことはちゃんと「わからない」と言われ、すごいなあと思いました。可愛らしい、素敵な先生でした。職員の皆さんもサポートされ、山小屋では炭を起こしてくださったり、参加者は椅子に座らせてもらい、職員の皆さんは床に座られ、そのお心遣いがさりげなく、感謝の気持ちでいっぱいです。雨の中のきのこ観察会、良い思い出になりました。
- 天気の悪い中でしたが、皆さま探す気満々でした。宮崎さんの説明も詳しく聞きましたが、すぐ忘れる年齢ですので、全部は名前を覚えておりません。楽しくきのこ観察しながら、大万木山に登山できました。植林の話(バスで林道を移動途中、主伐に取り組む区域を通ったため)も聞けて、納得しました。
- 天気が不順でしたが、雨の中の大万木山もとても良かったです。食べられるきのこと毒きのこ、ツキヨタケとヒラタケの区別もはっきり分かって、すっきりしました。
県有林管理スタッフ
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