県内の中国山地に拡がるニホンジカについて
本県では、ニホンジカの増加による被害発生などの問題は、これまで島根半島に限られていました。しかし、近年は県内の中国山地での目撃や捕獲が次第に増加してきました。
2017年12月末には階層ベイズモデルによる方法によって、1,300~8,200(中央値3,000)頭が生息すると推定しました。これらのシカは、おもに53,000頭(広島県の推定による)が生息する広島県からの分布拡大によるものと推測されます。2018年度の捕獲数は、321頭と次第に増加傾向であり、広島県境の邑南町118頭、飯南町65頭、浜田市33頭、美郷町、江津市で各22頭と多かったですが、中国山地の全市町で捕獲実績がありました。農作物への被害発生は、邑南町で水稲苗、ムギ苗、ダイコンなどへの食害を認めていますが、林業への被害は2016年に美郷町のヒノキ若齢2林分で樹皮食害と角こすり害を、2017年に邑南町のヒノキ幼齢林で樹皮食害を、2019年に邑南町のヒノキ若齢林で樹皮食害と角こすり害を、また2020年には飯南町のヒノキ幼齢林で樹皮食害の発生を認めました。
そのため、当センターでは目撃、被害発生、捕獲などの情報を収集して、シカの生息分布域の拡大や被害実態の把握に努めています。
2018 年度のニホンジカの捕獲場所
狩猟による捕獲場所(5 km メッシュの図)
有害捕獲による捕獲場所(5 km メッシュの図)
島根県の中国山地でのシカ捕獲数の推移
中国山地で発生した林業被害
30年生ヒノキへの樹皮剥ぎ被害(美郷町)と25年生ヒノキへの角こすり被害(美郷町)
樹皮摂食被害によって枯死した4年生ヒノキ林(邑南町)
4年生のヒノキへの樹皮摂食害(邑南町)
5年生のスギへの樹皮食害(飯南町)
中国山地において自動撮影カメラで撮影したシカ
朝方にミカン園に出没した夏毛で袋角のオスジカ(邑南町)
昼間に草地に出没した夏毛のメスジカ(飯南町)
夜間に草地に出没した4尖角のオスジカ(邑南町)
当センターでは、シカの生息情報の把握に努めています。
林業被害などの情報があれば、下記の連絡先までお知らせ下さい。
連絡先:中山間地域研究センター鳥獣対策科(電話:0854-76-3818、FAX0854-76-3758、E-mail:chusankan@pref.shimane.lg.jp)まで。
お問い合わせ先
中山間地域研究センター
島根県中山間地域研究センター 〒690-3405 島根県飯石郡飯南町上来島1207 TEL:0854-76-2025 FAX:0854-76-3758 Mail:chusankan@pref.shimane.lg.jp