アライグマの「生息に適した環境レベル図」を作成しました。
中山間地域研究センター鳥獣対策科では、アライグマにGPS発信器を付け、アライグマの行動を調査し、アライグマの行動と水辺や水田の有無などの環境条件から、アライグマが生息しやすい環境を明らかにしました。
その結果をアライグマの生息に適した環境レベルとし、レベル1(アライグマの生息に適さない)からレベル5(アライグマの生息にとても適する)に分類して作図を行いました。
アライグマの生息に適した環境レベル図
アライグマが生息している地域では、捕獲わなの設置や防除対策の検討に活用できます。また、生息が未確認の地域では、痕跡や被害調査を行う際の参考としてください。
なお、この図はあくまでも「アライグマの生息に適した環境」を分類したものであるため、レベル5の場所で実際にアライグマが生息していることを示すものではないことについてご留意ください。
アライグマの生息状況について(目撃情報をお知らせ下さい)
アライグマは「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で「特定外来生物」に指定されており、ペットとして輸入され、飼育されていた個体が、逃げ出したり、放されたりしたことによって、全国的に生息数が増加し、問題になっています。
島根県では、2004年に初めて益田市で捕獲されました。それ以降は、益田市、津和野町、浜田市を中心に捕獲数は増加し、近年は年間約300頭の捕獲数で推移しています(図1)。これらの地域では、ブドウなどへの農作物被害、金魚(出雲ナンキン)や錦鯉への食害、さらに住宅への屋根裏侵入による生活環境への被害も発生しています。
今までは西部を中心に生息確認をしていましたが、近年では、県東部においても、年に数頭程度のオスが継続して捕獲されています。安来市、川本町、美郷町および隠岐地域以外では、アライグマが確認されており、(図2)生息分布の拡大が懸念されます(2022年3月現在)。
アライグマが分布拡大をする際には、多くは行動域の広いオスから広先行して、後を追うようにメスが確認されるようになります。メスが入ると繁殖し、一気に生息数が増えることが懸念されますので、特に、メスの動向には注視していく必要があります。現在、メスの捕獲確認は益田市、浜田市、津和野町が主となります。
捕獲の状況
図1アライグマの捕獲数の推移
図2アライグマの 1 km毎の累積捕獲数( 2004 年〜 2022 年 3 月)
益田市内で撮影されたアライグマの写真
(2009年5月27日〜6月3日撮影)
上は民家の倉庫に侵入して、キャットフードをあさっている様子です。下は同じ民家ですが、2頭いることが分かります。このうち1頭は、この後かごわなで捕獲されました。(旧島根県西部農林振興センター益田事務所・金澤氏撮影)
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アライグマを目撃、捕獲等された場合
アライグマの被害は農作物被害だけではなく、家屋侵入による騒音、衛生面の悪化など生活環境にも影響を与えます。また、繁殖能力が高いため、生息を確認した場合には早期の捕獲対策が必要となります。このため、当センターでは、アライグマの目撃や捕獲、被害発生の情報を収集しています。
アライグマを目撃・捕獲された場合や被害が発生した場合は、最寄りの県隠岐支庁、東部・西部農林水産振興センター林業振興課、各地域事務所林業普及第二課、または中山間地域研究センター鳥獣対策科(電話:0854-76-3818、FAX:0854-76-3758、E-mail:chusankan@pref.shimane.lg.jp)までご連絡をお願いします。
なお、生息等(目撃、被害、捕獲)を確認された場合には、可能であれば写真の撮影をお願いします。
これらの情報は、島根県統合型GIS「マップonしまね」を活用して、島根県内でのアライグマについて、捕獲、交通事故、被害および目撃情報などといった生息情報を公開しています。
参考:アライグマの特徴(センター飼育個体)
お問い合わせ先
中山間地域研究センター
島根県中山間地域研究センター 〒690-3405 島根県飯石郡飯南町上来島1207 TEL:0854-76-2025 FAX:0854-76-3758 Mail:chusankan@pref.shimane.lg.jp