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知事就任式あいさつ

 

おはようございます。溝口でございます。知事就任式

 このたび、多くの県民の皆様のご支持を得まして、知事に就任いたしました。

 

 県民の皆様の大きな期待に応えるよう、これから一生懸命、働いてまいります。皆さんは、私の同僚です。一緒に働く仲間です。皆さんと一緒になって働いていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 

 20年続きました澄田知事の県政が私に引き継がれました。

県民の方々や県庁の皆さん方には、これから島根の県政はどうなるのか、県庁はどういう風に変わるのか、ご関心もご期待も高いと思います。

 この問題につきましては、私は非常に現実的でございます。これから知事としての仕事をやりながら自分の頭で考え、あるいは多くの皆様の意見も聞きながら、変えるべき点は変えてまいりますし、良い点は残してまいります。そうした現実的な対応をしようと思っております。やりながら考えるということでありまして、そういう意味で皆さん方のご意見、アイディアは大いに歓迎するところであります。

 ただ、私も社会に出まして、40年になろうとしておりまして、仕事のやり方等につきましては、私のスタイルといいますか、仕方というものが出来てきておりまして、そのことを、若干、冒頭にお話しておきたいと思います。

 

<仕事のスタイルについて>

1.簡素を旨とする

 第一に、私は、大体のことにおいて簡素を旨としています。単純明快であることがいいと考えています。それから自然であることがいいという考え方でございます。あまり形式的なことにこだわったりはいたしません。儀礼的なこと、なくてもいいようなことは、省いていくという考えでございます。

 ある意味では実務的、現実的でございまして、やりようによってはやや行き過ぎというようなことも、あるいは皆さんの中にはお感じになることがあるかもしれません。そのときは遠慮なくどんどん言って下さい。

 

2.明快な意見を尊重する

 第二に、私は、他人のいい考えはどんどん取り入れていくという考えでございます。特に私は、自分はこうしたいんだとか、こういう考えだ、ということをはっきり言う人の言は尊重いたします。私は、自分はこうしたいんだとか、これをやりたいんだと確信をもって言えるようになると、大体、物事は半分ぐらい、あるいは半分以上、できたも同然といったような考えをもっておりまして、そういう意味で、何かをやるときにはその人の考え、意志が大事だと考えております。

 

3.リーダーシップを発揮する

 第三に、島根県に限らず、世の中、変化のときでございます。変化をするときにはやはり、上のリーダーシップというものが大変重要でございます。私も国の行政官として、国の行革などにも関与してまいりましたが、そのときの経験からも、上のリーダーシップ、上の考えが大事でございまして、わたしは必要なものについては果敢に私のリーダーシップを発揮できるようにしたいと思っております。

 

4.チームワークが大事

 第四に、リーダーシップと関連する話でもありますが、上だけ動いても物事は動きません。やはり組織全体が一緒になって動くことにならないと動かないわけでありまして、そういう意味で、組織のチームワークと申しますか、あるいは県でいえば、県民の皆さんが総力をあげて取り組んでいく、そういう体制をつくることが大事であると考えております。

 

5.若い人の清新なアイディアを尊重する

 第五に、変化が必要なときは、若い人の清新なアイディア、発想というものが必要であることを私は経験から学んでおります。そういう意味で、県庁の中、あるいは島根県の中も同じでございますが、若い人には自由な発想で新しいアイディア、新しい意見をどんどん出していただきたい。それをもとに、みんなで自由闊達な議論をしていくことが大事であると思っています。私のところでもそういうことをいたしますし、皆さんの間でも自由闊達な議論をやるようにしていただきたいと思います。

 

 以上が、私の経験からくる仕事の仕方等についての、私の考えですが、では島根の県政は一体どうするのかということについて若干お話を申し上げたいと思います。

 

<島根県政の課題に対して>

1.「活力ある島根」を築く

 私の考え、あるいは政策といったものは、選挙の際の公約のビラですとか、あるいは新聞などのインタビュー、アンケートなどにもお答えして、書かれた物としてはありますが、その中で最も大事なことは、「活力ある島根」を築いていくということでございます。島根県下を回りまして、人口の高齢化、少子高齢化が進んでいるのがよくわかります。人口も、県全体としては、減少傾向が続いています。また、中山間地域の問題は大変深刻であります。そういう中で「活力ある島根」を築いていくことは容易でないことはよく承知をしております。

 しかし、県下を回りながら、新しい動き、新たな芽生えがあるように感じておりまして、あまり悲観的になりすぎる必要もないというのが、私の今の心境でございます。

 

 例えば、出雲から松江、安来、米子につながる中海・宍道湖圏域におきましては、産業の集積が進んでおります。これは日本海側の中では、有数な集積地になろうとしています。この動きは今後も続くだろうと思います。もちろんそのためには工夫も努力も必要でございますが、その余地があると考えております。

 また、その他の地域におきましても、近年、道路事情が改善してまいりまして、大都市のマーケットへの時間的な距離が短くなってきております。そうしたところでは、県外から工場などが道路の両側にも進出してきております。これは、中山間地域と言われる地域においても見られます。そうした地域においてもいろいろな努力をすれば、この傾向はさらに進めることが出来ると思っております。

 

 さらに伝統的な農林水産業においても新しい動きがいろいろと見られます。各地において、大都市の消費者が好むような県産品をつくる、作物をつくる、そういった努力がいろいろ行われております。銘柄米もそうでありますし、島根和牛もそうでありますし、あるいはメロン、ぶどうといった作物もそうでございます。水産業におきましても、岩がき、岩のり、あるいは干しガレイといったもの、さらに新しい努力も各地で行われているのであります。こうしたものを支援していけば、この販路の拡大の余地もかなりあると見ております。

 

 また、島根は観光資源が豊富でございます。豊かな自然があります。各地に長い歴史と文化があります。いきいきと生きた文化があり、そういう意味で、島根県は観光の資源、観光のポテンシャルは非常に大きいのであります。この面においても、大きな発展の余地があると考えております。

 

 今、世界を見渡しますと、日本などの先進国は成熟化した社会に移ろうとしております。大都市の喧噪を離れて、自然の中でゆったりと暮らしたいとか、あるいは自然の中で働きたいとか、あるいはそこで子育てをしたいとか、あるいは伝統的な文化とか手作りのものを愛するといった人々が増えているわけでございます。新しい価値観が生まれようとしています。伝統的な価値観も変わろうとしております。世の中が変わろうとしていると、私は見ております。

 そうした視点から島根県を見ますと、島根は、そうした人々が求めるもののほとんど全てを持っていると思います。そういう意味におきまして、私は島根の産業の発展を考えるときに、島根らしい発展の仕方があるのではないか、それを追求していくべきではないかと考えているのでございます。私は、「島根らしい」活力ある社会を築くように、先頭にたって、働いて参りたいと考えております。

 

2.財政の健全化に取り組む

 次に、もう一つ急を要する重要な問題がございます。財政の健全化であります。澄田県政の下におきましても悪化する財政の状況に対しまして、いろんな厳しい措置がとられてきております。公共事業の大幅な抑制が行われて参りましたし、定員の削減、さらには皆さんの給与の抑制といったような厳しい措置も採られてきました。

 しかし、私の見るところ、仮にそういう措置を続けたとしても、なかなか県の財政赤字が減らないというところに問題の核心があるように思っております。多分、さらに厳しい事務・事業の見直し、経費の抑制、あるいは歳入の確保といったことをしなければならないと見ています。

 そうなりますと、県民の方々の生活や県下の企業活動にも影響がでてくるわけでございます。私はそういう意味におきまして、県の財政の事情を県民の方々がよく理解をしていただき、さらに、県民の方々からこの問題に対する意見をよくお聞きして、この問題の解決に向かって行かなければならないと考えております。

 遠からず、改革推進会議といった民間の委員の方々からなる委員会も設けまして検討を進めてまいりたいと思いますし、6月の初めには、その第一回の会合を開くような段取りを今考えて、準備をしようと思っているところでございます。

 さらに、10月末には、中期的な財政の健全化の道筋をつくりまして、それに基づきまして、来年度以降の予算の編成や行政の運営に当たっていきたいと考えているところでございます。

 

 産業の振興、あるいは財政の健全化といった問題につきまして、私は、先頭にたって働いてまいります。もちろん、他にも、行政分野にはいろいろございます。福祉、医療、安全、防災、あるいは文化、教育、いろんな分野に県は責任をもって対応しなければなりません。そうした分野におきましても、私は県民の皆様の意見をよくお聞きしながら、その上で、先頭に立って問題に取り組んでいく覚悟でございます。

 

<皆さんと一緒に>

 私どもの前には、内外に誇れるような「島根づくり」といった大きな課題があります。このチャレンジに私は積極的に取り組む覚悟でございます。皆さんはそのチャレンジにおきまして、共に働く私の盟友であり、同志であります。皆さんと一緒に働いていきたいと思います。

 

 何卒よろしくお願い申し上げる次第であります。

 

 


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