「耕作放棄地ゼロ」の目標を達成した集落など5地域が受賞
農業を取り巻く環境がますます厳しさを増す中にあって、農業・農村の活性化に挑戦している地域があります。
これらのがんばっている地域の活動に対して、県下への波及効果を期待して知事表彰を行いました。
今回は、「法人設立後、耕作放棄地が解消した集落」など、5地域が受賞しました。
しまね農業・農村「がんばっている地域の活動」顕彰事業は、平成16年度下期にスタートした事業ですが、今回が最後の表彰です。
右から順番に「ふれあいファーム」前島さん、「とんばら門営農組合」景山さん、
「求院県営ほ場整備事業協議会」金山さん、澄田信義知事、「横尾衛門」原さん、「川平みどり」天野さん。皆様、受賞おめでとうございます!
表彰地域を核として、さらに他地域への波及の期待を込め、副賞として島根県特産品の「来待石灯ろう」を授与しました。
「来待石灯ろう」には、「集落に灯される灯りは、決して大きな灯りではないかも知れませんが、未来につなぐキラリと光る灯りになってほしい」との期待を込めています。
平成16年度下期から平成18年度下期まで、22地域が表彰を受けました。
表彰後、任意組織(集落営農組合)から法人化が実現した集落や新規就農者の雇用が実現した地域、新規作物の栽培など多角的な経営を取り入れた地域など、それぞれステップアップが図られており、今後、他地域への更なる波及効果が期待されます。
澄田知事から表彰状を授与される受賞者の皆様
左から「とんばら門営農組合」代表理事景山道善(かげやまみちよし)氏
「ふれあいファーム」代表理事組合長前島孝好(まえじまたかよし)氏
「求院県営ほ場整備事業協議会」会長金山弘(かなやまひろし)氏
「川平みどり」代表理事組合長天野明(あまのあきら)氏
「横尾衛門」代表理事原佳邑(はらよしさと)氏
澄田知事との歓談集落の自慢話に花が咲きました。
各地域(集落)から自慢の産品などを持参し、知事に紹介しました。
知事表彰の日時及び場所
- 日時平成19年1月12日(金)13:30から14:00
- 場所島根県庁知事室(3F)
表彰地域
- 農事組合法人とんばら門営農組合(飯南町)
- 農事組合法人ふれあいファーム(出雲市)
- 求院地区県営ほ場整備事業協議会[求院営農組合、富上営農組合、斐川ぶどう生産組合求院団地](斐川町)
- 農事組合法人川平みどり(江津市)
- 農事組合法人横尾衛門(益田市)
表彰地域の紹介
農事組合法人とんばら門営農組合
「老若男女、力を合わせて築く"希農共栄の郷"」
・ほ場整備事業が契機となり、営農を話し合う中で集落の30歳から40歳代を中心として、「集落一農場」の法人を設立。
・女性部による地産地消の活動や未来を担う子供達に農業への理解を深めて貰う取り組みなど、幅広い取り組みを展開。
- ・参加戸数20戸H11農事組合法人設立
- 水稲では、エコロジー米(千石米)を栽培。転作では、大豆の団地化に取り組み、水稲・大豆ともに品質も良く、県の共励会では、常に上位入賞。
- ・女性部は馬鈴薯やスイートコーン等の露地野菜を生産。直売所での販売や学校給食に供給。
- 頓原小学校の実習田を設け、子供らと一緒に稲刈りや収穫祭等の取り組みを意欲的に展開。
エコロジー米(千石米)の刈り入れをする組合員地元小学生に田植えの指導
ぶなの里(道の駅)産直市でスイートコーン等を販売
10時から14時までの間に800本を販売したことも・・・
翌日は、なんと1,800本が完売したとか。
農事組合法人ふれあいファーム
「いきいきとふれあいのある地域を次世代に継承」
・ほ場整備事業を契機として、地域の農地を守り伝えるため集落営農組合をつくり、法人を設立。
・法人化を契機に農地集積に向けた積極的な規模拡大と新規作物の導入等、多角的経営を展開。
・女性の発想による「野菜オーナー制」を新たに取り組み、消費者との顔の見える交流活動を実施。
- ・参加戸数62戸H18農事組合法人設立
- ・農地集積に向けた規模拡大(15ha→24ha)と新規作物「あすっこ」や遊休ハウスを活用した花の栽培など、多角的な経営を展開。
- ・女性の発想による「野菜オーナー制」(栽培は、組合。収穫は、オーナー)の導入やキムチ教室の企画等、消費者と顔の見える交流活動を展開。
今日は、仕事の帰りにダイコンを収穫して帰ろう。「よいしょ!あれっ」
「野菜オーナー制」は、40名の会員が登録
キャベツ、大根、ニンジン、ブロッコリーなど7品目。
野菜オーナーを中心として、「キムチ教室」を開催。ふれあいファームのファンづくりに努力しています。
遊休ハウスを活用して、ナデシコを栽培してます。
求院地区県営ほ場整備事業協議会
(求院営農組合,富上営農組合,斐川ぶどう生産組合求院団地)
「"豊饒の大地"創造と"和"の創世」
・ほ場整備事業を契機として、「ほ場整備事業協議会」が中心となり、集落内に複数の営農組合を立ち上げ、効率的な農地利用や収益性の高い品目の導入など、協議会と営農組合の両者が一体となった地域の農業の方向性を検討。
・営農組合同士での営農機械の相互利用や区域内に高規格ぶどう団地を形成し、複合的な営農を展開。
- ・21haの高規格ぶどう団地を形成。複合的営農を実現し、既存ぶどう農家の規模拡大と新規栽培農家を確保。
- ・「菜の花祭り」「斐川ぶどう祭」「収穫祭」等のイベントに加え、用排水路や鉄道敷地の草刈りの企画等、地域内外との交流に努力。
・「アグリ探検隊」(地元小学生がメンバー)をぶどう団地内に受け入れ、農業体験研修を実施。
ご家族連れでにぎわう「ぶどう祭り」。約500家族が来場した。
ぶどうハウスでの農業体験「アグリ探検隊」。地元の4小学校から30人の小学生が登録されている。
2.1haの高規格ぶどう団地を形成し、複合的な営農を実現。
既存のぶどう農家の規模拡大と新規栽培農家の確保に繋げた。植栽2年目で813kg/10aを収穫した。
33棟のぶどうハウスが並ぶ光景は、迫力ある。
農事組合法人川平みどり
「みんなで楽しく支え合う集落営農」
・江津市の中でも過疎化が急激に進行している川平町。高齢化率は50%を遙かに超え、少子化も極度に進んでいる中にあって先駆的に集落営農組合を組織し、その後、旧江津市で最初の農事組合法人を設立。
・地形的にもきびしい条件下(水害の常襲地帯)にある集落内で栽培作物が制限される中、水稲を中心とした農業に取り組み、耕作放棄地もゼロ。
- ・都会に住む地元出身の家族へ川平の米や餅、味噌、漬け物等ふるさと農産物の加工品を販売。
・産直市への野菜の出荷や加工品の生産・販売など、高齢者や女性による積極的な地産地消活動を実践。
・石見神楽や芝居劇団等の文化活動へ積極的に参加するなど、法人がリーダーとなり、地域文化を継承。
江の川の氾濫による水害の常襲地帯。
毎年のように「ほ場」はもちろんのこと、民家にまで被害は及ぶ。
平成18年も7月の集中豪雨で冠水。
「雨にも負けず」耕作放棄地は、ゼロ。
地元の子供達と共同作業「しめ縄作り」
石見神楽の伝承。「年をとっても若いもんにゃー、負けやーせんけーのー」
地元敬老会で「田舎芝居」を披露。
「川平みどり」の会計担当佐々木さん。地元文化の継承に積極的に参加している。
表彰式の当日、知事室にて、ごらんの出で立ちで練り歩き。澄田知事も「知事室では史上初のこと」と笑顔でコメント。
農事組合法人横尾衛門
「横尾の土地を守り育て、次の世代へ"耕作放棄地ゼロを合い言葉に"」
・津和野町と萩市に隣接した「山間へき地」の横尾地区。集落内農地は、不在地主が多く、耕作放棄地も見られたが、法人化後、農地を適正管理し、耕作放棄地2.3haを解消。
・地元産大豆による加工品の生産・販売や遊休ハウスを活用したホウレンソウの実証栽培など、女性・高齢者の雇用の場を創設。
・集落内に伝わる「横尾衛門祭り」を再興し、歴史の伝承と集落内における非農家との交流に努力。
- ・不在地主が多く、耕作放棄地も多く見られたが、法人化後、2.3haの耕作放棄地を解消。
- ・エコファーマーの認定を受け、「西いわみヘルシー元氣米」の生産と品質向上に大きく貢献。
- ・高齢者・女性による施設野菜や味噌等の農産加工に取り組み、経営の多角化にも着手。
・鎌倉時代から集落に伝わる歴史・文化(横尾集落を拓いた「田中横尾衛門源宗定」へ感謝を手向ける「横尾衛門祭り」)を伝承している。
「中集落」と「横尾集落」の両集落に点在していた耕作放棄地2.3haが解消。
転作の取り組みとして、遊休ハウスを活用し、ホウレンソウの実証栽培を実施。
1.2haを連たん化し、大豆団地を形成。婦人部は、地元産大豆を利用した味噌加工の試験的な取り組みを実施している。
女性・高齢者の雇用の場にもなっている。
今。蘇る鎌倉の灯火。
20年から25年ごとに開催していた「横尾衛門祭り」を復活した。
鎌倉時代「田中横尾衛門源宗定」が集落作りをした歴史がある。
法人化の後、「横尾衛門祭り」を毎年実施し、地元に繋がる歴史と文化の継承に加え、非農家との交流の場にもなっている。
お問い合わせ先
農林水産総務課
島根県農林水産部農林水産総務課 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 TEL:0852-22-5393 FAX:0852-22-5967 E-mail:nourin-somu@pref.shimane.lg.jp