サルモネラ属菌
■サルモネラによる胃腸炎は6月から10月までが好発時期ですが、冬にも発生しています。冬でも暖かい部屋などで長時間食品を放置すると細菌が増殖する危険性があります。
■近年食中毒の場合、サルモネラを原因とする事例が多く、中でもサルモネラエンテリティディス(SE)を原因菌とする食中毒が増加しています。
病原体 | ◎サルモネラは、大きさが0.7-1.5×2.0-5.0μmのソーセージ状の形をしたグラム陰性の通性嫌気性細菌(酸素があっても、酸素の量が少なくても発育する細菌)です。 ◎サルモネラは、現在血清型で分類され、約2000種類の名前が登録されています。その中で、サルモネラエンテリティディス(SE)の血清型はO9:g,m:-です。 |
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感染経路 | ◎サルモネラ胃腸炎のほとんどすべては汚染食品の摂取によって起こります。これは汚染した鶏卵の摂取によるSEが主な原因とされています。 |
潜伏期 | ◎汚染食品の摂取後、通常8から48時間と比較的短い潜伏期で発症します。 |
臨床症状 | ◎サルモネネラ感染症の多くの場合、悪心および嘔吐ではじまり、数時間後に腹痛および下痢がおこります。腹痛は一般には右下腹部あるいはへそ周囲に限局します。下痢は1日数回から十数回で、3から4日間持続し、1週間以上に及ぶことはまれです。患者の50%以上に中等度の発熱がみられますが、1から2日で平熱にもどります。ただし、これらの症状はかなりの個人差があります。 ◎小児および老齢者では一般成人よりも重症となります。また、SEの感染は他の血清型より重症のことが多いようです。 |
検査室診断 | ◎便を検体とし、分離培地(SS寒天、MLCB寒天)による菌の分離、菌の生化学的性状の確認などによります。さらに菌名を決定するためには、血清型別(O群別・H抗原の決定)が必要です。 MLCB寒天上でのサルモネラ菌→ |
治療と予防 | ◎ニューキノロン剤による除菌が効果的です。予防では、特に卵や肉製品の調理には十分な加熱を行うなどの注意をし、食中毒予防に心がけます。 |
行政対応 | ◎食中毒が疑われる場合は、24時間以内に最寄りの保健所に届け出ます。 ◎また、SalmonellaTyphiによるチフス、SalmonellaParatyphi-Aによるパラチフスは感染症法では2類感染症に指定されていて、感染者(患者・無症状保菌者)が発生した場合、診断した医師はただちに最寄りの保健所へ届出が必要です。 その他、小児科定点把握の5類感染症の感染性胃腸炎として、発生情報が収集されています。 |
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