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腸管出血性大腸菌

■大腸菌は人の常在菌ですが、O157をはじめとする腸管出血性大腸菌は、赤痢菌の産生する毒素と同じ生物活性をもつ毒素(STX、VT)を産生します。大腸菌なので加熱に弱いのですが、常在菌の大腸菌より酸性環境に強いです。また、他の細菌性食中毒と比べ、少ない菌量で発症します。

 

発生状況 ◎毎年気温が高くなる初夏から晩秋にかけて多発し、感染者は生後5ヵ月から85歳までの幅広い年齢層で確認されています。
腸管出血性大腸菌について
病原体 ◎腸管出血性大腸菌は、通常の大腸菌とは異なり、病原性を持った大腸菌(組織侵入性大腸菌:EIEC、毒素原性大腸菌:ETEC、腸管出血性大腸菌:EHEC、腸管病原性大腸菌:EPEC)のひとつで、ベロ毒素(VT、志賀毒素様毒素)を産生することを特徴としています。血清型ではO157、O26、O111等が知られています。
感染経路 ◎腸管出血性大腸菌は、本来は動物の腸管内に生息する細菌ですが、家畜や感染者の糞便に汚染された食品や水の飲食で人に感染します。
◎感染源としては、井戸水、牛肉、生レバー、サラダなどが報告されています。しかし、食材や水が腸管出血性大腸菌により少量でも汚染していれば、どの食物でも感染源になります。また、調理用具等を介し二次汚染した食物を喫食することで感染したり、患者や感染者(保菌者)の便が手指に付着し、それが直接乳幼児等の口に入り感染したり、食物を扱うことで間接的に感染することがあります。
潜伏期 ◎潜伏期は4〜9日と長く、感染源が特定しにくいのが特徴です。
臨床症状 ◎感染後にだるい元気が出ないといった不定愁訴があることがありますが、一般的な初期症状は感染後4〜9日後に現れる臍から下腹部にかけての激しい腹痛と下痢で、血便になることもあります。また、重篤になると、溶血性尿毒症症候群(HUS)や血栓性血小板減少性紫斑病による腎不全や脳障害が起こることもあります。
検査室診断

培地上のO157◎便等から腸管出血性大腸菌を分離し、生化学的性状、血清型別、ベロ毒素産生性および型別、ベロ毒素産生遺伝子の検出等の検査が行われています。

 

赤丸...O157(茶色がかった透明なコロニー)→
青丸...O157以外の大腸菌(赤いコロニー)→

治療と予防 ◎対症療法と抗菌薬治療がありますが、感染したら医療機関に早めに受診しましょう。予防は、調理や食事の前にはよく手を洗う、食物は良く加熱して食べる、調理したらすぐ食べるの三原則を守ることです。
感染症法での取り扱い ◎3類感染症に指定されていて、感染者(患者・無症状保菌者)が発生した場合、医師はただちに最寄りの保健所へ届出が必要です。

お問い合わせ先

保健環境科学研究所

〒690-0122 島根県松江市西浜佐陀町582-1
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