レジオネラ属菌
■レジオネラ属菌(レジオネラ)は土壌や河川、湖沼など自然に生息する環境細菌です。しかし、空調設備の冷却塔水、循環式浴槽水、給湯器の水などに生息するアメーバなどに寄生、増殖し、問題となっています。
発生状況 | ◎市中感染、院内感染とも季節性はみられず、中高年が好発年齢となります。レジオネラ症が1999年4月に4類感染症(全数把握)となってから2002年12末までに465例(死亡34例)のレジオネラ症患者が診断され、患者の平均年齢は60.8歳でした。また男性患者が386例と全体の83%を占めていました。 |
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病原体 | ◎レジオネラ属菌41菌種のうち、主な病原はレジオネラ・ニューモフィラ(Legionellapneumophila)が代表菌種です。自然界では土壌、水に広く分布し、アメーバ類などの原生動物細胞内で増殖します。 |
感染経路 | ◎レジオネラ属菌に汚染されている土壌の砂塵、あるいは汚染れた加湿器、温泉水、冷却塔水、24時間風呂などより発生するエアロゾル(液体の微粒子)の吸入により経気道感染します。 ◎ヒトからヒトへの感染はありません。 |
潜伏期 | ◎レジオネラ肺炎では2から10日、ボンティアック熱では1から2日 |
臨床症状 | ◎レジオネラ肺炎:レジオネラ症の大半を占め、肺炎を主訴とし、発熱、全身倦怠、筋肉痛、乾性咳、喀痰、胸痛が出現、腹痛や下痢等の消化器症状もみられます。中枢神経症状が比較的早く出現するのも特徴で、適切な抗菌薬療法がなされないと致命率は25%以上にも達します。 ◎ボンティアック熱:発熱を主症状とし、全身倦怠、悪感、頭痛、筋肉痛などを伴い、肺炎はみられません。予後は良好で2から5日で自然治癒します。 ◎両病型とも感染発病リスクは、喫煙者、大量飲酒者、高齢者、慢性疾患等の免疫抑制状態の人で高くなっています。 |
検査室診断 | ◎喀痰、気管洗浄液、血液等を検体とし特殊培地(BCYE_、WYO_)による菌の分離、PCR法による遺伝子検出、尿中特異抗原の検出、血清抗体価の上昇などによります。 |
治療と予防 | ◎細胞浸透性のあるマクロライド系、リファンピシリン、ニューキノロン剤が有効です。 ◎エアロゾルの発生しやすい温水、冷却塔水は適宜殺菌剤による処理または換水を行います。 |
感染症法での取り扱い | ◎全数把握の4類感染症に指定されており、症状や所見から当該疾患が疑われ、病原診断または血清学的に診断した医師は、7日以内に最寄の保健所に届け出ることになっています。 |
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