1)全数報告感染症(1〜4類感染症)
腸管出血性大腸菌感染症が4件(松江圏域3件、出雲圏域1件)、オウム病
が1件(出雲圏域)、日本紅斑熱が1件(出雲圏域)報告されています。
2)インフルエンザおよび小児科定点報告 ( )内は月の定点当たり報告数
○手足口病(29)。各地で大流行となりました。初旬がピークで、以後漸減していますが、隠岐圏域では下
旬に多くなっています。大田圏域(64)と雲南圏域(48)で特に多く患者がみられました。
○ヘルパンギーナ(20)。各地で大流行となり、西部を除いてピークを越えました。浜田圏域(39)のみが手足口病
の流行より大きく流行しました。全国的には、手足口病よりヘルパンギーナの流行が大きいようです。
○咽頭結膜熱(0.4)。出雲圏域(1)でやや多かったです。全国ではここ10年で最大の流行となっていますが、
本県では5月に大田圏域で一時的に流行したのみでした。
○感染性胃腸炎(7)。大田圏域(26)で多く、浜田圏域(8)で増加しましたが、県全体では漸減しています。
○水痘(4)。例年より幾分多く、例年通り最小発生月の9月に向け漸減しています。
3)眼科定点報告
流行性角結膜炎が浜田圏域から3例の報告があります。
4)性感染症報告
性感染症の多い状態が持続しています。その中でも性器クラミジア感染症が14件、淋菌感染症は7件と多く、
罹患年齢は20歳代を中心に10〜40歳代に分布しています。
5)基幹病院報告
○細菌性髄膜炎:松江圏域から乳児と5歳未満児の報告がありました。
○無菌性髄膜炎:松江圏域から10歳未満児の1件が報告されています。本年は計5件となりました。
○マイコプラズマ肺炎:松江圏域と出雲圏域から5歳未満2件と15歳未満2件の報告がありました。
○メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症:(66件)。2001年4月の65件を越え月間最多の報告でした。昨年秋以降
漸増しています。
○ペニシリン耐性肺炎球菌感染症:(11件)。本年最小の報告でした。そのうち9件が10歳未満の患者でした。
(72件)の79%増となっています。
ヘルパンギーナからはコクサッキーA10型が原因ウイルスとして分離されています。また、比較的大きな流
行となっている手足口病からはエンテロウイルス71型が分離されています。このウイルスは無菌性髄膜炎を併
発しますので十分な注意が必要でしょう。
感染性胃腸炎は7月に入ってもアストロウイルスが検出されています。細菌では病原性大腸菌が7例、最近発生
の少なかった食中毒の原因菌ともなるキャンピロバクターが分離されています。
2002年4月 から 2002年6月まで の診断名別病原体検出数:島根県(保環研感染症疫学科)
病原体名 | アデノ | 腸管アデノ | コクサッキーA | コクサッキーB | エコー | A群ロタ | SRSV | インフルエンザ | 病原性大腸菌 | サルモネラ | 合計 |
型 | 1 | 2 | 3 | 5 | 6 | 4 | 16 | 4 | 13 | 18 | Aソ連 | A香港 | B | EPEC |
無菌性髄膜炎 | | | | | | | | 1 | | 6 | | | | | | | | | 7 |
手足口病 | | | | | | | | 33 | | 1 | | | | | | | | | 34 |
咽頭結膜熱 | | 1 | 5 | | | | | | | 3 | 1 | | | | | | | | 10 |
感染性胃腸炎 | | 1 | | 1 | | 1 | | 3 | | | | 37 | 3 | | | | 1 | 1 | 48 |
ヘルパンギーナ | | 1 | | | | | 10 | | 1 | | | | | | | | | | 12 |
咽頭炎 | 2 | 3 | 3 | 3 | 2 | | 1 | | 4 | 9 | 1 | | | | 9 | 1 | | | 38 |
インフルエンザ | | | 2 | | 1 | | | | | 1 | | | | | 4 | 16 | | | 24 |