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破傷風
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ワクチンで予防したい破傷風

発生状況
破傷風月別  全国では年間100〜130件程度の報告があります。初夏から秋にかけての報告が多く、土壌にふれる機会の多い季節に多発しているようです。 島根県でも年間1〜4件程度の患者発生報告があります。
病原体
 破傷風菌(Clostridium tetani)は通常土壌、塵埃中に芽胞(がほう)の形で広く分布しています。芽胞は100℃の加熱にも耐え、乾燥に対しても抵抗性があり、芽胞の状態のままで10年以上感染性を保つことができます。破傷風菌は酸素が豊富な環境下では生きていけないので、芽胞の形で世界中の土壌に潜んでいます。
 破傷風菌は創傷を受けた部位(けがをしたところ)から体内に侵入します。進入した部位が酸素が少ない場所であれば、芽胞から発芽して数を増やします。増殖した破傷風菌が産生する破傷風毒素により、破傷風に特徴的な症状が引き起こされます。
 感染する原因は、事故などによる転倒に伴う創傷、土いじり中の受傷などが多いですが、微細な損傷でも感染する場合があります。また、注射による麻薬などの薬物摂取においても、汚染された水や器具の使用による破傷風感染が起こります。
感染経路
 破傷風菌の芽胞が傷口から体内に侵入する経皮(創傷)感染であり、軽い傷でも感染発症がありえます。ヒトからヒトへの直接感染はありません。
潜伏期
 3日から3週間程度です。潜伏期が短いほど予後が悪いとされています。
破傷風年齢別
臨床症状
 破傷風菌が産生する毒素により、初期は肩こり、舌のもつれ、発語障害、顔がゆがむといった症状で始まり、 疼痛性黄紋筋の硬直(収縮)は下顎筋と頚部筋(頚部硬直)から始まり、次いで開口障害、嚥下困難に及び、体幹筋、四肢の硬直性痙攣、 歩行困難となり、進行すると呼吸困難、刺激に対する興奮性の亢進、出現、全身性の硬直性痙攣をおこします。 意識は清明ですが、致命率は高いです。
検査室診断
 創傷部位からの破傷風菌の検出を行います。
治療と予防
 予防にはワクチン接種が有効で、百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DPT)、ジフテリア破傷風混合トキソイドワクチン(DT)などがあります。
 治療は、破傷風免疫ヒトグロブリンの筋注または静注、ペニシリンG、テトラサイクリンの投与をします。
 創傷部の郭清、過酸化水素水による消毒、点滴、気道確保など全身管理と痙攣発作時の抗痙攣剤の使用、また、 発症が予想される症例では予防措置として、創傷部位の郭清、過酸化水素水での消毒と破傷風トキソイドの追加免疫が行われます。
感染症法での取扱い
 以下の基準により第5類感染症として最寄の保健所に届け出ることになっています。
 診断した医師の判断により、外傷の既往と臨床症状などから、破傷風が疑われる場合。 なお、外傷部位から破傷風菌の分離、同定及び分離菌から破傷風菌毒素が検出されれば、病原体診断であることも報告します。
破傷風
島根県感染症情報センター