●発生状況
市中感染、院内感染とも季節性はみられず、中高年が好発年齢となります。
●病原体
レジオネラ属菌41菌種のうち、主な病原はレジオネラ・ニューモフィララ(
Legionella pneumophila )が代表菌種です。
自然界では土壌、水に広く分布し、アメーバ類などの
原生動物細胞内で増殖します。
●感染経路
レジオネラ菌に汚染されている土壌の砂塵、あるいは汚染れた加湿器、温泉水、冷却塔水、24時間風呂などより発生する
エアロゾル(液体の微粒子)の吸入により経気道感染します。
ヒトからヒトへの感染はありません。
●潜伏期
レジオネラ肺炎では2〜10日
ボンティアック熱では1〜2日
●臨床症状
レジオネラ肺炎:レジオネラ症の大半を占め、肺炎を主訴とし、発熱、全身倦怠、筋肉痛、乾性咳、喀痰、胸痛が出現、
腹痛や下痢等の消化器症状もみられます。中枢神経症状が比較的早く出現するのも特徴で、適切な抗菌薬療法がなされないと
致命率は25%以上にも達します。
ボンティアック熱:発熱を主症状とし、全身倦怠、悪感、頭痛、筋肉痛などを伴い、肺炎はみられません。
予後は良好で2〜5日で自然治癒します。
両病型とも感染発病リスクは、喫煙者、大量飲酒者、高齢者、慢性疾患等の免疫抑制状態の人で高くなっています。
●検査室診断
喀痰、気管洗浄液、血液等を検体とし特殊培地(BCYEα、WYOα)による菌の分離、PCR法による遺伝子検出、
尿中特異抗原の検出、血清抗体価の上昇などによります。
●治療と予防
細胞浸透性のあるマクロライド系、リファンピシリン、ニューキノロン剤が有効です。
エアロゾルの発生しやすい温水、冷却塔水は適宜殺菌剤による処理または換水を行います。
●感染症法での取扱い
全数把握の4類感染症に指定されており、症状や所見から当該疾患が疑われ、病原診断または血清学的に診断した医師は、
直ちに最寄の保健所に届け出ることになっています。