●発生状況
オウム病は、島根県内では2002年の花と鳥の展示施設における集団発生の後、2003年と2004年に1例ずつ報告がありましたが、その後の発生は報告されていません。全国的にも年間で5件から30件程度の報告となっていますが、死亡例も報告されています。
全国の発生状況のまとめが国立感染症研究所から報告されています:日本におけるオウム病症例発生状況(2006年4月1日〜2017年3月31日)と妊娠女性におけるオウム病 (外部リンク)。
●病原体
オウム病クラミジア(
Chlamydia psittaci)。
クラミジアは、リケッチアと同じように偏性細胞内寄生性細菌ですが、
リケッチアと違い、人への感染経路に節足動物を必要としません。
●感染経路
人獣共通感染症であるオウム病は、セキセイインコ、オウム、ハトなどが保有している頻度が高く、
トリの糞便や唾液中に病原菌が排出されます。このため、排泄物の粉塵を吸い込んだり、
口移しでエサを与えたりすることにより感染します。
通常、人から人への感染はほとんどありません。
●潜伏期
約10日(7日〜14日)。
●臨床症状
突然の高熱、悪寒、頭痛、全身倦怠感などのインフルエンザ様の症状で発症します。
初発症状としての熱は、ほぼ必発で、38℃以上の高熱であることが特徴です。
また咳も必発で当初は乾性でやがて痰を伴うという経過をとります。
インフルエンザとの鑑別が重要であり、鳥類との接触がある患者で高熱と肺炎を認めたときは、
オウム病を疑う必要があります。
●検査所見
胸部X線所見では、間質性陰影を認めることが多くあります。
赤沈の亢進、CRP上昇を認めますが、白血球数は正常のことが多くあります。
また、血清クラミジア抗体価の上昇を測定します。
●拡大防止
トリを飼う場合は下記の点に注意します。
(1)トリにストレスをかけないような飼育方法
(2)過度な接触、口移しの給餌をしない、糞の後始末に注意
(3)トリが弱った場合は早めに受診
(4)へい死したトリの扱い、かごの消毒などの注意
(5)テトラサイクリン系薬入りのエサを与えると、予防効果が期待できる
●治療
テトラサイクリン、マクロライド系の抗生物質が有効ですが、β-ラクタム系は無効です。
●感染症法での取り扱い
全数報告の4類感染症に指定されていて、オウム病と診断した医師は、
直ちに保健所に届け出ることになっています。
【関係通知】