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後天性免疫不全症候群
対象疾患一覧県報告数と届出基準全国報告数この疾患に関する情報
後天性
免疫不全症候群
どんな病気?

後天性免疫不全症候群(エイズ、AIDS)

はじめに
 ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus; HIV)は主に性的接触を感染経路とする病原体で、ヒトの白血球(CD4+リンパ球)に感染し、免疫機能を破壊します。HIVウイルスの増殖によって免疫不全を生じた結果、免疫が十分なヒトでは病気を起こさないような微生物(真菌、原虫、細菌、ウイルス等)による感染症(日和見感染)や悪性腫瘍を合併した慢性感染症の状態を「後天性免疫不全症候群(Acquired Immunodeficiency Syndrome; AIDS)と言います。
HIV感染者推移グラフ 日本の発生状況
 2007年頃までは年々報告数が増加していましたが、最近10年はAIDS患者、HIV感染者を合わせて1300〜1500件の報告が続いています。AIDS発症による届出が全体の3割程度を占めています。また、男女別では圧倒的に男性の報告が多くなっています。
 感染経路としては、「同性間の性的接触」がすべての年代で多数を占めていますが、40代以上では異性間の性的接触によるものの割合も大きくなっています。
病原体
 ヒト免疫不全ウイルス(HIV1型、2型)
感染経路
 病原体は感染者の体液(血液、精液、膣分泌液、母乳等)に含まれ、感染経路は飛沫、空気感染ではなく、 次の接触あるいは直接感染です。
 ・HIV感染者との性行為
 ・HIVに汚染された血液の輸血及び血液製剤による暴露、注射器の(共用)回しうち
 ・母子感染(胎盤感染、周産期、母乳?)
HIV感染者推移グラフ 潜伏期
 人によっては、HIV感染直後にインフルエンザ様の症状を訴える(急性感染)事があります(全く症状がない場合も多い)。免疫が低下し、日和見感染を発症してエイズとなるまでには約5〜10年の無症候期があります(無症候期の長さは人によって異なります)。
 HIV感染者はウイルスと抗体を同時に保有し、(未治療の場合は)無症候期からAIDS発症に至るまでの全期間で他の人にうつすおそれのある期間となります。
年齢別性別報告割合グラフ 臨床症状
 HIVに感染した後、CD4陽性リンパ球数が減少し、無症候性の時期(約10年)を経て、高度の免疫不全 症に陥り、日和見感染症や悪性腫瘍などのAIDS関連疾患が生じてきます。
急性感染期:HIV感染直後の発熱、リンパ腺腫大、皮疹、咽頭炎、筋肉痛、関節炎等の症状。通常1〜2週間で軽快します。
無症候期:リンパ腺腫大の持続、その他特に自覚、他覚症状はありません。
エイズ発症期:エイズ動向委員会で定められた診断基準を示す症状疾患です。
検査室診断
 血液のHIV抗体検査(酵素抗体法、粒子凝集法、免疫クロマト法、ウエスタンブロット法、蛍光抗体法)。
 血漿中HIV−RNA検査でHIVの活動性を判断します。
治療と予防
 HIVウイルスが感染し、ウイルスの複製を作る過程の様々なポイントを阻害して、ウイルスの増殖を抑える薬が多数開発されています。それらの薬を組み合わせて使用する多剤併用療法が主流となり、目覚ましい効果を上げています。「1日1回1錠」で治療できる薬剤もあるので、患者さんの生活の質は、多剤併用療法が導入された当初よりも改善しています。
 また、治療が成功し、血中ウイルス量が検出限界以下に抑えられていれば、パートナーへの感染予防にもなる事がわかっています。
感染症法での取扱い
 全数把握の5類感染症に指定されていて、診断した医師は7日以内に最寄の保健所への届出る事になっています。
島根県感染症情報センター