デング熱
流行地域への旅行時には蚊に要注意
●デング熱の流行状況
デング熱(Dengue fever)は、マラリアと同様に東南アジアなどの熱帯〜亜熱帯地域に広く分布し、
流行地域全体で年間約1億人の患者が発生しています。2006年から大規模な流行がみられるようになっており、特に、東南アジア等流行地に旅行する場合は蚊対策を十分にしてください。デングウイルスを媒介する蚊の特性から、渡航先が都市部であっても蚊に刺されることによる感染リスクがあります。
東南アジア等においては2019年時点で流行が報告されいており、例えばフィリピンでは感染者数の増加を受けてフィリピン保健省が警告宣言を発出しているところです。
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デング熱の発生状況−西太平洋地域(厚生労働省検疫所FORTH:外部リンク)
なお、日本国内で感染した例は、過去60年以上報告されていませんでしたが、2013年には、ドイツ人渡航者が日本で感染したと疑われる事例が報告されました。
また、2014年8月から10月にかけて、日本国内で感染した162名の患者発生が報告されました。
その後、デング熱の国内感染は報告されていませんでしたが、2019(令和元)年9月に国内での感染が否定できない事例の報告があり、沖縄県那覇市が公表しています。(デング熱の流行地への渡航歴はありますが、帰国後デング熱を発症した同居家族からの感染が推測されたケースです)(
沖縄県那覇市の報道発表資料(PDF)、
厚生労働省の通知(PDF))
東京都では、2019(令和元)年10月に、海外渡航歴のないデング熱患者の発生届2例が有り、国内(奈良市あるいは京都市)での感染と推定されています。(
厚生労働省の通知(PDF))
島根県では2012年に1件、2016年以降は毎年各1件の報告があり、いずれも海外での感染例でした。
●病原体
フラビウイルス科フラビウイルス属デングウイルス。1〜4型の型があり、複数の型のウイルスに重複感染することもあります。
●どこから感染する?
マラリアと同様に、病原体を保有する蚊に刺されることで感染します。
マラリアを媒介する蚊(ハマダラカ)と異なり、デング熱を媒介する蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど)は、空き缶、植木鉢の水受け、古タイヤなどに溜まった水でも発生するため都市部でもみられ、日中でも活動することもあり、マラリアよりも注意が必要です。
●予防方法は?
蚊に刺されないようにすることが唯一の予防方法です。
蚊はデング熱の他に、マラリア、ウエストナイル熱などの感染症を媒介しますので、蚊が多く発生する夕方から
夜間にかけて外出する際には、虫除け剤や蚊取り線香の使用、長袖・長ズボンの着用等により、
蚊に刺されないように注意しましょう。
長期の滞在の場合は、蚊帳を使用すると効果的です。
●症状
2〜15日、多くは3〜7日の潜伏期の後、発熱(38〜40℃)が2〜8日続きます。発症後3〜4日後から発しんが現れ、体幹から始まり四肢を中心にみられるようになります。
発熱時には、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛を伴います。
デング熱の死亡率は1%以下ですが、重症例は「
デング出血熱(Dengue haemorrhagic fever)」と呼ばれ、皮下、鼻腔、歯肉などから出血がみられ、死亡率も10%と高くなります。
早期診断と適切な治療が、重症化や感染拡大を防ぐために重要です。
■ 流行地からの帰国(入国)時に体調に異常がある場合は、到着した空港等の検疫ブースで検疫官に申し出ましょう。
■ 帰国(入国)後に症状が認められた場合は、速やかに医療機関を受診し、海外への渡航歴を告げてください。
●治療
●感染症法に基づく取扱い